本の内容
成功するトレーディングの3つの柱
ブルとベアの力の均衡を分析する必要がある。
次に、良いマネー・マネジメントを実践する必要がある。
自分で立てたトレーディング計画に従い、マーケットで冷静さを失わないようにする自己規律が必要である。
トレーディングで成功者となるためには
- 健全な自身の心理状態
- 理にかなったトレーディング・システム
- それに良いマネー・マネジメントの3つ
成功するプロのトレーダーは、長期的な計画に集中し、トレーディングの過程で特に気分を害したり、興奮したりしません。
プロのトレーダーに成長するに至った過程で役立ったもの
マーケットに長時間とどまっていくのだと決断しなさい。
すなわち、今から20年後でもあなたはトレーダーでありたいと考えることです。
できる限りの勉強をすること。
専門家の書いた本を読み、話を聞くこと。
ただし、すべてのことについてある程度の健全な疑いの気持ちは持ち続けること。
欲を出して、トレードにすぐ飛びつかない。
まず学習に十分な時間を費やすこと。
今後、何年にもわたり、マーケットは存在し続けるのだし、今よりもっと良いチャンスが訪れるのだと考えること。
マーケットを分析する方法を開発すること。
すなわち、「もしAが起これば、次にBが起こりそうだ」という理論でものを考えること。
マーケットには多くの分析可能な側面があり、トレードの妥当性を確認するためにいくつかの分析方法を用いること。
まず、すべてを過去のデータを使って検証してから、次に実際のお金を使ってマーケットで試す。
マーケットは刻々変化しており、たとえば強気相場と弱気相場、その中間の移行期ではトレーディングにそれぞれ異なったツールが必要。
同時に、現在がどの時期に該当するのか、その違いを見分ける方法も必要。
マネー・マネジメント計画を策定すること。
あなたの第一のゴールは長期的な生き残りです。
第二のゴールとして自己資金の着実な増大。
そして、第三のゴールとして高い利益を上げること。
大半のトレーダーは、第三のゴールを第一におき、第一、第二のゴールの存在すら意識していません。
いかなるトレーディング・システムにおいても、トレーダー自身がその投資プロセスにおける最も脆弱な部分であることを認識しておくこと。
勝者と敗者では、その考え方、感じ方、振る舞い方が違うものです。
この7つのポイントは、どれも外せない重要なポイントです。
自己暗示
トレーディング開始前に「おはよう。私の名前はアレックス、そして私は敗者である。私の中には、重大な金銭上の損害を自己の資金に与えてしまう傾向がある」と自分に言い聞かせること。
トレード日記
自分が変わるために自分の弱点を見つけ出さねばなりません。
それにはまず、トレーディング日記をつけることを勧めます。
すべてのトレードについてそれをはじめた理由、手仕舞った理由を書くのです。
そこから成功と失敗の繰り返し見られるパターンを見出すのです。
トレーディングを可能な限り客観的なものにしなければなりません。
すべてのトレードについてトレード前後のチャートと共に日記をつける。
手数料などを記録し、非常に厳格なマネー・マネジメント・ルールを継続維持するのです。
トレードの記録をきちんとつけること。
日付、各トレードの開始および手仕舞いの価格、目標との誤差、手数料、当初に設定した損切り、その後のストップ・ロスの変更、トレードした理由、利食いの水準、トレーディング期間中に記録した最大の含み益、ストップ・ロスが執行された以降に被ったであろう最大の損失額など。
トレードの記録をあなたはきちんとつけていますか?
