本の内容
初心者の集団を卒業したのは、手っ取り早く大金を儲けようなどという馬鹿げた考えを捨てることができたからである。
トレーディングを成功させる能力とは馬鹿を探す能力である。
本書を読めば、その馬鹿にならないで済むはずだ。
デイトレード
重要なのは、デイトレーディングが投資ではないことを理解することである。
さまざまな点で、デイトレーディングと投資は正反対の行動である。
デイトレーダー向きのタイプ
- 忍耐強くない
- 時間が無為にすぎることが我慢できない
- 時間が長くなると不安になる
価格の動き
価格の動きは、欲望と不安と恐怖のいずれかの感情に基づいている。
不安は、欲望と恐怖という2つの支配的な感情の狭間にある小休止のようなものである。
マーケット参加者の大半が欲に支配されている間、価格は上昇する。
これが強気相場である。
逆に、大半の人々が恐怖に支配されている時には価格は下落し、弱気相場となる。
彼らが不安になっている時、あるいは様子見気分になっている時には、短期的には方向性がなくなり、価格は横ばいで落ち着く。
ある銘柄に実際に投資する際には、今後数日間に他の投資家がいかなる認識を持つかに賭けているのである。
財務諸表の数値やアナリスト・レポートが株価を動かすことはできない。
マネーの移動だけが株価を動かすことができるのである。
「何」ではなく、「なぜ」を追い求めている時は、極めて困難な状況に陥りつつある。
株価が「何」をしているかは「なぜ」そうなっているかよりもよほど重要である。
株価がなぜ上昇するのかについては無限の説明がある。
それはファンダメンタリストに聞けばよいことである。
テクニカル分析を用いる者として、株価が上昇しており、自分がそれに乗っていればよいのである。
つまるところ、利益が出ればよいのである。
取引計画が、株価が20ドルを割り込んだら売却するというものである場合、なぜ株価が下落したかを知ることには意味がない。
チャート
チャートはマネーの動きをグラフ上に表示したものにすぎない。
言い換えれば、人間の心理、繰り返し生じる恐怖や欲望、そして不確実性のサイクルを示したものである。
チャートは真の友人である。
チャートはマネーの移動の記録であり、マネーはトレーダーが最終的に信頼できるものである。
チャートを活用しない手はない。
買いの判断、売りの判断には、チャートを用いること。
既に見てきたようにチャートは嘘をつかない。
チャートの時間軸
マーケットを見通す際に、自分たちで消化可能な2日から2週間の期間に時間軸を区切るということである。
これを正しく行うことができれば、利益を得る可能性が高い。
トレーダーは、短期の時間軸で行動することによってマーケットの確率を味方にすることが可能である。
優れたトレーダーはこの事実を知っている。
これが、優れたトレーダーの相場観およびアプローチが短期である理由なのである。
我々にとって明らかなことなのだが、分析の時間軸が長くなるほど、その正確性は劇的に低下する。
当然ながら、15分後に何が起こっているかを知ることのほうが、1年後に何が起こっているかを知る可能性よりも高いであろう。
私がデイトレーダーであることを最も幸福であると感じるのは、マーケットが非常に困難な状況にある時である。
すばやいトレーダーは、いかに状況が悪化しても、日ごとに、それを受け入れることができるからである。
デイトレーダーは、10セントの利益を求めて出動することができるという利点がある。
トレーディング戦略
すべての行動は、噂や絵空事ではなく、入念に考え抜かれたトレーディング計画に基づくべきであると、私は自らの経験から確信している。
将来を予見することができない。
それは不可能である。
我々にできるのは、注意深く確立を計算したうえで、健全なトレーディングの戦略を立てることのみである。
プロは、個別の取引が適切に執行されること(待ち時間、ポジションをとるタイミング、資金の管理、手仕舞いなど)に集中している限り、自然と勝ちはついてくることを理解している。
アプローチなり戦略なりが正しければ、自然に儲かるものである。
自らの技術に集中すべきである。
そうすれば、お金は後からついてくる。
1回ごとの取引によって自分がどの位置にいるのか、自分のレベルがどの程度のものなのかを知ることはできないということである。
このことを、トレーダーは完全に理解しなければならない。
自分の真のレベルがわかるのは相当数の取引を実行した後である。
時間の経過に耐え得るのは健全な戦略のみであり、我々にとって、その時間の経過は10回の取引を単位とするものである。
10回の取引を行っても、その戦略で利益が上がらなければ、その時に初めて戦略に疑問を持ってもよいのではないか。
トレンドに乗る
上昇する力を見せている銘柄に集中するほうが賢いトレーディングであり、賢い投資なのである。
