スタンフォードのストレスを力に変える教科書

成功法則

『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』ケリー・マクゴニガル

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内容

成長思考

いくつかの重要な考え方を紹介しました。

・将来のあなたは、いまのあなたと同じようになるとは限らない。

・あなたがいま、人からどんなふうに扱われていようと、どんな人間だと思われていようと、あなたが実際にそのとおりの人間であるとは限らないし、将来そうなると決まっているわけでもない。

・人間の性格は、だんだんよいほうに変わることができる。

つぎに生徒たちは、上級生たちが「人間は変われるんだ」と実感した経験を一人称でつづった文章を読みました。

そして最後に生徒たちは、「人間は変われるんだ」と思ったできごとについて、書いてみるように言われました。

もちろん、自分自身の経験を書いてもかまいません。

 

プラセボ

「あなたの心と体には、さまざまな自然治癒力が備わっています。プラセボは自然治癒を起こす引き金になるんです。ですからぜひ、きちんと飲んでください」

すると驚いたことに、「プラセボ」だと承知して飲んだ薬によって、患者たちの偏頭痛や、過敏性腸症候群や、うつ病などの症状が寛解してしまったのです。

 

ポジティブな考え

ストレスを感じてもなるべくポジティブな考え方をするための3ステップの方法を説明しました。

1.ストレスを感じたら、まずそれを認識します。ストレスを感じていることを受けとめ、体にどんな反応が表れているかにも注意します。

2.ストレス反応が起きたのは、自分にとって大切なものが脅かされているせいだと認識して、ストレスを受け入れます。ストレスを感じるからには、なにか積極的にやりたいと思っていることがあるはずです。脅かされているものは何ですか?なぜそれはあなたにとって大切なのでしょうか?

3.ストレスを感じたときに生じる力を、ストレスを管理しようとして無駄にしないで、利用しましょう。あなたの目標や価値観に合ったことにエネルギーを使うにはどうすればよいか、考えてみましょう。

 

マインドセット介入

もっとも効果の高いマインドセット介入は、つぎの3段階の方法で行われます。

①新しい考え方を学ぶ。

②新しい考え方を取り入れ、実践するためのエクササイズを行う。

③自分が学んで実践したことを、ほかの人たちと分かち合う機会を持つ。

 

ストレスと幸福度

ストレスを感じるのは、人生がうまく行っていないしるしではなくて、自分にとって大事な活動や人間関係に、どれだけ熱心に取り組んでいるかを示すバロメーターと言えるでしょう。

また、ストレスの少ない生活を送っている人たちは、意外にもあまり幸せを感じていないことが、研究によって明らかになっています。

多くの人は「こんなに忙しくなかったら、もっと幸せになれるのに」と思っていますが、実際は正反対なのです。

やるべきことが多すぎるくらいでも、忙しい人のほうが幸せを感じています。

だからこそ、急にやることがなくなって暇になってしまうと、危険なのです──退職後はうつ病を発症するリスクが 40%も高まる、というデータにもうなずけます。

 

価値観を紙に書き出す

日記をつけることになりました。

ひとつのグループの学生たちは、自分にとっていちばん重要な価値観はなにか、そしてその価値観に結びつくようなどんな活動を行ったかを、日記に書くように指示されました。

 

どうやら自分の価値観について書くことは、これまでに行われた心理学の介入のなかでも、とりわけ効果が大きいようです。

個人的な価値観について書くと、短期的な効果としては、自信が強まり、落ち着きが生まれ、誇りや強さを感じます。

また、周りの人に対する愛情や思いやりが深まり、絆が強まります。

痛みに対して我慢強くなり、自制心が強まり、ストレスの多い経験をしたあとも、あまりくよくよ悩まなくなります。

 

ここに挙げた価値観のなかで、あなたにとってとくに大切なのはどれでしょうか?

もっとも重要だと思うものを3つ選んでください。

このリストにないものを思いついたら、ぜひそれを書いてください。

・度量    ・説明責任(アカウンタビリティ)    ・冒険・アートや音楽    ・運動競技    ・お祝い・チャレンジ    ・連携(コラボレーション)    ・有言実行・コミュニティ    ・思いやり    ・能力・協力    ・勇気    ・創造性・好奇心    ・規律    ・発見・効率性    ・情熱    ・平等・倫理的行動    ・優秀    ・公正・信仰/宗教    ・家族    ・自由・友情    ・楽しみ    ・寛容・感謝    ・幸福    ・勤勉・調和    ・健康    ・人助け・誠実    ・名誉    ・ユーモア・独立    ・革新    ・品位・相互扶助    ・喜び    ・リーダーシップ・生涯学習    ・愛    ・忠実・マインドフルネス    ・自然    ・率直・忍耐    ・平和/非暴力    ・個人的成長・ペット/動物    ・政治    ・プラスの影響・実用主義    ・問題解決    ・信頼性・機知に富む    ・自分への思いやり    ・自立・質素倹約    ・強さ    ・伝統・信用    ・意欲    ・知恵

 

