マーケティングとは「組織革命」である。

ビジネス

『マーケティングとは「組織革命」である。』森岡 毅

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内容

クライアント企業が抱える課題に対して解決策という「魚」だけではなく、「釣り竿」と「釣り方」という〝ノウハウ〟を移植することで、クライアント企業が持続可能なマーケティング力を体得することを目指します。

 

組織

組織とは「一人一人の能力を引き上げる装置」です。

ある人が、一人でいる時よりも遥かに大きな力を発揮する。

 

組織力とは、個人技とシステム(仕組み)の掛け算だと考えています。

個人技とは文字通り、個々人が持つ能力です。

システムとは、個人の力を機能させる〝組織のさまざまな仕組み〟のことです。

「組織力 =個人技 ×システム」なので、どちらかがゼロであれば組織力はゼロになってしまいます。

 

マーケティング機能、ファイナンス機能、生産マネジメント機能、組織マネジメント機能です。

 

ボトルネック

「部分最適を考える人ばかりで、全体最適を考えて働く人が誰もいない」

これは多くの企業組織にある大問題です。

 

ビジネス組織においては、部位ごとに問題を認識しようとしても、文字通り部分的に終わり、問題の本質を捉えることはできません。

会社にとって必要な機能を発揮するために、一連の〝部位( ≒部門)〟が鎖のように構成されています。

鎖の一部分だけを診ても問題の本質はわかりません。

しかし一連の機能の繋がりとして診れば、ある部分とある部分の相対的な生産性の比較が可能になり、目的に対して組織の生産性を低く制限してしまっている「ボトルネック」が見えてくるのです。

 

「ボトルネックをつくらない」とは、一連の機能の鎖の中で、最終成果を限定しているボトルネックを発見して改善し、どの機能も足を引っ張らずに最終成果を最大に持っていくことです。

裏返して言えば、〝機能の鎖〟を構成している全ての部署や個人が持てる力をフル稼働している状態をつくるということ。

目的が達成された時、最高の結果を出すということは、誰かが余力を残していてはダメです。

 

ボトルネックを見つけては改善することを繰り返し、チーム全体の生産性を圧倒的に引き上げていく、そして個人の能力もそれぞれグイグイと引き上げていく。

それがマネジメントの役割です。

 

企業が誕生してから成長していくにつれて、「経営しやすい大きさ」には転換点が訪れます。

どんどん大きくなるにつれて、大きさの段階に適した社内組織の構造が必要になるのです。

逆に言えば、もしも組織構造を変えないのであれば、今の組織構造で維持可能な範囲で企業成長は止まることになります。

「大きさ」と「構造」には密接な関係があり、「大きさ」は「構造」によって限定されるのです。

 

変革の大原則

その変革の大原則は、パチンコ台の釘(組織システム:構造的な仕掛け)は、自己保存の本質を制御することを念頭に打つこと。

釘の本数も多くの会社で最重要な3本程度に最初は集中する。

その3本とは、「1.売上向上のために人々が好ましい行動を取る確率を上げる釘(マーケティング・システム)」、そして次章で解説する組織マネジメント・システムのサブシステムである「2.組織の重要判断のために人々が好ましい行動を取る確率を上げる釘(意志決定システム)」「3.会社が望む方向へ人々を動機付ける確率を上げる釘(評価報酬システム)」です。

 

目的・戦略

そもそも目的・戦略の効用が何なのかをおさらいしましょう。

目的は組織活動の最上位概念で全ての戦略にとっての至上命題です。

その目的達成のために戦略は作られて、会社の重要な経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報、時間、ブランドなどの知財)を配分する焦点を決めます。

戦略は「やるべきことを決めている」とも言えるのですが、その本質はむしろ「やらないことを決めている」のです。

 

目的達成の道筋となる戦略も全く存在していなかった。

つまりその目的は単なるスローガンにすぎなかった。

会社の体裁のために大言壮語されている(誰も信じていない)目的を掲げている会社も、戦略が無い組織の典型です。

 