比較的短い時間の間に目標株価に到達できる確信がなければならない。
投資家にとって時間は友人であるが、熟練した短期トレーダーにとって時間は宿敵である。
なにもしない
たいていのトレーダーは「何もしないこと」の便益を認識できないでいる。
たいていのトレーダーは、自分に十分実力があれば、何かすることができる、あるいは何らかの銘柄について取引ができるという誤った認識を持つのである。
この認識は幼稚であるばかりでなく、害となり得るものである。
ポジション
迷った時には、ポジションを手仕舞う。
ポジションを取り直すことはできる。
ポジションをすっきりさせれば、頭の中もすっきりする。
ポジションを手仕舞うことは、明日もポジションをとれることを意味する。
チャートを使用することによって、他人より早くポジションがとれ、手仕舞えることは、安定的に、その他大勢に勝つことができることを意味する。
収益は関係ないのか。私は、そんなことは気にしなかった。
株価が上昇している限り、私は飛び込んだ。
株価自体に注目することによって、私は安定的に勝つことができるようになった。
ポジションのとり方がトレーディングの8割を占めると私は確信している。
適切にポジションをとることがどの時点で手仕舞うかという問題を大幅に軽減すると確信している。
すべてのトレーダーは最終的には、最良の取引はポジションをとった瞬間に利益が出ているものであることを認識する。
ポジションをとった瞬間から何の苦痛も生じないのである。
シンプル
最高のトレーダーは、ミニマリストである。
彼らは、安定的に機能する2つか3つの手法に気づき、そして、それを繰り返し使用するのである。
反復には価値がある。
以下の質問のいずれか1つにでも該当すれば、複雑すぎる可能性が高い。
- あなたのトレーディング手法や技術は12歳の賢明な子供にも理解できるか。
- あなたのアプローチは数学的な計算式を必要とするか。
- 取引に際して計算機が必要か。
- 取引を実行するために3つ以上のソフトウェアが必要か。
- 取引戦略を書くとしたら5分以上必要か。
出来る限り、単純さを維持するように努めてほしい。
初心者とプロ
トレーディングの初心者が失敗する要因は「ギャンブル」と「職業としてのトレーディング」を区別できないことである。
勝つためには、生き残らなければならない。
賢く取引すれば生き残り、ギャンブルをすれば死ぬのである。
初心者のトレーダーが陥る問題は次の2点に集約されることがわかった。
第1が「忍耐力の欠如」であり、第2が「時には何もしないことが最良の行動であると認識できないこと」である。
ある一定の水準に到達したトレーダーは、自然な発想が逆転し、ほとんど非人間的ともいえるようになるのである。
希望は健全なトレーディングには不要なものである。
トレーダーとして成長するには、心底トレーディングをやめたくなるような日を耐え忍んで明日を迎える経験が不可欠である。
勝つためには継続しなければならないということを決して忘れてはならない。
継続が勝つことを保証するものではないが、継続しなければ勝つことはできない。
すべてのトレーダーは未来を予見することは不可能であると認識すべきである。
この真実を受け入れることができれば、トレーダーは間違いなく大きく前進する。
確実を達成することができないと認識した時に、精神は落ち着きを得られるのである。
勝つ要因
株式市場で勝つためには3つの要因がある。
それは意識(mind)、手法(method)、そして資金(money)である。
3つのMはそれぞれが重要ではあるが、なかでも「意識」が最も重要である。
なぜならば、勝とうという意識、平静な精神状態、そして適切な意識づけがなければ、非の打ちどころのない手法でも損失を招くことがあるからである。
自力で成功してきたトレーダーは、勝っているからといって前向きな態度をとるのではない。
前向きな態度をとるからこそ彼は勝つのである。
マーケットの成功者たちは、多くの時間を自らの技術を磨くこと、トレーディング戦略の練り直し、新しい手法の開発などに費やしている。
トレーディングでの成功は数字を積み上げていくことであるといっても過言ではない。
熟練したトレーダーは、1回で1万ドルを狙うのではなく、1000ドルを10回狙うだろう。
1000ドルの利益は1万ドルの利益よりは短期で低リスクで、そう、確実に手に入るだろう。
トレーダーが犯す失敗
多くのマーケット参加者が犯す失敗を指摘したいと思う。
それは1つの時間軸で買って別の時間軸で売るという失敗である。
この時間軸の「変更」は損切りを無視することを正当化することにほかならない。
途中で時間足や日足チャートに変更することは自己否定の行動である。
買い持ちの時にストップロスを下方修正してはならない。
