教育系YouTuberといえば、オリエンタルラジオの中田敦彦さんです。
YouTubeを本格的に始めて1年でチャンネル登録者数が200万人を突破しました。
圧倒的なプレゼン力と書評を毎日投稿するという誰にも負けない発信量です。
また、オンラインサロンやアパレルブランド幸福洗脳も展開されています。
そんな中田敦彦さんのビジネスモデルを外側から分析してみました。
中田敦彦さんのプロフィール
- 慶應義塾大学経済学部卒業
- 吉本興業所属
- お笑いコンビオリエンタルラジオ
- 武勇伝や相方の藤森さんのチャラ男が有名
- ダンス&ボーカルグループRADIO FISHのメンバー
- 2019年4月19日より教育系YouTuber
若手の頃からブレイクして、知名度は抜群です。
武勇伝とかラッスンゴレライのパクり、しくじり先生が有名でしょうか。
音楽活動では、RADIO FISHのパーフェクトヒューマンがヒットしています。
とにかくマルチな才能の持ち主です。
3C分析
Customer
中田敦彦さんのビジネスの顧客は、個人がターゲットです。
知識欲が高い人、勉強したい人がメインの顧客になります。
法人向けのビジネスはやっていないようです。
YouTubeの企業案件や講演活動はお断りしているそうです。
Competitor
YouTubeでの競合は、
- 教育系YouTuber
- 書評系YouTuber
になります。
可処分時間を取り会うという意味では競合になりますが、教育系YouTuberが増えることで勉強目的でYouTubeを見るユーザが増えること、YouTubeは関連動画に表示されることが視聴されるポイントなので、市場を盛り上げる仲間という見方もできます。
オンラインサロンも幸福洗脳アパレルブランドも、個性が突き抜けているので直接の競合はいない状況です。
Company
- 中田敦彦さんの圧倒的な知名度
- 圧倒的なプレゼン力
- 知的好奇心を高めるコンテンツ
- 毎日投稿
- YouTubeにフルコミットしてる感
が揃っているので、教育系YouTuberとして圧倒的な地位を築いています。
中田敦彦さんのSTP分析
Segmentation
- マス市場
- 男性多め
- 20代から30代
- 学生や社会人
たまに2ndチャンネルやコラボ動画の中でYouTubeの話が出るので、そこからの推察です。
Targeting
- 勉強したい、自分を高めたいという知識欲が高い人
- プレゼンがうまくなりたい人
YouTube動画のテーマは、歴史から政治、宗教、お金、ベストセラー本、テクノロジー、ビジネスと多岐に渡っています。
分かりやすく幅広く知識を得たい、本は読みたくないけど内容が知りたいという層を取り込んでいます。
中田敦彦さんのプレゼン力に魅かれる人も多いと思います。
経営者や会社でプレゼンする機会が多い人、講演家、塾講師などは中田さんのようにプレゼンしたいと思うでしょう。
Positioning
- 芸人としても圧倒的知名度
- 教育系YouTuberトップの座
教育という大きくかつ需要がなくならない市場で、プレゼン形式でマスに向けて幅広いテーマで発信しているオンリーワンの存在です。
中田敦彦さんの4P分析
Product・Price
中田敦彦さんのビジネスは、個人向けに
- YouTube
- オンラインサロン
- 幸福洗脳
- XENO
の商品やサービスがあります。
YouTube
中田敦彦のYouTube大学は、
- チャンネル登録者数が200万人を突破(2020年3月)
- 平均再生回数は、20~30万回
- 動画の長さは、20~30分
でトップの教育系YouTuberです。
noxinfluencerのツールで見ると、Youtube Adsenseの推定収益(月間)は、431.14万円-1365.29万円です。
十分な収益があります。
コンテンツは、
- 教育
- コラボ
- XENO
- 生配信
- 2ndチャンネル
があります。
教育コンテンツは、
- ベストセラー本(7つの習慣、サピエンス全史、孫氏が100万回再生越え)
- 歴史(三国志、坂本龍馬、徳川幕府、日本史が100万回再生越え)
- 政治(年金、北方領土、EU、日韓関係が100万回再生越え)
- 宗教(創価学会が100万回再生越え)
- テクノロジー(5G、ブロックチェーンが100万回再生越え)
- ビジネス
- 文学
- お金
と幅広いテーマを取り扱っています。
コラボ
- YouTuberは、カジサック、ヒカル、ラファエル、メンタリストDaiGo、ホリエモンなど
- 芸人は、宮迫
とトークしています。
XENO対決も再生回数を叩きだす人気コンテンツです。
- カードゲーム
- メンタリストDaiGo
- ホリエモン
- ヒカル
- QuizKnock伊沢拓司
XENOのプロモーションに効果的です。
生配信も2020年3月から配信しています。
