内容
目標設定
[ルール 1]適切な目標を選択する……
自分が本当に達成したい目標とは何かをじっくり考える。
自分のウェルビーイング(幸福度)が高まる目標を選択しよう。
[ルール 2]目標はひとつに絞り、明確な到達点と達成期限を設定する……
(新年の抱負にありがちなロングリストではなく)目標はひとつに絞り、いつまでに何をどこまで達成したいかを決めよう。
[ルール 3]目標を自分で管理できるステップに分解する……
小さなステップを着実に積み上げていけば、最終的な目標に到達しやすくなる。
目標を設定する際には、ウェルビーイングを確実に高める次の5つのファクターを含めるとよいだろう。
●人との関わりを強化する
●健康で活動的になる
●何か新しいことを学ぶ
●好奇心を持つ
●他者に与える行為をする(ギビング)
目標の達成には、プランニングが大きなカギを握っているとわれわれは考える。
だが、重要なのは、どのようにプランニングするかという細かいディテールなのだ。
本章でご紹介する次の3つのルールは、この細かいディテールの理解を助けてくれるにちがいない。
[ルール 1]シンプルなプランにする……
シンプルで明確なプランにすると、メンタルに負荷をかけずに目標に向かって取り組めるようになり、目標から外れてしまったときにも気づきやすくなる。
[ルール 2]実行可能なプランを立てる……
目標達成のために必要な行動を、いつ、どこで、どのように取るかを明確にすると、その行動の実行可能性が高まる。
[ルール 3]プランを習慣化する……
決まった事柄を合図に同じ行動を繰りかえしていると、それが習慣化し目標達成に役立つ。
コミットメント
[ルール 1]コミットメントを決める……
まずコミットメントの内容を決め、それが最終的な目標と目標達成のための小さなステップに直結していることを確認する。
[ルール 2]コミットメントを書き出し、公にする……
それを書き出し、まわりに何らかの形で宣言すると、自分でもそれを忠実に守ろうという気になる。
[ルール 3]コミットメントレフリーを任命する……
レフリー役の人は、あなたが宣言した目標を達成できるよう後押しする。
この役には、あなたが信頼を寄せていて、かつ、挫折した際には迷わずペナルティを課すことができる人が適任だ。
最初にとるべきステップは、コミットメントを書き出すことだ。
書き出すことでコミットメント達成の可能性が高まるのであれば、それをまわりに宣言すればその可能性はより一層高まる。
つまり、書き出したコミットメントは自分のなかだけに秘めておくべきではないのだ。
実際、ドイチとジェラードによる実験において、書き出したコミットメントが効果を発揮したのは、それが公表される可能性がきわめて高かったからだ。
報酬メカニズム
目標達成を促す報酬とはどのように設定すべきなのだろう?
ルールは次の3つだ。
[ルール 1]重要なものを報酬にする……
最終的な目標達成と重要な報酬をリンクさせ、拘束力を持たせる。
[ルール 2]小さな報酬で良い習慣をつける……
大きな目標を達成するためのステップと小さなインセンティブをリンクさせ、自分やまわりの人のモチベーションを高める。
[ルール 3]逆効果に注意する……
金銭的インセンティブによって本来のモチベーションが「押し出されて」しまうリスクがあるため、報酬(やペナルティ)のせいで本来の善意が損なわれないように気をつけよう。
さまざまな非金銭的報酬に代えることでこのリスクを回避することができる。
報酬は目標達成の強力なツールとなり得るとともに、インセンティブをどのように設定するかが非常に重要であり、正しく設定するには注意が必要だということもおわかりいただけたのではないだろうか。
この4つのポイント──報酬の内容と最終目標をリンクさせる、意味のある報酬内容とする、拘束力を持たせる、損失回避の特性を利用する──に留意してインセンティブを決めれば、目標は早期に達成されるにちがいない。
もともと自分のなかに目標達成のモチベーションがあるときに金銭的報酬が加わると、うまくいかない場合があり、慎重に仕組みをつくらないとせっかくの努力も水の泡になりかねないということだ。
