中国株を取引している市場はどんな特徴があるのか?
また、売買はどの市場の銘柄を取引したらよいのかについて整理しました。
中国の株式市場は大きく分けて香港と中国本土の上海、深センの3つに分けられます。
香港市場は、さらにメインボードとGEM市場。上海と深センはA株市場、B株市場に分けられます。
この中で海外個人投資家が投資できる市場は、香港市場の全銘柄(メインボード、GEM)と上海と深センのB株市場になります。
市場の特徴として、中国本土市場の株価は、中国政府の意向に影響を受けやすい。
香港市場は、米国市場の影響を受けやすいという特徴があります。
各取引所の特徴
香港証券取引所
- 設立は1891年
- 香港にはメインボードとGEM市場がある。
- GEM市場は1999年11月設立
- 香港ドル建ての投資になります。
- 市場の取引時間(日本時間)11:00~13:30、15:30~17:00
メインボード
- 東証1部のようなイメージ
- 上場されている銘柄はH株、レッドチップ、その他の3種類に分けられています。
H株
- 中国に登記され、本土で事業を展開している中国企業
- A株市場にも同時上場している場合が多い。A株に比べ割安です。
- エネルギー、鉄鋼、通信、道路、空港のような基幹産業の大型国有企業が多い。
レッドチップ
- 中国資本が30%以上。
- 本土で事業を展開しているが、登記は香港や海外で、香港に上場している企業。
- 基幹産業の子会社が多く、金融、航空、IT企業が中心。
その他
- H株、レッドチップいずれにも属さない企業。
- 香港の地場企業、海外の香港上場企業などがあります。
GEM(Growth Enterprise Market、新興市場)
- GEMは香港版ナスダックのイメージ
- 株主数や売上高などの公開基準がメインボードより緩い。
上海証券取引所
- 設立は1990年11月
- A株市場とB株市場があります。
- A株は人民元建て、B株は米ドル建ての投資になります。
- 市場の取引時間(日本時間)10:30~12:30、14:00~16:00
深セン証券取引所
- 設立は1990年8月
- A株市場とB株市場があります。
- A株は人民元建て、B株は香港ドル建ての投資になります。
- 市場の取引時間(日本時間)10:30~12:30、14:00~16:00
A株市場
- 購入できるのは中国国内の投資家のみ。
- 国内の投機的な買いもあって価格が割高である。
A株は外国人投資家が直接買うことができないが、QFII(適格海外機関投資家)の資格をもつ金融機関であれば投資可能となっています。
QFIIの資格を取得している金融機関は野村証券、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、日興アセット・マネジメント、大和証券SMBC等があります。
ということは私たちもQFII資格をもつ金融機関のファンドを通じてA株も買えます!!
B株市場
- 購入できるのは中国国内の投資家と外国人投資家
- B株発行している企業がA株市場にも同時上場している場合が多い
- A株の株価よりB株の方が割安となっている
2001年2月、これまで海外投資家のみに開放されていたB株市場は国内投資家にも開放されました。
そのとき、割安だったB株市場に大量の資金が流れ込み、多くの銘柄が暴騰しましたが、現在はA株とB株の価格差は縮小傾向にあります。
大きく外貨を稼ぎたい企業は、香港市場に上場するのでB株市場の存在意義が薄くなってきています。
ほとんど出来高もないし、業績の良い会社も少ないのでこれからも厳しい市場ではないかと言われています。
市場開放
現在、QDII(適格国内機関投資家)制度がいつ導入されるかについて注目を浴びています。
QDIIとは、一定の条件を満たした中国国内投資家に海外の投資を認める制度です。
現在、中国人投資家は本土市場(上海、深センのA株、B株)にしか投資できません。
これは、中国政府が元通貨を自由化していないためです。
自由化によって中国の元資産がどんどん海外へ流出するのを恐れているためです。
ということは、たとえQDIIが導入されても解禁対象がすべての海外市場ではなく、まずは香港市場になるだろうというのが体勢の見方になってます。
もし、QDIIが導入されれば、A株に比べ割安なH株へ中国投資家の資金が流入し、株価が暴騰するのは「まちがいない」と思います。
2001年にB株が中国人投資家に開放されたときもB株市場に大量の資金が流入し、株価が暴騰しました。
ということは日本人にとって中国株投資は香港市場が狙い目だと言われています。
各業種の主要企業
株で儲けようと思ったら時代の変化に敏感でなければいけません。