毎日昼に1時間ほど質疑応答しています。
2ndチャンネルもあります。
動画撮影の感想や裏側、お悩み相談、スタッフとの雑談など、ざっくばらんな感じです。
概要欄には、
- オンラインサロンへのリンク
- 公式サイトへのリンク
- XENO販売サイトへのリンク
- 幸福洗脳へのリンク
がしっかり配置されています。
オンラインサロンPROGRESS
中田敦彦さんが主宰するオンラインサロン
- 月額5980円
- 参加人数は非公開
です。
オンラインサロンとしては、比較的高価格帯に入ります。
参加する人は、自己成長に対する意識が高く、比較的高所得者層になるでしょう。
サロンの特典は、
- 「YouTube大学」収録の生観覧
- YouTuber養成所「動画投稿室」
- 毎朝生配信「朝の会」
- ジョギング「PROGRESS-RUN」
- 毎月末 メンバー交流会
- サロン合宿「修学旅行」
です。
気になる特典は、YouTuber養成所ではないでしょうか。
YouTubeを始めたい、中田敦彦さんのようなプレゼンをしたい人にはたまらないオンラインサロンでしょうね。
Place・Promotion
YouTube大学のプロモーションは、
- YouTube
- 書店
- テレビ
です。
YouTubeは自らメディアになっている状態で、発信力はすさまじいものがあります。
リアルの場だと書店です。
YouTube大学で紹介された書籍の帯には「YouTube大学で紹介されました!」が付けられ、YouTube大学の宣伝になっています。
最近、芸能人がYouTubeに参入したり、テレビにYouTuberが出演したりと、YouTubeのテレビへの露出が増えています。
中田敦彦さん自身はテレビへの出演は控えており、YouTube大学がどれくらいテレビで紹介されているのか分かりませんが、プロモーションになっているでしょう。
中田敦彦さんのビジネスモデルキャンバス
中田敦彦さんのビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスを使って分析します。
顧客セグメント(CS)
中田敦彦さんのビジネスモデルは誰を対象にビジネスをしているのかというとSTP分析から、
- マス市場
- 勉強したい個人
- 成長したい個人
が顧客セグメントになります。
チャネル(CH)
どういう経路で顧客に価値を提供しているのかというと、
- YouTube
- Webサイト
- 書店
ですね。
テレビのレギュラーは、数年かけて徐々に減らしていき、最終的にゼロにしています。
ネットは、YouTubeとWebサイトのみで、TwitterやインスタグラムなどのSNSはやっていません。
YouTube大学では、書籍を紹介しているので、書店も顧客との接点を持つ重要な場所です。
書店に訪問する人は、比較的知識レベルが高く、高所得者層が多いです。
自身の著書もありますが、紹介した本の帯にYouTube大学で紹介!とあるので、目に触れる機会が増えます。
顧客との関係(CR)
顧客とどのような関係を築いているのかというと、
- YouTubeでの質疑応答
- オンラインサロン
になります。
YouTubeは、コメント欄はオープンになっていて、コメントに対するいいねも自ら押しているそうです。
2020年3月には、YouTubeライブも初めて、視聴者からの質問に答えています。
オンラインサロンでは、
- 「YouTube大学」収録の生観覧
- YouTuber養成所「動画投稿室」
- 毎朝生配信「朝の会」
- ジョギング「PROGRESS-RUN」
- 毎月末 メンバー交流会
- サロン合宿「修学旅行」
と、かなり濃密な接点を持つことができます。
SNSはやっていないので、オープンな場でのテキストによる交流はありません。
収入の流れ(RS)
- マス市場向けに、YouTubeでの情報発信で広告収入
- オンラインサロンの月額課金
- 書籍
- 幸福洗脳アパレル販売
- XENO販売
と収益源は多様化しています。
大半がYouTubeの広告収入だと思います。
オンラインサロンの参加人数は分かりませんが、魅力的なサロンですし安定した収益基盤になっていると思います。
アパレル販売は、単価が高く収益性はあると思いますが、数は出ないと思うので、額で見るとそこまでのインパクトはないかもしれません。
XENO販売は、YouTubeでの宣伝効果もあり、770円とお手頃な価格なので、これから伸びていくでしょう。
提供価値(VP)
中田敦彦さんのビジネスが顧客にどのような価値を提供できるのか。
- 学ぶことの楽しさを教える教育エンタメ
- 人生をより良いものにするために学ぶ
YouTube大学の動画を見ると、知らないことを学ぶ楽しさを教えてくれます。
