ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング

ビジネス

『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』木下 勝寿

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内容

コンセプトワークがきっちりしており、「誰(どんな人)に」「何(どんなこと)を」が明確に決まっていれば、ストレートな表現でもユーザーの心にきっちり刺さる。

 

ユーザーニーズの9段階分類

ユーザーの悩みや痛みが強ければ強いほどそこには強力な対策ニーズが存在すると考えられる。

ユーザーの悩みや痛み起点で考えるために、ユーザー状況を次の9段階で分類する。

①対策の必要性に気づいていない。

②対策の必要性に気づいてはいるが「悩みや痛みは一時的なもの」だと思っている。

③対策の必要性を自覚しているし、悩みや痛みは一時的ではないと思っているが、何も手を打っていない(探してもいない)。

④対策を色々検討し始めている。

⑤対策を色々検討してかなり詳しい状態。

⑥対策の手を打ち始めた(何らかの商品を買った)。

⑦既にお気に入りの対策のための商品があり、満足している。

⑧お気に入りの商品はあるが、「他にもっと良いものはないか」と思っている。

⑨色々使ったが結局満足するものはなかった。

 

商品起点の10段階分類

①(そのジャンルの商品自体を)知らない。

②知っているが、そこまで興味はわかず、使ったことはない。

③知っているが、使いたくないと思っている。

④いつかは使いたいと思っているが、使ったことはない。

⑤以前は使っていたが、今は使っていない(また使うかもしれない)。

⑥以前は使っていたが、今はやめており、今後も使う気はない。

⑦今も使っているが、良いものがあれば乗り換えてもよい。

⑧今も使っているが、可もなく不可もなく、今のところ替える気もない。

⑨今も使っており、満足しているので替える気がない。

⑩そのジャンルの商品が好きで、色々試したい。

 

USP

USPとは「Unique Selling Proposition」の略で「商品やサービスが持っている独自の強み」のことである。

このUSPは主に、大きく4種類に分けられる。

①「他社商品にはない便益を与えられる」or「今までになかった便益を与えられる」

②「他社商品よりも高い便益を与えられる」

③「実績、権威性などの付加価値がある」

④「金銭的お得感がある」

 

USPとは「世の中でうちの商品でしか提供できない価値」のことだ。

USPのないビジネスほどやっていて虚しいものはない。

 

文章

文章を5つのブロックに分ける。

①結論

②否定(会話文)

③肯定

④自分の意見

⑤煽り

 

①結論

「今日はセールのお知らせです」「実は、アッと驚く新製品が誕生したんです」「先日、ご報告した商品が即日完売してしまいました」

②否定

「でも、それっていつもの商品と同じじゃないの?」「その商品だったら、似たようなものがたくさんあるわよ」「そんなに美味しそうに見えないんだけど」

③肯定

「これが今までの商品とは全く違うんです」「120%パワーアップだから使い勝手がバツグンにいいんです」「中身は全く同じですが価格が30%オフなんです」

④自分の意見

「使ってみたらしっくり手になじむんです」「これは絶対持っておきたい一品ですよね」「この商品の開発者には頭が上がらない」

⑤煽り

「これだけ手間と時間をかけた商品は他では絶対に手に入りません」「限定30個しか生産できませんので、今すぐクリックしてください」「セール終了まであと72時間です」

 

ユーザーモデル

①同級生モデル→自分と似たような人

・コピー=「最近、〇〇が気になり始めて使ってます」

・効果=自分と同じような人が使っていることからくる共感、安心感を与える。

・モデル=テレビ通販の愛用者コメントなど。

・効果的な商品=汎用スキンケア、健康食品など。

 

②上級生モデル→憧れている人

・コピー=「私は前からずっと愛用していて、満足しています」

・効果=憧れ、この人が使っているなら間違いなさそう、この人のようになりたい、という感情に訴える。

・モデル=読者モデル、美魔女など。

・効果的な商品=ファッション、メイクアップ商品など。

 

③生徒会長モデル→理想の人

・コピー=「私のお気に入りはこれです」

・効果=理想の人と同じものを使いたい、あの人と同じものを使う自分になりたい、あやかりたい(流石にあの人と同じになれるとは思っていない)。

・モデル=有名女優、モデルなど。

・効果的な商品=有名ブランド品、高級品など。

 

④劣等生モデル→自分より格下で優越感を感じられる人

・コピー=「偏差値35でも合格!」「英語成績1でもペラペラに」「体重120㎏があっという間にスリムに!」

・効果=こんな人でも効果が出ているということは、自分が使ったらもっとすごい効果が出るのではないか?自分なら確実に成果が出るのでは?