成長産業は時代によってまったく異なります。
今まではダメだったが、時代の変化によって業績が良くなる業種もあります。
逆にいちばん優秀な財務内容を持っていた会社であってもいつダメになるか分かりません。
今後、中国の成長に伴いインフラから素材関連、自動車関連、さらにはサービス産業と陽の当たる業界も変化していきます。
こういう会社が伸びるという判断は非常に難しいことです。
邱永漢氏のおっしゃるように『結局、つねに時代の変化に気を配っているしか、しようがない』ということですね。
そして、その業界のトッププレイヤーに投資したほうが、パイの拡大による恩恵を一番多く受けられます。
リーディングカンパニーとは市場において最大シェアを保持している業界最大手の企業のことです。
市場内で最大シェアを獲得しているため、経営資源も最大です。
したがって、市場・需要が拡大すれば特別なことが無い限り既存シェア分だけ獲得できます。
中国市場における市場成長を考えるとリーディングカンパニーほど成長すると考えられます。
金融業界概要
中国には「中国銀行」「中国工商銀行」「中国建設銀行」「中国農業銀行」の国有4大銀行があります。
今後、中国政府は「人民元通貨流通の自由化」「為替相場変動制への移行」の政策を実施していくものと思われます。
しかし、銀行には20%を超えるといわれる不良債権があります。
Qさんいわく「日本と違って中国の場合は融資した会社も国営なら、融資を受けた会社も国営です。結局、自分のフトコロ内の話なので、その気になれば簡単に処理できる」とのことです。
つまり、中国全土を所有している中国政府は世界一の金持ちということです。
保険業界概要
中国の保険市場は総保険料収入ベースで世界第11位。
保険料収入の対GDP比は生保が2.0%、損保が1.0%。これに対して日本はそれぞれ8.6%、2.2%、米国は4.6%、5.0%。また、国民1人あたりの生保保険料は、19.5米ドル(2002年)。
日本は2783.9米ドル、米国は1662.6米ドル。ちなみに香港は1238米ドル、台湾は925米ドルである。
生保市場の成長の原動力は経済成長と高齢者人口の急速な拡大です。
中国は先進国と同じように平均寿命が延びと一人っ子政策による出生率の低下によって急速に高齢化が進んでいます(特に都市部)。
このままだと従来型の福祉システムが機能しなくなる恐れがあるため、個人による保険加入の関心が高まっています。
損保市場はマイカーブームにより大きく伸びています。
しかし、車人口の伸びによる交通事故件数も急上昇しているため利益率が低下しています。
石油業界概要
石油は国営事業の要であるため、伸びる確率は高いが、政策・為替にも左右されやすい。
つまり、製品需要やGDPなどのマクロ経済指標との関連性が極めて高い。
中国の石油は93年移行、輸入超過になっており、現在ではアメリカに次いで世界第2位の消費量に達している。
さらに空前のマイカーブームの影響も大きい。
自動車生産が増えるのに比例して石油への需要も高まっています。
中国の石油業界はペトロチャイナ(0857)、中国石油化工(0386)、中国海洋石油(0883)といった企業で石油3大グループを形成しています。
また、中国政府は世界的にエネルギー確保へ向けた競争が激しくなる中、欧米メジャー(国際石油資本)に対抗できる「中国版メジャー」を育成し、エネルギー事業の国際競争力を高めると発表しています。
ちなみに中国のエネルギー消費量はアメリカに次いで世界第2位です。
各エネルギー割合は石炭が56%、石油が20%、天然ガスは3%です(2001年東京電力)。
国民一人当たりのエネルギー消費量はアメリが石油換算で約8トン/人、世界第2位のエネルギー消費国である中国は0.9トン/人となっています。
成長の余地はものすごくあります。
電力業界概要
電気は企業活動、個人生活に不可欠な存在です。
その電力がいま圧倒的に不足しています。
中国31省市区のうち22省市区が電力不足に陥った03年夏に引き続き、04年も24省市区で電力使用制限が設けられた。
電力は中国の経済成長とともに需要が増えていくのは間違いありません。
いま中国は火力発電がメインになっています。
その発電燃料である石炭価格の高騰が利益圧迫要因になっています。
また、政府は発電容量の増強計画を前倒しで進めており、各地で建設ラッシュが始まっているため2006年以降は電力供給の過剰を予想する専門家も多い。
中国の電力業界は「中国華能」「中国華電」「中国国電」「中国電力投資」「中国大唐」の5大グループで構成されています。
華能国際電力の親会社である「中国華能」グループが最大手になります。
鉄鋼業界概要
鉄鋼業界はインフラ整備の恩恵を受けた、好調な産業のひとつです。