すべてが順調である時にこそ、警戒心を強めなければならない。
最大の失敗は最大の成功の陰に隠れていることを学ぶのである。
野球においてもヒットが連続した後にスランプに陥るように、トレーディングにおいても連勝の後に大きな損失が続くことが多い。
トレーダーが安心感を覚え、自己満足に浸り、自惚れるようになった時には、マーケットの反転は近い。
連勝したことによって自信をつけたトレーダーは取引のロットを大きくしてしまう。
彼らは連勝が終わろうとしている時にロットを大きくしてしまうのである。
これが連勝中に稼いだ利益を1回か2回の取引で失ってしまう理由である。
小額のロットで稼いだ利益を、多額のロットで失うことだけは避けなければならない。
ポジションの金額を半分にするべき時は、4連勝から5連勝した後である。
取引の頻度を減らす。
1日に4回取引するのであれば、それを2回に減らすのである。
トレーダーが損失を被り始めた時に限り、この方法を選択することを勧める。
もっとも、連勝が破られていない限り、ポジションの量を半分にする方法のほうが、はるかに望ましい選択である。
間違った稼ぎ方をすると、それが癖になり、無責任な行動をとるようになることを忘れてはならない。
トレーダーが間違った方法で利益を上げた場合には、そうして得た利益以上の金額を失うまで間違ったアプローチを続けるのである。
負けた取引を分析する
マーケットが十分に理解できるようになるまで、絶え間ない努力を払って数カ月から数年かかるばかりか、熟練の域というのは、考えられる限りの損失を経験し、肌で感じた後に自然と達するもののようである。
今日、成功を享受しているトレーダーは皆、かつて敗者の苦痛と苦しみを経験しているのは間違いない。
人間というものは、成功からは学ぶことはなく、むしろ失敗に終わったものから学ぶのである。
負けた取引が、取引手法、技術、そして勝つための戦略を身につける動機となったのである。
間違えるたびに、失敗するたびに、ミスを消し去り、悪魔を退治する絶好のチャンスにめぐりあっているのである。
今から「敗者の日記」をつけることをお勧めする。
負けた取引について、証券コード、日付、購入価格、売却価格、購入の理由、そして売却の理由を記入するのである。
5~6回負けた取引が記入されたら、それらを見直し、詳細に検討するのである。
負けた取引に共通する要因を探すのである。
過去の犯した失敗から学んでいる限り、将来の失敗が1つずつ少なくなっているということを認識しなければならない。
このように考えれば、損失は力になり得る。
成長を測る尺度としては、同じ負け方を何回するかによって判断するほうが妥当である。
負けたこと自体は進歩していないことを示すものではない。
適切に対処すれば、いずれ負けは勝ちに道を譲る。
彼らは負けることへの対処の仕方を学んだおかげでトレーディングでは成功しているのである。
彼らは負けることを受け入れ、利用することを学んだのである。
トレーダーは、失敗や損失には2種類あるということを常に念頭に置いておかなければならない。
1つめは平均の法則に基づくもので、避けようのないものである。
2つめは7つの大罪に基づくものであり、トレーディング計画の執行ミスに基づくものである。
トレーダーは、この事実を認識しなければならないばかりでなく、統計的に避けられない要因による損失と、「大罪」に基づく損失を区別することが重要である。
我々がいかに知識を身につけようとも、負けは常に存在し続けるのである。
トレーダーとしての目標は損失を完全に回避することではない。
頭を使って損失をコントロールすることであり、統計的にすべての取引で勝つことはできないという現実に従うようにすることである。
良い損失と悪い損失を区別する。
負けた取引の1つ1つの失敗を区別するため、さらにカテゴリーを分ける。
カテゴリーの例としては、「遅すぎた買い入れタイミング」とか「早すぎた売却」とか「ストップ・ロスの無視」といったものが挙げられる。
連敗を喫した後、損失の原因の中でも1つのカテゴリーが他よりも多くなっていることに気づくはずである。
これを発見することができたならば、自分を苦しめる悪の親玉を見つけたことになる。
これを即座に、情け容赦なく抹殺しなければならない。
最初の要因による損失の頻度が少なくなったならば、失敗の頻度の多いカテゴリーに移るのである。
この作業を生きている限り続ければ、最終的には、抹殺すべき悪魔を選び出す作業が不要になる。
ほかの失敗はさておき、最も頻度の高い失敗に注目し、排除することに努めたのである。
その失敗が完全になくなるまで休みはしなかった。
それが済むと、次に頻度の高い失敗を排除することに取り組んだ。
そして、その次の失敗を排除し、さらに次に取り組んだのである。