〝逆算の階段〟として繋げます。

下から登る階段ではなくて、壁の頂上(魅力的な成功)から階段を一段ずつ下げながら今いる地面まで組み立てるのです。

 

プレファレンス

プレファレンスとは消費者のブランド選択における「相対的な好意度」のことです。

購買行動の際に消費者の頭の中にいくつかあるブランドの相対的な購入確率のことを指します。

市場における一人一人のプレファレンスを束にすると、市場シェア(売上個数別のシェア)に等しくなります。

 

経営資源を消費者のプレファレンスに集中するその能力、消費者プレファレンスを読み解いて会社を勝つ確率が高い焦点に集中させるその働きを、私は「マーケティング」と呼んでいます。

マーケティングは、会社を市場( ≒消費者)にフィットさせ、消費者の頭の中に〝選ばれる必然〟を構築し、売上を中長期的に獲得できるようにします。

我々マーケターは、その〝選ばれる必然〟のことを「ブランド」と呼んでいます。

ブランドは消費者の頭の中に存在して、その相対的な力関係でプレファレンスを決定しているのです。

 

多くの優秀と言われるマーケターがさまざまな会社に単騎で飛び込んでも結果を出せずに苦戦しているのはそのためです。

立てた策を実行できないのです。

良策を立てたとしても、会社トップに策を決断させることができない、あるいは採用しても組織が策通りに動かないから、どちらの場合も結果が出ません。

マーケティングに限ったことではないと思いますが、マーケティングは策を立てるより実行する方が100倍難しいのです。

 

共依存関係

人体組織が当たり前にやってのけているこの行動が実は、企業組織にとっては理想の動きなのです。

目や耳や鼻や皮膚などの「感覚器」が感知した情報が、神経伝達によって大脳などの「中枢神経」に伝わり、そこで適切に判断され、また神経伝達によって筋肉などの「身体部位」に的確な指示が伝わり、身体は判断通りに正確に行動します。

しかも、行動の結果得られた新たな情報も即座にフィードバックされて「感知 判断 行動」のサイクルを瞬時に回します。

これが速い。そしてなめらか。

 

上下関係や優劣で見てしまうと、主導権争いを始めて〝内ゲバ〟が起こります。

皆さんの会社にもありませんか?

営業部vs生産統括部、開発部vsマーケティング部などの対立です。

本当の敵は社外にいるのに、協力して外に立ち向かわないといけないのに、なぜか内側で争う、あるいは争わないための調整や交渉にあまりに多くの時間や労力を浪費している…。

それらは外向きに使えるはずの壮大なエネルギーなのに!

 

コミュニケーション

多くの会社の最大の問題は、人体で言うところの「神経伝達回路」が破壊されてしまっていること。

どれだけ優秀な人材も部門も、組織コミュニケーションが「ボトルネック」になって、その能力を限定されてしまう。

部品交換よりも急いでやらねばならないのは、何が神経伝達回路を破断させているのかという原因特定と、社内コミュニケーションを活性化させる組織改革です。

 

コミュニケーション不全の組織に共通して見られる典型的な現象は、「上下関係の縛り」が激しいことです。

 

この重要な現場に立つ何千人もの仲間達から現場情報をダイレクトに教えてもらうために、入社2年目くらいから社内SNSの「Youpi(ユッピー)」というシステムで繋がることにしたのです。

ほとんど毎日、私自身の日記としてパークの戦略や課題や日常を率直に書いて発信しました。

また、彼ら彼女らからダイレクトにメールをたくさんもらい、一つ残らず返信して対応しました。

ものすごく時間がかかることでしたが、5年以上も最後まで完遂できたのは、彼ら彼女らと自分はプロとして対等だと心底思っていたからです。

対等と思えばこそ意見や情報を傾聴でき、やり取りも楽しく感じることができるのです。

 

会議

会議とは「人を働かせるための儀式」

 

相手に意見を言ったり質問をしたりすることは「攻撃」ではありません。

それぞれの持っている異なる専門性を出し合って、死角を減らしたり、アイデアを出したり、一緒にもっと良いものを創っていくことは全員の利益に通じるのです。

 

アクション・サマリーの目的は「人を動かすこと」です。

事細かな描写などは要りません。

以下の4つの要素だけ入っていればOKです。

❶その会議の目的が何だったのか?

