東大院生が考えたスマートフォンFX

投資

『東大院生が考えたスマートフォンFX』田畑 昇人

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本の内容

市場参加者のひとりひとりの「心理状態の変化」が相場を動かしているわけです。

外国為替市場に参加している人間の心理状態と、その変化がわかれば、FXで生き残っていけるはずです。

 

週末にポジションを持っていることはリスクがあります。

月曜日から木曜日まで上がり続けていた通貨は買っている人が多く、そんな買い手の心理状態は「金曜日だから決済しよう」と変化するのではないか。

 

正しいやり方を知らないまま取引していた僕はFXをギャンブルにしてしまっていました。

一文無しになるのは当然です。

 

実際の作業は地味なものです。

自分が決めたルールに従って毎日コツコツと資産を増やすだけの日々でした。

 

レバレッジが高いからリスクが高いのではなくて、最終的なリスクを決めるのは、「実際どれくらいの数量の注文を行うか」です。

 

3つの武器

  1. 時間帯による値動きの特性
  2. 需給分析
  3. テクニカル分析

 

相場は3種類しかない

  1. 持ち合い
  2. 下落相場
  3. 上昇相場

 

FXの取引のやりかたは2種類しかありません。

  1. 順張り
  2. 逆張り

 

取引時間帯

僕がよく取引するのは東京市場の時間帯

 

世界を代表する金融街、ニューヨークのウォール街とロンドンのシティです。

それに東京を加えて、3つの街が世界でも規模の大きな金融の中心地となります。

 

24時間、市場が開いているということはそれだけチャンスも多いということになります。

 

外国為替市場の取引の多くは、短期的なトレードで利ざやを狙う投機筋です。

自分が寝ている間に市場が急変したら大変なので、帰宅する前にはポジションを決済しようともするでしょう。

ある市場がクローズする間際には「ポジションを解消しようとするニーズ」が存在する。

 

つまり、東京市場のトレーダーの心理からは次のような法則が導き出せますよね。

  • 9時から14時までは順張りの時間
  • 14時から15時までは逆張りの時間

同じことは、ロンドン市場やニューヨーク市場でも言える。

 

ロンドン市場は、

  • 17時から21時までは順張りの時間
  • 21時から22時までは逆張りの時間

 

気を付けないといけないのが、アメリカの経済指標発表です。

毎月第一金曜日に発表される雇用統計を筆頭に、「22時半(夏時間は21時半)」はアメリカで経済指標の発表が集中する時間です。

経済指標の結果によって、市場は乱高下します。

 

経済指標の数字を事前に予想するのはとても困難です。

予想できないとき、どうするのが賢明ですか?

取引しないこと、それに持っているポジションがあれば決済しておくことですよね。

 

東京市場の高値・安値を抜けると、トレンドが生じやすい。

欧州の順張り時間に東京市場の高値を上抜けると上昇トレンドになりやすく、東京市場の安値を割ると下落トレンドになりやすい傾向があります。

 

トレンドライン

支持線や抵抗線は「値動きが止められやすいポイント」ですし、「もしも抜けたときは値動きに勢いがつきやすいポイント」となります。

抵抗線や支持線は役割を変えることがあります。

レンジ相場では抵抗線となっていたラインが上にブレイクすると、今度は支持線に変わるといったことがよくあります。

 

短期トレードで大切なのは「勢い」です。

値動きに勢いがついて走り出すところでトレードできると、短期間で大きな利幅が狙えます。

 

多くの人が意識しているポイントは、それだけ相場への影響力も強くなるんです。

 

オアンダ情報

他のプレイヤーがいくらのレートにどのくらいの注文をいれているか、見ることができれば、大きなアドバンテージになる。

オアンダジャパンというFX会社の「オープンオーダー」です。

もちろん外国為替市場すべての注文が見られるわけではなく、オアンダに集まっている注文の情報だけです。

 

オアンダは世界に展開するFX会社で、世界のオンライン取引の20%以上がオアンダを経由している。

 

オープンオーダー

指値と逆指値がどこに入っているかを見られるのが、オープンオーダーです。

 

右が買い注文、左が売り注文

右上が逆指値の買い注文、左下が逆指値の売り注文

右下が指値の買い注文、左上が指値の売り注文

棒の長さが注文の量を示します。

 

指値注文は、今より安く買って、今より高く売る

逆指値は、今より高く買って、今より安く売る

 

逆指値は損切りに使われることの多い注文方法です。

損切りするポイントは分けたりせずに一箇所に集中させることが多い。

 

大切なのは、右上の逆指値の買いと左下の逆指値の売りです。

熟練のトレーダーが何をするかというと、他人に損切りさせようとします。

それが自分の利益になるからです。

 

つまり、そこを抜ければ走りやすいポイントです。

  • 大きな損切りがあるところまで為替レートは動きやすい
  • 大きな損切りが約定すると相場に勢いが生まれやすい

 