中国の鉄鋼生産量は世界第1位です。
しかし、現在は政府の金融引締め政策によって生産量の伸び率が低下、製品価格の低下しています。
また、製造コストも上がってきています。
コスト上昇の要因は原材料である鉄鉱石とコークス(蒸し焼き石炭)の価格上昇、インフラの未整備による輸送力不足や電力不足です。
しかし、この金融引締め策が中小の淘汰を促したため、逆に大型鉄鋼企業の生産量が伸びています。
また、中国のインフラ整備や自動車の普及はこれからなので、まだまだ需要が拡大するのは間違いないので今後も期待できます。
中国の鉄鋼業界は「宝山鋼鉄」「北京首鋼」「馬鞍山鋼鉄」「鞍鋼新軋鋼」「唐山鋼鉄」の5大グループで構成されています。
最大手の「宝山鋼鉄」をはじめ、「北京首鋼」「唐山鋼鉄」は外国人向け市場には上場していないので、「宝山鋼鉄」に投資するにはしばらく待つしかないですね。
不動産業界概要
政府は景気引き締め策をとっていますが、都市部の不動産価格はすでにバブルと言われています。
一旦、調整したあとマイホームブームによる本格的な成長段階に入ると見ています。
なかでも不動産は個人の財産のなかでも大きなウエートを占めますから経済成長によって莫大な資産に化けると思います。
投資先としては、Qさんのおっしゃるように『過去10年間、中国の不動産に投資してさんざんな目にあってきた香港の不動産会社の右にでるものはありません』というように豊富な資金と貴重な経験をもった香港の不動産会社が良いと思います。
資源・素材業界概要
石炭は発電所向けである一般炭の需要も製鉄向け原料炭の需要も中国を中心に旺盛で、石炭輸送のボトルネックもあり、石炭価格は上昇を続ける見方です。
また、中国のエネルギーの50%強が石炭です。
すぐに代替エネルギーに置き換わられる状況ではないため、しばらくは需要は伸び続けるようです。
天然ガス、風力、太陽光、原子力はまだまだ先の話です。
セメント業界はいまだに中小企業がひしめいており、他のような業界再編が進んでいません。
中国最大手の安徽海螺(914)でも全体の数%を占めるに過ぎません。
今後もビル建設、高速道路建設などあらゆる部分にセメントは必要になるので、長期的には成長が期待できます。
アルミナ、アルミニウムの世界の消費は06年まで5%の成長率で持続するという予想です。
中国国内ではさらに大きく13%前後の成長が予想されています。
アルミは鉄に次ぐ汎用基礎素材で家を建てる際のアルミサッシをはじめさまざまな用途があり、マイホームブームとともに需要が高いため世界的に不足しています。
中国国内では中国アルミ(2600)が中間原料であるアルミナをほぼ独占していましたが、アルミナ需要が急速に拡大したので現在では国内需要の半分というところです。
残り半分は輸入品です。
非鉄金属の動向
銅やアルミニウムなどの非鉄の国際価格は中国やアメリカの好景気を背景に歴史的に高い水準にあります。
橋やプラントなど大規模な施設から電子部品まで幅広い分野に用途が広がる非鉄金属は生活に欠かせない存在です。
非鉄の種類と価格の決まり方を見ていきましょう。
非鉄金属は広い意味では鉄以外の金属を指し、銅やアルミニウム、亜鉛、鉛、すず、ニッケルなどが代表的な存在です。
これらの金属に共通するのは人類が古くから使ってきた金属であったり、用途が幅広かったりすることにあります。
主な非鉄金属の用途や年間消費量を見てみます。
銅は電力や通信向けの電線のほか、空調機や電子部品などにも使えます。
2004年の世界消費は約1640万トン、日本では約120万トンでした。
電線が需要の大半を占めるため、インフラ整備が進む過程で需要が伸びます。
中国はこの10年で急速に消費量を拡大し、02年には米国を上回り世界最大の銅消費国になりました。
アルミニウムは住宅サッシなどの建設資材、鉄道車両、自動車の一部にも使うほか、缶や電子部品の材料になることもあります。
年間消費は04年が約3000万トン、日本では250万トンでした。世界最大の消費国はアメリカですが、05年には中国が抜くとの見方があり、銅とアルミ市場でも中国の存在感は大きくなりました。
亜鉛は鋼材をさびにくくするためのメッキ加工向けが多く、メッキ加工した鋼材は自動車や鉄橋、プラントなど様々な使われ方があります。
鉛は環境問題の観点から、用途が限られつつありますが、リサイクルが可能な蓄電池向けがほとんどです。
非鉄金属のなかでは消費量が比較的少ないのはニッケルとすずですが、ニッケルはステンレス鋼材の副原料として使い、鋼材をさびにくくする役割があります。
すずは電子部品を接合するときなどに欠かせないはんだに使います。
海運業界概要
世界の工場である中国は石油、石炭など資源の輸入、加工製品の輸出が急拡大しています。