トレーディングの成功は、その勝ち方によってではなく、負け方によって決まってくるのである。
勝ち方は正しいが負け方が間違っているトレーダーは、最終的には過去の人となる。
勝ち方は正しくないが負け方が正しいトレーダーは、最終的に自らが正しいことが示されるまで生き残ることができるのである。
それぞれの損失に潜む教訓は、トレーダーが次に何をしなければならないか、あるいは何を変えなければならないか、価値あるメッセージを提供してくれる。
今後、損失を被った場合、必ずその中からダイヤモンドを見つけ出すことを決意してほしい。
これを実行すれば、珠玉のトレーディング人生を送れるであろう。
何をしたらよいかを知ることと、それを実行するかどうかは別の問題だからである。
本質的に、トレーディングの8割以上は心理的なもの。
失敗の原因は自分が正しいと分かっていることを行えないことであり、正しいことが分からないことではないのである。
トレーディングという利益を上げる可能性のあるゲームは精神的なものなのである。
その8割以上は心霊的な要素が占める。
損失をコントロールする
トレーダーの成否のほとんどはいかに損失を排除するかではなく、いかに損失をコントロールできるかにかかっている。
より重要なことは、勝者は自らを律する不思議な方法を身につけているということだ。
損失をコントロールすることだけに注目する熟練したトレーダーは常に成功する。
熟練したトレーダーは損失をコントロールすることができる。
損失を低水準に抑えることができる。
損失が小さな段階で損切るのである。
損失を小額に抑え、コントロールできる範囲内で監視するのである。
向上心のあるトレーダーに1つだけアドバイスをするとすれば、損失を小さなものにとどめる技術を学べということだ。
大きく勝つ技術にばかり注力している者は損失が避けられない時期にどのように感じ、行動すべきかがわからないのである。
損失を小額にとどめる技術を身につけた者は、勝つことを確実にするための時間を十分に確保できる。
正しく負けることを学べば、損失を小額にとどめることを学べば、生き残ることができる。
熟練したトレーダーは、平均以上のパフォーマンスは大きな利益を上げたからではなく、損失を抑えたからであることを理解している。
確かにストップ・ロスが執行されることは気分がよいものではないが、それは敵ではなく、友人であるととらえなければならない。
下落相場が最終的に底を入れて反転に転じ、収益機会が激増した時には現金が必要なのだ。
大底を入れた時点で、現金を最も保有している者が勝つのである。
トレーディング日誌
幼年期の成長の効率を最大化するために最適な方法は、トレーディング日誌をつけることである。
すべての取引内容を記録するだけでなく、そのトレーディングに関する見解、アイデア、その取引の結果を記録しなければならない。
学んだ教訓を日誌に記録することによって、その教訓を決して無駄にしないようにしなければならない。
取引に勝つたびに取引の内容を吟味する。
具体的には、買い入れ、当初のストップ・ロスの設定、待ち方、資金管理、売却などについて、失敗、ルールの逸脱などがなかったかどうか確認するのである。
トレーダーにとって最も価値のあるツールは、巧みなマーケット指標でも魅力的なトレーディング手法でもない。
簡素ではあるが効果の大きい、損失を記録した日誌である。
すべての損失の記録をつけることによって、損失の傾向や頻繁に生じる損失が見えやすくなるのである。
マーケットにおける失敗に関する詳細な記録を残すことは、自分が何者なのか、どこに行こうとしているのかを知る手助けとなる。
7年ほど前になるが、この単純な作業によって、私のトレーディングの正確性は想像だにしないレベルにまで高まった。
大引けの後に意味のある時間を過ごしているだろうか。
考えをまとめたり、1日の行動を振り返ったり、取引の分析をしたり、明日の準備をしたり、そしてトレーディング日誌をつけたりしているだろうか。
知識
トレーダーには、ぜひ利益を追求し、利益を上げてもらいたい。
しかし、利益を得る過程で、その瞬間に利益を得るだけでなく、継続的に利益を上げ続けるための知識を学ぶことを忘れないでもらいたい。
重要性の観点からは、常に、最初に知識ありきでなくてはならない。
一時的な利益を犠牲にしてでも、知識を追求することによって、トレーダーは近い将来、これまで見たこともないような利益を得ることになる。
知識が最も重要であるとの認識があれば、無限の利益がついてくることはほぼ必定である。
トレーディング手法や技術を身に付けた後は、成否を決するのは思考過程の質といえる。
我々は知識が欠けていることによってやられることはない。
多くの場合、知識に耳を傾けないことによってやられるのである。