記録の整備がだらしないということは、ギャンブラーや敗者の明確な兆候であります。
良いビジネスマンは記録をきちんとつけています。
トレンドラインの重要度
チャートの時間サイクル
時間サイクルが長ければ長いほど、トレンドラインの重要性は増します。
週足チャートのトレンドラインは日足チャートのトレンドラインよりも重要なトレンドを示しています。
トレンドの有無が不明確な場合、大局的な観点から見るために、実施のトレーディングに用いようとしている時間サイクルよりも長い時間サイクルのチャートを研究する。
その長さ
トレンドラインの長さが長いほど、それはより有効なトレンドラインであるといえます。
長さが短いトレンドラインは短期における群集の行動を反映し、長さが長いトレンドラインは長期における群集の行動を反映しています。
価格がトレンドラインに接触した回数
価格がより頻繁にトレンドラインに接触すればするほど、その有効性が増します。
その角度
トレンドラインと水平軸が作る角度は支配的なマーケットの群衆の感情の強さを反映しています。
トレンドラインの傾きの角度を比較することによって支配的な集団がより強気になったか、弱気になったかが分かります。
繰り返し同じ角度のトレンドラインが頻繁に現れるのは神秘的ですらあります。
価格は時折トレンドラインから乖離して動きを加速化することがあります。
より急な傾斜のトレンドラインを引くことができます。
それはトレンドラインが加速し、もはや持続可能ではないことを示しています。
このように新しい急な角度のトレンドラインが引けたときはストップの置き場所を現在の価格に引き付けて置きなおすべきです。
具体的には最新のトレンドラインの直下にストップを置くようにし、日を追うごとにトレンドラインの上昇に合わせてストップを置く位置を調整するのです。
傾きの急なトレンドラインがブレイクされると、通常急激な相場反転が続いて起こります。
トレンドを形成する力
群集は馬鹿げているかもしれませんが、あなたよりは確実に強力なのです。
群衆にはトレンドを形成する力があります。
トレンドが上向きであれば買いからのみ入るか、傍観するかにすべきです。
「価格が上がり過ぎているから」という理由で決して売りから入ってはいけません。
決して群集に向かっていくべきではないのです。
個人が機関投資家という巨人に対して成功を収めたいのであれば、忍耐することを学び、欲を捨て去らねばなりません。
ゴールは上手にトレードすることであり、頻繁にトレードすることではないということを決して忘れてはいけません。
トレンドラインの引き方
サポートとレジスタンスのラインの引き方としては突出した高値または安値を結ぶのではなく、むしろ揉み合いの状況を呈しているゾーンの外縁部を通るように引く方がより正確です。
なぜなら揉み合いゾーンの外縁部では、一群のトレーダーたちがそれまでの考え方を変えたことを意味しているからです。
一方、極端に突出した高値や安値はトレーダーの中でも最も弱い者がパニックに陥って行動した結果を反映しているに過ぎない。
サポート、レジスタンスの強度は期間、高さ、それが起こったときの出来高の3つの要素によって決まります。
サポートとレジスタンスは、時が経過すると次第に弱体化していきます。
現在の価格の1%に等しい高さの揉み合いゾーンはサポート、レジスタンスとしてはあまり重要なものにはなり得ません。
3%はそこそこ、7%以上になると主要なトレンドをくじくのに十分なサポート、レジスタンスになり得ます。
トレンドラインがブレイクされるとき
トレンドラインのブレイクは大引けで見て、価格がトレンドラインの反対側に移動したことをもって正式に確認されます。
あるトレーダーは価格がトレンドラインから2~3%はブレイクしなければならないと主張しています。
非常に傾斜が急な上昇トレンドがブレイクされた後、価格はしばしば戻りをみせ、直近の高値をトライしにいき、かつての上昇トレンドに下から接近を試みる動きをします。
それが起こったとき、ほぼ完璧な絶好の売りのチャンスが到来します。
すなわち、この時点でいわゆるダブル・トップのフォーメーションが成立し、かつてのトレンドラインへの接近、そして恐らくテクニカル指標は弱気の乖離を示しているはずです。
トレンドラインとヒゲ
揉み合いの縁を通るようにトレンドラインを引き、その際、極端な価格は無視する。
「ヒゲ」はトレンドの終焉に出現する長いバーのことで、それと反対のポジションを取る絶好のチャンスを与えてくれる。
その際にストップは「ヒゲ」の長さの半分のところに置きます。
しかし、もしマーケットが再び「ヒゲ」を侵食し始めたら、すばやく手仕舞うことです。