2004年度の貿易総額は前年比30%増の1兆1000億ドルと日本を抜いて世界第3位の貿易大国です。
日本にとっても米国を抜いて最大の貿易相手国です。
貿易額の急拡大に伴って湾港のコンテナ取扱高も急増しています。
コンテナ扱い個数で世界の湾港を見ると、香港、シンガポール、上海、深セン、釜山と上位5位までに中国の湾港が3つ入っています。
日本トップの神戸は18位と下位に沈んでいます。
中国国内は上海、深セン、青島、天津、寧波が5大港になります。
コンテナ運輸は景気循環型産業で、GDP成長率に連動する傾向にあると言われています。
今後は「世界の工場」としての貿易額拡大だけではなく、「世界の消費大国」として輸入額の増大が期待できます。
航空業界概要
中国で航空運賃の変動制限幅を広げる措置が施行されたことにより、料金設定の柔軟性が向上。
また、航空需要の堅調な伸びを背景に楽観的な収益見通しが広がっています。
中国には「中国東方航空」「中国南方航空」「中国国際航空」の3大航空グループが構成されています。
農業・食品業界概要
国土に占める耕作地の割合が世界で最も低い国の一つである中国が、農業生産ですでに世界一です。
世界の農作地のうちのたったの7%で、世界の人口の20%を養っています。
長らく遅れていた農業を近代的アグリビジネスへ転換させるために、大昔からあった税金を引き下げ、生産拡大のインセンティブと投資を増やしました。
中国の農作物輸入額は2002年の100億ドルから2004年の250億ドルへと増加してます。
大部分は米国のトウモロコシや小麦、大豆などです。
中国からの輸出については今後も腐った農作物が中国から出荷されたり悪い評判がたったりすると思います。
世界の消費者にとっても投資の機会を探す人にとっても残念のことです。
しかし、農業は中国国内で儲けるビジネスなので、中国の農業に投資するのはそのうち必ず行われるであろう人民元の切り上げで儲けるいい方法かもしれません。
- 豚肉の生産で世界第一位、鶏肉で世界第二位、牛肉では世界第三位
- 虫歯で世界第五位
- 世界の牛乳供給量の13%を消費(2006年)
- ワイン醸造で世界第六位
- 大豆は世界全体の販売額の40%を輸入している
- 一人当たりのジュース消費量は年2リットル(先進国平均は40リットル)
IT・ソフトウェア業界概要
これからITインフラの整備、企業によるソフトウェア導入は確実ですが、現時点では不透明感が強いですね。
インフラが整いだすと株価も爆発しそうですが、今はまだ早すぎますね。
自動車業界概要
中国の自動車生産・販売台数は他の先進国に比べてまだまだ少ないです。
2004年のアメリカの年間生産台数1000万台強に対して、中国は500万台程度(乗用車は230万台)と差をつけられていますが、人口や成長率を考えれば、いずれは世界第1位の自動車生産国、保有国になるのは確実です。
もう既に中国は米国、日本、ドイツに次ぎ、世界第4位の自動車生産国であり、販売台数も米国、日本に次いで世界第3位である。
2004年度以上は成長は多少鈍るものの、これからも10%台の成長が続くと見られています。
大量生産と販売の効率化で車の価格が下落し、消費者の需要は増加しています。
今のところ、外国の自動車メーカーがブランドと高い評価を確立していて、一般の中国人消費者は、依然として国内メーカーの質を信じていない。
実際のところ、現在の中国の自動車業界は設備過剰です。
ガラスやタイヤとした自動車部品の会社などトレンドに乗った業種を検討したほうが良いかも知れません。
高速道路業界概要
中国のモータリゼーション化とともに高速道路の利用者の増加が期待できます。
中国の高速道路は民営企業なので、日本の道路公団のように借金まみれではないですし、採算を度外視した道路建設も行われないと思われます。
高速道路は大きく成長することはありませんが、北京オリンピック、上海万博に向けてインフラ整備を進めていますし、国民の消費レベルの向上とともに人や物の流れも活発になるので、長期的で確実な成長が見込まれます。
中国株がオススメなワケ
現在の中国は1970年代(高度経済成長期)の日本といわれています。
ということは中国経済の本格成長はこれからです。
成長する国、企業の株を買うのは投資の鉄則なので、中国株への投資が一番賢い運用方法になると思います。
中国は、人口13億4575万人(2008年)、GDPは2010年日本を抜いて世界第2位の経済大国です。
2010年のGDP成長率は10.3%と引き続き、高成長が続いています。
1人当たりのGDPは、4382ドルです。
