オプション取引は、トレードをされている方でも非常にとっつきにくい分野かもしれません。
しかし、一度仕組みを理解してしまうと、これほど稼ぐことができるトレード方法はありません。
相場が上がっている時、相場が下がっているとき、相場が横ばいの時でも稼ぐことができるのが、オプション取引の魅力です。
今回は、オプション取引の中でも日経225のオプション取引について解説し、稼ぐためのトレード手法をご紹介していきます。
オプション取引とは
- 将来の予め定められた期日に
- 特定の商品(原資産)を
- 現時点で取り決めた価格で売買する「権利」
の取引です。
日経先物オプションとは?
- 日経平均株価指数を
- あらかじめ定められた期日に
- あらかじめ定められた価格で
- 買う権利、もしくは売る権利
日経平均株価指数とは、東証1部上場企業のうち、市場を代表する複数の株価をひとくくりし、指数化したものです。
あらかじめ約束された期日を「限月」と言い、8月に期日がある場合、そのオプションを8月限と言います。
期日は、各月の第2木曜日です。
約束された価格のことを権利行使価格と言います。
日経平均の終値を基に、125円刻みで権利行使価格が設定されています。
オプション取引は2つの種類があります。
コール・オプション = 買うことができる権利
プット・オプション = 売ることができる権利
オプション取引のプレミアムとは?
オプション取引とは権利を売買するということです。
オプションも株式や先物と同様、売り手と買い手の受給に応じて価格が変化します。
オプション取引の価格は、オプション価格またはプレミアムと呼ばれます。
プレミアムは、「本質的価値+時間的価値」から成り立っています。
それぞれの価値について解説していきます。
本質的価値
本質的価値とは、原資産価格と権利行使価格の差です。
日経225が11,000円で、「10,500円(権利行使価格)-コール(買う権利)」のプレミアムが600円だとします。
この場合の本質的価値は、原資産11,000円-権利行使価格10,500円=500円ということになります。
したがって、残りの100円が時間的価値ということになります。
時間的価値
時間的価値は、時間とともに減少します。
つまり、期日までの残存期間が長いほど時間的価値は高くなる傾向にあり、残存期間が短いほうがプレミアムは安くなります。
オプション満期日に比例して減少するのではなく、残存日数が7日以下になると、時間価値が急激に減少します。
時間価値とは期待料であり、いずれ消失する価値です。
期待度とは、コールの場合は、原資産価格が上昇する、プットの場合は、原資産が下落し、時間価値が本質的価値に変わるという期待です。
期待度はボラティリティ(予想変動率)によって測ることができます。
ボラティリティが高いほど時間的価値は高くなる傾向にあります。
ボラティリティが低水準の場合、オプション買い。
ボラティリティが高水準の場合、オプション売りが基本戦略になります。
プレミアムが決まる要素をまとめると以下のようになります。
- 原市場の価格水準
- 残存期間 オプション期日までの日数
- 権利行使価格の位置(ITM、ATM、OTM)
- IV 予想変動率
権利行使価格の位置
権利行使価格と日経平均価格の位置によって、呼び名があります。
イン・ザ・マネー(ITM):現時点で利益が出ている状態
(コール:権利行使価格<日経平均株価、プット:権利行使価格>日経平均株価)
アウト・オブ・ザ・マネー(OTM):利益にならない状態
(コール:権利行使価格>日経平均株価、プット:権利行使価格<日経平均株価)
アット・ザ・マネー(ATM):損益が発生しない状態、もしくは現在の日経平均株価水準と一番近い権利行使価格
(権利行使価格≒日経平均株価)
IV 予想変動率
デルタとは、原資産の価格変動に対するプレミアムの変動率です。
日経225の価格が11,000円で、「11000-コール」のプレミアムが500円とします。
日経225が11,000円から11,500円と上昇したとします。
このとき、「11000-コール」のデルタが0.5であったとすると、プレミアムは500円×0.5=250円上昇し、プレミアムは750円になります。
日経225オプション取引の準備
日経225のチャート
オプション取引を仕掛けるには、チャートの見方が分からなければ始まりません。
コールかプットか?
権利行使価格は?
売買タイミングは?
損切ラインは?
