堀江さんが飲食店経営にどのようなアイデアがあるのか興味があり、読んでみました。
本の内容
ドタキャン対策
小さな店ならドタキャンにはLINEグループやFacebookの活用で十分に対策できると考えている。
常連をどんどんグルーピングして、キャンセルが出たらポーンと投稿。
「早いモノ勝ち」が明らかなので平等だ。
ドタキャンが飲食店経営を圧迫している話はよく聞きますが、お客さんをSNSでしっかりグルーピングして運用するのは、これからの飲食店にとって必須ですね。
ドタキャンするお客さんを減らす仕組みとドタキャンされた場合にすぐにリカバリーする仕組みを整えることが大事ですね。
飲食店ではないけれど、ヘッドマッサージの「悟空のきもち」。
ここは予約待ち何万人、というのが謳い文句のひとつなくらい、予約が取りにくい。
だが、キャンセル待ちLINEがあって、情報が出たらあっという間に埋まる。
その結果、満床率は99.8%だという。
「悟空のきもち」はセラピストが全員社員で経理などそれ以外の業務はすべて外注。
社員は35人以上増やさず、給料はフラット、お店は日本では4店舗で終了、次はニューヨークだという。
ビジネスモデルとしても面白いお店だ。
ホームページを見たら、まず飛び込んでくるのがキャンセル待ちの数、30万人以上。すごすぎます。
メディアにも出ているし、非常にマーケティングが参考になるお店です。
意識するのはインスタ映え
インターネット調査会社のマイボイスコムによると、企業や店舗の公式アカウントをフォローしたのは、インスタグラム利用者の11.7%。
さらに投稿された商品・サービスを購入、利用すると答えたのは9.5%だった。
一般的なネット通販でのコンバージョン率が1%程度だということを考えると、驚異的な数字だろう。
私もフル活用していますが、インスタグラムでのプロモーションは必須です。
タダで利用できるので、研究する価値は大いにあります。
スマホでおいしそうな写真を撮ってアップするだけ。
「そういうの苦手」という店主は、センスがよくて気の利いたキャプションが書ける従業員に「インスタ担当」をまかせてもいいだろう。
午前中に「本日のランチ」のメニューをアップしたり、イベントの告知、お店の中の小さなできごとやプライベートに近いことも、お客さんとの距離が近づくきっかけになる。
インスタは単に写真をアップすればいいというものではなく、戦略とセンスが問われます。
残念な写真を載せると逆効果なので、イケてるアカウントの研究やセンスのある人に任せるのはとても大事なことです。
スマホのアカウントのトップページを開くと直近9枚の投稿が現れる。
この1画面が、フォローするかしないかを判断する画面であり、その人の世界観となる。
ここ重要です。
現在大ブレイク中の天ぷら屋、麻布十番「たきや」。
あっという間に予約困難店になった背景には、やはり、インスタでの訴求力があるように思う。
牛フィレの天ぷら。つやつやとジューシーな艶めかしい断面、今にも泳ぎだしそうな若鮎の姿、定番の海老だって、さっくりとした揚げ上がりを海老自体が体現しているような様子でスッと置かれる。
僕は「断面イノベーション」と呼んでいる。
淡くて地味な天ぷらが、おいしそうな断面を見せることで一気に「インスタ映え」へ。
試しに「#天ぷら #断面」でインスタグラムを覗いてみてほしい。
天ぷらブームはすでにはじまっているけれど、まだまだ伸びしろのあるジャンルなのではないだろうか・
料理の写真はインスタでも人気があるので、見せ方によっては人気になるでしょうね。
断面のインスタは、天ぷらに限らずいろいろあり、見ていて面白いです。
木箱に鶏肉の25種類の部位が美しく並べられ、見せられたら撮らずにはいられない。
商品の見せ方が問われる時代ですね。
コンビニのイートイン
高級路線の成城石井もレストランとスーパーが融合した店舗をオープン。
デパ地下とコンビニの中間くらいの値段感で、実際にレストランで食べておいしかった食材を、併設のスーパーで買うことができる。
コンビニのイートインは増えてきましたが、ほんとに便利ですよね。
ホテル
コンビニの隣にホテルを作れば、レストランがなくてもいい。
ホテル内に設けた場所や客室で食べれば、しょぼいレストランよりおいしいはずだ。
ホテルに大浴場を作れば、全体の水道光熱費が節約できるというのはアパホテルの成功例でも明らか。
これは、ほんとうにそう思います。
ホテルはもっと便利にできるはず。
個人店
個人店でも、「機械化なんて」と言いつつ、肉を調理するための低温調理機は立派な機械化だし、ニッチなところでは寿司屋の海苔の乾燥機だってそうだ。
いまは調理家電もどんどん進化しています。
個人店での比較的低価格で、機械化を進められるはずです。
いつも使っているYouTubeやレシピ動画を参考にして、幅広いアイデアを取り入れ、もっとお店を魅力的にできるよ、ということだ。
調理法をどんどん試すこと、それをセンスよく取り入れること。
クックパッドにある大量のレシピからトレンドや独特のレシピを見つけて再現してもいい。
「パクった」「パクられた」なんてまったくもってナンセンス。
自分からもどんどん発信して、世界に飛び出してほしい。
定番のメニューだけっていうお店も好きですが、どんどん新しいメニューにチャレンジするお店はワクワクしますね。
意外とそんなお店はありませんね。
コミュニケーション
「苦労して修行して、おいしいものを出しているのになんでお客さんが来ないんだろう?」
そんなふうに思っているベテラン料理人は、自分のコミュニケーション能力を振り返ってみるべきだ。
雇用に関しても、給料がほかよりいいのはもちろん、歩合制を取り入れることで、若い職人やスタッフのやる気を起こさせている。
仕入では業者のいいなりになるのではなく、自分で市場に足を運び、いいものを見極めたり、教わったりするようになったのだ。
もし、自分でコミュニケーション能力が足りない、と思っている人は、まずここから。
アドバイスをもらったら、迷わずやってみる。
大切なのは情報であり、おいしさを増す秘訣であると。
おいしさとは、情報と、それを伝えるコミュニケーションから成り立っている。
飲食店に限らず、商売をする人にとってものすごく大切なことが書かれています。
お客様には「商品+情報」をセットで提供することによって満足度が増します。
そのために、スタッフの給与体系を変え、積極的に学習する環境を整えるのはすごく大事ですね。
究極の飲食店スタイルはスナックにある
スナックの開業をイメージしてみる。
地方の居ぬきでOK、設備で必要なのはカラオケくらい。
厨房設備もほとんどいらない。
仕入れは乾き物とお酒だけで、在庫リスクはほとんどゼロだ。
リクルーティングにしても、究極はひとりでできるし、プライドの高い職人はいらない。
ひとりでやれば、家賃とカラオケのレンタル料さえ稼げれば、大儲けはできないにしても、何十年でもつづけることができるだろう。
面白い!