トレーディング・ルール(トレンドライン編)
トレンドがサポート、レジスタンスに接近するときは必ず、利益を守るために防御的ストップの水準を、現在の価格に近いレベルに置き直すことです。
ストップはマーケットが逆に振れたときにひどくやられることからあなたを守ってくれます。
トレンドがサポート、レジスタンスに遭遇するとき、その振る舞い方次第でそのトレンドの強弱と寿命が分かります。
もし、トレンドが十分に強力で、揉み合いゾーンを貫通したならば、価格の動きは加速化し、現行価格に比較的近いレベルに置いたストップロス・オーダーは執行されずに済むでしょう。
もし、反転した場合でも、きつめのレベルのストップは利益の大半を失うことを防いでくれます。
サポートとレジスタンスラインは、短期よりも長期のチャートの方が、より重要です。
たとえば、週足チャートの方が日足チャートよりも重要なのです。
できるトレーダーはいくつかの異なる時間サイクルに目を配っていて、長期のチャートをより重要視します。
週足トレンドがサポートやレジスタンスに接近しているときこそ、行動する用意をすべきなのです。
サポートとレジスタンスの水準はストップロス・オーダーや利益を守る注文をどこに置くべきか決めるのに役立ちます。
もし買いから入って、サポートの下のレベルにストップを置けば上昇トレンドが途中反転する動きを見せても、ポジションに危害が加わらないくらい、十分な余地を作ることが可能。
トレーディング・ルール(トレンドライン編2)
トレンドラインの方向に向かってトレードすること。
トレンドラインはサポートとレジスタンスを提供します。
価格が上昇したときに買い注文を上昇トレンドラインのところに置きます。
そして、ストップもそのすぐ下に置きます。
下降トレンドの場合はその逆です。
傾きが急なトレンドラインは急激な相場反転の前兆を意識します。
もしトレンドラインが45度以上の傾斜であればストップをトレンドラインに置き、1日ごとにストップをトレンドラインと共に移動させます。
傾斜が急なトレンドラインがブレイクされた後、価格はしばしば直近に記録された極端な価格の水準を再度トライしにいきます。
戻り高値をトライに行くときに出来高が減少し、かつテクニカル指標が乖離を示しているときは、絶好の売りチャンスといえます。
反対に下落トレンドラインが上方にブレイクされた後、直近の安値を再度トライに行くときは、リスクの少ない買いチャンスといえます。
トレンドラインに平行にチャネルラインを引いて、それを利食いのターゲットに使います。
チャネルラインは上昇トレンドにおけるブルの最大のパワーが及ぶエリア、または下落トレンドにおけるベアの最大のパワーが及ぶエリアを表しています。
真正のブレイクアウト
日足チャートにおいて上方へのブレイクアウトをとらえるタイミングとしては、週足チャートにおいて新たなトレンドができつつあることが示唆されたときが最適です。
また、真正のブレイクアウトはテクニカル指標がトレンドと同一方向に新高値、新安値に到達することによっても確認されます。
上昇トレンドにおいては、その中の各上昇において直前の高値を上回る新高値を付けていき、各上昇の後の利食いによる反落は直前の安値より上のレベルで停止します。
下落トレンドにおいては、その中の各下落において直前の安値を下回る新安値を付けていき、各下落の後の手仕舞いによる上昇の戻りは直前の高値より下のレベルで停止します。
トレーディング・レンジにおいては、大半の上昇はほぼ同じ高さで停止し、下落も同じような安値近辺で力尽きます。
バイアスを見つけ出す方法
もし買いたいのであれば、チャートを逆さまにして、それが売りに見えるかどうか判断して下さい。
逆さにした後でも依然として買いだと思うのであれば、あなたの思考法なり、分析システムからブルのバイアスを除去しなければなりません。
マネー・マネジメント
最も危険なトレードから守ってくれるマネー・マネジメント・ルールが存在します。
すなわち、それは注文執行ポイントと防御ストップロス・オーダーのレベルとの距離があなたの自己資金の2%以上に絶対にならないようにすることなのです。
いかなる場合も、1トレードに対して、自己資金の2%以上を失ってはいけません。
トレンドのある局面では、より小さなポジションで大きな幅のストップロス・オーダーを用いるべきです。
これにより、リスク管理を万全にしつつ、トレンドの中の一時的な相場反落に遭遇しても、ポジションが払拭されずに済む確率が高まります。
その反対に、トレーディング・レンジ局面ではより大きなサイズのポジションをきつめのストップと共に取ることができます。
儲けの見込みが限定されているので、特に正確さを期する必要があります。