等々、様々な事をチャートとテクニカル分析に基づいて決めます。
ポイントは、
- 長期、中期、短期の動きを見ること
- チャートは過去の動きを表したものに過ぎない
ということを認識して分析することです。
場帳
自分で場帳を作成することで、数字を目で追い比較するため、価格の変化のパターンやリズムが分かります。
また、思考能力の向上につながります。
チャートも有用ですが、分かったつもりになる傾向が強くなります。
オプション投資家にとって場帳は必須です。
記録する内容は、以下の通りです。
- 日経225の日々の価格、IV、プットコールレシオ
- プットコールレシオ プットオプションの出来高をコールオプションの出来高で割った値
- レシオの数値が高い=プットが相対的に多く買われている→相場の先行きに対して弱気
- レシオの数値が低い=コールが相対的に多く買われている→相場の先行きに対して強気
- IVは必ず記入すること
日経225オプション取引の実践
コールオプションの買い
コールの買いを仕掛けるのは、「原資産の価格が今後上昇することを期待」する時です。
しかし、株式投資との違い、時間の制限があります。
たとえば、残存期間が3ヶ月のコールを買ったとすると、株価が3か月以内に上昇しないと取引失敗となります。
オプション取引イメージ1
日経225が11,500円の時、権利行使価格11,500円のコールのプレミアムを25円で購入したとします。
日経225が12,000円に上昇し、権利行使価格11,500円コールのプレミアムが500円に上昇しました。
この場合、株式投資とオプション取引の利益には、大きな差が出ます。
株価は、11,500円から12,000円へ500円上昇で、上昇率は4.35%になります。
プレミアム利益は、投資金額が25×1000=25,000円、プレミアム上昇により500×1000=500,000円で、利益が475,000円となります。
この場合、投資金額25,000円に対して利益率が19倍です。
これが、レバレッジの力です。
オプション買いは損失限定です。
日経225が下落すると、権利行使価格11,500円のプレミアムが0に近づきます。
その場合、最大損失額は、投資金額の25,000円になります。
オプション買いの損失は、最初に支払った購入代金(プレミアム)に限定されます。
オプション取引イメージ2
注文日が6月15日だとして、日経平均の終値が10,000円だとします。
7月限のオプションの権利行使価格が6,000円から14,000円まであり、それぞれの株価に対して取引されているオプション価格(プレミアム)があります。
例えば、7月10日に11,000円で日経平均を買う権利(コール)が、プレミアム100円で取引されていたとします。
コールオプションを6月15日に1枚購入します。
その後、株価が上昇し、7月10日の日経平均株価が、12,000円になった場合、11,000円のコールオプションを持っているので、7月10日に11,000円で日経平均を購入できます。
その場合、株価が12,000円なので、1,000円の儲けが発生します。
そこから、コールオプションの権利100円を差し引いた900円が、トータルの儲けになります。
この場合の注文は、「日経オプションの権利行使価格11,000円のコール、7月限を1枚買う」ということになります。
コールオプションの購入は、株価が値上がりすれば、利益を出すことができます。
反対に株価が7月10日に9,000円までに値下がりした場合、11,000円の購入する権利は行使してもしょうがないので、権利を放棄することになり、コールオプションのプレミアム100円の損になります。
しかし、現物の株売買の場合、10,000円で日経平均を買って、9,000円に値下がりした場合は、1,000円の損失になりますが、コールオプションの買いの場合、株価がいくら下落しようが最大損失はプレミアムの100円のみになります。
このようにオプションの買いは、損失限定、利益は無限大の可能性があります。
コールオプション買いの鉄則
株式市場が極めて短期(1~2ヶ月)に上昇する材料があるとき
プットオプションの買い
プットの買いを仕掛けるのは、コールとは逆に原資産の価格が今後下落することを期待する時です。
プットへの投資は、カラ売りと同じです。
オプション取引イメージ1
日経225が11,000円の時、権利行使価格10,500円のプットのプレミアムを35円で購入したとします。
日経225が10,800円に下落し、権利行使価格10,500円のプットのプレミアムが55円に上昇しました。
この時のプレミアム利益は、投資金額が35×1000=35,000円、プレミアム上昇により55×1000=55,000円で、利益が20,000円となります。
オプション買いは損失限定です。
日経225が上昇すると、権利行使価格10,500円のプレミアムが0に近づきます。
その場合、最大損失額は、投資金額の35,000円になります。
オプション取引イメージ2
同じく、注文日が6月15日だとして、日経平均の終値が10,000円だとします。
例えば、7月10日に9,000円で日経平均を売る権利(プット)が、プレミアム50円で取引されていたとします。
プットオプションを6月15日に1枚購入したとします。