お客さんとのコミュニケーションが好きな方なら、スナックは低コストで長くできるビジネスかも。
イベント
SNSの時代、急増しているのがイベントだ。
実際、僕が主催するWAGYUMAFIAはイベント活動が主体だ。
通常お店を構えているケースでも、イベントは増えていると実感する。
最近、特に多いのがコラボレーションイベント。
まずはひとりで小さなことからでもいい。
仲のいい同業者や、SNSで仲良くなった面白そうな人と組むのもいいだろう。
躊躇せずにやってみる。
アイデアを口に出して、SNSで発信してみる。
お客さんも自分も、面白がる土壌を作ってみよう。
SNS×イベントが、経営的には一番効率が良いかもしれない。
店舗を持たなければ固定はかからないし、なによりお客さんのところに出向いて行けるというのが強みになると思う。
集客は全部SNSで自前でやればコストはかからないし、イベントの様子をSNSで発信することもできる。
同じような意識の同業者と一緒にイベントを開催すれば、楽しいだろうな。
世界一のレストランといわれる「ノーマ」は店舗を常時開いているわけではない。
世界中の、いちばんおいしい食材が街に定期的にポップアップレストランを開くというスタイルを実施している。
高い家賃を出して店舗を借りる。
それこそが「自分の城」と思い込んでいる人は、そろそろ考え方を改めるほうがいい。
事業者がひとつの施設を持って運営する必要などない。
地の利を活かし、広く大きく発想すること。
こういった考え方は飲食店にも応用できる。
これからの時代は、固定費を持たないことがキーワードですね。
家賃がかかるから、お店を開き、長時間労働になるのは、非常につらいことです。
できるだけ身軽にし、お客さんのところにこちらから行くというスタイルは、お客さんにとってもメリットがあると思います。
誰も真似できない、いわゆる職人の仕事はあっちゃだめ。
牛角の成功例と同じように、店が増えても安定した品質を提供できたほうがいいですからね。
多店舗展開するなら、オペレーションの標準化は必須ですね。
たくさん売れば、粗利は出てきますから。
大勢のお客さんをこなして、たくさんの人によろこんでもらって、僕は芸事が磨けて。
それには回転が必要なんですけどね。
「食べたいときに食べられる寿司」がこれからの寿司なんじゃないかと、最近感じています。
粗利の確保と回転率をいかに高めるか、のせめぎあいはいつも悩まされます。
しかし、回転率を上げると、お金も流れるし、お客さんも流れるし、評判も高まるので、どちらかというと回転率に軸足を置く方がいいのかなとは思います。
WAGYUMAFIAでは、最近パフォーマンスに力を入れている。
特に、僕たちはイベントやポップアップなど、スペシャルな場所に登場する場合が多いので、パフォーマンスは大いに有効だ。
派手にいきたい。
パフォーマンスは大事だな。
僕は、みんなの満足そうな顔を見て、これこそ飲食店の原点だよなぁ、と思う。
みんなをどう楽しませるか。
面白がって、また食べたいと思ってもらえるか。
だったら自分自身も楽しむこと。
店をやる楽しみも、儲けも、そこから生まれる。
飲食店に限らず、商売を続けられるのは、お客さんからの感謝の言葉だったりします。
お客さんも喜んで、自分自分も楽しかったら、こんなにいい人生はありません。
面白かったポイント
堀江さんの飲食店へのアドバイスが気になり読みましたが、今の時代の商売のエッセンスが詰まった本でした。
上手くいっているお店の秘訣を分かりやすく解説してくれるので、メモの量も多くなり、自分の商売にさっそく取り入れるポイントもたくさん見つけることができました。
ポイントは次のようなことだと思います。
- コミュニケーション(SNSで集客、お客さんをグルーピング、パフォーマンス)
- 低固定費(無店舗、イベント中心、他店舗コラボ)
- 機械化、標準化
- ネットの情報をすぐに取り入れること
商売している人は、みんな読んだほうがいい本です。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆
目次
1 「ドタキャン」「食べログ」「人材確保」問題の現在
2 Instagram全盛期、SNSの波に乗るのは常識に
3 2017~18年、飲食を取り巻くモノ、ヒト、コト
4 無人コンビニのイートインで飲むのがスタンダートになる
5 最も大事なのはコミュニケーション能力である
6 今ある店を進化させる、進化した店を出す
7 最近行って「なるほど」と思ったお店
8 特別対談1 堀江貴文×光山英明
9 特別対談2 堀江貴文×「鮨人」木村泉美
10 特別座談会 「予約の取れない料理店」の予約を手に入れるとっておきの方法