今回は、初心者に向けてマーケティングについて解説したいと思います。
マーケティングとは?
マーケティングという言葉ほど、人によってイメージが違うものはありません。
たとえば、
- テレビコマーシャル
- ネットの広告
- Webサイト
- インスタやツイッターのSNSで発信
- イベントを開催
- ポスターやチラシ
など、いろいろ思い浮かぶかもしれません。
しかし、これらは正しくマーケティングを表してはいません。
マーケティングの中の一つの手段にすぎないのです。
マーケティングの目的は、売上を向上させることです。
お客様から商品やサービスが選ばれるようにする、そして売れるようにすることです。
売上を向上させるという目的のために、売れる仕組みを作る、これがマーケティングなのです。
売れる仕組みを作るというのは、市場を調査したり、商品やサービスの開発や改善、商品やサービスが売れるように宣伝広告する、などのマーケティングの活動がしっかり明確になっていて、それぞれの活動がスムーズに連携している状態を作ることを言います。
マーケティングの活動は、大きく3つに分けて考えることができます。
- 市場を分析する
- マーケティング戦略を立案する
- マーケティング施策を立て、実行する
これからマーケティングの概要を解説していきます。
マーケティングは必須のビジネススキル
テレビのコマーシャルやSNSでの発信というのは、商品を宣伝することで、マーケティング活動の一部分にすぎません。
マーケティングというのは、経営と直結し、一体化するくらいカバー範囲がかなり広いのです。
マーケティングの全体像を理解するには、数年はかかります。
最初は、マーケティング業務の一部分を担うことになると思いますが、その業務はマーケティング活動の中のどの部分を担っているのか理解したうえで作業すると、目的が明確になり、なぜこの業務をやるのか、どの数字を見ればいいのか、他のマーケティング業務とどう関係しているのか、どう連携すればいいのか、どう改善すればいいのかが分かります。
これまで、私はこれまで大企業やベンチャーでマーケティングの仕組みを作ってきて、周りを見てもビジネスやマーケティングの全体像を理解して、適切にマーケティングの戦略を仕掛けていける人はほとんどいませんでした。
世の中の企業が困っているのは、商品やサービスが売れないことです。
ほとんどの企業が売上を上げるための仕組みを作れていませんし、そもそもマーケティングとは何か?を正しく理解できていません、もちろんマーケティング施策をちゃんと打てているところは少ないでしょう。
大企業でもそういう現状なので、中小企業だと売るために苦労しているところがほとんどです。
もし、あなたがマーケティングの全体像を理解し、売上を上げる仕組みを作ることができたら年収アップはもちろん、企業からは引く手あまただし、コンサルタントとしても大活躍できるし、起業しても成功する確率がグッと上がるでしょう。
私は、マーケティングはビジネスをするすべての人が身につけておかなければならない必須のスキルだと考えています。
マーケティング分野は範囲が広いので時間がかかりますが、マスターする価値は十分にある領域だと思います。
市場を分析する
市場とは、自分たちが戦う領域のことをいいます。
もし、あなたが自動車会社に勤めていたら自動車業界、コンビニを経営していたらコンビニ業界やスーパーや飲食業界、パン屋を経営していたらパン業界、整骨院を経営していたらマッサージ業界など、あなたが戦う市場を指します。
戦う前に市場のことを深く知っていないと、どう戦っていいのか分かりません。
本来、ビジネスは戦うものではなく、お客様に価値を提供することですが、ここではマーケティングを分かりやすくお伝えするためにあえて「戦う」という言葉を使っています。
市場を分析するためのフレームワーク5C
市場を分析は、フレームワークに当てはめると漏れがなく、きれいにまとまります。
5Cとは、
- Company(自社の理解)
- Consumer(消費者の理解)
- Competitor(競合他社の理解)
- Customer(中間顧客の理解)
- Community(地域社会の理解)
です。
昔は、自社と消費者、競合他社で3C分析が使われていましたが、今は中間顧客や地域社会を加えた5Cが主流になっています。
自社の理解
まず、自社の理解ですが、ここでは大きく
- 会社の方向性
- 自社の経営資源
- 自社の能力や強み
を分析します。
