ブランディングの科学

ビジネス

『ブランディングの科学』バイロン・シャープ

更新日:

内容

1.マーケットシェアは認知度が上がることで、つまり、いかなるタイプの購買客であれ、その数が増えることで成長する。

その多くがブランドをたまにしか買わないライトユーザーである。

 

2.ブランドは、多少の差別化のポイントはあっても、その多くがまるで類似製品のように競合し合っている。

しかし認知度には(従ってマーケットシェアも)差が生じている。

 

3.ブランドが競合し合い成長すると、市場を基盤とする大きな2つの資産が根付くことになる。

フィジカル・アベイラビリティ(購買機会の高まり)とメンタル・アベイラビリティ(ブランド想起の高まり)だ。

多くの場合、消費者が購入しやすいブランドほどマーケットシェアは大きくなる。

そして革新と差別化がうまく機能すると市場に資産が形成される。

それは先行製品を競合製品が模倣した後も永続する。

 

従って、マーケターは自分の担当する製品が目立つようにブランディングを改善し、ライトバイヤーに広く効率よく継続的にリーチする必要がある。

また、担当するブランド独自の資産(ブランドカラー、ロゴ、トーン、書体など)を知り、これらを守らなければならない。

さらに、消費者の購買行動を知り、消費者がいつブランドのことを考え、いつブランドに気づき、どのように自分の生活に取り入れているのかを学ばなければならない。

そしてメディアと流通をこれらの事実に即して上手に使わなければならない。

 

ブランド

ブランドは、このメンタル・アベイラビリティ(ブランド想起の高さ)とフィジカル・アベイラビリティ(ブランド・セイリエンス:購買機会の高さ)の構築を競い合っているようなものだ。

 

記憶のネットワークと属性とのリンクを構築することで、マーケターは次の2つを増加させることが可能だ。

a.ブランドを想起してくれる人の数

b.ブランドが購入の選択肢の1つとして検討される回数

 

ブランドの売上高

1.ブランドの購買客の数

2.ブランドの購買客の購買頻度

の要素を積算したもの

 

ダブルジョパディの法則

マーケットシェアが低いブランドは購買客数も非常に少ない。

またこれらの購買客は行動的ロイヤルティも態度的ロイヤルティもやや低い。

 

ダブルジョパディの法則は、ブランドがマーケットシェアを伸ばしているときは必ずそのブランドの顧客数も拡大していることを教えてくれる。

顧客数の増加は、顧客獲得の改善によるものかもしれないし、また顧客離れを防いだ結果かもしれない。

 

あらゆる市場で、新規顧客獲得が売り上げを伸ばす可能性は、顧客離反を防ぐことよりも圧倒的に大きい。

 

自然独占の法則

マーケットシェアが大きいブランドほど、そのカテゴリー内の多くのライトバイヤーを引きつける。

 

リテンションダブルジョパディの法則

顧客を失わないブランドはない。

その損失はマーケットシェアと比例する。

大きいブランドほど多くの顧客を失うが、その損失は顧客基盤全体と比較すると小さい。

 

マーケティングには3つの段階

1.マスマーケティング:

メーカーは、1つの製品を大量に生産し、大量に流通させ、大勢の消費者を対象に大量に販売する。

かつてコカ・コーラ社は1つの飲料製品を市場全体で販売していたことがあった。

すべての消費者に訴求するためであった。

マスマーケティングが支持されるのは、それが費用と価格を最小限に抑え、市場を最大化する可能性を秘めているからである。

 

2.製品ライン拡張マーケティング:

メーカーは、形状、品質、サイズなどの製品特徴の異なる複数の製品を生産する。

コカ・コーラ社はその後、多くのソフトドリンクをさまざまなサイズと容器で展開した。

多くの顧客層にアピールするというよりも、製品のバラエティ感を重視するためであった。

製品ライン拡張マーケティングが支持されているのは、消費者の嗜好は人それぞれであり、またそれも時間とともに変化するからである。

消費者は品揃えの豊富さと変化を求めている。

 

3.ターゲットマーケティング:

メーカーは、いくつかの市場を特定し、その中から1つまたは2つに絞り、それぞれの市場に合う製品を開発してマーケティング戦略を実行する。

たとえばコカ・コーラ社は現在、ソフトドリンクを、砂糖入りコーラ製品群、ダイエット製品群、カフェイン抜き製品群、コーラ以外の製品群に分けて開発している。

 

差別化

製品の差を認知させることは不可能に近いことが分かっている。

むしろマーケターは、消費者の商品購入を促進するシステム構築に目を向けるべきである。

 