あなたにとって重要な価値観を3つ選んだら、そのうちのひとつについて、大切だと思う理由を10分間で書いてみましょう。

また、その価値観を日常生活でどのように実践しているか、そのためにきょうはどんなことをしたかも書いてください。

もしあなたがいま、なにか難しい決断を迫られて悩んでいる場合は、その価値観にしたがって決断を下せるかどうか、考えてみるのもよいでしょう。

これを書くときに、いまストレスを感じていることについてはなにも書かなかったとしても、この10分間で、日常のストレスに向き合うあなたの態度は変わります。

ほかのふたつの価値観についても、また時間を設けて同じように書いてみたり、とくにストレスを感じてつらいときに、このエクササイズをもう一度やってみたりするのもよい方法です。

 

授業でこのエクササイズを行うと、「価値観を選ぶのが難しい」という学生がいます。

自分の価値観を認識する方法がわからないか、絞り込めないのです。

そういう場合、念頭に置いてほしいのは、「価値観には、自分が大切に思っているものが反映されている」ということです。

このエクササイズを行うと、あなたがいまなにを重要だと思い、どんなことに意味を感じているかがわかります。

それは態度や、個人的な強みや、プライオリティや、大事なコミュニティかもしれません。

もしくは、あなたが人生で経験したいことや、ほかの人たちと分かち合いたいことかもしれません。

あるいは、人生で重要な決断を下すときに役立つような指針かもしれません。

 

このエクササイズで価値観を選ぶときに、あなたがその点において優れているかどうかは関係ありません。

あなたにとってなぜその価値観が重要なのか、他人が納得するかどうかも関係ありません。

価値観というのは、自分にとってしっくりくるものや、自分が身につけたいと思うものです。

 

たとえば、ある学生は最初、このエクササイズはつまらないと思っていました。

というのも、彼女は「能力」という価値観を選びましたが、それは周りの人たちが評価することで、本人にはあまり思い入れがなかったからです。

それどころか、周囲からいつも能力を期待されることに怒りすら感じていたのでした。

そこでわたしは、「自分がこうなりたいと思うことを選んでみたら?」と提案しました。

すると彼女は、いまの自分にはものすごく難しいけれどもっと「度量」のある人になりたい、と思っていることに気がつきました。

 

ストレスを避ける

じつは、わたしたちがストレスの悪影響だと思っていることの多くは、ストレスを避けようとするせいで起こることなのです。

心理学者たちは、ストレスを避けようとすると、充実感や、人生に対する満足度や、幸福感が、著しく低下してしまうことを突きとめました。

またストレスを避けていると、孤立してしまう可能性があります。

日本の同志社大学が学生を対象に行った研究では、ストレスを避けようとしていると、「つながり」や「帰属」の意識が薄れていくことがわかりました。

 

ストレスを避けようとすることの最大の問題点は、そのうちに自分自身や人生に対する見方が変わってしまうことです。

生活のなかでストレスを感じることが、なにもかも問題だと思うようになります。

仕事にストレスを感じれば、「こんな仕事、やってられるか」と考えます。

結婚生活にストレスを感じれば、「こんな夫婦関係は変だ、どうかしている」と考えます。

子育てにストレスを感じれば、「自分の育て方がまちがっているにちがいない(あるいは、うちの子はどこかおかしいにちがいない)」と考えます。

習慣を変えようと努力することにストレスを感じれば、「やっぱり無理な目標だったのだ」と考えます。

さらに、生活のストレスはできるだけ少ないほうがいいと考えていると、ストレスをたくさん感じるのは自分がダメだからにちがいない、と思うようになります。

自分がもっと強かったら、もっと頭がよかったら、もっとまともだったら、こんなにストレスを感じなくてすむのに、と思ってしまうのです。

「ストレスは害になる」と思っていると、うつ病のリスクが高まる理由も、これである程度は説明がつきます。

このような考え方をしていると、精神的に打ちのめされ、希望を失ってしまうのです。

 

自分の強みを認識する

「必要なもの」と「自分が持っているもの」を天秤にかける作業は、無意識のうちにも頭の片隅で必ず行っています。

その状況で必要なものと、自分が持っている力や手段を天秤にかけて、一瞬のうちに自分の対処能力を評価しているのです。

その評価こそ、どのストレス反応が起こるかを決定するカギとなります。

自分の手には負えない状況だと思った場合は、「脅威反応」が起こります。

しかし、自分の力で対処できると思えば、「チャレンジ反応」が起こるのです。

 

多くの研究が示しているとおり、自分の持っている力や手段をしっかりと意識すると、「チャレンジ反応」が起こりやすくなります。

そのためにもっとも効果的な方法は、自分の個人的な強みを認識することです。

たとえば、挑戦に向けて自分がどれだけ準備を重ねてきたかを考えたり、過去に同じような問題を乗り越えた経験を思い出したり、自分を支えてくれる大切な人たちや、自分のために祈っていてくれる人たちのことを考えたりします。

そうすると考え方がすばやく転換し、脅威がチャレンジに変わるのです。

 