1人当たりGDPが3000ドルを超えた時、経済は高度経済成長に入り、重化学工業中心から工業全般の成長に拡大し、経済社会の特徴として、貿易自由化、通貨切り上げ、民主体制の確立が挙げられます。
国民消費構造がレベルアップし始め、衣食を中心とした消費から住宅や自動車などより高いレベルの消費(サービス産業)に進んでいくと見られています。
今後、成長が期待できる分野は『金融サービス』『不動産』『小売り』『医療』『通信』『観光』『輸送・物流』『教育』『ITサービス』『メディア・娯楽』などです。
これらの第3次産業銘柄は、まだ規模が小さく、機関投資家も買っていない銘柄が多くあります。
こういった銘柄に少しずつ投資し、大きく育てていくのも中国株投資の一つではないかと思います。
中国は、安価な労働力を武器に世界の工場として家電から携帯電話、パソコンなどのIT関連機器、自動車、日用品まであらゆる工業品を作り出していますが、今後は13億人という人口を抱えた世界の消費大国となるのは間違いないでしょう。
株価が安く、手軽に買いやすいことが挙げられます。
中国株は高くなってきているといえども、日本株に比べて購入単価が安いです。
日本の石油会社の株価は500円~1000円くらいだと思いますが、中国の石油会社ペトロチャイナは1株10HK$前後で、為替レートを15円/HK$として計算しても150円です。
このような優良株を安く買えるので、非常にトライしやすい環境だと思います。
中国はいろいろなリスクを抱えていると言っても、中国の成長は今のままで止まることはありえません。
日本人がその恩恵を受ける手段として、中国株投資は有効ではないでしょうか?
しかし、時代の流れに合わせて成長する産業・企業を見極めるスキルは必要です。
また、日本株と違って配当利回りは高いです。5%もめずらしくありません。
配当だけ考えてみてもこれは年金運用としては悪くないですね。
早ければ早いほど、恩恵は大きいです。
中国株のリスク
株式投資をするからにはある程度のリスクを背負わなければいけません。
外国株である中国企業に投資となるとますますリスクがあります。
中国経済には以下のリスクがあることを考慮し、投資しなければなりません。
バロンズ誌は中国が失敗するとしたら「人口の高齢化、蔓延する汚職、環境汚染」を挙げました。
国際決済銀行は「過剰流動性、債務の積み上がり、資産バブル、損失の続く重厚長大産業への過剰投資」を懸念材料として挙げています。
しかし、個人的には資産の一部を中国に投資するより、資産全部を今後の成長が見込めない日本の株式市場に投資しているほうがリスクが高いと思います。
不十分な開示姿勢
たとえば、2003年11月にニューヨーク証券取引所に上場した生命保険最大手の中国人寿保険は上場前に不適切な会計処理があったとして2004年3月に米国で株主集団訴訟を起こされています。
最近の上場企業による情報開示の不祥事が頻発しているのも見逃せません。
そういった対策として、二季報の株主名簿をチェックすることをオススメします。
中国はまだ伝統的な会計処理法で決算書を作成しているところが多く、それでは国際的に通用しません。
また、そういう銘柄は外国の投資家も手が出しづらいです。
国営企業も国際会計法に切り替えはじめていますが、外国企業や外国資本との合弁により作られた会社はそもそも国際会計法に準じて決算書が作成されるため粉飾決算の可能性が低いことが挙げられます。
投資抑制策
中国政府は経済の過熱を懸念し、投資抑制策を発表しました。
中国人民銀行は2003年6月、不動産開発業者および個人の不動産投資に対する融資条件を厳格化する措置を導入した。
これに続き、9月下旬、数年ぶりに銀行預金準備率を引き上げた。
さらに2004年1月、中国人民銀行は、商業銀行に対して鉄鋼、セメント、電解アルミ、自動車などの投資過熱とみられる業種への貸し出しを厳しく制限する通達を発出した。
中長期的な中国経済の成長は誰も疑わないのですが、短期的に見た場合、この投資抑制策がどう影響をあたえるのか、つまり、ソフトランディングが成功するのかが要注目です。
ハードランディングの定義は「GDP成長率が6%を下回った時」と言われています。
環境問題、水不足問題
石炭に強く依存している中国は、温室効果ガスの排出国として米国を追い越して世界最悪になろうとしている。
その影響は世界全体に及び、中国の都市の3分の2は汚れた大気に悩まされています。
工業地帯に住む子供の80%は何らかの形で鉛中毒に冒されています。
また、土壌のいい土地は減少し、森林はどんどん砂漠化している。
1994年から1999年だけを見ても、ゴビ砂漠は5万平方キロも拡大し、刻々と北京へ向かって進んでいる。
中国には化学企業の半分が揚子江か黄河の辺りにある。
毒物の流出や汚染事故は増えています。
