ビジョナリー・カンパニーZERO

ビジネス

『ビジョナリー・カンパニーZERO』ジム・コリンズ

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内容

人間関係

「すばらしい人間関係を見分ける方法はあるのですか」

「2人に『この関係でどちらのほうが得をしているのか』を聞いて、両方が『自分』と答えるかどうかだ」

 

最高の人材

ピクサーの土台にあるのは「社運を賭けるべき最高のストーリーは何か」ではなく、「社運を賭けるべき最高の人材は誰か」から出発するという発想だ。

最高のアイデアを間違った人材に任せると駄作になる。

だが間違ったアイデアを最高の人材に与えれば傑作に仕上がる。

 

徹底的に追跡すべき指標、偉大になれるかどうかのカギを握る指標とはバスの重要な座席のうち、そこにふさわしい人材で埋まっている割合だ。

あなたの会社の主要なポストのうち、そこにふさわしい人物で埋まっている割合はどれくらいか。

答えが90%未満なら、あなたの会社の最重要課題が判明したことになる。

真に偉大な企業をつくるには、常に重要ポストの90%がふさわしい人材で埋まっているように努力しなければならない。

 

重要ポストとは

  1. 人材にかかわる重要な意思決定をする権限がある。
  2. この職務での失敗は、会社全体に重大なリスクあるいは大惨事を引き起こす可能性がある。
  3. この職務での成功は、会社の成功にきわめて大きな影響を与える可能性がある。

 

常に「どうすればもっとうまくできただろう。どこが間違っていたのか」と自問する人は、成長できる。

常に窓を指し、言い訳をしたり問題を他人のせいにしたりする人の成長は止まる。

 

そこでベイカーは最高の人材を採用し、団結したチームにまとめる方法を「学んだ」。

文化は戦略を支えるだけでなく、文化こそが戦略であると「学んだ」。

採用する際には優秀さや経験だけでなく、価値観や性格を重視することを「学んだ」。

仕事を任せる方法とタイミング、任せてはいけないタイミングを「学んだ」。

現場に企業文化を浸透させる責任をユニットリーダーに課すことを「学んだ」。

短期的利益を犠牲にしても、長期的に偉大な企業へと近づくための賢明な意思決定をする方法を「学んだ」。

問題が起きたとき、冷静さを保ち、社員をコントロールしようとする衝動を抑えるすべを「学んだ」。

会社の存亡にかかわる危機に直面したときには、会社外に知的および感情的に多くを学べるメンターを求めることを「学んだ」。

 

「会社が危機に陥ったとき、私は内にこもらず外に出て、できるだけ多くの専門家から最良のアドバイスを得ようとした」とのちに振り返っている。

「不確実で混沌とした状況では、人は衝動的に内にこもろうとするものだが、意識的にその逆をした。それが私の学習と成長に大きな意味があった」。

 

経営者

私たちの研究では、時代を超える偉大な企業を育てた経営者の平均在職期間は3年ではなく30年に近い。

 

あなたには自分のユニット、組織、企業、目的の実現に求められるリーダーに成長するために、あらゆる努力する覚悟はあるだろうか。

会社の規模が2倍、5倍、10倍に増えていくのに合わせて、リーダーシップ能力を2倍、5倍、10倍に高めていく意思はあるか。

自らのリーダーシップをバージョン1.0から2.0、3.0へと成熟させていく意思はあるか。

 

採用

「幸運な出会い」を求めるとは、常に自分は採用活動をしているのだという意識を持ち、どこにいても周囲にすばらしい才能の持ち主が潜んでいるのではないかと目を光らせることだ。

「幸運な出会い」はいつ訪れるかわからないが、人生に何度も起こることは確かだ。

あらゆることを「幸運な出会い」というレンズでとらえなおすと、つまり幸運な「出来事」を「出会い」という視点で見直すと、幸運な出会いに気づきやすくなる。

 

私の生き方を大きく変えたのが「まず目的を選ぶ」から「まず人を選ぶ」への発想の転換だ。

何かを成し遂げること自体にそれほど意味はなく、満足感は長続きしない。

だが正しい仲間と協力しながら何かを成し遂げようと努力する過程には、途方もない満足感がある。

あなたがやりがいのある仕事に打ち込み、成果を挙げているのなら、とても恵まれている。

やりがいのある仕事に大切な仲間とともに打ち込んでいるのなら、それ以上の幸運はなかなか望めない。

 