現在の差別化理論の教えよりも、ブランドの認知度とセイリエンス(卓越したブランド特性を有していること)が、消費者の購買行動やブランドの競合に大きな影響を及ぼす。

 

独自性

ブランディングの基本目的は、商品やサービスが誰のために存在するのかを見極めることである。

そのようにしてブランディングは発展してきた。

ブランディングにはブランドと他の競合ブランドを明確に区別する力が必要だ。

 

その1つがブランド名であり、その唯一無二の存在が法で保護されている。

他にもブランドアイデンティティの一部として機能してブランド名を補うまたはその代わりとなり得る要素がある。

これらの要素は、消費者がブランドの広告に触れたときや製品を購入するときにブランドを認識し、理解し、想起するきっかけとなっている。

 

以下にその例を示す。

  • 色(例:コカ・コーラやボーダフォンの赤色)
  • ロゴ(例:マクドナルドの金色のアーチ)
  • キャッチフレーズ(例:ナイキの Just do it.)
  • シンボル/キャラクター(例:ミッキーマウスの耳)
  • セレブリティ(例:ナイキのタイガー・ウッズ)
  • 広告手法(例:マスターカードのプライスレスキャンペーン)

 

独自のブランド資産の強さを判断するときに、考慮すべき2つの重要な基準が存在する。

1.ユニークか?

2.広く認知されているか?

 

強固で独自の要素を形成するためには、ブランドはあらゆるメディアを使って長い時間をかけて継続的に消費者に情報を発信しなければならない。

独自のブランド資産が構築されるのは、このように一貫性がきちんと維持されているときだけである。

 

戦略的ガイドライン

1.ブランドのサービス/製品カテゴリー内のすべての購買客に、配荷およびマーケティングコミュニケーションの両面から継続的にリーチする。

2.ブランドの買い求めやすさを確保する。

3.目立つ。その過程を誤るとブランドコミュニケーションに費やす費用が無駄になる。

4.ブランドが目立ち、買いやすくなるためにも、ブランド記憶の構造を構築/刷新する。

5.独自のコミュニケーション資産を創造する。

6.一貫性を保ちながら、新鮮さと興味を失わない。

7.競合力を維持しつつ、多くの人に受け入れられる。ブランドを買わない理由を与えてはならない。

 

できるだけ多くの人にリーチ

ブランドのサービス/製品カテゴリー内のすべての消費者に、配荷およびマーケティングコミュニケーションの両面からリーチしなければならない。

すべての人がブランドの潜在顧客になる可能性を持っているからだ。

できるだけ多くの顧客にメッセージが届く費用対効果を考えたマーケティングの選択肢を考えなければならない。

ブランドを買わない人や購入頻度の少ない人に届かない戦略は避けること。

売り上げの多くがこのような消費者から得られる可能性があるからだ。

広告を中止しなければならない事態は避けること。

 

広告や実際の販促活動で消費者にリーチすることができたとしても、ブランドが認知されなければその効果は非常に低い。

棚の商品が目に入らなければ(例:下を向いて通りを歩いていた、車を運転しながら店頭を通り過ぎた)、その商品が買われることはない。

記憶に残らない広告は人の記憶構造に影響を与えることはできない。

 

広告

広告の目的はマーケットシェアを維持することにある。

マーケットシェアの拡大または上昇傾向を加速させるために十分な広告費を投資し、優れた広告を制作している企業は少ない。

多くの企業が、広告を実施しなければ生じる非常に緩やかな売り上げの低下を防ぐために広告を実施している。

 

広告が機能するためには、説得(消費者の考えを変えること)とセイリエンス(記憶を刷新し構築すること)、主にこの二つの要素が重要だ。

 

消費者はおそらく無意識に「自社製品に自信がなければ広告主が無駄に多額の費用を費やすわけがないし、また長期間にわたって広告を出稿するはずもない」と思うはずだ。

また消費者は、頻繁に広告されている商品やサービスは高品質であることを経験的に知っている。

 

よく知られた心理学的現象であるが、人は頻繁に目にする物やブランドほど好む傾向がある。

これは接触効果と呼ばれている。

 

効果的な広告

  • すべてのカテゴリーの消費者にリーチすること。
  • 広告活動を長期間休止しないこと。
  • 消費者に認識されること。無視されないこと。
  • ブランド連想を明確にすること──ブランド独自の資産でブランド広告を後押しする。言葉で、または視覚的にブランド名に言及することが極めて重要。製品と製品使用シーンを提示することも重要。
  • 記憶構造を刷新/構築することで、ブランドの想起/認識が容易になる。
  • 説得力のある情報が1つでもあれば、本来の達成目標を邪魔しない限り、伝達すること。