❷そして結論はどうだったのか?

❸結論に至る議論された主な理由は何だったのか?

❹結論に基づき、関係者が次に取るべきアクションの明示(誰が、何を、いつまでにするのか?)

 

評価

相対評価は、評価基準に従って1番から最下位まで序列を付けます。

私がこちらをオススメする理由は、絶対評価を嫌う理由の裏返しです。

正しい競争をドライブすることで、人間の自己保存の本能を逆手に取って、人のポテンシャルを引き出すことができる。

そして、評価区分を一定の割合で強制的に輪切りにしますので、間違いなく評価に「差」をつけることができ、これがアメとなりムチとなること。

 

承認欲求

自己保存の生き物である人間は、自分自身の価値を周囲や共同体に認めてほしいという〝承認欲求〟を誰しもが持っています。

また、どんなに自信満々に見える人間でも、内心は自分自身の価値に外見から窺えるほどの自信はないものです。

ほとんどの人間は、自分の存在価値を実感できる機会や、再確認できる機会を強く求めています。

社会性動物の人間は、常に自分の〝居場所〟を探していると言っても良いでしょう。

 

多くの人が誰かの役に立った時に自然と嬉しい気持ちになるのは、相手がハッピーになったこと自体に対してではなく、深層心理では自分自身の価値を実感できたことで自己保存本能が満たされて喜んでいるとも言えるのではないでしょうか?

自分が有能である、自分は善人である、自分は必要とされている、そう実感できることが自己保存には重要なのです。

その精神的欲求が満たされる時の充足感、幸福感や達成感は、まさに実利系とは比較できないプライスレスな価値を持ちます。

 

スタイル

◎積極型(assertive)

プッシュ・スタイルでも、相手に不必要な強いストレスを発生させず、また相手の意見を聴ける余裕がコントロールされている双方向のものを積極型と言います。

自分の意見、アイデア、提案などを、相手に明確に伝わるように積極的にプッシュします。

相手にとっては、常に当人のポジション(意見や立ち位置)が明確でわかりやすく、さまざまな問題解決の切り口やアイデアを提供してくれるので、ありがたい存在として映ります。

また、自分もプッシュしますが、相手からプッシュされることにも寛容で、お互いの積極性が噛み合った建設的な議論が成立しやすいスタイルです。

 

相手が感じる典型的なインパクトは、前向きで情熱が強い、関心や責任感が強い、協力的、リーダーシップが強い、などです。

プッシュされる側は、気持ち良くプッシュされますし、アイデアや意見をもらえることで視野が広がるメリットを感じます。

なので相手からの好意的なリアクションを引き出しやすく、相手を積極型や反応型のようなコミュニケーションを成功させやすいスタイルにする可能性が高いのです。

 

◎反応型(responsive)

プル・スタイルのうち、相手の考えや意見を引き出す有効な質問やリアクションなどで相手をリードするスタイルを反応型と言います。

相手の話を傾聴する、相手は聴いてくれるからどんどん話す、したがって相手の中にある有用な情報やアイデアを上手に引き出すことができるのです。

典型的な相手へのインパクトは、聴いてもらえた、認めてもらえた、わかってもらえたなど、総じてモティベーションの向上です。

中には、単なる聴き上手を超越した、リーダーシップの究極のスタイルとして昇華している〝術者〟もいます。

 