人助けすると時間が増える

誰かの手助けをした人たちは、自分のために時間を使った人たちにくらべて、「能力がある」「仕事ができる」「人の役に立てる」などの項目で、自分のことを高く評価できるようになっていました。

 

自分よりも大きな目標に貢献する

自分のことを、チームや組織やコミュニティやミッションなど、「自分よりも大きなもの」の一員だと思えば、奮闘するにしても毒性がなくなるという考え方です。

 

このように、もっとも重要な目標は「自分よりも大きなもの」に貢献することだと考えると、同じ努力をするにしても、自分をやる気にさせる動機が変わってきます。

自分の能力の高さや、他人よりも優秀であることを証明しようとするのではなく、自分が努力しているのは、もっと重要な目標に貢献するためだ、と思うようになるからです。

そうすると、自分自身の成功だけにとらわれずに、大きな目標の達成に向けて、周りの人を応援したくなります。

 

人びとは「自分よりも大きな目標」とつながっているほうが、よい気分でいられるということでした。

希望や、好奇心や、いたわりや、感謝の気持ちが湧き、発想が豊かになって、ワクワクします。

いっぽう、「自分のための目標」だけに向かって努力していると、頭が混乱したり、不安や怒りを感じたり、ねたみや孤独に苛まれたりすることがわかりました。

 

「自分のための目標」を「自分よりも大きな目標」に変える

・あなたは周りの人にどのようなよい影響をもたらしたいですか?

・人生や仕事において、どんなミッションにもっともやる気を感じますか?

・あなたは世の中に対してどのように貢献したいですか?

・あなたは自分の手でどのような変化を起こしたいですか?

 

職務の再定義

ワーラインの「職務の再定義」のエクササイズでは、企業の従業員がつぎの点についてじっくりと考えます。

・あなたが一緒に働いている仲間や上司の視点から、あなたの職務を定義するとしたら、どのようになるでしょうか?

・職場の仲間や上司は、あなたの職務はどれくらい役に立っていると言うと思いますか?

・あなたの仕事は、会社の大きなミッションやコミュニティの人びとの幸福に、どのように貢献していますか?

 

このように自分の職務をとらえ直しても、職務の基本的な内容じたいは変わりませんが、自分の職務に対する従業員たちの認識はがらりと変わります。

ワーラインは、このエクササイズを行うと、従業員たちが仕事に感じる意義ややりがいが、確実に大きくなることを発見しました。

 

孤独感を和らげる

ストレス下における孤独感を和らげるには、ふたつのことが役に立つことがわかりました。

ひとつは、ほかの人たちの苦しみにもっと気づくこと。

もうひとつは、自分の苦しみを素直に周りの人に打ち明けることです。

 

逆境が強くする

やはり多くの人が、人間として成長した時期には、ストレスもかなりあったと考えているようです。

それこそまさにストレスをめぐる矛盾と言えるでしょう──ストレスなどなるべく経験せずに生きていきたいと思っても、困難な時期こそわたしたちに成長をもたらすのです。

 

生徒たちに「数分間で、挫折したときのことを書いてください」と指示しました。

どんな経験をしたのか、なぜそれが自分にとって重要なのか。

どんな信念や、態度や、強みのおかげで、諦めずに努力を続けることができたのか。

そういうことを考えながら、書いてもらいます(わたしの場合は、正直さと勇気を重んじる自分の価値観に従いました)。

 

みんなの体験談からどんなテーマが見えてきたかを発表しました。

1番目のグループは、「いちばん強く感じたのは、コモン・ヒューマニティです」と言いました。一人ひとりの話の内容はちがっても、グループの誰もが失敗や失望や挫折を味わっていたからです。

2番目のグループは、「困難を乗り越えられた最大の要因は、自分から積極的に助けを求めたことだと思います」と発表しました。

3番目のグループは、「逆境を経験したせいで、かえってやる気が増し、もっと努力しようという気になりました」と言いました。

 

ストレス目標

彼女の家では「新年の抱負」の代わりに、ストレスをポジティブにとらえて、1年の「ストレス目標」を決めることにしたというのです。

毎年、年のはじめに、彼女と夫と10代の息子はそれぞれ「この1年でどのように成長したいか」を考えます。

つぎに、その目標を達成するために、やりがいがあると同時に難易度の高いプロジェクトを計画します。

そして、どんなところにストレスを感じそうか──難しいと思われる点はどんなところか、どんな部分に不安を感じるか、目標を達成するために、自分のどんな強みを伸ばしたいか、といったことをみんなで話し合うのです。

 

面白かったポイント

今の自分にめちゃくちゃ刺さった。

ストレスのない状態は幸福感が下がるというのは、まさに今自分が感じていたこと。

何も刺激も張り合いもない、生活は安定、家族関係も良好、仕事で評価もされている、それなのに幸福感がない。

最近、思い出すのは海外赴任での経験、もう二度とやりたくないとは思うが、あの頃に自分に憧れている自分もいる。

自分のコントロール範囲が大きくなればなるほど、外れたチャレンジができていないことを認識できた。

ストレス目標を立てないといけない。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

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