本の内容
テクニカル指標
さまざまなテクニカル指標には、それぞれ得意とする値動きがあり、株価がある動きをしたときにその指標を使うと、絶好のポイントで売買サインを出してくれる、という個性がある。
指標の売買サインが「ハズレ」ばかりになるのは、その指標の個性に合わない値動きに入っているという「主張」なのです。
指標の個性を殺さずに、あらゆる場面で有効なサインを出させる方法はないでしょうか。
答えは「ない」です。
要は「適材適所」なのです。
値動きのパターンに合わせて、その状況を最も得意とする指標を使い分ければいいのです。
株価のパターン
株価は、「一定のパターン⇒変化⇒一定のパタ-ン⇒変化⇒一定のパターン」の繰り返しで推移しています。
そのパターンは、「①上下への振れ幅」「②方向」「③勢い」の違いによって形成されます。
「オシレーター系指標」と「トレンド追随型指標」
前者が「振れ幅」のパターンや変化を発見するのが得意な指標で、後者が「方向」を見極めるのが得意な指標になります。
オシレーター系指標
オシレーター系指標は、株価が上下へどれだけ振れているのかを、値動きそのものよりもわかりやすく表現しています。
振れ幅が大きな相場での押し目買い、戻り売りが得意分野です。
逆に不得意なのは、「振れ幅の小さな上昇・下降」でしょう。
とくに、「振れ幅が小さくて、急激な上昇・下降」局面は苦手です。
トレンド追随型指標
トレンド追随型指標は、その多くが相場の小さな振れを無視して、株価が「どちらへ向かっているか」だけを表わすようになっています。
トレンド追随型指標の欠点は、株価が反転するサインが遅れて出ることです。
テクニカル指標において、すべての「ダマシ」を消去するのは不可能。
上昇の途中で株価が高値を更新しなくなったら、
- トレンド追随型指標で売りサインが出るのを待たずに、オシレーター系指標で手仕舞いを考える。
- トレンド追随型指標で買いサインが出ているときに、オシレーター系指標でも買いサインが出たら仕掛ける。
トレンド追随型指標とオシレーター系指標を組み合わせると良い結果を得られます。
株の上昇局面
本格的な上昇局面は、①上昇初期⇒②大きな値幅調整⇒③上昇中期⇒④大きな値幅調整⇒⑤上昇後期(最終段階)の5つの波で作られているのです。
上昇は、初期と後期で勢いが強く、中期で一本調子。
初期段階
上昇の初期段階では、安値圏からの上げの勢いが強い半面、上げ幅が限られる。
このときの市場参加者の買い意欲は、単純に価格が安いから買うという判断なので、一定の値位置まで株価が上昇すると、買い意欲が途端に衰えて、すぐに特定の値段から上がりにくくなってしまいます。
中期段階
上昇の中期段階は、市場参加者がはっきりと本格的な上昇局面を意識していて、まだ十分に上値余地があると考えて積極的になります。
そして、株価の上昇が他の投資家の注目を集め、さらに買い人気が高まります。
最終段階
上昇の最終段階は、中期段階の後に訪れる大幅な調整後の上昇です。
この場面では、上昇の中期段階で買い人気が最大に高まっているときに、大きな値幅調整があり、比較的安い値位置で買い損なっていたと考えている投資家の注目も集めます。
最終段階で極端に勢いが出る場面に限っては、上昇の勢いが非常に強く、上げ方も一本調子になります。
重要な部分なので何度も書きますが、値幅の大きな上昇局面へ入っている場合、それまでの上げが緩やかなときは、必ず勢いの強い上げへと変化します。
最大の利益を引き出したい、というよりも、そこで利益を出さなければ、ほかでは出しようがない、というパターンが、「勢いの強い上げ局面」です。
株価の勢いが非常に強い上昇局面は、何日も続かないからです。
あまりに上昇幅が大きすぎると、市場参加者が効率よく利益を得られたことに満足して、その利益を確保したいという意識が、緩やかな上昇場面よりも強く出てきます。
市場参加者は、株価が下げた後、上昇中期、上昇後期へ向かう可能性があるかどうかを何で判断しているかというと、比較的大きな値幅調整の場面で、下値がしっかりしているかどうかを確認しているのです。
面白かったポイント
テクニカルチャートの基礎を押さえることができる良書です。
これからチャートを読んで投資するなら必読です。
ある程度投資を経験している段階で読んだときは当たり前だと思う内容が多いなとさらっと読んでいたのですが、経験を積んでから読むと理解度の深さや、投資システムの開発で足りない点が見るかるなど非常に有益な情報が得られました。
システムトレードする際のルールの総点検のチェックリストとしても活用できます。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆
目次
序章 テクニカル指標とは何か
第1章 テクニカル指標を“作る側”の意図を探る
第2章 株価の動きには法則がある
第3章 オシレーター系指標を使いこなす
第4章 トレンド追随型指標を使いこなす
第5章 テクニカル指標を組み合わせるコツ