まだちっぽけなスタートアップ企業だったころから、3人は最高の人材を見つけること、獲得すること、育てることに全力で取り組んできた。

特定のスキルがあるから、空席があるから、特定の目標があるから、あるいは市場機会があるから、といった理由で人材を採用することはなかった。

 

3人は順序を逆転させた。

とてつもなく意欲のある人材で企業というマシンをいっぱいにすれば、成長の好循環が始まると信じて行動したのだ。

まず最高の人材を集める。

それから何か大きな仕事を与える。

大きな仕事を選ぶほど、さらに最高の人材が必要になる。

するとさらに大きな仕事が必要になり、さらに多くの最高の人材を獲得する。

今度はそれ以上無理というぐらい大きな仕事が必要になる。

それを何度も何度も繰り返す。

成長力の魔法が解けないように、決して止まらず、決してスピードを緩めない。

 

「この分野で最高の人材と、最高の仕事をしたかったからだ」

 

ブートキャンプの目的はもっとも強靭な隊員を見つけることだと誤解されがちだが、実際は違う。

本当の目的は最強の隊員を見つけることではなく、極度のプレッシャーにさらされた時に周囲を助けるより自分のことを優先するような人材を排除することだ。

 

私たちが最大限の力を出し切ろうとするのは、仲間を成功させるには自分が成功しなければならない、仲間をがっかりさせたくないと思うときだ。

 

リーダーシップ

「リーダーシップとは、部下にやらなければならないことをやりたいと思わせる技術である」

この定義には重要な点が3つある。

第1に、やらなければならないことを見極めるのはリーダーの役目だ。

自らの洞察力や本能に頼ることもあるが、正しい人々との対話や議論を通じて見極めることのほうが多いだろう。

ただどのようなやり方を採るにせよ、明確な答えを出す必要がある。

第2に、重要なのはやらなければいけないことをやらせることではなく、やりたいと思わせることだ。

第3に、リーダーシップとは「サイエンス」ではなく「アート」だ。

 

あなたの会社で働く人は、あなたの行動に驚くほど影響を受ける。

会社のリーダーは親や教師のようなものなので、社員はあなたが示す模範に従おうとする。

あなたの行動が社員の行動にどれほど影響を与えるか、過小評価してはならない。

話し方、意思決定のスタイル、ふるまいなどの特徴を、社員がマネするようになる。

それが権力への自然な反応だ。

社員は必ずあなたを模倣するようになる。

あなたの会社にヒエラルキーがなくても、あなたはやはり権力者と見られ、周囲はそんな反応をするだろう。

だからあなたは理想とする文化のロールモデルにならなければいけない。

 

「良い」から「偉大」への飛躍を実現するリーダーシップの「Xファクター」を発見した。

第5水準の原則だ。

第5水準とは、第1水準(個人的スキル)から第2水準(チームワークのスキル)、第3水準(管理スキル)、第4水準(リーダーシップスキル)と徐々に高まっていく能力のヒエラルキーの最上位にあたる。

第5水準のリーダーは第1水準から第4水準までのすべてのスキルを駆使して、個人を超越する大義のために尽くす。

そして謙虚さと不屈の意思という矛盾するような性質を併せ持っている。

 

第5水準のリーダーは野心的だ。

一心不乱に、とりつかれたように、それ以外は何も目に入らないかのように、たゆみなく全精力を注ぐ。

ただその野心は自分を利するためのものではなく、なによりもまず大義のため、会社のため、目的のために向けられる。

 

何もしないのは安心に思えるかもしれない。

すぐにリスクに直面するわけではないからだ。

しかし足を止めることが許されない中小企業の世界では、それは大失敗につながることが多い。

差し迫った問題があるなら、決断を下し、なんとかやっていくしかない。

判断をしないことは往々にして、誤った判断を下すより悪い結果につながる。

問題と正面から向き合おう。

コーナーに追い詰められて選択肢がなくなる前に攻撃に出よう。

判断を誤ったら、仕方ない。

結果はすぐにはね返ってくる。

頭をゴツンと殴られたら、すぐに解決に向けて動き出せる。

 