会社の方向性は、目指すべきビジョンや大事にしていること、会社の文化などです。
自社を分析する上で、この方向性を明確にし、方向性をぶらさないことが会社やビジネスを継続する上で一番大事なことです。
経営資源は、ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を把握します。
ビジネスをする上で、どれだけの従業員やパートナーがいるのか、商品や設備はどれくらい揃っているのか、資金はどれくらいあるのか、どれくらいの情報にアクセスできるのか、という経営資源を把握することは、ビジネスの戦い方を決める上で重要な要素になります。
自社の能力や強みは、これまでの会社の歴史からどのような能力を持っているのか、または弱いのかを把握します。
得意分野や苦手分野を正しく把握することで、競合他社との差別化やお客さんへのアプローチなどのマーケティング戦略の精度を上げることができます。
消費者の理解
消費者を理解することは、マーケティング戦略を立てる上で最も重要です。
消費者の悩みや最新の流行などを分析します。
分析の方法は2種類あって、
- 定量分析
- 定性分析
があります。
定量分析は、データに基づいた分析方法です。
人口の統計データなど、政府が出しているマクロの数字からサイトのアクセス数やサイトの滞在時間などのユーザの行動まで数値化し、消費者の行動や求めているものを理解します。
定性分析は、数字では表せない感情やストーリーなどの情報を集めて分析することです。
この2つのアプローチから、
- 消費者が求めているニーズ
- 消費者自身が気づいていない潜在的なニーズ
- どんな価値観をもっているのか
- どんな悩みを持っているのか
などを総合的に理解することで、消費者の心を動かすアプローチを仕掛けることができます。
競合他社の理解
競合他社の理解は、同じ事業領域の同業者を分析します。
同じ事業領域の同業者といっても、消費者のニーズに基づいて競合を決める必要があります。
たとえば、あなたがラーメン屋を経営しているとします。
その場合、あなたの地域のラーメン屋だけを分析するのではなく、消費者のニーズである「ご飯を食べる」ことに基づいて競合をピックアップしなければなりません。
コンビニやうどん屋、マクドナルド、ファミレス、スーパー、カフェなども広い意味で競合になります。
あなたが提供する価値によって、何が競合になるのかが分かってきます。
中間顧客の理解
中間顧客というのは、流通などの自社と消費者の間に入る会社のことを指します。
たとえば、あなたが化粧品を開発しているメーカーだとしましょう。
消費者は化粧をする女性ですが、メーカーが販売する先は、百貨店やドラッグストア、コンビニになるかもしれません。
メーカーからすれば、商品を自前で消費者に届ける経営資源、リソースがないので、百貨店やドラッグストアに販売します。
つまり、中間顧客は消費者にとどけるためのビジネスパートナーと言えるでしょう。
また、ドラッグストアやコンビニがプライベートブランドで化粧品を開発・販売するケースもあるので、ビジネスパートナーであり、競合になるケースもあります。
分析内容は、市場にどんな中間顧客がいるのか、その中間顧客はどんな戦略を持っているのか、強み・弱みなどを理解しておくことがポイントです。
地域社会の理解
最後のCは、Community(地域社会)やContext(背景)と定義するものもありますが、本質的な意味はいろいろな外部環境を分析することを意味します。
大きな話では、政治や経済などの外部環境を意味していて、具体的には景気や税率、為替レートの変動、政府の経済対策などです。
たとえば、インバウンドのお客さんを対象にしている観光地の免税店や飲食店、ホテルなどは、中国や韓国との政治問題に大きく影響されます。
為替レートによって、インバウンド消費者の消費意欲も大きく変わります。
基本的にこれらの外部環境はひとつの会社ではコントロールができません。
まずは、自分のビジネスに影響を与える外部環境を洗い出して、その外部環境が変化した時に自分のビジネスに良い影響を与えるのか、悪い影響を与えるのかを整理して、変化が起こった時にやるべきことを今から準備しておくべきことをリストアップすることが重要です。
マーケティング戦略を立案する
ターゲットを設定するのは非常に重要です。
誰に対して、どのような価値を提供するのかを正しく設定することが、ビジネスを成功するカギとなります。
なぜ、ターゲットを設定する必要があるのか?
