武器としての交渉思考

ビジネス

『武器としての交渉思考』瀧本哲史

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内容

教育

上の立場の人間の考えを「押しつける」ことでも、正解を「詰め込む」ことでもなく、相手から思考力や洞察力、想像力を「引き出す」ことこそが、教育本来の姿なのです。

 

エスタブリッシュメントの支援

「エスタブリッシュメントの支援を得る」ということは、ビジネスの世界で成功するためには、ほとんど必須といっていい条件となっています。

 

非連続

「自分と似た人間、同質な人間ばかりと出会っていても、大きな〝非連続的変化〟は生み出されない」

 

お金を儲けることが大事

お金がない社員は、上司の無茶な要求にも「NO」が言えなくなります。

安月給でワンマン経営者にこき使われていたとしても、貯えがなくて転職できる見込みがなければ、そこで働き続けるしかありません。

何を言われても「はい、喜んで」と返事をするしかなくなってしまう。

お金がないと、まずは生きるために目先のことしか考えられなくなってしまうのは、今も昔も変わらないのです。

これでは、いつまで経っても理想の働き方や生き方を追求することはできないでしょう。

一生、ブラック企業のなかで不平不満を言いながら、ストレスフルな人生を送ることになります。

 

認知的不協和の解消

ある心理学者が、2つのグループに社会奉仕活動をしてもらい、片方には報酬を払い、片方には無報酬で働いてもらうという実験を行いました。

そして作業の終了後、「この活動には社会的な意味があったと思うか?」という質問をすると、如実に無報酬で仕事にあたったグループのほうが「意味があった」と考えていることがわかったのです。

人は報酬が与えられない仕事を命令されてやっていることに耐えられない。

そのため、自分で「これには意味があった」と思い込むことで、精神的にバランスをとろうとするわけです。

これが「認知的不協和の解消」と呼ばれる心理現象です。

 

夢や理念といったものが、問題の本質から目を逸らさせてしまうことがよくあるのです。

 

交渉の基本

交渉においてとにかくいちばん大事なのは、「相手の利害に焦点を当てる」ということです。

大事なのは、自分の立場ではなくて、相手側のメリットを実現してあげること。

そのうえで自分もメリットが得られるようにすることです。

お互いの利害を分析することで、双方に入ってくるメリット自体が大きくなる、パイが大きくなるということも少なくないのです。

 

超重要事項として、交渉では「反応速度を速くする」ということも大切になってきます。

どんなに忙しくても、すぐ反応する。逐一、対応する。頻繁に連絡する。

人は相手をレベルではなくラベルで判断します。

 

バトナ

バトナとは、英語の「Best Alternative to a Negotiated Agreement」の頭文字をとった言葉です。

簡単にいえば、「相手の提案に合意する以外の選択肢のなかで、いちばん良いもの」という意味になります。

 

交渉というのは結局、情報を集める「だけ」の勝負なのです。

交渉というコミュニケーションがディベートなどに比べてもやりやすいのは、「相手側に直接聞いて情報を集めることができる」ことです。

交渉のポイントは「たくさん聞いて、たくさん提案すること」であると、覚えておいてください。

 

バトナが良ければ良いほど、交渉力も高まるわけですから、バトナを見直し、より良いものにすることで、有利な立場をとることができるのです。

選択肢を複数得ることができたら、そのなかでどれが本当に自分にとってもっとも良いバトナなのか、考えて、選んでおく必要があります。

 

交渉が始まったら、自分のバトナは変えられない。

だから「準備が8割」

 

交渉用の人格

そのように「交渉用の人格」に切り替えて交渉に当たってみると、交渉自体がある種のカードゲームのように見えてきます。

「相手がこのカードを切ってきたら、こっちはこう返す」とあらかじめシミュレーションしておけば、客観的に対処できるようになる。

こちらの要求に対して相手が「そんなことできるか!」と怒ったとしても、「脅しカードを切ってきたか」と冷静に分析することが可能になります。

 

実際の交渉の現場でも、役割を分けることは頻繁に行われています。

たとえば、人質をとった犯人が立てこもって、身代金の要求を突きつけてきたような場合、警察は「実際に犯人と交渉する人」「状況を分析する人」「行動を決定する人」に分けて対応を考えるそうです。

そうやって役割を分けることによって、直接の交渉者は「自分には権限がなくメッセンジャーにすぎない」と犯人側に伝えることができるので、交渉のプレッシャーに負けることがなくなります。

その逆に犯人は、目の前の交渉者ではなく、そのうしろに控える姿の見えない意思決定権者が何を考えているのか想像する立場に追い込まれ、プレッシャーが強まるわけです。

自分が交渉するときも、このように自分のなかで「交渉する人」「分析する人」「意思決定する人」を分けてみるのはきわめて有効でしょう。

 

相手側に何かしら強く押し切られて合意を求められそうになったら、そこで「ちょっと持ち帰ってパートナーと相談してから決めさせてください」と言ってみる。

実際にパートナーなんていなくてもかまいません。

ベッドの脇に置いてあるテディベアのぬいぐるみでも、家で飼ってるインコでもなんでもかまわないのです。

とにかく相手に「自分だけでは決められない」と伝えることが大切で、持ち帰ってじっくり状況を分析する時間をとることで、その場での不用意な合意を避けられるわけです。

世間では交渉が強い人というと、声が大きくて押しが強い人をイメージしますが、そういう人よりも、むしろじっと相手の話を聞いて、冷静に分析してゲームのように有効なカードを切れる人のほうが強いというのが、交渉の常識です。

 

アンカリング

この話が教えてくれるのは、「交渉はどこからスタートするかによって結果がまったく違ってくる」という非常に大事なことです。

アンカリングとは、さきほども少し説明したように「最初の提示条件によって、相手の認識をコントロールすること(もしくは、認識がコントロールされてしまうこと)」です。

 

アンカリングにおいて最初に提示する条件は、できるだけ「高い目標」とすることが大切です。

なぜならば、最終的に交渉の結果得られる果実は、最初に置いた目標以上にはならないからです。

 

アンカリングされるのを避けるためにも、相手側が出してくる条件は、まずは「一切無視」ぐらいに考えておくほうがいいでしょう。

 

アンカリングの3条件は、「①高い目標、②現実的、③説明が可能」

 

非合理的交渉者

こういう非合理的な主張をする人には、大きく分けて6タイプいます。

①「価値理解と共感」を求める人

②「ラポール」を重視する人

③「自律的決定」にこだわる人

④「重要感」を重んじる人

⑤「ランク主義者」の人

⑥「動物的な反応」をする人

 

時間をかけて「ラポールを築く」努力をする

1.相手に好意を伝える

2.スモールギフトをおくる

3.相手との共通項を見つける

4.相手と同じ話し方・振る舞い方をする

5.共同作業を行う

 

面白かったポイント

めちゃくちゃ面白い

交渉で有利に立つには、いかに自分の価値を高めておくかと情報を集めておくかに尽きる。

その上で、いろいろな交渉テクニックが活きるわけで、テクニックだけでは交渉のテーブルにもつけない。

そして、やっぱりお金を稼ぐことが大事ということ。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

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