人は上から押し付けられた判断より、自分が決定にかかわった判断のほうが真剣に取り組む。

もちろん集団的プロセスのほうが時間はかかるが、決まったことはより迅速に、そしてきちんと遂行されるだろう。

そして最終的に重要なのは意思決定そのものではなく、そこから生まれる行動だ。

意思決定を事後的に受け入れさせる方が、最初からプロセスに関与させるより時間がかかることも頭に入れておこう。

 

「最初にやるべきことをやり、2番目以降は一切やるな。さもなければ何もできずに終わる」ピーター・ドラッカー

有能なリーダーは集中する。

優先課題を最小限に絞り、脇目もふらずに専念する。

すべてをやれる人間はいない。

偉大な企業を目指す組織も同じことだ。

 

懸命に働け。

1分1秒を無駄にするな。

そして働く時間を減らせ。

勤務時間の半分を無駄にしている者もいるのだから。

 

一つひとつの人との関わりを、長期的な関係を構築し、発展させる機会ととらえよう。

それは人間味がなければできないことだ。

平凡で堅苦しいメモを渡しても、社員との関係は深まらない。

もっと個人的に関与することで、初めて関係を構築できる。

 

自席を離れ、社内で何が起きているのか自分の目で見なければいけない。

現場に行って社員と話すべきだ。

社員の話に耳を傾け、姿を見せよう。

業務連絡のメモを一方的に送り付けるなど、社員との間に壁をつくってはならない。

 

社員に質問する代わりに指示を出すようになる。

現場で何が起きているか自分の目で確かめに行く代わりに、報告を求めるようになる。

現場にもっとも近い社員からブリーフィングを聞く代わりに、中間管理職からフィルタリングされた情報を得ようとする。

 

創業した企業を歴史に残る偉大な企業へと育てた起業家は、たいてい現場主義とエンパワーメント型の両方のスタイルを実践していた。

会社の規模がどれほど大きくなっても、社員との強い絆を保ち、現場で何が起きているかを常に意識し、戦略的課題には直接関与した。

戦術的な細々とした問題への飽くなき好奇心を失い、社員やその気持ちへの興味を失い、居心地のよい幹部専用の執務室にこもるようになったら、気付いたら会社が衰退と自滅へ悪循環に陥っているかもしれない。

 

企業での有効なリーダーシップの要素のうち、もっとも活用されていないものをひとつ選ぶなら、フィードバックだ。

それも「ポジティブな」フィードバックだ。

ポジティブな自己イメージがあるとパフォーマンスがよくなるのが人間だ。

心理学のさまざまな実験では、パフォーマンスはどのようなフィードバックを受けるかによって改善したり低下したりすることがわかっている。

ポジティブなフィードバックはパフォーマンスを改善する一方、ネガティブなフィードバックはパフォーマンスを低下させる傾向がある。

 

社員に困難を与え、高い期待を示すと、ポジティブなフィードバックと同じようにパフォーマンスの改善につながりやすい。

優秀な教師は、生徒はたいてい困難な課題に挑戦したい、高い期待に応えたいという意欲を持っていることをわかっている。

 

自発的姿勢を促す。

社員には何かあったらすぐに集まり、問題に取り組むことを奨励する。

自然発生的で形式ばらないミーティングは、コミュニケーション手段としてきわめて有効だ。

 

自分の体と心と精神を大切にしよう。

十分な睡眠をとり、健康を維持しよう。

運動し、気晴らしをし、読書をし、おもしろい人たちと会話しよう。

新しいアイデアに触れよう。

ひとりきりで心がすっきりする活動をしてみよう。

 

自分に新しい課題を与えよう。

あなた自身がひとりの人間として生気にあふれ、ワクワクし、成長し、元気はつらつとしているために、必要なことはなんでもやってみよう。

 

また自分のしていることが好きである、というのは必須だ。

小規模な会社の有能なリーダーで、自分の仕事を楽しんでいないという人は、まずお目にかかったことがない。

楽しくないことをしていると、いずれエネルギーレベルが下がり、燃え尽きてしまう。

 

最後に、高いエネルギーレベルを維持する最高の方法のひとつが、常に「変化」することだ。

新しいことを試し、新しいプロジェクトに首を突っ込み、仕事のやり方を変え、実験してみよう。

常に新鮮な気持ちでいられるように、できることはなんでもやってみよう。

変化すると、エネルギーを消耗してしまうと思う人もいるだろう。

これまでどおりのやり方をしているほうが楽ではないか、と。

ここで非常に重要な真実を指摘しておこう。

確かに変化はエネルギーを消耗する。

しかしそれ以上のエネルギーを生み出すのだ。

 