今は、昔のように大量生産・大量消費の時代ではありません。
みんなが欲しい商品・サービスというのはありません。
個人によって趣味や嗜好が異なるので、メーカーはいろいろ細分化されたニーズにこたえるために、いろいろなバリエーションの商品を開発しています。
そして、世の中はモノがあふれていて、さらに情報もあふれているので、消費者は本当に必要なモノを見極める目が厳しくなってきています。
みんなに販売するためにターゲットを拡げた商品やサービスにすると、誰にも刺さらない特徴のない商品になって、逆に売れないケースもあります。
また、いろいろな人のニーズや意見を聞きすぎて、機能が増えすぎて使い勝手が悪い商品が出来上がることもよくあります。
つまり、幅広い層に対応する商品やサービスを考えた場合、
- みんなの求めるニーズの共通的なところだけに絞った特徴のない商品やサービス
- みんなの求めるニーズをどんどん追加した複雑怪奇な商品やサービス
のどちらかが出来上がってしまいいます。
このように、ターゲット設定は、商品やサービスの企画・設計に大きく影響し、売上にもかかわる重要な作業なのです。
また、商品やサービスではなく、会社やビジネスとしてターゲットを絞ることも重要です。
ある商品は20代の女性をターゲットにしているけど、会社としては女性をターゲットにしているので、30代向け、40代向けと商品ラインナップを展開するのは危険です。
会社の経営資源に限りがあるので、どんどん商品展開をするのに限界が来ますし、消費者から見るとこの会社はどういう特徴がある会社なのか分からなくなる可能性があります。
ターゲットを設定するためのSTP分析
みんなのニーズに応えるのは、マーケティング戦略上よろしくないという説明をしました。
では、どのようにターゲット設定するのかについて解説していきます。
ターゲット設定に使えるフレームワークがSTP分析です。これは、
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
の略になります。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、市場を細分化して、同じ性質の人々の集まりに分けることです。
たとえば、男性と女性は、男性という集まりと女性という集まりに細分化したということになります。
さらに細かく、20代の男性、30代の男性、40代のの男性というように、男性×年代で細分化することもできます。
このように、セグメンテーションの方法としては、
- 年齢や性別による細分化
- 住んでいる地域による細分化
- 趣味や嗜好による細分化
- 行動による細分化
など、いろいろな切り口で市場を細分化することができます。
ターゲティング
ターゲティングとは、セグメンテーションを基にビジネスのターゲットを絞り込むことです。
年齢×性別×地域など、セグメンテーションの切り口を組み合わせることで、より具体的にターゲットを絞ることができます。
たとえば、あなたがラーメン屋をやるとして、ターゲットを検討する時に、
- 女性×20代×表参道
- 男性×20代×大学前
- 外国人×観光客×ファミリー×京都
では、それぞれお店のコンセプト、ラーメンのメニューも変わってくるでしょう。
20代の女性向けに表参道でラーメン屋をやるなら、おしゃれな内装に、ヘルシーで、見た目も華やかなラーメンがウケるかもしれません。
20代の男性向けの大学生が多い町でラーメン屋をやるなら、こってりで大盛りのラーメン、さらにチャーハンなどのサイドメニューも揃えた方がウケるかもしれません。
外国人向けファミリー向けのラーメン屋なら、カウンターよりもテーブル席を多くし、メニューの種類も増やし、英語表記をしたほうがウケるかもしれません。
このように、同じ商品やサービスを販売するにしても、ターゲットによって、コンセプトやブランド展開、商品ラインナップ、価格、サービスを変えなければいけません。
逆に言うと、ターゲットが明確でないと、コンセプトやブランド、商品ラインナップがどの層にも刺さらない、特徴のないラーメン屋になってしまいます。
ターゲットを決める、絞り込むときに一番重要なポイントは、範囲は小さすぎず、大きすぎないことです。
絞り込みすぎて範囲を小さくしてしまうと、ターゲットがすごく明確になりますが、対象となる市場規模が小さすぎて売上の上限が低くなる場合があります。
大きな市場規模を狙ってターゲットを拡げると、コンセプトがフワッとしてしまいます。
ターゲットの対象範囲の絞り込み方は、3C分析(市場・競合・自社)の視点で絞り込むといいでしょう。
商品やサービス、会社の方向性や経営資源などによって決める必要があるので、これという絞り込む基準はありません。
戦略としては、最初はターゲットを絞って、うまくいったら徐々にターゲットを拡げていくという手もあります。
ポジショニング
ターゲットを決めたら、その市場における会社の立ち位置を決めます。
- ターゲットから魅力的に見える
- 競合他社と比べてもいい商品・サービス
- 商品やサービスが選ばれる
ように、ポジショニングを明確にする必要があります。
そのためには、決めたターゲットが求めるニーズや商品やサービスを買う理由を理解する必要があります。
たとえば、ノートパソコンのポジショニングを考える場合、