いくつかの言い古されたマネー・マネジメント・ルールの妥当性が証明されています。
- ナンピンはしない
- 追証には応じない
- ポジションの手仕舞いは、一番損しているポジションから先にする
- 最初の間違いが一番安くつく
チャートパターン
トレンドがこの先も継続するのか、反転しそうなのか
継続のパターンにはフラッグ(旗)、ペナント。
反転のパターンにはヘッド・アンド・ショルダー、逆ヘッド・アンド・ショルダー、ダブル・トップ、ダブル・ボトムなどがあり、既存のポジションに対して利食いをするタイミングが来たことを指示しています。
いくつかのチャートパターンが同じ方向を指し示している場合、それらのシグナルは互いに補強されます。
ヘッド・アンド・ショルダー
ヘッド・アンド・ショルダーの天井は上昇トレンドの終了を示します。
ネックラインは左のショルダーからの安値とヘッドからの安値を結んだ直線のことです。
ネックラインは水平であるとは限りません。
ネックラインをブレイクした後、価格は時折少ない出来高を伴ってネックラインのところまで戻ることがあります。
この弱々しい上昇は絶好の売りのチャンスを提供してくれます。
ヘッド・アンド・ショルダーのトレーディング・ルール
天井を見つけた場合、現在持っている買いポジションをどうするのか、そしていかに売るのかの意思決定が必要。
買いポジションの管理の仕方は、売り切るか、ストップを近づけるか、部分的に利食いを入れて残りのポジションを保持し続けるのかの3つです。
チャートを複数の時間サイクルで分析しなければいけません。
もし週足チャートが高値圏にあり、日足チャートにヘッド・アンド・ショルダーのパターンが現れれば、ポジションを即座に処分すべきです。
もし週足チャートが強ければ、ストップを現在の価格に近づけるだけでしばしば十分な結果が得られます。
ヘッドからの反落によってネックラインが形成されます。
まだ買っているのならば、すかさずネックラインよりも下の所にストップを置きます。
右のショルダーに至る上昇は、通常少ない出来高とテクニカル指標における顕著な弱さによって特徴づけられます。
それはこれまでの上昇トレンドを買いあがってきた人々に最後の格好の利食いのチャンスを与えてくれます。
右側の「ショルダー」を形成する上昇に向かって売る場合、ストップは「ヘッド」の頂点より上に置きます。
その場合、ストップ・オーダーを「ストップ・アンド・リバース」オーダーにしておきます。
ドテンして買う戦略。
今度は「ヘッド」の頂点の少し下にストップを置くのです。
ネックラインがひとたびブレイクされれば、少ない出来高を伴ったネックラインまでの戻しは絶好の売りの機会を提供してくれます。
逆ヘッド・アンド・ショルダー
最高の買いチャンスは右の「ショルダー」で買うと同時に「ヘッド」よりも数呼値下に逆指値の損切りを置く。
レクタングル(矩形)
レクタングルは2本の平行線によって囲まれた価格を包含するチャート・パターンのこと。
これらは通常水平ですが、ときには上下に傾いています。
レクタングルを描くには4つの点が必要になります。
上限を構成するラインは2つの上昇の高値を結んだもので、下限のラインは2つの底値を結んだもの。
これらのラインの引き方としては極端な高値を通って引くのを避けて、もみ合い圏の外縁部を通るように引くべきです。
週足チャートにおけるレクタングルからのブレイクアウトは特に重要です。
なぜなら、それはブルかベアの重要な勝利を示しているからです。
レクタングルの下限で買う場合、防御ストップをレクタングルの少し下のところに置きます。
反対にレクタングルの上限の「壁」近辺で売る場合、上限よりも少し上のところにストップを置きます。
この戦術では、相場反転の最初のサインですばやく利食わなければなりません。
トライアングルはその上限と下限がチャートの右側で一点に収斂する揉み合いエリアのことです。
上昇トライアングルは比較的フラットな上限のラインと上向きの下限ラインによって出来上がる。
下降トライアングルは比較的フラットな下限のラインと下向きの上限ラインによって出来上がる。
トライアングルの最後の1/3からのブレイクアウトに基づいてトレードするのはやめておいたほうが良い。
あまり当てにならない。
トライアングルの中でトレードするなら、ストキャスティクスやエルダー線などいわゆるオシレーターを使います。
それらは小さな価格のスイングをとらえるのに役立ちます。
日足チャートに出現したトライアングルが上方または下方にブレイクアウトしそうかどうかを見極めるために、週足チャートを見るようにします。
トレーディング・ルール(移動平均)