例えば、部下が何かをプッシュして来た時に、部下の考えをよく聞いて理解した後に、プッシュ・スタイルのように「ああしろ、こうしろ」とは言わない。

優れた反応型のリーダーは、いくつかの適切な質問を投げかけることで、部下自身に改善点や誤りに気付かせて、部下の口から「やるべきこと」として引き出します。

人からやれと言われるよりも、自分で気付いてやると言ったことはモティベーションが全く違います。

優れた反応型は質問するだけで相手の能力を引き出す。

プル・スタイルの真骨頂です。

まるで横綱相撲のように、相手からのプッシュを受け止めても尚、自由自在なのです。

ちなみに反応型と最高に相性が良いのは積極型です。

 

しゃべり続ける相手を止める

小さなテクニックですが、しゃべり続ける相手を止めるためには、相手の名前を連呼することです。

相手が自分の話に夢中になってしゃべり続ける時、「○○さん、○○さん、○○さん…」と相手の目を見てニコニコしながら呼び掛けてみて下さい。

ふと、相手のしゃべりが止まります。驚くほど止まります。

人間は子供の時から〝自分の名前〟を最重要な音情報と認識してきましたから、自分の名前が連呼されると脳の意識がそちらに取られて、他のことを考え続けることができなくなるようです。

 

仮説

最初に仮説を立てて、その結果を検証するために分析することにしかデータの意味はないのです。

 

ビッグデータもAIも、コンピューターは仮説を生み出しません。

結局のところ人間を支援する機能であり、人間が中心であることに変わりはない。

 

消費環境

日本の消費環境は戦後の「メーカーによる合理化の時代」から「流通による合理化の時代」に移り、さらに「消費者による生活の合理化の時代」に入りました。

この時代は価格ではなく、消費者は商品の質に対してお金を払う。

 

挑戦

究極のジャングルだったUSJが安全な動物園に変わったことは、ほとんどの同僚にとっては素晴らしいことでした。

しかし、喰われそうになる瞬間のヒリヒリ感や、自分で喰いたいものを見つけて喰う自由こそが、生きている実感になる野生動物も中にはいます。

安定して、たくさんお金が使えるようになって、楽しくなってしまった、そんな素晴らしいUSJに居続けることは、私にとっては刺激が足りません。

私は脳細胞が暇になると死んでしまいます。

動物園で生きるくらいならジャングルで死にたい!

次の挑戦を求めて旅立つ時がついにやってきました。

 

刀の最大の特徴は、相手先企業様に〝持続可能なマーケティング力〟を構築できることです。

私がいなくなってもUSJが好調を維持できているように、刀がいなくなってもクライアント企業が自力でマーケティングができるように、ノウハウを移植し、組織力も強化します。

通常のコンサルのように「魚」を獲ってくるだけでなく、クライアントに「釣り竿と釣り方」を習得していただくのです。

その〝マーケティング移植〟のためのノウハウを蓄積することを最重要視しています。

 

現在は3タイプの契約メニューを備えています。

刀の専門性を活かしたソリューションを提案する「タイプA」。

刀の持つさまざまなノウハウを相手先企業様に移植しながら企業成長に寄与する「タイプB」。

そして私自身をはじめとするメンバーに経営を一定期間任せていただく「タイプC」。

本質的なソリューションとなる〝タイプB〟の契約が基本メニューとなります。

 

面白かったポイント

マーケッターにとっては憧れの存在である刀。

SNSで流れているようなマーケティングテクニックではなく、本物のマーケティングシステムを構築してきたのだと分かります。

 

社内マーケティングは、社内政治をどう泳ぎ切るのかが明確に言語化されていて、サラリーマン時代を思い出しました。

マーケティングシステムを機能させるには、実行力が必要で、組織を動かす能力が求められます。

私は、大企業で海外会社の組織のプロセスを変革してきたので、うなずくところ多数です。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

目次

【第一部】 組織に熱を込めろ! 〜「ヒト」の力を活かす組織づくりの本質〜
【第二部】 社内マーケティングのススメ 〜「下」から提案を通す魔法のスキル〜

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