その後、株価が下落し、日経平均が8,000円になった場合、9,000円のプットオプションをもっているので、7月10日に9,000円で日経平均を売却できます。
そして、8,000円の日経平均を買うと1,000円の儲けになります。
プットオプションの50円を差し引いて、トータル950円の儲けになります。
この場合の注文は、「日経オプションの権利行使価格9,000円のプット、7月限を1枚買う」ということになります。
反対に株価が7月10日に11,000円まで上昇した場合、9,000円で売る権利を行使しても意味が無いので、権利を放棄することになり、プットオプションのプレミアム50円の損になります。
プットオプションの場合は、株価が下落すればするほど、儲けが大きくなり、株価がいくら上昇してもプレミアムの50円のみの損失になります。
このようにプットの買いは、損失限定、利益は株価が値下がりした分だけになります。
日経平均が0円になることは考えられないので、コールオプションとは異なります。
プット買いの鉄則
株式市場が極めて短期(1~2ヶ月)に下落する材料があるとき。
基本的に、相場は上昇速度より、下落速度の方が速い。
できるだけアットに近いアウトの権利行使価格を選択、残存日数が2週間以上が基本です。
日経225オプションの買い戦略・売り戦略
日経225のスプレッド取引
売りと買いの組み合わせた取引をスプレッド取引といいます。
組み合わせの基本形は、以下の5パターンあります。
- クレジット・スプレッド
- デビット・スプレッド
- レシオ・スプレッド
- シンセティック・ポジション
- カレンダー・スプレッド
クレジット・スプレッド
コールの場合、権利行使価格の低いOTM売り、権利行使価格の高いOTM買い
権利行使価格の幅は、500円を基本とします。
売りの受取りプレミアムと買いの支払いプレミアムの差分が利益になります。
日経225の価格:10,000円
10月限 11,000-コール 1枚 売り @130円(受取り)
10月限 11,500-コール 1枚 買い @45円(支払い)
利益 (130-45)×1,000=85,000
損失 (11,500-11,000-130+45)×1,000=415,000
デビット・スプレッド
クレジットスプレッドの逆の仕掛けになります。
コールオプションの場合、ATMもしくはややOTMのコール買い、それより高い権利行使価格のコール売り。買いと売りの比率は1:1
プットオプションの場合、ATMもしくはややOTMのプット買い、それより高い権利行使価格のプット売り。買いと売りの比率は1:1
仕掛けるタイミングは、オプション買いと同じです。
オプション売りは、オプション買いのコストを安くするためです。
日経225の価格:10,500円
10月限 11,000-コール 1枚 買い @345円(支払い)
10月限 11,500-コール 1枚 売り @225円(受取り)
利益 (11,500-11,000+225-345)×1000=380,000
損失 (345-225)×1000=120,000
レシオ・スプレッド
コールのOTMを1枚買う、と同時に、OTMを2枚以上売る
買いと売りの比率は、1:2
損失は限定されていません
仕掛けるタイミングはコールであれば、急上昇した後。
プットであれば、急落した後。
プットより、コールで仕掛けた方が、失敗する確率は低い。
相場は、急落した後、さらに大きく相場が下落することがある。
シンセティック・ポジション
シンセティック・ポジションには、ブルシンセティックとベアシンセティックの2種類あります。
最大のメリットは、相場の方向性をとりながら、単純な買い戦略よりもリスクが小さいことです。
ブルシンセティック
相場上昇予想時に仕掛けます。
コール買いに支払うプレミアムと、プット売りに受け取るプレミアムの差がクレジットになる権利行使価格を選びます。
日経225の価格:11,500円
10月限 12,500-コール 1枚 買い @105円(支払い)
10月限 10,500-プット 1枚 売り @195円(受取り)
ネットの受取りプレミアム90円
ベアシンセティック
相場下落予想時に仕掛けます。
プット買いに支払うプレミアムとコール売りに受け取るプレミアムの差がクレジットになる権利行使価格を選びます。
日経225の価格:11,500円
10月限 12,000-コール 1枚 売り @250円(受取り)
10月限 11,000-プット 1枚 買い @270円(支払い)
ネットの支払いプレミアム20円
ポジションを組む時のポイント
ブルかベアを決める。
相場の上方、下方リスクを考慮して、受取りプレミアムが大きくなるよう権利行使価格を選択する。
利食い、損切りポイントをあらかじめ決めておく。
プットがイン・ザ・マネーになると、大きな損失につながります。
カレンダー・スプレッド
コール、または、プットの異限月間のスプレッド取引
当限のポジションを売り、次限月のポジションを買う
買いのプレミアムが売りのプレミアムより大きい
日経225の価格:11,500円
10月限 12,000-コール 1枚 売り @155円(受取り)
11月限 12,000-コール 1枚 買い @315円(支払い)
ネットの支払いプレミアム160円
時間価値の変化を考慮しなければなりません