偉大な企業の顕著な特徴のひとつが、変化し、改善し、新しいことに挑戦するのを決してやめないことだ。

偉大な企業は決してゴールに到着しない。

もうこれで十分、とは決して思わない。

偉大な企業という目的地があるわけではない。

それはひたすら成長と改善を積み重ねていく、長く困難で苦しい道のりだ。

 

偉大な企業はいったん高みに上り詰めると、新たな課題、リスク、冒険、さらに高い基準を探す。

成功すれば祝い、味わい、楽しむが、それも終わることのない長い旅路の、束の間の休息に過ぎない。

 

前に進み続けよう。

ひとつの試みが失敗したら、別のことに挑戦しよう。

修正し、試し、実行に移す。

調整し、動き、行動する。

 

ビジョン

金儲けのためにビジョンは要らない。

ビジョンがなくても儲かる企業は間違いなくつくれる。

説得力のあるビジョンがなくても、大金持ちになった人はたくさんいる。

だがあなたが金儲けだけが目的ではない、時代を超えて存続する偉大な企業をつくりたいなら、ビジョンが必要だ。

 

「小さな会社であり続ける」「働く人の私生活も大切にしながら、小さくても収益力のある幸せな会社になる」という明確なビジョン。

 

戦略

戦略とはビジョンに到達するための「ルート」だ。

「目的地」を説明できなければ、そこに到達する方法などわかるはずもない。

 

パーパス

パーパスのきわめて重要な特徴が、常に実現に向けて努力する目標であるものの、決して完全に実現されることはないという点だ。

地平線、あるいは道しるべとなる星を追いかけるようなものだ。

 

ミッション

決して実現されることのないパーパスと違い、ミッションは実現可能だ。

バリューやパーパスを、有人月探査計画のような人々を勇気づける明確な目標に落とし込んだものがミッションだ。

ミッションは簡潔で、明快で、野心的で、気持ちを高揚させる。

人々の心に届き、揺さぶる。

説明はほとんど要らない。聞けばわかる。

ミッションが完遂されたら、再びパーパスに立ち返って新たなミッションを設定する。

 

コアバリューと理念

変化することはない。

パーパス

100年は変化しない。

ミッション

ひとつのミッションが完了し、新たなミッションを設定するたびに変化する(通常は10~25年ごと)

戦略

毎年見直し、新たなミッションが設定されるたびに1から作り直す。

戦術

状況変化に対応するため、常に変化する。

 

初期に失敗や不運を克服し、その経験から真摯に学べば、持続的成功に必要な能力を身につけられる可能性が高い。

長期的に見れば、1回だけメガヒットに恵まれるより、創業初期に失敗を経験し、システマチックにイノベーションを生み出す方法を学んだ方がいい。

 

偉大な企業を作るための地図

規律ある人材がいれば、ヒエラルキーは要らない。

規律ある思考ができれば、煩雑なルールや手続きは要らない。

規律ある行動ができれば、過剰な統制は不要だ。

規律の文化が起業家精神と組み合わされば、組織は偉大な成果の実現に突き進んでいく。

 

押しも押されもしない偉大で永続性のある企業をつくる第5水準のリーダーは、まず「誰を(人材)」を考え、その後に「何を(目標)」を考える。

最初に正しい人材をバスに乗せ(そして誤った人材をバスから降ろし)、それからどこに向かうかを決めるのだ。

混乱、激動、破壊、不確実性のただ中にあり、次に何が起こるか予測できない状況では、何が起ころうとも適応し、最高の成果を出せる規律ある人材をバスいっぱい確保しておくことが最善の「戦略」となる。

 

企業が追跡すべきもっとも重要な指標は、売上高や利益、資本収益率やキャッシュフローではない。

バスの重要な座席のうち、そこにふさわしい人材で埋まっている割合だ。

適切な人材を確保できるかにすべてがかかっている。

 

ハリネズミの概念

  1. 情熱をもって取り組めるもの
  2. 自社が世界一になれる分野
  3. 経済的競争力を強化するもの

という3つの円が重なる部分をしっかりと理解することから生まれる、単純明快な自己認識だ。

 