・モデル=劣等生的な人。

・効果的な商品=英会話、塾などの教育系、ダイエット商材など。

 

上級生モデル、生徒会長モデルに対する反応に男女の差はないが、その他のモデルの場合、女性は比較的同級生モデルを好み、男性は劣等生モデルを好む傾向がある。

女性は人との関係を「共感」で構築し、男性は「上下関係」で構築するからかもしれない。

 

LP

私の経験上、「最後まで見られるLP」は「文字が少なく短いLP」が多い。

しかし「売れるLP」は「文字が多く、長いLP」が多い。

言い換えると「文字が多く、長いLP」は最後まで見られることが少ない。

ただし、「文字が多く、長いLP」は最後まで見られると購入される率は高い。

このことからわかるように、LPは「たとえ文字が多くて長くても、最後まで見られるように工夫をすべきである」ということだ。

 

ABテスト

ABテストは練りに練ったクリエイティブの中で、どれが最も優れているかを見るものである。

ABテストは「最高のクリエイティブ」が2個以上作れる人のみに許された特権であることを覚えておいてほしい。

 

戦力集中

新しいことを同時にたくさんやると、戦力が分散され、兵站線が伸び切り、成功確率が一気に下がるからである。

優先順位に基づいて、少数に絞り込んで、戦力を集中させるべきなのである。

私が長年ビジネスを行ってきた上で得た教訓は、世の中は「本気」のものしか実を結ばないようにできているということだ。

 

広告

広告の出稿には、

・1クリックいくらで入札するか?

・どういったターゲットに配信するか?

・どういった時間帯に配信するか?

・どういったキャンペーンを組み、どういった機械学習をさせるか?

・通常の配信か、リターゲティングか?

など、様々な設定箇所があるが、実際に出稿した広告の結果を元に、「最も多い顧客獲得件数を最も安い広告費で獲得」できるように調整していくのである。

大体の場合、広告を自社や自分のお金で運用している人は時間単位でチューニングしている。

なぜなら広告費が赤字になると、すぐにストップしなければならないからだ。

朝に入札単価をチューニングして、数時間おきに状況を確認することも普通だ。

 

簡単に言うと、データから傾向を見て直接配信設定を調整するのはデジタルオペレーター。

データから傾向を見て人間行動の仮説を立てて施策の手を打つのがWebマーケッター。

テクニカル運用をやるにはデータの読解力を身につけることが必須なのだ。

 

広告メディア

札幌版は編集長が独自に「本としてのクオリティを維持するためにエステ広告比率は広告全体の50%を超えてはいけない」というルールを決めていたのだ。

息の長いメディアは必ず「ユーザー>広告主」である。

 

マネジメントスキル

具体的に身につけるべきマネジメントスキルは仕組み化、ビジネスモデルの組み立て、教育、教育制度の確立などである。

自分がやっている仕事を要素分解し、仕組み化、マニュアル化し、誰でもできるようにして拡大させる。

これができるようになると、他人の力を活用できるので成果は無限に出せるようになる。

 

マネジメントスキルを身につけず、ずっとプレイヤースキルだけで勝負していると、自分1人のキャパシティ分しか成果は出せないし、経験が資産にならない仕事では、10年経ってもこれが増えない。

つまり、いつまで経っても2~3年目のマーケッターと同じ土俵で戦い続けなければならなくなるのだ。

マネジメントのステージに移らなければ、いずれ老兵になるしかないのである。

まずはプレイヤーとしてトップになろう。

そしてトップになったら、その高いスキルをノウハウ化させるマネジメントスキルを身につけていこう。

 

時価総額1000億円企業の作り方

答えは「ユニットエコノミクス利益」だ。

これは新規獲得人数にもPERにも影響するからだ。

 

超一流のマーケッター

マーケッターが自分でシステムがいじれるのといじれないのとでは生み出せる価値は100倍くらいの差が出る。

 

面白かったポイント

Webマーケッター初心者向けにまとまった内容。

マーケッターにとっては既知の内容が多くて物足りないかも。

しかし、結果を出すには基本ロジックに忠実に実行することが大事だと改めて思う。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆

 

目次

●第0部
「ファンダメンタルズマーケティングとテクニカルマーケティングの概要」
●第1部
「ファンダメンタルズマーケティングの極意」
●第2部
「テクニカルマーケティングの極意」
●第3部
「これからのマーケッターとブランド戦略の行方」

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