中国の主要な河川や湖のうち70ヶ所は汚染が危険な水準に達していると考えられている。
揚子江は国内の排水の40%を受け入れているが、その80%は下水処理が施されていない。
中国は国連に人口当たりの水の量が世界で下から13番目だと宣告された。
中国の660都市のうち60%以上ではすでに水が足りなくなっている。
下水処理機器を製造している工場は数百もある。
財務内容がよく、高度な技術を持ち、中国の人たちにも受け入れられる企業なら、中国の水に関わる機会で大きく儲けることができるでしょう。
為替リスク
B株、H株やレッドチップの取引通貨は香港ドルになります。
ということは中国株を売買する場合、日本円/香港ドルレートの影響を受けます。
中国株は値上がりしたが、売却するときの為替レートが購入したときより円高だと為替差損を被り、売却益が相殺されてしまいます。
逆に円高の時に中国株を購入し、円安で売却した場合は為替差益も享受することができます。
香港ドルは1米ドル=7.8香港ドルに固定するというドルペッグ制をとっているので米ドルレートに影響を受けます。
つまり、アメリカ経済、日本経済の影響を受けるので、両替するタイミングを見極める必要があります。
為替リスクは単なるリスクとは思わずに為替売買について勉強し、為替で利益を得ることを考えてみても面白いと思います。
人民元切り上げによっては、様々なリスクが想定されます。
貿易黒字が減少し、赤字になった場合には経済成長が失速
人民元の切り上げが起こるということは中国での製造コストが増加することになるので、今までのように「世界の工場」としてのメリットが薄れてきます。
切り上げられるとまずはじめに輸出関連企業がダメージを受けます。
投機資金の流入
一度切り上げると、再度の切り上げを期待し、投機的な資金の流入が進み金融危機を引き起こす可能性があります。
かつてのラテンアメリカでの通貨・金融危機が思い起こされます。
1997年タイを中心にはじまったアジア金融危機に襲われた国の当時の状況を見ると、ほとんどが固定相場、しかもドルペッグ制を採用していました。
固定相場制で金融政策の独自性を失い、ヘッジファンドの素早い行動に何ら有効な手を打たず、金融システムの崩壊を招きました。
そこで、背景として浮かぶのは政策的な非整合性の問題です。
- 自由な資本移動
- 固定相場制
- 金融政策の独立性
という3つの目標は1度に2つしか達成できないということです。
資本移動を自由化した国は固定相場制の下で為替の安定を得ようとすれば、ペッグした国の金融政策に従うしかありません。
つまり、米国の金融政策に依存します。
たとえば、経済活動を刺激するために通貨供給を拡大する金融緩和政策をとった場合、カネ余りが発生するため利子率が低下し、資本が海外に流出します。
このとき、為替市場では「国内通貨売り/ドル買い」が発生します。
つまり、通貨の切り下げ圧力が高まります。
そうなると政府は固定相場制を維持するために国内通貨を買い支えないといけなくなります。
こうした為替介入は国内通貨の減少を招くため、結局通貨供給量は相殺されます。
このことから金融政策は意味がなかったことになります。
過去の金融危機を振り返るとヘッジファンドによる投機的な資本流出(国内通貨売り)によって切り下げ圧力が引き起こされました。
このとき、政府が国内通貨を買い支えるための十分な外貨準備金(ドル)を保有していなかったため対抗できず、最終的には通貨が暴落しました。
通貨危機を経験したアジア、ラテンアメリカ各国は変動相場制に移行しています。
こういった背景から資本の段階的自由化を選択している中国にとって固定相場制を変えるのが常識なのですが・・・。
2004年12月温家宝首相は「改革の方向性は、管理された変動相場制を実施すること」と述べています。
固定相場制の放棄も時間の問題ですね。
ちなみに香港は金融政策の独立性を放棄しているので、自由な資本移動と固定相場制を維持しています。
中国株バブル
香港・中国株には今までに3回のバブルがありました。
1回目は1993年からの第1次香港・中国株バブル
モルガンスタンレーのバートンピックスという有名なストラテジストがハンセン指数が6000のころにこれから香港株が騰がると指摘したことがきっかけです。
その背景には、大きな要因が2つあります。
一つは、香港の経済が調子が良い中で、この当時はアメリカの景気が最悪で、金利が異常に低かったのです。
香港の金利はアメリカの金利に連動しますから、景気が良い中で低金利がもたらされて景気がさらに良くなるという点です。
もう一つは、香港市場がそのような景気の流れで成長してきていて、HSBCといった主力銘柄が1992年末あたりから時価総額1~2兆円を越えてきて、世界の年金ファンドの投資対象になってきたことです。