EMAが上昇する場合、買いから入ります。
移動平均線の近辺か、または少し下のところで買います。
買ったらストップを安値の下に置きます。
EMAより上に価格が引け次第、元の買い値のところに遅滞なくストップを動かします。
EMAが下落する場合、売りから入ります。
価格がEMAに向かって上昇するか、その上にわずかに出たところで売ります。
そして、ストップを直近の高値より上に置きます。
EMAより下に価格が下落次第、元の売値のところに遅滞なくストップを動かします。
EMAの方向が水平になり、小刻みにしか変動しない場合は方向感のないマーケットを示しています。
この場合は、トレンドを追うトレードをしてはいけません。
MACDヒストグラム
MACD以上にブルとベアの勢力バランスに関する深い洞察を与えてくれます。
彼らの勢力が成長しているのか、それとも衰退しているのかも教えてくれるのです。
MACDヒストグラム = MACDライン-シグナル・ライン
MACDヒストグラムと価格の乖離は、いかなるマーケットでも年に数回しか起こりません。
しかし、それはテクニカル分析における最もパワフルなシグナルのひとつといえます。
これらの乖離は大きな相場の転換点を示唆しており、最強の売買シグナルを発します。
MACDヒストグラムがより低い2番天井から下落し始めつつも、価格が高値を更新している場合、売ります。
ストップは直近の高値より上に置きます。
直近の高値を下回るMACDヒストグラムの現在の高値は、価格が上昇しているのにもかかわらず、ブルの力が内部から弱体化していることを示しています。
高値を更新したことに興奮している、まさにそのときに売りのシグナルを発するのです。
MACDヒストグラムがより底の浅い2番底から上昇し始めつつも、価格は安値を更新する場合、買ってよいのです。
ストップは直近の安値より下に置きます。
MACDヒストグラムはどんな時間サイクルにもおいても機能します。
週足のMACDヒストグラムのシグナルは、日足や日中足のそれに比べてより大きな価格の変動を導きます。
MACDヒストグラムを継続して観察して下さい(週足も)。
スムーズ化されたディレクショナル・ライン(+DI、-DI)
スムーズ化された正と負のディレクショナル・ラインはトレンドを見つけるのに使われます。
すなわち、+DIが-DIの上に位置しているときトレンドは上向きであることを意味しており、反対に-DIが上に位置しているときは、トレンドが下向きであることを意味しています。
- +DIが-DIより上にあるとき、買いからのみトレードすべきで、売ってはいけません。
- 逆に-DIが+DIより上にあるときは、売りからのみトレードすべきです。
買いの絶好の機会は+DIとADXが-DIより上にあり、なおかつADXが上昇しているときです。
これは上昇トレンドがより強力になりつつあることを示しています。
この場合、買いから入り、ストップを直近の安値より下に置きます。
反対に、売る絶好の機会は-DIとADXが+DIより上にあり、かつまたADXが上昇しているときです。
これはベアが強力になりつつあることを示しています。
売ってストップを直近の高値より上に置きます。
ADXが下降するとき、それはマーケットが方向性を失い始めたことを示しています。
この場合、通常多くのだましのシグナルが出るようになります。
ADXが2本のディレクショナル・ラインの下に下落すると、それは現在がフラットで動きのないマーケットであることを教えてくれます。
ADXの下降は曖昧なシグナルといえます。
ADXが下降するのを見つけたら、ポジションを増やすことには非常に慎重になるべきです。
むしろ、その反対に利食い始めてポジションを減らし、手仕舞いの用意をすべきなのです。
あらゆるオシレーターに共通して言える経験則ですが、指標の有効性に疑問を抱いたら、期間を短縮することです。
トレンドフォロー型の指標の場合は、この逆を行います。
すなわち、疑問が沸いたら、パラメータの期間をより長くするのです。
ストキャスティクスのトレーディング・ルール
ストキャスティクスの最もパワフルな売り買いのシグナルは、指標と価格の間に生じる乖離によって発せられます。
強気の乖離は、価格が安値を更新するものの、ストキャスティクスが直前の下落の際に付けた底より高い2番底を付けて反転した場合に起こります。
それはベアが勢力を失いつつあり、価格はそれまでの惰性によってのみ下落を続けていることを意味します。
ストキャスティクスが2番底から反転して上向きになれば、買いシグナルが発せられます。
買いから入り、ストップを直近の安値よりも下に置きます。