あなたの会社を取り巻く固有の環境において弾み車の勢いを高めていく方法を理解し、クリエイティビティと規律をもって実践すれば、戦略的効果が積み重なっていく。

次々と優れた意思決定を積み重ね、完璧に遂行し、積み重ねる。

一つひとつの回転は、それまでの努力の上に成り立っている。

 

ブレイクスルーに到達する勢いを手に入れるためには、弾み車のすべての構成要素を徹底した規律をもって遂行しなければならない。

「20マイル行進」という徹底した規律にかかわるきわめて強力な原則を示した。

20マイル行進を実践するとは、パフォーマンス基準を設定し、それを妥協のない一貫性をもって達成し続けることだ。

それは広大な大陸を日々最低でも20マイル歩き続けることによって横断するようなものだ。

 

戦略

効果的戦略を策定するための4つの基本原則戦略を策定するとき、頭に入れておくべき重要な原則は4つある。

 

戦略はあなたのビジョンに直結するものでなければならない。

そもそもあなたが何をしようとしているかがはっきりしていなければ、戦略策定は不可能だということを忘れないでほしい。

まずはビジョン、戦略はそれからだ。

 

戦略はあなたの会社の強みや固有の能力を活かすものでなければならない。

得意な事をやろう。

 

戦略は現実的でなければならない。

会社内部の制約や外部要因を考慮する必要がある。

たとえ不都合なものであっても現実を直視する。

 

戦略策定には実現のカギを握る人々を参加させるべきだ。

 

「私たちが誰よりも得意なことは何か、競争優位の源泉となる唯一無二の能力は何か」

賢い会社は他社よりもうまくできることに集中する。

 

真の優れた戦略には必ず、慎重に精度を調整してから大きな賭けに出るというプロセスが含まれている。

その大きな賭けが、あなたが熱意を感じること、得意なこと、経済的エンジンになるものと一致しているか、実証的有効性を確認する必要がある。

ある試みを大規模に展開したときにうまくいくか、確認する最善の方法は小さな規模でまず有効性を証明することだ。

銃撃に続いて、大砲を発射しよう。

 

重要な成果は特定のチャンスをつかむことで、もたらされるわけではないという事実だ。

大きな賭けが成功した後に、そこから最大の成果を引き出そうと執拗に努力し続けることから生まれる。

 

大きな勝利をつかむのは、弾み車を10回まわしたらすぐに新しい弾み車に乗り換え、10回まわしたらまた乗り換えるといった会社ではない。

10回まわしたら、さらに10億回まわし続ける会社だ。

 

弾み車をまわすというのは、これまでしてきたことを漫然と続けるという意味ではない。

可能性を追求し、拡大し、拡張することだ。

変化し、創造することだ。

 

成長は大量の現金を食い潰す。

倒産のほぼ半分は、記録的売り上げのあがった翌年に起こるのはこのためだ。

 

急成長にはほかにも多くの弊害がある。いくつか例を挙げよう。

急成長によって重大な非効率が覆い隠される。

ムダは成長が鈍化したときに初めて露見する。

急成長によって会社のインフラに負荷がかかる。

限界を超えることも多い。

急成長戦略によって営業部門に売上拡大のプレッシャーがかかり、利益率を悪化させるような価格で契約を取ってくるようになる。

 

急成長の人的コストは大きい。

急成長期には社員に途方もない緊張感やストレスがかかる。

急成長は組織を複雑にし、コミュニケーションが悪くなる。

 

大企業は一般的に社員にとっておもしろくないが、急成長によって大企業になる時期が早まる。

急成長によって社内のマネジメント能力を高め、価値観を浸透させることがきわめて難しくなり、会社の文化が急速に薄まることもある。

 

集中化戦略は、あなたが「その他大勢」になるのを防ぐ。

その他大勢は戦略的にもっともまずい立場に陥りやすい。

スケールメリットを享受するには小さすぎる一方、競合より高い価格を設定するほど差別化もできない。

中途半端な立ち位置は命取りになる。

 

イノベーション

社員を出張させたり、世界を旅して新しいアイデアに触れる機会を与えよう。

ナイキはデザイン予算の一部を、目的の制限のない出張に充てている。

デザイナーがオフィスを出てさまざまなモノを見れば、新しいアイデアを思いつく可能性があるからだ。

新しい気づき、アイデア、技術、研究結果が載っていそうな学術誌や出版物を定期購読する。

図書館をつくり、社員が本を購入し、読み終わったら置いていく仕組みをつくってもいい。

 

