内容
追い込まれた時に重要なのはメンタル面
自分が苦しいときは相手も苦しい。
人間には二通りある。
不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間だ。
リスクをとる
知らないフィールドで戦うほうが面白いのではないか。
常識もマニュアルも通用しない場所では、自分の力を試されているようでもあり、充実感を実感できるはずだ。
勝負には通らなくてはいけない道が存在する。
リスクを前に怖気づかないことだ。そういうときには、「あとはなるようになれ」という意識で指している。
どんな場面でも、今の自分をさらけ出すことが大事なのだ。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」
積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にする。
反省
すでに過ぎ去ったことは仕方がない。実戦中は振り返らないことが大事だ。
私は、意識的に先のことを考えるようにしている。
反省は勝負がついた後でいいのだ。極力、前向きな気持ちを保ちたい。
私は対局が終わったら、その日のうちに勝因、敗因の結論を出す。
そして、翌日には真っ白な状態でいたいと思っている。勝った将棋もすぐに忘れたい。
一人で考えていき、あるところまで到達する-そのうえで共同して知恵を出し合うのでなければ意味がないと思っている。
勝負どころでは、あまりごちゃごちゃ考えずに「KISS」で行け。
勝負の世界では「これでよし」と消極的な姿勢になることが一番怖い。
「そんな馬鹿な」と思われることから創造は生まれる。
複雑な局面では、私は、局面を何度も整理し直す。
複雑になればなるほど、整理したい。
何かに興味を持ち、それを好きになって打ち込むことは、集中力だけでなく、思考力や創造力を養うことにもつながると思っている。
一気に深い集中力には到達できない。
海には水圧がある。潜るときにはゆっくりと、水圧に身体を慣らしながら潜るように、集中力もだんだんと深めていかなければならない。
そのステップを省略すると、深い集中の域に達することはできない。
波に乗る
流れをつくるよりも、サーフィンのように流れにのっていく。
波はつくれないが、乗れるかどうかだ。
好調な人、好調な波に乗った人との対戦が多い。
相手はやる気も、波も常に最高。
そういう勢いのある人と対戦していると、そのときは大変でも、それをきっかけに自分の調子が上向きになったりするのだ。
感情コントロール
自分の感情をコントロールすることは将棋の実力にもつながるのだ。
マイナス面に打ち勝てる理性、自分自身をコントロールする力を同時に成長させていかないと、経験を活かしきるのは難しくなってしまう。
才能
才能とは、同じ情熱、気力、モチベーションを維持することである。
プロらしさとは、明らかにアマチュアとは違う特別なものを持っており、その力を、瞬間的ではなく持続できることだと思っている。
大切なのは実力を維持することである。
無理やり詰め込んだり、「絶対にやらなきゃ」というのではなく、集中力や速度、費やす時間を落としても、毎日、少しずつ続けることが大切だ。
信用されるとは、強いと認められることである。
面白かったポイント
勝負師の考え方を学ぶことができる良書です。
プロはものすごい先の手を読むものと思っていましたが、その場その場で考え、良さそうな手を勘で2、3に絞り、頭の中で将棋盤の駒を動かすことを知りイメージが変わりました。
対局では数日間ずっと思考しなければいけないですし、一人でやるものなので相当タフでないとプロでやっていけませんね。
凡人には想像できないくらいの集中力が求められると思います。
アイデアを思い浮かべる、うまくいくか細かく調べる、実戦で実行、検証と反省という勉強プロセスは、将棋だけでなく何をやるにも大切なステップですね。
ブレインストーミングのような共同で知恵を出すことも大事ですが、あるところまで到達するまで一人で考え抜くという指摘はその通りだと思います。
成功する人には決断力があります。
その能力を高めるためにも感性を磨きたいと思います。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆
目次
第1章 勝機は誰にもある
第2章 直感の七割は正しい
第3章 勝負に生かす「集中力」
第4章 「選ぶ」情報、「捨てる」情報
第5章 才能とは、継続できる情熱である