最終目標を達成したときのご褒美には、自分が本当にやりたいことを選ぶべきだ。
だが、現金そのものを報酬にするのではなく、その現金で買えるものにするとよい。
ずっと行きたいと思っていた旅行や、盛大にパーティーを開いたり、映画館や贔屓のスポーツチーム観戦のシーズンパスを購入したりするのもいいだろう。
どんな報酬にしようか考える際には、「目標設定」の章で学んだこと──物理的なモノよりも「体験」を買う、社会的関係を充実させる、人のために時間とお金を使う等のほうがはるかにウェルビーイングの向上に資する──を思い出そう。
共有
[ルール 1]協力を仰ぐ……
協力してくれる人がいると目標達成の可能性は高まる。
みな驚くほど協力的なものだ。
[ルール 2]社会的ネットワークを活用する……
われわれの行動は自分が組み込まれているネットワークに大きく影響を受ける。
それだけに、このネットワークはさまざまな形で目標達成に活用できる。
[ルール 3]グループパワーを使う……
同じ目標を持つ大勢の人たちと団結すると、ひとりでやるよりも多くのことを速く達成できる。
「他者の協力」という、目標達成をサポートしてくれる優れたツールがありながら、これを活かせていない人が非常に多いということだ。
親が子どもの教育にもっと関われるよう、もう少し情報を与えてみようと考えた。
仕組みはこうだ。
親たちは週に一回、学校から連絡事項のメールを受け取る。
次のテストの予定や、理科や数学や英語の授業で最近子どもたちがどんなことを学んだか等の情報とともに、これらのトピックについて親子の会話を促すためのアドバイスが送られてくる。
このメール文は、テストの日程にも言及した具体的な内容で、実際に親がしてあげられること(テスト勉強をするよう本人に伝える)が明確に示されているため、親子の会話はがらりと変わるだろうと予測された。
このメールを受け取った親はこんなふうに子どもに声をかけるだろう。
「金曜日に数学のテストがあるらしいわね。テスト勉強はいつやるの?お母さんが手伝えることあるかな?」
親子の間で実際にどのような会話がなされたかはわからないが、この種の介入が子どもの成績にどんなインパクトを与えたかは確認することができた。
この程度のシンプルなメール文により、1カ月分の学習と同等の教育効果が得られたのだ。
メール送信にほとんどコストがかかっていないことを考えると、驚くべく効果といえよう。
生徒たちがお互いに勉強を教え合う、という方法がある。
生徒が通常1対1で教え合う「ピアチュータリング」を導入すると、5カ月分の学習効果に相当するという。
しかも、教える側と教えられる側の双方にとってポジティブな効果があり、もともとの成績が悪い生徒ほど効果が高いこともわかった。
目標を共有しようと思うなら、まず真っ先にやるべきことは、自分の目標達成に協力してくれる人を探すことだ。
その人(ひとりでも複数でも)が見つかったら、どんなふうに頼んだらよいかを考えよう。
社会的ネットワーク
「助け合いの輪」は、みなが実際にひとつの輪になり、何かサポートを求めたい人は輪のメンバーにそれを表明する(ただし、強要はしない)というものだ。
それを受けて各メンバーは、自分の知人(や知人の知人)で、そのサポートを提供できる人はいないかを考える。
これは、前章で見た直接的な助けとは異なり、自分の社会的ネットワークを活用して、通常であればアクセスのない人にサポートを提供しようという試みである。
フィードバック
フィードバックは人の行動を変え、目標達成に役立つ非常に効果的なツールとみなされてきた。
その理由は単純明快だ。
目標に向かって進むためには、目標に対して自分がどのくらいできているかを確認できなければならないからだ。
だが、これから詳しく見ていくように、良いフィードバックは自分のいまの立ち位置だけでなく、何をすればもっと良くなるかを教えてくれるし、他の人たちがどのようにやっているかを知ることによって、取り得る選択肢を広げることもできる。
とはいえ、フィードバックをシステマティックに集約して活用するのはそう簡単ではない。