クリエイティビティに関する研究では、クリエイティブなアイデアをたくさん出す人は幅広い関心、広範な視点、新規性や多様性を求める姿勢があることが明らかになっている。

イノベーションは一見関連なさそうなアイデアの関連性に気づき、融合させるところから生まれることが多い。

 

当初の画期的発明は主にアイデアプッシュ型で生まれ、その後の漸次的イノベーションは顧客からのインプットがもたらすと考えるといい。

最終的なイノベーションの総量は、どちらか一方に完全に依拠するより、両方のアプローチを使った方が大きくなる。

 

ひとつは特定の顧客が抱える固有の問題を解決する、あるいは特別なニーズを満たすことだ。

特定の顧客グループではなく、個人と向き合うのだ。

ここでも土台となる発想は前項と同じだ。

ひとりの顧客の問題を解決すれば、同じイノベーションに興味を持つ潜在顧客が突然ぞろぞろ出現するはずだ。

 

顧客の経験をあなた自身が経験できるほど、顧客に密着することだ。

顧客が誰かを調べるだけでなく、顧客を深く理解するよう努力するのだ。

重要なのは膨大な市場データを集め、分析、分類、解釈することではない。

現場で顧客の経験を直接観察することだ。

顧客が特定の問題と格闘している現場、あるいは顧客があなたの製品やサービスを使おうとしている現場にいるほうが、後から連絡してそのときの経験を語ってもらうよりずっと良い。

私たちはこれを「体験型アプローチ」と呼んでいる。

 

信頼と勇気だ。

ロバーツには一か八か試してみる勇気があり、ジムなら期待に応えると信じていたのだ。

ここから伝わる基本的なメッセージは、優れた人材を採用し、彼らが働きやすい環境をつくり、邪魔にならないようにする、ということだ。

 

小さな企業の強みと大企業ならではのサポートを組み合わせた新しい構造を生み出す必要がある。

私自身が見つけた答えは、ひとうのファミリーのなかに小さな企業をたくさん持つことだ。

ファミリーの親会社は小さな企業に財務面と経営面でのサポート、そして戦略的方向性を与える。

 

イノベーションの稲妻が幾度も降り注ぐような組織を目指すなら、非効率と共存する必要がある。

非効率性や混乱にはそれを上回るメリットがあるという基本思想を選択しなければならない。

組織が分権化のもたらす輝きや熱狂と、集権的管理がもたらす完全な効率性の両方を手に入れることは不可能だ。

分権化を選び、徹底し、それが引き起こす問題とできるだけ上手に共存しよう。

 

真にクリエイティブな人材は息抜きや、楽な仕事には基本的に魅力を感じないということだ。

そんなことはまったく望んではいない。

何かをつくること、イノベーション、新たな挑戦、学習、そして自分の仕事を評価してもらう機会を求めている。

 

私たちもビジネスと学術研究の両方において、喧騒から距離を置く時期と、グループでアイデアを議論する時間の両方を組み合わせたとき、もっともクリエイティブな答えが見つかると実感している。

 

戦術

卓越した企業の多くにおいて最大の成功要因は、卓越した戦術の遂行能力に合った。

 

締切は仕事の進捗を後押しする。

だがそれも「コミットメント」がある場合だけだ。

締切を守るとは、押しも押されもせぬ第一級の仕事を期限までに仕上げることだ。

時間通りに、苦情もなく、完璧に終わらせることだ。

誰もが守れないと思うような締切を設定するのは、設定しないのと同じである。

 

「理由」を理解することで「行動」を改善・改革するという最後の要素は、高度なSMaCマインドセットと、単なる手順やお役所的ルールとの明確な違いだ。

古参メンバーが新入社員に「私たちはこういう理由でこのやり方を実践している」と言わずに、「これが私たちのやり方だから従え」と言うようになったら、規律の文化から官僚主義への劣化が始まったサインだ。

 

AAR

私はアメリカ軍で研究と教育に従事するなかで「AAR(事後の振り返り)」の重要性を痛感した。

任務が完了するたびに、起きたことを議論し、振り返り、学習する時間を設けるのだ。

  • うまくいったことは何か。
  • 今後の任務に応用できそうな学びは何か。
  • うまくいかなかったことは何か。
  • どのような備えが足りなかったのか。

このようにAARで学習したことを、すぐ次の任務に盛り込む。

AARを組織的に行うと、社員教育の一部、そしてSMaCの最適な実践法を模索し、改善し続けるプロセスの一部となる。

 