最善の買いシグナルは、1番底が下限ラインより下に位置し、次に2番底が下限ラインより上で起こる場合に発せられます。
弱気の乖離は、価格が高値を更新したものの、ストキャスティクスが直前の上昇時に付けた高値を越えられず、2番天井を形成する場合に起こります。
それはブルが弱体化しつつあり、価格がそれまでの惰性から上昇を続けていることを示します。
ストキャスティクスが2番天井を付けて反転すれば、売りのシグナルを発します。
売ってストップを直近の最高値より上に置きます。
最善の売りシグナルは、1番天井が上限ラインより上に位置し、2番天井が上限ラインより下で起こったときに発せられます。
週足チャートにおいて上昇トレンドを見つけた場合、日足のストキャスティクスがその下限ラインより下に下落するのを待ちます。
下落したら、ストキャスティクスの2本のラインの交差や反転を待たずに、買い注文を直近の高値より少し上に置きます。
買い注文が執行されたら、ストップをその日か、前日の安値のいずれかよりも低い方の下に置きます。
ストキャスティクスの底の形状が狭く浅い場合、ベアが弱く、上昇は強力である可能性が高いといえます。
もし底が深く広い場合、それはベアが強力で上昇は弱い可能性が高いといえます。
週足チャートにおいて下降トレンドを見つけた場合、日足のストキャスティクスがその上限ラインより上に上昇するのを待ちます。
上昇したら、ストキャスティクスの2本のラインの交差や反転を待たずに、売り注文を直近のより少し下に置きます。
売り注文が執行されたら、ストップをその日か、前日の高値のいずれかよりも高い方の上に置きます。
ストキャスティクスは買われすぎの時は買わず、売られ過ぎの時は売ることを避けます。
このルールにより、最悪のトレードを回避することができます。
ストキャスティクスの使い方は、マーケットがトレンドの中にあるのか、またはトレーディング・レンジの中にあるのかによって、全く異なってくるからです。
3段階スクリーン・トレーディングシステム
トレーダーは、トレードしたい時間サイクルをまず決定する必要がある。
3段階スクリーンではそれを中期の時間サイクルとして、その中心に据えます。
長期の時間サイクルはそれより1段階長期間のものを、短期の時間サイクルはそれより1段階短期間のものを指します。
どんなマーケットを分析する場合でも、正しい分析の仕方は少なくとも2つの時間サイクルを使って分析することです。
その際、使用する時間サイクルは5という因数によって関連付けられるべきです。
つまり、短い方の時間は長い方の時間の5分の1の長さである必要があります。
もし、日足チャートを使って分析したい場合、まず週足チャートを分析する必要があります。
3段階スクリーンは、まず長期のチャートから分析することが要求されます。
こうすることによって、必然的にあなたは相場の大きな潮流の方向(長期チャートのトレンド)に沿ったトレードだけに限って取り組むことになるのです。
第1のスクリーン(マーケットの潮流)
トレードに使用するチャートの時間サイクルより1段階時間サイクルが長い長期のチャートの分析から始めます。
長期のトレンドを見つけるために、トレンドフォロー型の指標を使用します。
週足のMACDヒストグラムの傾きを使用しています。
傾きは2本のヒストグラムのバーの相対的な関係から決まります。
トレーダーの中にはディレクショナル・システムを第1のスクリーンとして使用しています。
第1のスクリーン:トレンドフォロー型の指標を使って週足のトレンドを見つけて、その方向に限ってトレードします。
第2のスクリーン(マーケットの大波)
第2のスクリーンは潮流に逆らう大波を見つけます。
週足のトレンドが上向きの場合、日足の下落は買いのチャンスを与えてくれます。
反対に、週足のトレンドが下向きの場合、日足の上昇は売りのチャンスになります。
第2のスクリーンは、週足のトレンドからの乖離を見つけるために、日足チャートにおけるオシレーターを適用します。
3段階スクリーン・トレーディング・システムの第2のスクリーンは、週足のトレンドを同じ方向を示す日足のシグナルに限って、トレードすることを許容します。
第2のスクリーン:日足チャートにオシレーターを適用します。
週足の上昇トレンドの中では、日足の価格下落を買いのチャンスに生かし、反対に、週足の下降トレンドの中では、日足の上昇を売りのチャンスに生かします。
ストキャスティクスは、そのラインが買いまたは売りゾーンに入ってきたときに、トレーディングのシグナルを発します。
週足のMACDヒストグラムが上昇する一方、日足のストキャスティクスが30以下に下落する場合、それは売られ過ぎの状態を示しており、買いのチャンスとなります。