とくに、歴史や宗教、文学などは、忙しい人はなかなか触れる機会が少ないですが、コンパクトに分かりやすく面白く説明してくれるのでとても重宝します。
また、お金の話、ビジネスの話、7つの習慣などの自己啓発の話は、学校では教えてくれないけれど実社会では必要な知識です。
大人でもちゃんと勉強している人は少ないかもしれません。
人生を良くするための知識を広く分かりやすく伝えてくれています。
キーアクティビティ(KA)
中田敦彦さんの事業内容はしゃべくり、この一点です。
キーリソース(KR)
ビジネスをする上で必要な資源はヒト、モノ、カネ、情報の4つです。
ヒトは、中田敦彦さん一人です。
知名度もあり、プレゼン力もある中田敦彦さんがひたすら本を読み、YouTubeで発信します。
モノは、幸福洗脳のこだわりのあるグッズです。
ビジネスをする上で必要な設備は特に必要ありません。
カネは、YouTubeから広告収益を考えると十分あると言っていいでしょう。
ビジネスモデル自体は、大きな資金を必要とするものではないので収益性はかなり高いです。
情報は、このビジネス価値の源泉です。
どんなテーマを発信するのか、どんなテーマがウケるのかを見極めることが重要です。
トレンドやニュースではなく、歴史など文学など普遍的なテーマがメインなので、過去の動画は色あせることなく資産としてどんどん積みあがっていきます。
キーパートナー(KP)
ビジネスを行う上でのパートナーは、情報発信プラットフォームである
- YouTube
- 出版社、書店
になります。
所属している吉本興業がどのように関わっているのかは不明です。
コスト構造(CS)
中田敦彦さんのビジネスモデルは、低コスト体質でしょう。
- 動画撮影や編集スタッフの人件費
- 幸福洗脳スタッフの人件費
- スタジオ家賃やセット
- 情報収集の書籍代
と大きな経費は必要ありません。
中田敦彦さんのビジネスから学ぶべき点
プレゼン力という武器をフル活用
中田さんといえば、しくじり先生などで発揮したプレゼン力です。
これを教育というマス市場、そして伸びているYouTubeというプラットフォームで発信したことが成功の要因です。
これまではテレビというマスメディアで、リズムネタ、お笑いネタをやっていました。
テレビの世界でも十分に成功していましたが、すべての力を表現するには制限がありました。
YouTubeの世界で解き放たれた感じがします。
とにかくプレゼン、しゃべくりをひたすらやっている感じです。
発信量がすごすぎて誰も追いつけません。
学ぶべきことは、強みを活かしマス市場を狙うことです。
YouTubeに本気でフルコミット
中田さんのYouTubeに対するコミットぶりを見ると本気が伝わってきます。
- YouTube大学
- 2ndチャンネル
- オリラジチャンネル
など、一人で複数のチャンネルを運営するのは普通ではありません。
本の内容を発信する動画を毎日更新するだけでも普通の人はできません。
YouTubeの動画を見ていても、常に改善しています。
初期の動画に比べたら、画質もよくなり、編集も見やすくなり、ライブ配信も取り入れたりと、YouTubeに最適な形を模索し続けています。
動画を追っていくだけでも、YouTubeチャンネルの運用の勉強になります。
テレビと違って、YouTubeは個人にフォーカスするので、編集しても本人の本気度は視聴者に伝わります。
本気で取り組んでいることが伝わっているために、YouTubeの視聴者は応援するのでしょう。
学ぶべきことは、YouTubeをやるなら本気でやる。
サブスクリプションモデル
さらに、オンラインサロンの運営や幸福洗脳のブランド、XENO販売など、事業領域が増えています。
もちろん、スタッフやサロンメンバーの協力もあるでしょうが、外から見たらものすごい活動量です。
特に今後大きな資産となるのがオンラインサロンの月額課金です。
YouTubeの広告収入はかなりの金額になっていると思いますが、YouTubeの規約に左右されたり景気にも影響され、かなり不安定なので強固な収入基盤を築く必要があります。
サブスクリプションが経営の安定度を大きく高めます。
YouTubeはオンラインサロンへの集客媒体として活用するのが一番効果的です。
今は、YouTubeの教育系の動画内容とオンラインサロンの活動は直接リンクしていませんが、
- 月額課金の教育系サービスを作り、教育系コンテンツのYouTubeから誘導する
- スキルアップ系のYouTube動画を増やし、オンラインサロンの訴求を尖らせ、スキルアップしたい人を誘導する
といったことは、すぐにできるでしょう。
おそらくマネタイズは優先事項ではないと思いますが、ニーズはかなり高いと思います。
いろいろな方向にビジネスを展開する土台がしっかりあるので、今後売上規模は何十倍にもなるでしょう。
学ぶべきことは、YouTubeとオンラインサロンの組み合わせは最強でビジネス展開がしやすい。