図解 組織開発入門

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『図解 組織開発入門』坪谷邦生

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内容

衰退の原因は「人」に起因しているため、「人」によって回復することも可能です。

 

人事担当者の方にこのビジョナリーカンパニーで最も学んで欲しいのは「誰をバスに乗せるか」です。

まず最初に適切な人をバスを乗せ(採用)、不適切な人をバスから降ろし(代謝)、適切な人をふさわしい席に座らせる(配属)。

これらの人事の動き(リソースフロー)が企業を偉大にするかどうかを決定します。

 

幸せ

幸せには3つあります。

短期の快楽(Pleasure)、没頭の情熱(Passion)、そしてハイアーパーパス(Higher Purpose)です。

短期の快楽とは、ロックスターの最高のライブを味わった後のような気持ちの高揚のことです。

短く長続きしません。

 

没頭の情熱はフロー(Flow)とも呼ばれます。

ポジティブ心理学者のチクセントミハイは「時を忘れるくらい、完全に集中して対象に入り込んでいる精神的な状態」だと定義しています。

 

そしてハイアーパーパスは、大きな意義を感じられる「あなたが生きる目的」です。

長期的なエネルギーを生み出す源となります。

 

個人のハイアーパーパスは、才能・怒り・情熱の3つを観察することで明らかになります。

あなたが友人からよく頼られることは何でしょうか(才能)、怒りや憤りを感じることは何でしょうか(怒り)、やらずにはいられなくなってしまうことは何でしょうか(情熱)。

それらを見つめ仲間と語りあうことで「自分の才能を活かし、情熱を注ぐことができ、意義がある」目的を見つけることができます。

 

ポジティブ心理学などの研究から明らかになった、幸福感を高める5つの習慣をご紹介します。

①合理的楽観の習慣:楽観と悲観の両側面を直視した上で、良くなる未来を選択する習慣です。

ポジティブ心理学者マーティン・セリグマンによれば、営業成績、水泳のタイム、寿命に有意差が出るそうです。

 

②感謝の習慣:感謝を表す習慣です。

感謝の研究者ロバート・エモンズによると、世の中の60%の人は、年に1回程度しか仕事で感謝を表すことがないそうです。

しかし感謝の日記をつけると、将来の楽観性、幸福度、身体的疾患、運動量などに顕著な好影響があります。

 

③利他の習慣:善意をもって、他に手を差し伸べる習慣です。

組織心理学者アダム・グラントは、利他精神が長期的には成功につながるという興味深い研究結果を残しています。

 

④フローの習慣:没頭状態に入る習慣です。

心理学者チクセントミハイはフローの4条件をこう提示しています「タスクが挑戦的」「挑戦に必要なスキルがある」「フィードバックがすぐにある」「気を散らすものがなく集中できている」。

 

⑤マインドフルネスの習慣:あらゆる事柄に判断をいれず、今ここに集中できる状態に入る習慣です。

マリアンナ・クラットらの研究によれば、8週間取り入れたグループは39%ストレスが減少し、日中の眠気も35%低いという研究結果があります。

また脳の研究でも学習、記憶、共感で良い効果が見られました。

 

デリバリング・ハピネスでは、やる気を高めるために3つのハピネスレバー「進歩の感覚」「つながりの感覚」「コントロールの感覚」を日常的に感じられる環境ときっかけを作ることに注力します。

 

心理学的経営では「若者を仕事に駆り立てる」動機付けの条件を3つあげています。

1つ目は挫折や自信喪失などの葛藤を乗り越えて「自分はできる!」と効力感を得ること。

2つ目は裁量が大きく責任を伴って「自分で決める!」と思えること(自己決定性)。

3つ目は努力・苦労・成果を「認められている!」と心理的充足と情緒的安定を得ること(社会的承認性)。

 

働く人の満足は「仕事そのもの」からしか生まれません(動機付け要因)。

一方、仕事の「環境」は不足すると「不満」になりますが、多くても満足とはなりません(衛生要因)。

また、ハックマンとオルダムの「職務設計の中核五次元」によれば、自らやりたくなる仕事の要件は「スキル多様性」「仕事の完結性」「仕事の重要性」「自律性」「フィードバック」です。

 

持続的イノベーションを起こし続ける

何が善かを判断する:ワイズリーダーは何が「善」かを判断する習慣を身につけています。

創業者は共通善を「生き方」とすること、そしてその率先垂範を見ながら、現場の社員は「いま・ここ」で判断し行動する、これを習慣としていくのです。

その能力を育むためには

①逆境や失敗の経験、

②あくなき卓越の追求、

③リベラルアーツを学ぶ、

④価値観や倫理観の原則を共有する、

という4つの方法があります。

 

本質をつかむ:ワイズリーダーは本質を素早くつかみ、出来事や人の真の性質を見抜きます。

その能力を育むためには

①徹底的に問う、

②木と森を見る、

③仮説を立て試し検証する、

という3つの方法があります。

 

「場」を創造する:ワイズリーダーは、経営幹部や社員が互いに学び合い、新しい知識を共同で創造できるよう、相互交流の機会を作っています。

その能力を育むためには

①垣根を作らない、

②タイミングを見計らう、

③セレンディピティを引き出す、

④本音で話す、

⑤共通の目的意識を育む、

⑥コミットメントの範を示す、

という6つの方法があります。

 

本質を伝える:ワイズリーダーは、レトリック・メタファー・物語を使い、伝わる言葉で本質を届けます。

その能力を育むためには

①小説をたくさん読む、

②感動的なスピーチを聞く、

③率直な会話を交わす、

④歴史を再構築する、

という 4つの方法があります。

 

政治力を行使する:ワイズリーダーは、善なる目的に向けて、あらゆる手段を使って人を動かします。

その能力を育むためには

①弁証法の利用、

②ミドルアップダウンマネジメントの適用、

③肯定的な反抗を奨励する、

という3つの方法があります。

 

社員の実践知を育む:ワイズリーダーは、自律分散型リーダーシップによって組織のあらゆる層の人々の実践知を育みます。

その能力を育むためには

①現代版の徒弟制度、

②全員経営、

③ジャズのような即興、

④ダイナミックなネットワーク型組織、

という 4つの方法があります。

 

面白かったポイント

組織やコミュニケーションに関するフレームワークをざっと一通り目を通すことができる本。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆

 

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