そこで本章では、あなたやまわりの人たちのモチベーションを上げる効果的なフィードバックのフレームワークを、次の3つのルールで説明しよう。
[ルール 1]目標までの自分の立ち位置を知る……
目標に対して自分がいまどの辺りにいるかを、さまざまな情報から把握できるようにならなければならない。
[ルール 2]タイムリーで具体的、すぐに対応可能で、本人の努力に注目したものにする……
フィードバックはその人個人に対して、何を継続し何を変えるべきかを明確に示し、できるだけ実際の出来事に即した内容とするのが望ましい。
[ルール 3]自分のパフォーマンスを人と比較する……
可能であれば、人と比較して自分がどの程度できているかを把握しよう。
場合によっては、このフィードバックがもっとも強力な効果を発揮する。
フィードバックは単なる情報ではない。
あるべき状態からどのくらいの距離感にあるかを教えてくれるツールなのだ。
フィードバックの効果を高めるには、自分がいまどのくらいのパフォーマンスを発揮しているかという情報を、目標との関連性で理解することが重要である。
フィードバックは、その時点で自分がまちがった方向に進んでいないかを確認するためだけのものではない。
最終的な目標に対して、どこまで進み、どれほど効果があがっているかをよりわかりやすい形で示してくれるツールでもある。
これはわれわれ人間にとって、きわめて重要なポイントだ。
人間には、自分が進歩している実感を得たい、という性質があるため、この感覚を最大化するフィードバックの仕組みを考えるのも効果的だ。
この「進歩している」という感覚は、やらなければならない日々の些末なタスクが最終目標に直結しているとは思えないような場合に特に意味を持つ。
例を挙げよう。
われわれはジョブセンターの案件で職探しのためのタスクリストをつくり、求職者がタスクをこなすごとにリストから消し込んでもらうようにした。
リストの最初のほうには、あえて比較的簡単なタスク(所定フォームに記入する、ミーティングに出席する、求人情報サービスに登録する等)を並べた。
このちょっとした工夫により、求職者は前進しているという実感が得られるし、よりハードルの高いタスク(履歴書を書き上げる、採用面接に行く、職業訓練を受ける等)に取り組もうというモチベーションも高まる。
良いフィードバックに求められる3つの要素──タイムリーで具体的、かつ、すぐに対応可能であること
生徒が優れたパフォーマンスを見せたら、単に「正しい」とだけ言うのではなく、パフォーマンスの直後に「とてもよくできていましたよ。なぜなら……」と説明することが最低限必要ということだ。
彼女はこのコンセプトを2種類の「マインドセット」を用いて説明している。
ひとつは「フィックスド・マインドセット」と呼ばれるもので、われわれの資質はあらかじめ決まっているとする考え方だ。
この考え方のもとでは、事あるごとに自分の能力を示しつづけなければならない。
先の実験で生まれ持った知性を褒められた子どもたちは、このフィックスド・マインドセットで考えるように仕向けられていたわけだ。
もうひとつは「グロース・マインドセット」と呼ばれるもので、自分の基本的な資質は努力によって高められるという考え方だ。
努力を褒められた子どもたちはこちらの考え方を採っていた。
実験結果を踏まえ、ドゥエックはこう指摘する──能力は人それぞれで異なるが、「だれもが努力と経験によって変化し、成長することができる」。
持って生まれた才能ではなく、努力や粘り強さを褒めることができれば、自分やまわりの人たちの目標達成の可能性は高くなるにちがいない。
つまり、良いフィードバックとは、目標までの自分の立ち位置を知ることだけに留まらない。
いつフィードバックを与えるかも重要で、事が起きてから、できるだけすぐがよい。
また、フィードバックは具体的ですぐに対応可能なものであることも欠かせない。
フィードバックを踏まえて、すぐに何らかの対処ができる、ということが肝要なのだ(すでにやっていることを継続すべきというフィードバックもあり得る)。
最後に、生まれつき何かに秀でていることを褒めるよりも、タスクに向かう努力や粘り強さを後押しするほうがはるかに効果的だということもおかわりいただけただろう。
