本の内容
ラインを引き、相場環境を読み、ローソク足のパターンを売買シグナルとして使ってエントリーする基礎的なトレード手法を習得します。
しっかりとしたスキルを身に付け、さらにトレードメンタルを鍛え、日々自分の精神を安定させる努力が必要です。
そして自分のトレードを記録、分析するマメさも必要です。
私はFXのトレードに関わる全てのことをビジネスとしてとらえています。
なぜなら、単純にFXはビジネスだからです。
FXのトレードで安定して勝つには、勝てるトレード手法とメンタル面の安定だけでなく、自分のトレードを記録して分析するということも、非常に重要になります。
FXで勝ちたいのなら、人間のクセ、相場でのトレーダーのクセを見つけることができ、それをトレード戦略に落とし込むことができればいいのです。
それができれば、他のトレーダーがいつも通りの反応でいつも通りの行動をして負け負けになっている間に、あなたは他のトレーダーよりも少しだけ有利に立ち回ることができ、長期的に安定して勝つことができます。
相場における人間の習慣は、ほとんどの人間共通の感情に左右されます。
共通の感情とは「強欲」「恐怖」「乗り遅れることへの恐怖」「他のトレーダーと自分を比べる習性」です。
これらの感情がトレーダーのミスを誘います。
安定して勝てるトレーダーは、コンテクスト(背景状況)を把握できた状態で、狙っている方向にローソク足のシグナルが出た時だけエントリーします。
あまりにたくさんのテクニカル指標を表示しないようにすべきだということです。
表示するテクニカル指標は2つか3つが限度です。
チャートの時間軸
長い時間軸のローソク足の方が、短い時間軸のローソク足よりも信頼できます。
理由は単純に、一本のローソク足を作るためにかかった時間と情報量の差です。
1分足でどんなパターンがでようと、それはほんの60秒で起きたことにすぎません。
しかし日足には24時間分の情報が詰まっています。
ですから後者の方が信頼できるのは明らかです。
チャートをチェックしてエントリーチャンスが無ければ、その日はお休み。
次の日までやることが無いからです。
4時間足ならこれが4時間に1回となります。
1時間足ならこれが1時間に1回。
これくらいまでなら、他のことをやりながらトレードすることが可能です。
本書では、日足と4時間足をメインとし、チャンスが来ているときだけ1時間足や30分足、時々15分足や5分足まで降りてきてエントリーシグナルを探すことを前提に解説していきます。
これはとても重要なことなので必ず覚えておいてください。
全ての時間軸のチャートは、互いに独立したものとして扱わなければなりません。
すべてのチャートは独自のトレンドを描いています。
同じドル円のチャートでも、週足と4時間足は互いに独立しています。
トレード時間
日本時間の9時から17時くらいまでの時間帯は、日本の銀行が営業していますから東京セッションなどと言われます。
オセアニア → 東京 → ロンドン → ニューヨーク
オセアニアと東京はあまり値動きが活発ではありません。
それに対し、ロンドンとニューヨークは活発です。
トレンドライン
レジスタンスライン・サポートラインはチャート上で多くの人が意識しているラインです。
私が一番お勧めするのは、日足でサポートライン、レジスタンスラインを引いて、そのラインを使って日中足(4時間足や1時間足、15分足)でエントリーするという方法です。
ほとんどのトレーダーに意識される最高のサポートライン、レジスタンスラインは日足で見つかることが多いです。
初心者のうちは押しや戻りを待ってエントリーすることをお勧めします。
FXで短期的なトレンドの転換を見極めるシンプルな方法を2つ紹介します。
- レジスタンス/サポートラインのブレイクでトレンドの転換を見極める方法
- 123パターンでトレンドの転換を見極める方法
特にレジサポのブレイクアウトで見極める方法は精度が高いので特にお勧めです。
トレンド転換した直後に正しい方向につけるかどうかが、FXトレーダーとして成功できるかどうかの分かれ目といってもよいです。
レジスタンスラインだったポイントがいったん上方向にブレークされると、そこに価格が戻ってきた時に今度はサポートラインとして機能することが多いです。
このようなポイントでローソク足の買いパターンが出現したら、迷わず買いエントリーします。
このように、シンプルにトレンドを読み、期待値の高いエントリーポイントでローソク足を読んでエントリーする。
サポートラインがレジスタンスラインに変化する理由
このサポートラインでたくさんの人が買っていました。
今回もここからバウンドして儲かると思っていたのです。
ところがバウンドせずにラインを割り込み、含み損を抱えることになってしまいました。
彼らはどうするでしょうか?
すぐにロスカットするでしょうか?
そうする人もいるでしょう。
しかし、大半のトレーダーは含み損を抱えたまま、価格が買値まで戻ってきてくれるのを待つのではないでしょうか?
買値に戻ってきたら彼らはどうするでしょうか?