- 個人なのか法人なのか
- ゲームをするのか、ワードやエクセル、パワポなど仕事のアプリをメインで使うのか
- ずっと家やオフィスで使うのか、外に持ち運ぶのか
などのセグメンテーションを行った後、
個人で家でゲームをメインにするターゲットなら、画像処理に優れたデスクトップPCになるかもしれません。
法人で外回りの営業をターゲットにするなら、軽量でバッテリーが長持ちするノートパソコンになるかもしれません。
このように、ターゲットのニーズに応える商品やサービスの立ち位置を明確にすると、狙ったターゲットに選んでもらいやすくなります。
このSTP分析がマーケティング戦略の中核となります。
できるだけターゲットのニーズを満たし、競合より魅力的な商品やサービスを開発し、具体的な施策を打てるかどうかがこのSTP分析にかかっています。
なので、可能な限り情報を集め、丁寧に分析することが、効果的なマーケティング施策につながるのです。
マーケティング施策の立案、実行
市場を分析し、マーケティング戦略を立案したら、具体的に「売れる仕組み」を作るためのマーケティング施策を考えていきます。
マーケティングの4P
このマーケティング施策を考える上で重要な要素を表しているのが、4Pというフレームワークです。
4Pというのは、
- Product(商品・サービス)
- Price(価格)
- Place(流通チャネル・販路)
- Promotion(広告・販促・PR)
を表し、商品開発から販売プロモーションまでの施策を設計します。
どのような商品やサービスを開発し、いくらの価格を設定し、どの販売チャネルを活用して、どのようにお客様に伝えるか、ということを設計します。
この4Pの前にSTP分析で、しっかり「どの市場の、どのお客さんに、どのような価値を提供するか」がしっかり定まっていないと、この4Pの精度が低くなるでしょう。
商品・サービス設計
自社の商品・サービスを考えます。
商品の設計は、どのような機能を提供するのか、品質はどのレベルなのか、商品のブランド名は名前は?、パッケージ、などを考えます。
商品を考える時に重要なのが、「強いコンセプト」と「大きな価値を提供」することです。
強いコンセプト、尖ったコンセプトは、お客さんの興味を引き、買ってみたいと思わせるものでなくてはいけません。
世の中には、店頭やコンビニ、ネットショップなどに商品は溢れています。
あなたが開発した商品やサービスは、すでに世の中にあるかもしれません。
ありふれたコンセプトではお客さんに刺さらず、大企業や有名なブランドに流れてしまうでしょう。
設定したターゲットの課題や悩みに刺さる強いコンセプトを設計することが大切です。
次に、お客さんに大きな価値を提供する商品やサービスでなければいけません。
強いコンセプトを打ち出し、興味を持ってもらい、購入してもらっても、満足いかなければ次はありません。
ビジネスを継続的に成長させるためには、リピーターを増やしていくことが非常に重要です。
リピーターになってもらい、さらにファンになってもらうと、いい商品やサービスは他人に教えたくなります。
お客さんがお客さんを呼ぶ口コミが生まれます。
そうなると、ビジネスの成長が加速します。
口コミを呼ぶのは、価値を感じる商品やサービスしかありません。
口コミをする人は、本当にいいものを人に教えないと、信用にかかわるからです。
「強いコンセプト」と「大きな価値を提供」が商品設計の必須条件です。
価格設計
商品やサービスの価格です。
価格を決定する方法は、ターゲットと市場でのポジショニングから決めます。
富裕層向けの商品なら高価格帯、一般消費者向けなら購入しやすい価格帯に設定します。
価格を決定する過程では、
- お客さんが購入してくれる価格なのか
- 競合他社の価格に比べて優位性があるのか
- 利益はどれくらい得られるのか
などを慎重に検討する必要があります。
流通チャネル・販路設計
商品と価格が決まれば、どの経路で販売するのか設計します。
販売する場所はいろいろあります。
- 自社店舗
- コンビニ
- 百貨店
- ディスカウントストア
- 商社、卸業者
- 自社ネットショップ
- Amazon、楽天、Yahooなどのオンラインショッピングモール
- オークション
- マッチングサービス
- SNSで直接販売
など、オンライン・オフラインで多岐に渡ります。
流通チャネル・販路を設計する上で重要なポイントは、
- ターゲット、欲しい人に商品やサービスを届けることができる
- より多くのターゲットの目に触れる機会を最大化できる
ことです。
高い価格帯の商品を取り扱っている場合は、コンビニは対象外ですし、ディスカウントストアではブランドを傷つけることになるかもしれません。
高級品は、ネットではなく、店舗で実際に手に取って見たいかもしれません。
安い価格帯だと、そもそも百貨店は取り扱ってくれないかもしれませんし、スーパーやディスカウントストアがいいでしょう。
このように、ターゲットと商品・サービスをマッチングさせる適切な場所を設定することが重要です。
プロモーション設計
商品・サービスを開発し、価格も決定し、流通・販売経路も用意したら、最後は、いかに商品・サービスをターゲット層に認知してもらうかということです。