 

価格販促

値下げを行えば新規顧客にブランドの購入を促すことができると考えているマーケターがいる。

しかし後日、顧客が正価でもっと多くの買い物をするかもしれない。

だがこれを立証できるエビデンスはない。

 

価格販促で商品を購入した消費者のほとんどがそのブランドをそれ以前に購入した経験があることを発見した。

また他の学術研究では、価格販促は将来の売り上げを先取りしているようなものなので、売り上げは、たとえ販促期間中に急上昇しても、販促後に低迷するので相殺されると発表されている。

幸いなことに、価格販促の効果はブランドスイッチを起こすことであって、ブランドの先行買いではないことは明らかだ。

 

商品を選んだ直後の買い物客を対象に大規模な研究が行われた。

その結果、自分が選んだ商品の値段を覚えていた買い物客はわずか半数であった。

 

純粋に価格変動の影響だけを考慮すれば、値上げが値下げよりも売り上げに大きな影響を与えることがわかった。

値上げで価格弾力性が高くなるのは、消費者心理学的に言えば損失回避だ。

 

重要なことは、売り上げが大きく伸びても、大きな利益がもたらされるわけではないということだ。

その理由は、値引きを行えば、それ以上に貢献利益が下がるからだ。

たとえば、通常貢献利益が50%の商品は10%の値引きで貢献利益が20%削られてしまう。

通常の包装商品ブランドは、45%の値引きを実施すると実質的にすべての貢献利益を失うと報告されている。

 

価格販促の短期的利益は以下の3点に依存している。

1.通常価格のブランドの貢献利益

2.値引き額の大きさ

3.ブランドの価格弾力性

 

通常価格で販売して30%の貢献利益のあるブランドが10%の値引きを行った場合、値引きを埋め合わせるためには売り上げを50%増加させる必要があることを示している。

もし価格販促で売り上げの増加が40%しかなければ、ブランドは損失を被るということだ。

 

これほど大幅に売り上げを伸ばさなければならない理由は、値下げを行うと、定価で商品を購入するはずの消費者までも値引き価格で購入してしまうからである。

従って、値引きによってもたらされる売上高は、ベースラインの売上高の損失を補えるほど大きくなければならない。

 

ロイヤルティプログラム

ある特定のカテゴリーの製品群の中では、多くの購買客が平均以下のライトユーザーであり、他のブランドも購入している。

ライトユーザー層は厚いので、ロイヤルティプログラムはどうしてもこのようなライトユーザーを対象にせざるを得ない。

しかし多くの人が特典獲得のためのポイントをためなくなり、そのうちプログラムのことを忘れたり、メンバーカードを紛失しても無視したりするようになり、やがて資格を失ってしまう。

このような消費者のうちごくわずかでもヘビーバイヤーに育ってもらいたい。

 

もしロイヤルティプログラムがロイヤルティの高い消費者だけを対象にしていたら成功する見込みは少ない。

まず、この範疇の人々は購買行動を変えてまで特典を獲得する必要がない。

また、すでに高いロイヤルティを有しているので購買行動を変えることもない。

ロイヤルティプログラムが成功しないのはこのような消費者が存在しているからだ。

彼らに特典を与えても購買行動の変化を期待することは難しい。

 

左下の範疇に該当する消費者は、ロイヤルティプログラムで獲得するには最もふさわしい消費者だ。

もしロイヤルティプログラムが、あるカテゴリーのヘビーバイヤーではあるもののそのブランドに対して100%のロイヤルティを有していない消費者にリーチした場合、ロイヤルティを育成し売り上げを伸ばせる可能性は非常に高い。

これらのヘビーバイヤーが高いロイヤルティを示す可能性は高いからだ。

彼らは、必ずしもモチベーションは高くはないが、特典は獲得したいと思っている。

どのようなモチベーションを有しているかは、競合他社のロイヤルティプログラムや販促活動から容易に推測することが可能だ。

彼らは競合ブランドの提供するプログラムをよく知っているからだ。

 

面白かったポイント

ブランディングの科学という割には、新たな発見というのが少なかった感じです。

コトラーを覆すというキャッチコピーで期待値を上げ過ぎたのが失敗かも。

内容も冗長でした。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆

 

目次

-ビジネス

Copyright© ぐんし , 2022 All Rights Reserved.