もちろん、同値撤退しようとします。
彼らのポジションは買いポジションなのですから、同値撤退する時の注文は「売り注文」です。
だから価格が古いサポートラインに戻ってきたら、そこは売られやすいのです。
ラインの引き方
常に、自分がメインでトレードする時間軸よりも1つ上の時間軸でラインを引くようにしてください。
月曜日、週の初めにFXトレーダーがやるべきことは、落ち着いて日足を眺め、重要なサポートラインとレジスタンスラインを引くことです。
ラインに完璧さを求めてはいけません。
それらは重要なエリアです。
過去の値動きで価格が反応したエリアです。
1本の細いラインを引いて、そこで寸分の狂いも無く完璧にチャートを反応することを期待してはいけません。
その辺りをエリアとしてとらえ、意識されるエリアぐらいに考えておくことが重要です。
大切なことは、誰もが引いていそうなラインを引くことと、あまりたくさんのラインでごちゃごちゃにならないようにすることです。
きりの良い数字(ラウンドナンバー)を意識
為替レートのきりの良い数字のことをラウンドナンバーと呼びます。
きりの良い数字はみんなが意識します。
ドル円だと100円や110円などです。
みんなが意識するので、そこがサポートラインになったり、レジスタンスラインになったりしやすいです。
ドル円を買っていて、今98円だったとします。
人間は理由も無く自然に「どうせなら100円で利食いしよう」となりがちです。
人間には今の数字に一番近い数字で、且つ一番近いきりの良い数字で行動しようとする性質があるようです。
そういったポイントでは大口が何かを仕掛けてきます。
トレンド
私は次の1つの波に乗ろうとするだけです。
1つのスイングローから次のスイングハイまで取りたいだけです。
スイングハイとは値動きの山の頂点になっているポイントのことです。
スイングローとは値動きの谷の底になっているポイントのことです。
下落トレンド中は「高値の切り下げ」「安値の切り下げ」が繰り返されています。
上昇トレンド中は「高値の切り上げ」「安値の切り上げ」が繰り返されています。
レンジ相場
相場では、トレンド相場の時間より、レンジ相場になっている時間の方が圧倒的に長いのです。
トレンド相場が3に対して、レンジ相場が7といった比率です。
FXトレードの初心者なら、レンジ相場をトレードするのはお勧めではありません。
レンジ相場でトレードするなら、資金を守るという意識の重要度が増します。
レンジ層ではちょっとしたサポートライン、レジスタンスラインに反応してチャートが乱高下しがちです。
レンジ相場は、高値と安値の間をバウンドするような値動きです。
一方、踊り場とは、値幅が極端に狭いレンジ相場です。
踊り場とは、次の値動きが始まる前に相場が休憩しているような状態です。
元のトレード方向にブレイクアウトしてトレンドが継続することの方が多く、6~7割。
反対側にブレイクアウトして反転するのは3割ぐらいです。
元々のトレンド方向にブレイクアウトするのを待てばよいエントリーになりやすいです。
ブレイクアウト
明確なトレンドが出ている状態で踊り場が出現し、踊り場の値幅がだんだんと狭くなっていくのを見たら、それはブレイクアウトのエネルギーを溜めている状態と言えます。
そのブレイクアウトは元々のトレンド方向に出る確率が6~7割ほどだということも考慮すると、おのずとやるべきことは決まってきます。
上方向へのブレイクアウトを待ち、プルバックでエントリーすればよいのです。
ブレイクアウトで飛び乗るようにエントリーするトレーダーは結構多いと思いますが、実はあまり賢い方法ではありません。
ダマシのブレイクアウトに引っかかってしまうことが多いからです。
ブレイクアウトは素晴らしいエントリー手法ですが、だましのブレイクアウトも驚くほど多いのです。
ピンバー
ピンバーは上ヒゲや下ヒゲのローソク足のことで、ローソク足のなかで最も強力な反転パターンです。
ピンバーをシグナルとしてエントリーするのは、基本的にはスイングハイ(山の部分)とスイングロー(谷の部分)だけです。
ヒゲというのは拒絶反応を意味します。
ヒゲができたということは、その価格が拒絶されたということです。
拒絶された方向にはエントリーしたくありません。
買いのピンバーのエントリー
ピンバーの高値ブレイクアウト
売りのピンバーのエントリー
ピンバーの安値ブレイクアウト
ロスカット注文の位置は、
買いのピンバーなら、ヒゲのすぐ下
売りのピンバーなら、ヒゲのすぐ上
になります。
時々ピンバーの髭が長くてロスカット幅が広すぎる場合があります。
そんな場合は、ピンバーの70%の位置にロスカット注文を置きます。
70%というのは、フィボナッチの61.8%リトレースメントを超えてしまった位置という意味合いもあります。
ピンバーはFXのトレードにおいて最も大切なエントリーシグナルですので必ずマスターしましょう。
最高のピンバーは、ダマシのブレイクアウトで出現するピンバーです。
ピンバーのヒゲの部分が主要なサポートラインやレジスタンスラインを勢いよく突き抜けたのに、結局最後には戻ってきてしまい、ヒゲになってピンバーを形成したものです。
ピンバーのヒゲの部分がブレイクアウトで飛び乗るタイプのトレーダー達や、そこにロスカット注文を入れていたトレーダー達を罠にはめた状況です。
