本の内容
金融界の予想屋が特定銘柄の買いを小口投資家に推奨するのは、彼らのような玄人筋がもっと早い時期に内部情報に基づいて買った株を売る場合だ。
従うべきルールの輪郭
- 投資顧問の言うことを聞いてはいけない
- ブローカーのアドバイスには用心しなければならない
- ウォール街の格言は、どんなに古くからのものでも、無視すべきだ
- 店頭株には手を出してはいけない
- うわさに耳を傾けてはいけない
- ファンダメンタルズの勉強をしなければならない
- 10銘柄を短期売買するよりも、値上がりしている一銘柄を長期間保有すべきだ
貸借対照表が申し分なく、将来性があるように見えても株式市場は決してそのとおりには反応しないものなのだ。
企業の業績報告書を検討したり、業界展望や格付け、株価収益率を研究したりすることに、どれほどの価値があるのか?
価格動向と出来高を注意深くチェックし、ほかのすべての要因は無視することで、良い結果が得られるであろうということだ。
株の動きは必ずしも完全にでたらめなものではないことを理解し始めた。
株価というのはほぼ常に高値と安値の間を行き来している。
この上下変動を取り囲む領域がフレーム、つまり「ボックス」だ。
ボックスのサイズは自分で決めなければならない。
もちろん、銘柄が変われば、ボックスも変わってくる。
- マーケットには確実なことは何もない
- この事実を受け止め、自分を変えなければならない
- 公平な診察医にならなければならない
- 単純な運任せではいけない
基本戦略
株価が上昇トレンドにあるときは、その動きに沿ってストップロス・オーダーという保険を掛けながら後追いしていくこと、そしてそのトレンドが維持する場合は買い増しをすることだ。
ダウ平均には注目するが、その目的はマーケット全般が強いか弱いかを判断するためだけに限ろうと決意した。
感情を抑制するための訓練をした。
株を買ったときはいつも、買った理由を書き留めた。
取引が損で終った時には、その原因を自分なりに考えてメモに残した。
その後、同じ過ちを繰り返さないように気を付けた。
間違い原因リストで得た経験は、私が投資家として一人前になるうえで、最も重要な経験の一つに数えられる。
この経験は、本からでは得られないものだ。
「この相場をどう思いますか」とか「この安値の原因に何か心当たりがありますか」というような質問を始めた。
こういうことのすべてが致命的な影響となって現れた。
私を打ち負かしたのは市場ではない。
自分の無分別な本能と抑制のきかない感情の仕業だったのだ。
上昇中の株を売らなければならない理由はない。
トレイリングストップを背に、相場の流れに沿ってただ走り続ける。
面白かったポイント
ニコラス・ダーバスの投資記録の読み物としても面白い。
投資をはじめた頃の、薦められた銘柄を購入したり、購入した銘柄に愛着を感じて手仕舞わなかった失敗エピソードはとても共感できます。
本の中に、エピソードとともに売買した銘柄と売買記録が明示されているので、どういう取引をしているのか理解しやすいです。
失敗エピソードから教訓やルールが洗練されていく様子がわかるので、初心者にとっては貴重な情報だと思います。
それにしてもダンスで世界を公演して回りながら、ニューヨークとは電報でやりとりしながら売買するのはすごい。
そこまでしてでも売買したいという執念を感じます。
今なら世界中どこにいてもネットで売買できるので、本当にいい時代になったと思います。
持ち株の価格以外の情報から遮断されたおかげで、人々の言っていることに影響を受けなかったことが、あとになっていかに貴重だったかが良くわかったとあるように、純粋に株価だけを見て取引する方が余計に感情の変化を起こさずに取引できるということでしょう。
「わたしに必要なのは株価の電報だけで、それ以外には何もいらない」というのは、何かを極めた人の言葉に聞こえますね。
これは、株価の動きだけを見てトレードするということですね。
今付けている場帳をもっとじっくり見ることによって相場を読む「カン」を養いたいと思いました。
今やっていることは間違っていないということを確信できたのはよかったです。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆
目次
第1章 カナダ株の時代
第2章 ウォール街に乗り出す
第3章 最初の危機
第4章 ボックス理論の開発
第5章 地球を駆けめぐる電報
第6章 小型の弱気相場
第7章 効力を発揮し始めた投資理論
第8章 最初の50万ドル
第9章 二度目の危機
第10章 200万ドル