第3のスクリーン(日中におけるブレイクアウト)
第3のスクリーンは潮流と同じ方向のさざ波を見つける役目を果たします。
それは、日中の価格の動きから、仕掛けのポイントを正確に見つけるために使用します。
すなわち、第3のスクリーンは上昇トレンドにおいては、トレイリング買いストップ・テクニック(マーケットの動きに合わせて買いの逆指値を動かすこと)、下降トレンドにおいてはトレイリング売りストップ・テクニックと呼ばれる売買注文の出し方のことを指しています。
週足トレンドが上向きで、日足トレンドが下向きの場合、トレイリング買いストップが上方へのブレイクアウトをとらえます。
すなわち、前日の高値よりも1呼値上に買い注文を出すのです。
もし、価格が上昇して、前日の高値を抜けてくれば、出しておいた逆指値の買い注文(買いストップ・オーダー)が通り、自動的に買いポジションを作ることになります。
反対に、もし価格が下落を続けた場合、出した買いポジションは執行されることはありません。
この場合、翌日に買いストップの位置を前日の高値よりも1呼値上に移動させます。
このように、逆指値を通るか、または週足の指標が反転して、買いシグナルが取り消されるまで、逆指値の買い注文を下方に毎日移動し続けるのです。
反対に、週足トレンドが下向きで、日足トレンドが上向きの場合、トレイリング売りストップが下方へのブレイクアウトをとらえます。
第3のスクリーン:週足トレンドが上向きで、なおかつ日足のオシレーターが下向きの場合、トレイリング買いストップを使用します。
反対に、週足トレンドが下向きで、日足のオシレーターが上向きの場合、トレイリング売りストップを使用します。
ストップを置くための基本的なルール
ストップ・ロス・オーダー(逆指値の損切り注文)
トレードに入った瞬間からストップを置くようにしてください。
買いから入る場合、ストップを直近のマイナーなサポートの水準に置きます。
3段階トレーディング・システムを使う場合、トレードに入った直後、過去2日のレンジにおける極端な価格(高値または安値)のところにストップを置きます。
損益ゼロのストップ・オーダー(逆指値の仕切り注文)
ひとつの目安として、ストップを損益ゼロの水準に動かすためには、価格が平均の日足の値幅以上にあなたの仕掛けのポイントから遠ざかる必要があります。
利益を守るためのストップ・オーダー(逆指値の仕切り注文)
価格が希望する方向にさらに移動した場合、含み益を取りこぼさないように、守らねばなりません。
保守的なトレーダーであれば、含み益に2%ルールを適用してください。
利益を守るためのストップ・オーダーは「マネー・ストップ」と呼ばれ、自己資金を守ります。
トレードを終えた後で
トレードをするたびに反省と自己分析をすることは、感情的なトレーディングを直す矯正対策になります。
過去から学び、自分の経験を糧にすることで、自分に合った売買ルールを作り上げていくことができます。
以下の自分への質問集を参考にしてください。
- 良いトレードを見つけられましたか?
- どの指標が役立ち、どれが役に立ちませんでしたか?
- トレードへの仕掛けはうまくいきましたか?
- 当初に設定したストップの位置は遠すぎましたか?近すぎましたか?
- それはどれくらい?
- 損益ゼロの水準にストップを動かすのが早すぎましたか?遅すぎましたか?
- 利益を守るためのストップは緩すぎましたか?きつすぎましたか?
- トレードから降りるためのシグナルを認識しましたか?
- どうすれば、よりうまくトレードできたでしょう?
- トレードの各局面において、何を感じましたか?
面白かったポイント
投資苑なくしては投資システムの構築、今の運用成績を出せなかったと言っても過言ではありません。
読み返すたびに参考になるアイデアを発見し、自分のシステムに組み込んでいます。
付箋の数が半端ないです。
一度読んだだけでこの本の内容を理解し習得することは難しいので、実践して読み直すこと何度も行うことによって、理解の幅や深さが広がっているのが分かり、自分の投資スキルがアップしていることを実感することができると思います。
この本は、必読書です。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆
目次
第1章 個人の心理
第2章 集団の心理
第3章 古典的チャート分析
第4章 コンピューター・テクニカル分析
第5章 見過されてきたその他の指標
第6章 株式市場のテクニカル指標
第7章 マーケット心理の指標
第8章 新しいテクニカル指標
第9章 トレーディング・システム
第10章 リスク・マネジメント