年金ファンドは運用資金の大きさからいってある程度の時価総額をもった銘柄でないと投資対象に入れません。
もちろん、運用するところによって基準は異なりますが、その基準が大体1~2兆円程度なんです。
それで、モルガンスタンレーの著名ストラテジストの推奨が入ったものだから、ドンと資金が香港に流れ込んできたというわけです。
そんなこともあって、ハンセン指数は1992年はじめにに6000近辺だったのが1993年のはじめには12000に跳ね上がったのです。
バブルの終焉
このバブル終焉のきっかけは実は日本のファンド。
バブルの終わり時期にインベスコが日本で巨額の香港・中国株ファンドを作って、ハンセン指数が11000の時にガツンと買ってきたわけです。
それで12000まで最後の花火的にドカンと短期間で急騰し、そこが天井になって急激に調整局面に入ったのです。
この時からですね、日本人が買ってくるとバブルの末期だという印象が出来たのは。
HSBCの株価は現在100HKドルぐらいです。
でも1990年ごろには(分割の修正を加えて計算すると)5~7HKドルをウロウロしていたんですよね。
今思うと「あの時買っておけば…」と思うのですが、当時は当時で割安と感じていながらも、なかなかみんな買えなかったんですよね。
当時は香港が将来中国に返還されるとお先真っ暗、のような見解が大勢を占めていましたし。
それでもそこで、買ってじっともってこれた人が財をなせたわけなのですが、その香港での経験がある人には、その時の香港株が今のH株にダブって見えるわけなんです。
だから華僑の人は好んでH株を買いにくるんです。
2回目のバブルは1997年の香港返還バブル
この時は、チャイナエバーブライトを中心としたレッドチップ株に怒濤のアセットインジェクション(資産注入)が行われて株価がつり上げられた、いわゆるレッドチップバブルです。
香港の中国返還を世界的にアピールして、外貨を稼ごうという中国政府の狙いが発端です。
そのためには、株と土地をつり上げるのが一番だということで、実は深センで政府や財界の人間が集まる会議が開かれて、中国銀行がファイナンス面でのバックアップをとるから、次々にアセットインジェクションをしましょうという方針が密かに決められたのです。
この時音頭をとったのが朱容基で、彼の腹心であり、当時チャイナエバーブライトグループの会長であった朱小華が辣腕をふるってアセットインジェクションを乱発させたのです。
その結果、レッドチップバブルが起こったわけですが、この時は本当に凄かったですね。
まぁ、バブルというのはいつもそうですが、もうファンダメンタルなんか関係無しに、上昇率の高い銘柄を上から順番にかっていけば必ず儲かるという。
そんな風でしたから、1本数百万円もするワインを一晩に何本も明けたことが雑誌の記事になったりと狂乱の時期でした。
バブルの終焉
このバブルの終焉は、朱容基の影響力の低下、株価のインサイダー行為が目にあまるようになってきたこと、チャイナモバイルの上場によって、その上場前に最後の上昇があり、そこで幕がおりました。
ここでも、日本人はチャイナモバイルの上場寸前になってたくさん買ってきていましたね。
ご存じの方も多いと思います。
ちなみに朱小華さんはその後、朱容基の影響力の低下もあって、この時のやりすぎが原因で逮捕されてしまいました。
3回目は2000年末から2001年にかけてのB株開放バブル
これについては最近のできごとなので皆さんの記憶にも新しいと思いますから、細かい説明は省きますが、この時の終焉は中国政府による香港市場への資金流出の取り締まりでした。
もっともこの時、H株についてはバブルというほど騰がる前に取り締まりがあったためにバブルという印象はあまりありませんが。
バブルのサイクル
さて、こうしてみてみると、1993~1994年、1997年、2000~2001年とほぼ3~4年ごとに大きな波がきていますよね。
これは大まかに金利動向と中国政府の政策に沿う形になりますが、株には一定のリズムがあって、このリズムが続くとすると、次のバブルは2004~2005年頃になる計算です。
もちろん、次のテーマはH株でしょう。
そして、金利の転換点(つまり、金利が一番低い)時期が株の一番の買い時であるという考え方からすると、やはり今が一番の買い時であり、今後徐々に金利が上昇していくに伴っていく株価が上げていく金利面と、政府が中国人投資家に香港市場を開放使用という政策面との影響で徐々に株が騰がっていき、段々時価総額が大きくなって、年金資金がぼちぼち買ってこれるようになってから大量の資金がドカンと入り、2004~2005年頃にとりあえずのピークを迎えるというシナリオが中期的には描けます。
