本の内容
株主
チャーリー・マンガーと私は、株主をオーナーたるパートナーとして、また私たち自身のことを経営上のパートナーとして位置付けています。
長期投資
好ましい長期的な展望があれば、短期的な株価変動はそれが魅力的な価格で保有高を増やせる機会であるということ以外に、私たちにとっては意味のないものなのです。
私たちの長期的な財政上の目的は、バークシャー株の内在価値の一株当たり平均年間収益率を最大限に高めることにあります。
私たちはバークシャーの経済的重要性やパフォーマンスを、企業規模ではなく一株当たりの成長率で測っています。
バークシャーが所有している卓抜したビジネスについては、その株価にかかわらず、一切売るつもりがないということです。
経営者
企業経営における最大の皮肉とは、能力に欠けるCEOは能力に欠ける地位の低いその他の者よりも、その椅子を守るのがはるかに容易だということです。
好ましく、かつ尊敬できる人物としか仕事をしないというやり方を、私たちは曲げるつもりはありません。
このポリシーを守ることによって、高収益の可能性を最大限にできるばかりでなく、並外れて楽しい時間が保証されるからです。
さらに問題が深刻になるのは、卓越した企業の経営陣が脇道にそれて、素晴らしい本業の事業をおろそかにし、大したことのない企業を買収しているようなときです。
全体的にみて優れていると思える企業への投資をチャーリーと私が考える場合に最も恐れるのが、こうした「焦点が外れること」なのです。
「企業的責務」と私たちが呼ぶ目に見えない力の、ビジネスにおける驚くべき重大性
ニュートンの運動の第一法則に支配されているかのように、企業は現状の方向を頑なに守ろうとする。
暇な時間をつぶすために仕事を増やすかのように、企業は事業計画や買収計画を実行して手持ちの余裕資金を使い尽くす。
トップが入れこんでいる事業は、それがどれほどバカげたものでも、部下たちによる収益上あるいは戦略上の詳細な分析によって迅速にサポートされる。
事業拡張、買収、役員報酬の設定など何であれ、同業他社が行えば、企業は無意識に追随する。
投資先
私自身のこれまでの経験と、今までさまざまな企業を見てきたことから導き出した私の結論は、経営業績(経済的収益の観点からみて)で良い結果を出すためは、乗り込んだボート(ビジネス)をいかにうまく漕ぐかということよりも、どのポートに乗り込むかということの方がはるかに重要だということです。
私たちはバークシャーという企業と、そこでの私たちの仕事を慎重に設計してきており、その結果、好きな人々と楽しい仕事をしています。
同じく重要なことは、退屈で不愉快な仕事はほとんどしなくてよいということです。
私たちが選ぶ企業の条件
- その内容を私たちが理解し、
- 将来にわたり長期的に好ましい業績が見込め、
- 経営幹部は誠実で有能な人々であり、
- 魅力的な価格で購入できることです。
まずまずの企業を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい企業をまずまずの価格で買うことの方が、はるかに良いのです。
投資家
それよりも投資家として成功するためには、優れた企業判断と自分自身の考えや行動を市場に渦巻く強い感情から隔絶できる能力との両方を備えることが必要なのです。
それではチャーリーと私はなぜ、その他の変化を続ける企業の将来を予測できるなどと考えているのでしょうか?
それは私たちが簡単なケースに的を絞っているからです。
正しい投資法というのは、投資家自身がその何がしかを理解していると信じ、かつその経営陣を完全に信頼する企業に、かなりのまとまった額を投資することだということです。
とりたてて自信を持つべき根拠がないにもかかわらず、自分がほとんど理解していない多くの企業に投資を分散することでリスクを限定できるなどという考えは誤りです。
人間の知識や経験は疑うべくもなく限定されたものであり、私自身完全に自信を持てる投資対象が同時に二、三社以上存在することなど、めったにないのです。
面白かったポイント
内容は投資家向けというよりは経営者向けです。
バフェット氏のバークシャーの株主への想いを読んで、この会社の株主になりたいと思いました。
株主の利益の最大化とともに公平性を保つために、株価と内在価値の関係をできるだけ適切にしようとする姿勢は非常に感銘を受けます。
経営者の姿勢、IRの姿はこうあるべきということが勉強になりました。
利益やのれん、ストックオプション等々の考え方と会計処理について理解することができます。
内容は会計知識が無いと少し難解ですが、企業価値の算出ついて会計上の問題点を分かりやすく説明しているので、注意すべきポイントが整理できました。
会計上の問題点に対して、個人投資家がどこまで適切に企業価値を算出できるのかを調査することが今後の課題です。
「良い打者になるための私が考える条件とは、ヒットになりそうな良い球を打つことだ。
これが第一条件。
私のストライク・ゾーンから外れている球も打たなければならないとしたら、三割四分四厘も打てるはずがない。
せいぜい二割五分止まりかもしれない」
簡単にできそうで実は実践するのは非常に難しいことですが、投資家としてやるべきことは明確になりました。
満足感を五段階評価
☆☆☆
目次
第1章 コーポレート・ガバナンス
第2章 コーポレート・ファイナンスと投資
第3章 普通株
第4章 合併・買収
第5章 会計と税金