あきらめない
[ルール 1]練習の質と量を高める……
時間をかけてパフォーマンスを向上させることが求められる目標なら、練習の質と量のどちらも重要であることを心に留めておく。
[ルール 2]試しながら学ぶ……
目標を個々のステップに分解したら、小さな部分を変更してみて効果があるものないものを見きわめ、パフォーマンスの向上を図る。
[ルール 3]振りかえりをして自分の成功を祝う……
うまくいったこと(や、うまくいかなかったこと)をじっくりと振りかえり、達成したことを自分で祝ってから次の目標に向かうようにする。
練習の質と量を高める
パフォーマンス向上のための意識的な努力と定義される「限界的練習」
われわれはみな、目標に向かってパフォーマンスを向上させることはできる。
だが、そのためには、長期にわたって努力を続けなければならないし、本当の意味で何かを習得するには、限界的練習をシンク・スモールのアプローチに組み込まなければならない。
すべては自分にどんな目標を掲げるか、というところから始まる。
向上しつづけるためには、適度に高い目標、つまり、頑張ってやっと手が届くくらいの目標を立てなければならない。
それは、新しいスキル(語学や楽器等)を学んで自分を高めることかもしれないし、自分はどこまでできるかという自分自身に対する期待値を上げることかもしれない。
振り返り
自分が学んだことを短時間でも振りかえるようにすると、その後長期にわたって役に立つ
あなたも目標に向かう際、あるいは、挫折を経験した際、このような振りかえりを行なってみよう。
目標に向かって取り組む過程で何を学んだかを振りかえり、そこで得た気づきを次の取り組みに活かすのだ。
そして、最終的に目標を達成できたら、そこでも振りかえりを行なってから次の目標に向かうようにしよう。
時間をかけて何かのスキルに習熟したいなら、どのように学ぶかを考えなければならない。
まずは、その練習の方法論を考えること──目標をステップに分解し、スキルの向上に向けて熱心に練習を積むことなのだ。
そうすれば、自然と新しいアイデアやテクニックを試せるようになるだろう。
大規模なランダム化比較試験はできなくても、途中でフィードバックを受けたり、小さな変化をひとつひとつ積み重ねたりしながら、目標達成に何が効果的かを学ぶことはできる。
最後に、目標に向けた取り組みを始めたら、あるいは、途中でたびたび挫折したとしても、何が有効で何がつまずきの原因なのかを自分自身で振りかえる時間をとろう。
これらをすべて実践できたら、目標を達成した瞬間をどんなふうに祝おうかと考えよう。
そして、さらにもう少しじっくりと振りかえりができたら、次はどんなことに取り組もうかと考えはじめる自分を見い出すことだろう。
ルール(黄金律)
目標設定
◎適切な目標を選択する
◎目標はひとつに絞り、明確な到達点と達成期限を設定する
◎目標を自分で管理できるステップに分解する
プランニング
◎シンプルなプランにする
◎実行可能なプランを立てる
◎プランを習慣化する
コミットメント
◎コミットメントを決める
◎コミットメントを書き出し、公にする
◎コミットメントレフリーを任命する
報酬
◎重要なものを報酬にする
◎小さな報酬で良い習慣をつける
◎逆効果に注意する
共有
◎協力を仰ぐ
◎社会的ネットワークを活用する
◎グループパワーを使う
フィードバック
◎目標までの自分の立ち位置を知る
◎タイムリーで具体的、すぐに対応可能で、本人の努力に注目したものにする
◎自分のパフォーマンスを人と比較する
あきらめない
◎練習の質と量を高める
◎試しながら学ぶ
◎振りかえりをして自分の成功を祝う
面白かったポイント
目標達成のルールがまとまっているので定期的に読み返したい
個人的には練習の質を上げる、負荷を上げるところが気づきだった
ルーティーン化して負荷が低いと成長速度も低下する
あとは、このエビデンスはコーチングサービスのセールスライティングに活かせそう
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