指値にも重要な意味があります。

指値は「そこで反発しやすいポイント」です。

 

上がっていても大量の売り指値が入ったポイントまでくれば、そこで上昇は止められやすい。

下がっていても大量の買い指値が入ったポイントでは、下げ止まりやすくなります。

 

オアンダのより実践的な使い方としては、「現在のレートのそばに注文がたまっているか」をまず見てください。

目安としては、プラスマイナス10銭程度です。

 

順張り時間なら、逆指値のたまったポイント=値動きの加速しやすいポイントが注目になります。

逆張り時間だと、指値のたまったポイント=反発しやすいポイントが注目になります。

指値のたまったポイントを抜けてしまったら損切りです。

 

オープンポジション

他の投資家がいくらでどのくらいのポジションを現在持っているのか、わかります。

 

右がロングポジション、左がショートポジション

オレンジ色は含み益のあるポジション、青色は含み損のあるポジション

 

見方としては、「買い手と売り手、含み益が多いのはどちらだろう」と確認してください。

買い手の含み益が多く、売り手の含み損が多ければ、相場は上昇する可能性が高い。

売り手の含み益が多く、買い手の含み損が多ければ、相場は下落する可能性が高い。

 

これで買い手と売り手、どちらが優位なのかが一目瞭然になります。

チャートを見なくてもオアンダのオープンポジションを見るだけで、おおよそのトレンドがわかるんです。

 

トレードに直結するのは、オープンオーダーですがオープンポジションにも目配りしていると、投資家の心理が手に取るようにわかり相場の方向性を感じ取ることができます。

 

プロスペクト理論

FXで儲けられない人の多くに共通することに「損切りが遅く、利益確定が早い」という特徴があります。

プロの為替ディーラーでも勝率は5割を少し上回るくらい、60%程度だといわれています。

それでも儲かるのは、「損切りが早く、利益確定が遅い」からです。

 

損するときはなるべく小さく抑えて、利益はできるだけ伸ばすというやり方です。

 

人間は目の前にある利益は確実に手に入れようとする一方、借金や損失に対してはすべてを回避する可能性に賭けてみたくなる傾向があります。

 

どこで損切りするのか、「撤退ライン」を明確に描いてからポジションを持ちましょう。

 

僕がトレードで重視しているのは「勝率」です。

副業としてFXに取り組む上で、勝率の低さは問題です。

低勝率はメンタルに悪影響を与えます。

僕の勝率は7割くらいです。

 

副業としてFXに取り組む以上、精神の健全性は保つべきだと思います。

そのために必要なのが、勝率の高さであり、損切りです。

 

実践

僕がトレードする通貨の9割が米ドル円です。

残り1割はユーロ円かユーロドルです。

市場の流動性が高いということの結果として、三大通貨の絡んだ通貨ペアならスプレッドも非常に狭くなります。

 

時間による順張りと逆張りの決定

オアンダのオープンオーダー情報による需給の分析

テクニカル分析

で実践の準備は完了です。

 

僕が使っているのは、MACDとボリンジャーバンドのふたつです。

普段見ているのは、ボリンジャーバンドの2σです。

収斂していたバンド幅が急激に開いたときは相場が一方に大きく動くサインなので、東京市場や欧州市場の順張り時間の指標として便利に使えます。

 

取引のフローチャート

  1. 日足チャートで長いトレンドを確認
  2. 60分足チャートで今日のトレンドを確認
  3. 時計を見て順張り・逆張りを決める
  4. オアンダ情報を見て取引シナリオを描く
  5. チャートを見て売買ポイントを決める
  6. 5分足チャートを見て売買ポイントまで来たら発注する
  7. 決済を待つ

 

面白かったポイント

トレードの時間帯と需給分析、テクニカル分析を元にスマホだけでトレードしている内容です。

内容がとても分かりやすく、トレードルールのヒントをたくさん得ることができました。

トレードを始めたころの負けから、トレーダーたちの心理を分析することが勝つために必要なことだと気づき、たどり着いた手法だと思います。

 

トレードを判断する各要素は一般的な内容ですが、それを組み合わせたことがポイントです。

時間帯と需給分析、テクニカル分析の各解説が丁寧で分かりやすいと思います。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

 

目次

1 9か月で1000万円を稼ぐまで(9か月で1000万円!
自堕落な大学生活のツケ ほか)
2 FXの本質(トレードルームはベッドの上
FXの取引コストは「スプレッド」 ほか)
3 トレードの方向は時間が決める(相場は3種類しかない
「順バリ」「逆バリ」の区別をしっかりつける ほか)
4 投資家の心理を読む(心理を推測する正当理論と「裏ワザ」 ほか)
5 投資家ほど自制心が必要な仕事はない(なぜみんな損切りができずに死んでいくのか
ノーベル経済学賞を受賞したプロスペクト理論 ほか)
6 年利50%を可能にする実践トレード(副業に向いたトレードスタイルは
もっとも副業向きなのでデイトレード ほか)

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