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『ストーリーとしての競争戦略』楠木 建

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内容

優れた戦略は、これと正反対のところにあります。

戦略を構成する要素がかみあって、全体としてゴールに向かって動いていくイメージが動画のように見えてくる。

全体の動きと流れが生き生きと浮かび上がってくる。

これが「ストーリーがある」ということです。

 

ある打ち手がうまくいくかどうか、良いか悪いかは、ストーリー全体の文脈でしか評価できません。

当たり前の論理を当たり前に突き詰めるためには、よその会社の動向や世間の耳目を集めるベストプラクティスに惑わされてはなりません。

 

新しい手や奇抜な手は使わない。

無理をしない。

相手を一つひとつ封じ込めていく。

いかにも強いというものを感じさせないが、終わってみると勝っている。

 

戦略ストーリーが意図する強みは、個別の打ち手の中にはありません。

打ち手をつなげていく因果論理の一貫性こそが競争優位の源泉なのです。

 

競争戦略

競争戦略の第一の本質は「他社との違いをつくること」です。

競争がある中で、いかにして他社よりも優れた収益を達成し、それを持続させるか、その基本的な手立てを示すものが競争戦略です。

 

組織ルーティンは企業の内部で長い時間をかけて、紆余曲折を経て形成されます。

結果的に出来上がったルーティンを表面的に模倣し、導入することはできるかもしれません。

しかし、そのルーティンが経路依存的であった場合、そこから全く同じ効果を引き出すためには、それが出来上がってきた歴史的なプロセスをもう一度たどらなければなりません。

 

SP(戦略ポジショニング)とOP(組織能力)

SPはユニークなシェフのレシピで違いをつくろうとします。

それに対して、OCは厨房の中にある他社が簡単にはまねできない、素材であるとか包丁の切れ味で勝負しようという戦略です。

 

SPの戦略の本質を一言でいえば、「いかに競争圧力を回避するか」という思想です。

OCは競争を回避するのではなく、むしろ「男には戦わなければいけないときがある」(女もそうですが)という構えで、競争圧力を受け入れ、それに対抗しようとする戦略です。

 

一般論としていえば、レシピ先行型の企業が優れた厨房を手に入れるよりも、厨房のOC先行型の企業がレシピを獲得するほうが短期間に成果が出やすいといえそうです。

レシピは動きだせば早いのですが、厨房を強化するにはどうしても時間がかかります。

この意味で、右下に位置する企業には大きなポテンシャルがあります。

 

その業界で競争している他社に対して違いをつくる。

これが戦略の本質でした。

厳しい競争構造に置かれた業界であっても、戦略で競争優位を構築できれば、持続的な利益を手に入れられます。

 

仕組みを構築してしまえば、外部から推測することが難しく、まねしにくい。

形だけ似たものをつくるならすぐできる。

でも仕組みに立ち入って聞く人はあまりいない。

実は質問できないところにポイントがある。

 

合理化を追求するためには自前のほうがいいんです。

外部に委託すると自分たちの思うように改良できないんですね。

 

戦略の合理性

戦略全体の合理性は、部分の合理性の単純合計ではありません。

逆にいえば、誰にとっても合理的な要素だけでできているストーリーは面白みに欠けるということです。

クリティカル・コアが非合理に見えるのは、競争相手のミスや勘違いではなくて、それが非合理であるという合理的な理由(ちょっとややこしい表現ですが)があるからです。

 

「普通の賢者」は文句のつけようがないストーリーを語るのですが、みんなが「正しい」と思う要素ばかりでストーリーが組み立てられているので、競争優位を獲得できても、遅かれ早かれ模倣される可能性があります。

戦略が合理的な要素ばかりで出来上がっていれば、誰もが同じようなことを考えるので、独走することはできない。

だとすれば、「バカな」と思わせる非合理の要素がありながらも、成功してみると人々が「なるほど」とうなずく、これが優れた戦略の要諦だ。

 

クリティカル・コアの「一見して非合理」な側面が重要なのは、それが競争優位の持続性の源泉となりうるからです。

すぐに他社に模倣されてしまうような戦略であれば、一時的に競争優位を獲得できても、そのうちに優位を喪失してしまいます。

 

コンセプト

コンセプトとは、その製品(サービス)の「本質的な顧客価値の定義」を意味しています。

本質的な顧客価値を定義するとは、「本当のところ、誰に何を売っているのか」という問いに答えることです。

 

「ニーズ」が出てくるのが関の山でしょう。

そうした「声」をいくら寄せ集めても、それはコンセプトにはなりえません。

要するにコンセプトは、自分の頭で深くじっくりと考えるしかないのです。

 

優れたコンセプトを構想するためには、ターゲット顧客をはっきりさせるだけでなく、そうした人々の心と体の「動き」を頭の中でよくよくイメージしてみる必要があります。

どのような状況と動機で、どのようにその製品やサービスとかかわり、どのように使用し、その結果としてどのように喜ぶのか、顧客の側で起こる一連のストーリーを頭の中でしつこくイメージするということです。

ターゲット顧客の「動き」を細部までリアルに思い浮かべてみることが大切です。

 

顧客接点

ウェブを通じて顧客と徹底的にアナログなコミュニケーションをとっていました。

 

顧客接点の価値はひとつひとつの熟練度も大切だが流れのほうがもっと大切なのだ。

分業化すれば流れは切れて、モチベーションも切れる。

 

おもしろいと思って仕事に取り組む営業マンは顧客にとって魅力的な存在になる。

 

仕事

目標があって目的がない。それは作業であって仕事ではない。

 

仕事には複雑性があるから面白い。

「自分で考え、決め、行動する」要素が仕事には必要だ。

 

面白かったポイント

戦略立案に携わる人は必読の本です。

優れた戦略には、一見非合理な施策も含まれており、すべての施策が連鎖し、統合されている、というのは本当にその通りだと思う。

これを相手に理解してもらうのは非常に難しいことです。

広い視野と知識、経験が必要です。

 

個人的には、この本から学ぶというよりも、よく言語化してくれた、という感想です。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

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