このようにトラップがからむエントリーシグナルは最も期待値の高いエントリーシグナルです。
誰かが罠にかかったのを確認し、絶妙なポイントでその逆方向にエントリーする。
含み線
含み線とは、2本目のローソク足が、1本目のローソク足を完全に含み形になります。
1本前のローソク足を含むだけでなく、複数のローソク足を含むとさらに強力なパターンとなります。
含み線は前のローソク足を含んでしまうくらいですから、値幅が大きくなります。
含み線の値幅の大きさはボラティリティがある証拠ですからチャンスになります。
反転パターンですから、スイングハイやスイングローで出た時だけ有効です。
スイングハイで陽線の含み線が出ても意味がありません。
含み線は反転のシグナルなので、スイングハイで陰線の含み線、スイングローで陽線の含み線がでなければ意味がないのです。
含み線のエントリーは、含み線の高値か安値のブレイクアウトでエントリーする方法です。
含み線のロスカット位置は
買いの含み線なら含み線の安値
売りの含み線なら含み線の高値
これが基本です。
含み線の条件
必ずしも含み線の実体が前の足を含んでいる必要はありません。
含み線は少なくとも一本前のローソク足をすっぽりと含んでいなければならない。
高値が前の足の高値より高く、安値が前の足の安値よりも安い。
売りの含み線なら3分の1程度を超える下ヒゲになっていてはいけない
買いの含み線なら3分の1程度を超える上ヒゲになっていてはいけない
フクピンバー
フクピンバーとは、含み線とピンバーの条件を同時に満たしたローソク足のことです。
含み線やピンバーは単独でも素晴らしいエントリーシグナルなのですが、それらが同時に起きるのですから、強力なシグナルであることは言うまでもありません。
このシグナルが、スイングハイ、スイングロー、サポートライン、レジスタンスラインで出現したら、私はほぼ100%エントリーを狙います。
少なくとも1本前のローソク足をすっぽりと含むピンバーがフクピンバーです。
買いのフクピンバーなら大きな下ヒゲが、売りのフクピンバーなら大きな上ヒゲが出ていること。
フクピンバーのエントリーにはブレイクアウトのエントリーだけを使います。
フクピンバーが完成したら、その高値か安値に逆指値注文をセットします。
同時にヒゲの頂点を超える位置にロスカットを設定します。
ダマシのブレイクアウト
ダマシのブレイクアウトが起きる時、
- ピンバー
- 含み線
- 合成ピンバー
- フクピンバー
のうちのどれか1つが起きることが多いです。
上髭や、はらみ足、トリプルトップなど空売りのセットアップが出現し、空売りするチャンスを与えてくれました。
重要なポイントでプライスアクションを読めば高確率なエントリーができることの良い例です。
ダマシのブレイクアウトが起きそうなポイントで、これら逆張りのアクションパターンを見つけてエントリーするのが最も期待値の高い最高のエントリー手法の一つだということを覚えておいてください。
トレードの計画を立てる
FXのトレードで利食いと損切りをうまくやる一番のコツは、エントリーをする前にそのトレードの計画を立てておくことです。
FX初心者の場合には、計画を書き出してからエントリー注文を出すことが重要となります。
あとはポジションを計画通りに管理するだけです。
感情が付け入る隙を与えてはいけません。
まずはポジションサイズを計算して割り出します。
ロスカット幅と自分の資金量から、何ロットエントリーできるのかを計算するのです。
トレード日誌
FXのトレードで安定して勝てるようになるには、トレード日誌を毎日欠かさずつけること、そして結果を後から分析することが必須です。
自分の成績を落としている原因を突き止め、ダメなエントリー手法を排除し、特になことに特化できるかもしれません。
必ず詳細なトレード日誌を記入するというルールが定着すると、意味のないエントリーや本当はやりたくないエントリーの数が目に見えて減ってきます。
自分のやっていることを完全に把握できているというのは、本当に心地のよいものです。
しっかりとした投資教育を受けてスキルを身に付けたトレーダーだけが長期的に安定して勝つことができます。
相場を理解し、しっかりとした利食いと損切りのスキルを持ち、いつも淡々とやるべきことを繰り返せる人だけが安定して勝てるようになるのです。
面白かったポイント
トレンドラインのサポートレジスタンス転換やローソク足のヒゲや含み線のパターンといった、チャートを読む上で基礎的な知識だけど非常に重要なポイント使ったエントリー方法を解説してくれています。
初級者はもちろん、FXトレードの経験はあるけれど最近なかなか勝てない方は、復習する上では非常にいい感じのレベルの本だと思います。
エントリーする前にトレードプランを立てることやトレード日記をつけるなど、ドレーダーとしてのレベルを上げるための習慣も紹介されているので、しっかり結果を出されているトレーダーが執筆されていると思います。
全体的にエントリー方法の解説も具体的で、きっちり内容を理解して、書かれていることを実践すれば結果が出ると思う良書です。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