その時(バブルの時)はきっと、今1~2HKドルくらいの高成長インフラ株などが10HKドル以上になっていたりして、なんであの時、低PER高利回り、高成長だったのに、だれも買わなかったのだろうと、過去の香港株やB株がそうであったように、みんな今を振り返ってそう思うのではないかと思います。
リーマン・ショック(世界同時不況)
「世界の工場である中国が大失速」など世界同時不況の影響は新興国に深刻な影響を与えています。
アメリカ向けの輸出が激減し、企業倒産の急増したり、雇用悪化で社会不安が高まっています。
世界の工場が集積する沿海部の経済成長は、急速に鈍化しています。
北京、上海、広東などこれまで中国の経済成長を牽引してきた沿海部の工業付加価値は減速しています。
内需関連産業など政府が重点的に開発投資を進めている内陸部は全国平均を上回る経済成長しています。
しかし、経済規模はまだまだ小さく沿岸部の落ち込みをカバーするほどにはなっていません。
4兆元(56兆円)の経済対策に効果はあるのか
中国の経済成長率は2007年第2四半期の12.6%でピークを打って、下落傾向にあります。
原因としてはアメリカ発の金融危機の影響もありますが、中国政府によるインフレ抑制のための金融引き締めにによるところもあります。
リスク要因としては不動産価格の下落です。資産価格が大幅に下落すれば、消費マインドが冷え込む可能性もあります。
そして、企業は業績悪化で人件費削減に走っています。
雇用情勢悪化で社会不安も高まっています。
失業者が未払い賃金の支払いを求めてデモや暴動が相次いでいます。
社会不安は中国政府が最も恐れることです。
政府が発表した4兆元(56兆円)の景気対策は中国のGDPの16%に相当します。
しかし、すぐには効果は表れないと思いますが、2009年後半から効果が表れてくると言われていますね。
2008年11月9日、中国共産党最高指導部である国務院常務会議は景気刺激策を発表し、内需拡大を狙った10項目の中身が明らかになった。
キーワードは公共事業、弱者救済、金融緩和の3つです。
- 低所得者層向けの低価格住宅の建設
- 農村のインフラ建設
- 鉄道、道路、空港など交通インフラ建設
- 医療衛生、文化、教育事業の発展
- 生態環境の建設
- 産業構造の調整(ハイテク・サービス産業)
- 四川大地震被災地の復興
- 国民所得の引き上げ
- 増値税改革(企業の税負担の軽減)
- 金融緩和、融資の総量規制の撤廃
最も効果が期待される景気刺激策は「鉄道、道路、空港など交通インフラ建設」です。
10項目の中で投資額が最大になることは確実です。
これまではインフレ抑制のために地方政府の投資案件が制限されていました。
それが景気刺激策の大義名分を得て地方政府が堂々と公共事業を実施できます。
しかし、日本の公共事業と同じように完成後に本当に雇用創出や経済効果が見込めるプロジェクトかどうかは不透明ですし、案件をめぐる官僚腐敗を懸念する声もあります。
「金融緩和、融資の総量規制の撤廃」については総量規制が撤廃され、中小企業向けの融資が増えると、低付加価値企業を延命させます。
そのため、一時的に「産業構造の調整」が停滞する可能性があります。
多くの新興国株が大底が見えない中、上昇の可能性があるのは中国株です。
まず、GDPに対する個人消費が占める割合は先進国に比べてまだまだ低いので、まだまだ伸びる余地は大きいと言えます。
また、中国政府は金融危機の発生後、わずか3ヶ月で4回の利下げを実施し、いち早く大規模な内需拡大策を実施したので、インフレが収まって新たな政策を打ち出しやすくなったということです。
株価が落ちたとはいえ、中国には世界有数の時価総額を誇る企業が多いです。
ペトロチャイナをはじめ中国工商銀行、中国移動(チャイナモバイル)などが名を連ねます。
再び景気が回復して外国人投資家が戻ってきたときには株価上昇も十分ありえます。
しかし、リスクもあります。
外国人投資家が積極的に投資できない要素として同一株の株価が香港と中国本土で異なる「一物ニ価」問題があります。
もう1つの問題は「非流通株問題」です。
中国の上場企業の株がすべて株式市場に上場しているわけではありません。
7割に上る株式が政府部門によって保有され、市場に流通していない非流通株となっています。
これまでは2005年から始まった非流通株改革で、非流通株の売買が制限される「ロックアップ期間」とされていたため、政府の株式放出で需給が緩むことがなかった。
今後はロックアップ解禁が進み、政府保有の株が徐々に市場に放出される可能性が高まっています。
大幅に需給が緩むリスクが指摘されています。
しかし、政府も分かっているのでなんらかの手を打つでしょうね。