いくらよい商品やサービスを開発しても、お客さんが知らなかったら意味がありませんし、認知されたとしても購入してもらわなければ会社は存続することができません。
プロモーションの目的は、
- ターゲット層に商品やサービスを知ってもらい、価値を伝えること
- 商品やサービスが欲しいという気持ちを作ること
です。
商品やサービスをプロモーションする方法は、
- 広告
- 自社サイトやSNS
- テレビや新聞、雑誌などの信頼性が高いメディア
などがあります。
流通チャンネル・販路設計では、商品をどういう経路でターゲット層に届けるのかを考えますが、プロモーション設計では、情報をどういう経路でターゲット層に届けるのかを考えます。
4Pのそれぞれの要素が密接に連動させる
4Pの要素である
- Product(商品・サービス)
- Price(価格)
- Place(流通チャネル・販路)
- Promotion(広告・販促・PR)
は、それぞれ独立して考えるのではなく、密接に連動させて設計しないといけません。
しかし、企業によっては、マーケティング部門はプロモーションしか担当していないケースもよくあります。
たとえば、商品は商品開発部門、価格は商品開発や財務部門、販路は営業部門が主導で決めている場合があります。
本来、マーケティングというのはビジネス全体を対象とした活動であり、一貫した戦略のもと、この4Pの要素の整合性がとられていなければなりません。
4Pの整合性にズレがあると、うまくターゲット層に届かず本来得るべきはずの認知が得られなかったり、業務の無駄が発生することになります。
このように4Pのフレームワークを活用することで、お客さんに価値を提供し、ビジネスを成長させるマーケティングプランを立てることができます。
消費者目線の4C分析
4P分析から立てたマーケティング施策を顧客視点で整理し直したのが、4C分析です。
4Cの要素は4Pそれぞれの要素に対応しています。
- Product(商品・サービス)→ Customer Value(顧客にとっての価値)
- Price(価格) → Customer Cost(顧客が負担するコスト)
- Place(流通チャネル・販路) → Convenience(利便性)
- Promotion(広告・販促・PR) → Communication(コミュニケーション)
それぞれの要素の分析する内容は同じですが、顧客視点を取り入れることで、より深みのあるマーケティング施策を立てることができるでしょう。
顧客にとっての価値
たとえば、あなたがネットショップを運営しているとすると、顧客にとっての価値は
- 品揃えが多い
- 他では買えないレアな商品が揃っている
など、ターゲットに価値を感じてもらえる商品ラインナップが必要になります。
顧客が負担するコスト
ネットショップでは、消費者は複数のサイトの価格を比較して購入するので、価格設定を高くするとすぐに他のネットショップに移動してしまいます。
たとえば、
- タイムセールを仕掛けたり
- クーポンを発行する
- ポイントサービス
- 送料を負担
など、商品価格以外でもお客さんから選ばれるコスト要素を用意しておく必要があります。
利便性
ネットショップでは、いつでも、どこでも、気軽に買えることが必要です。
たとえば、
- 24時間365日稼働していたり
- スマホでも画面が見やすく
- 商品が探しやすく選びやすかったり
- 面倒な入力をできるだけ少なくする支援機能を充実
- 決済はワンクリック
- すぐに商品を届けれくれる
- お届け時間帯を細かく指定できる
など、お客さんの行動にストレスを感じさせない設計をすることが大切です。
コミュニケーション
プロモーション設計では、情報をターゲット層に伝える手段を主に洗い出しましたが、お客さんの問題を解決したり、役に立つ情報を発信することが大切です。
たとえば、
- QAサイトを充実させる
- LINEで気軽に質問や問い合わせができる
- ブログやSNSでお得な情報を発信する
- SNSやサロンなどでお客さん同士でコミュニケーションできる場を作る
など、ストレスなく必要な情報にアクセスできることが必要です。
また、商品やサービスに直接関係なくても、ターゲット層の悩みを解決するようなノウハウを提供することは、お客さんとの関係づくりに役立ちます。
4P、4C分析でマーケティング施策の曖昧さや漏れを無くす
マーケティング施策を立てる時に、この4P、4C分析のフレームワークを使うことで、曖昧さや漏れがなくなり、より精度が高いプランを作ることができます。
もちろん、ビジネスはやってみないと成功するかどうかは分からないので、状況に応じて戦略を変えたり、改善していかなければなりません。
その時に、どういう結果が出たから、どうマーケティング施策を変えたのか、記録し、把握しておかなければなりません。
マーケティング施策が不十分で、行き当たりばったりで対応していては、何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか、組織としてノウハウが溜まっていきません。
これだど、苦しい時期が来たときに、どうしていいのか分からなくなります。
なので、プランを立てる、プランの精度を上げる、施策を実行し、結果を分析し、改善することがビジネスを成功させるために必要な行動です。
まずは、しっかりしたマーケティングプランを立てましょう。