知識がトレーディングの極意を得るための長い旅路の最初の関門にすぎない。
知識を共有する
こうした経験を経て、知識を共有することによって知識が深まるのではないかと信じるようになった。
5年にわたって教えてきたことによって、私自身のトレーダーとしての成長のスピードは飛躍的に速まった。
今日では、教えることによって自分自身が完成する。
私がトレーダーとして成長する一方で、教えることによって、私の体内のアドレナリンが駆け巡り、力がみなぎってくる。
教育
不思議なことに、ことトレーディングとなると、たいていの人々はトレーディングに関する教育は必要ないと思っているようである。
トレーディングがこの世の中で最も困難な作業の1つであることを考えれば、こういった認識は全く理解に苦しむ。
ここで基本とは、メジャー・トレンドラインであるとか、支持線・抵抗線、出来高の増減、主要な移動平均線、チャート・パターンのたぐいである。
基本を確実に習得する決心をしてほしい。
単純明快であることが明晰さの母であることがすぐにわかるであろう。
トレーダーが必要な装備をもってゲームに参加できるようにすることはできる。
しかし、トレーダーの荷物を整えてあげた後は、そして、トレーダーの耳元に激励の言葉を囁いた後は、トレーダーは1人で立ち向かわなければならない。
我々が彼に代わって試験を受けることはできないのである。
師匠ができることは、弟子が次なる戦いに備えて適切な装備を持ち、その操作に習熟していることを確認するのみである。
戦いそのものはトレーダー個人のものであることを肝に銘じてほしい。
誰も他人の代わりに戦うことはできない。
センス
センスは健全なテクニックを繰り返し繰り返し用いることによる副産物なのである。
第六感がタイミングよくルールを変更したり破ったりすることを求めるようになる。
第六感が発達してくれば、トレーダーが一段と進歩し、テクニックの厳密さをあまり必要としなくなったことの証である。
この状態に到達するまでは、トレーダーは感情的かつ心理的な闇から身を守るためにもルールやテクニックに忠実に従わなければならない。
人々の認識は人々の感情に支配される。
株価が上下に大きくブレるのは、こうした感情、特に欲と恐怖によるものである。
真に優れたトレーダーは、取引を行うたびに、反対サイドには自分と反対の取引を行っている者がいるということを認識している。
自分を知る
トレーダーにとって、自分がどのような人間であるか、あるいは何者であるかを知ることは極めて重要である。
それがわかってはじめて、マーケットでどのように行動すべきかを知ることができるのである。
トレーダーの取引スタイルは自らの傾向、好み、欲望、恐怖といったものに完全に依存する。
トレーダーが自分の心理的な性質に合わない取引スタイルに無理やり自分を合わせようとするならば、結果は惨憺たるものになるだろう。
誓い
不思議なことに、書き記した誓いには力がある。
誓いを破った時には、不思議と、罪を犯したことに気付くようである。
誓いには効果があるのだ。
今日、誓いを立ててみてほしい。
誓いを紙に書き記し、毎日それを見るのである。
それは、正しいことを知っているだけでは不十分だからである。
面白かったポイント
非常に評価が高かったので読みました。
内容は、デイトレードの具体的な手法ではなく、トレーダーとして成功するための考え方や心構えが中心となっています。
デイトレードに限らず、トレードで勝つために必要なエッセンスが詰まっています。
特に、戦略を立てる、負けから学ぶ、損失をコントロールする、など勝つための鉄則はいい復習になりました。
トレードを記録するだけでなく、ブログにアップするなど外部に公開することで、ルールを逸脱するようなトレードは減ると思います。
分かっているけど実践できている人は少ないのではないでしょうか?
全体的に同じ内容を繰り返していますが、どれも重要なことなので何度も何度も表現を変えて頭に叩き込まれます。
負けが続いている時など、何度も読み直す本としておすすめです。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆
目次
第1章 トレーディングの勝者への誘い―熟練したトレーダーの世界を理解する
第2章 優れたトレーダーへの精神修行―トレーディング行動を修正する鍵
第3章 「逆境」と「損失」―トレーディングで成功するための必要条件
第4章 真の勝者を目指すトレーニング―失ったマネーと時間を取り戻すために
第5章 トレーディングにおける7つの大罪―いかに戦い、打ち勝つか
第6章 熟練トレーダーへの道―成功をつかむための12の法則
第7章 究極のトレーダーの秘密―すべてのトレーダーが知るべき15の掟
第8章 10の教訓―究極のトレーダーになるために
第9章 究極のトレーダーから最後の言葉