AARで検討すべき問い

  1. 質問1 うまくいったことから、どのような再現性のある新しい学びを得たか。
  2. 質問2 うまくいかなかったことから、どのような再現性のある新しい学びを得たか。
  3. 質問3 組織としてより高いレベルの戦術的卓越性を一貫して発揮するために、SMaC実践法にどのような修正を加えるべきか。

これは循環型のループだ。

 

社員が任務をきちんと遂行するための基本的条件

1やるべきことが明確である

「きちんとやる」とはどういうことか、すなわち目標、評価基準、期待事項が明確にわからなければ、任務をきちんと遂行できるわけがない。

 

2仕事に適したスキルがある

仕事に適したスキルは、才能、性格、適切な教育研修によって育まれる。

 

3自由とサポートを与えられる

常に監視されていたら、誰だって優れた成果は出せない。

子供扱いされたら、それに見合うようにパフォーマンスも低くなる。

また社員がきちんと任務を遂行するには、ツールやサポートも必要だ。

わかりやすい例を挙げれば、信頼性のあるトラックがなければ、フェデラルエクスプレスの社員が時間どおりに荷物を配送するのはかなり難しくなるだろう。

 

4努力を認められる

誰だって自分の努力を評価してもらいたいと思っている。

ここでは意識して「報いる/報酬を与える」ではなく「認められる」という言葉を使っている。

それは最高の成果を出す人は、お金と同等かそれ以上に敬意や評価を求める傾向があるからだ。

 

5自分の仕事の重要性を理解する

人は仕事の重要性を理解すると、仕事に真剣に向き合うようになる。

他の人が自分を頼りにしていることを知ると、人は自分の仕事の重要性を理解し、まっとうな仕事をしようと真剣に考えるようになる。

 

調査では「人を英雄的行為に駆り立てる動機は何か」を調べた。

そこで圧倒的に多かった答えは栄誉、国家、愛国心などではなかった。

仲間が自分を頼りにしており、がっかりさせるわけにはいかない、という思いだ。

社員がお互いを頼りにする空気、誰もが「この仲間たちをがっかりさせるわけにはいかない」と思うような環境を生み出せば、とてつもないパフォーマンスが期待できる。

 

たった一度、たった1日でも遅れたら、カウンターは「0-0」に戻ることを誰もが理解していた。

各イベントの担当者は強いプレッシャーを感じるようになった。

「カウンターをゼロに戻す人間にはなりたくない」と。

だがそれと同時に、仲間が失敗しないように、全員が進んで協力や支援を申し出るようになった。

この戦術的BHAGは、社員にとって仕事をどんどん進め、時間的バッファーを確保し、期限に遅れるリスクを最小化する圧力になると同時に、チームの連帯感も高めた。

 

あなたの会社の社員には、それぞれ具体的な目標があるだろうか。

目標は社員が主体的に決めているだろうか。

本人は実現可能と思っているだろうか。

そもそも実現したいと思っているだろうか。

社員自身がそれを四半期目標、毎週の課題、日々の仕事に落とし込んでいるだろうか。

目標は会社のビジョンや戦略と一致しているだろうか。

目標は社員自身の人生における個人的目標と合致しているだろうか。

 

評価には基本的に

「インフォーマル」

「表彰と成果の認識」

「金銭」

の3タイプがあり、すべてを活用すべきだ。

 

面白かったポイント

ビジネスの名著です。

ビジョン→パーパス→ミッション→戦略→戦術の流れが分かりやすい。

そして、最高の人材を採用し、育成し、任せることの重要性を再確認することができます。

 

ゼロから事業を生み出すかどうかは関係なくどんな規模の事業にとっても勉強になる内容です。

定期的に何度も読み返したい本です。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

目次

序章 なぜ今、本書を出版するのか
第1章 ビルと私の物語
第2章 最高の人材がいなければ最高のビジョンに意味はない
第3章 リーダーシップ・スタイル
第4章 ビジョン
第5章 成功は諦めない者に訪れる
第6章 偉大な企業をつくるための「地図」
第7章 戦略
第8章 イノベーション
第9章 卓越した戦術の遂行

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