ラーメン発見伝

ビジネス

『ラーメン発見伝』河合単、久部緑郎

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内容

ラーメン発見伝 1

「よその店で修行しても、結局、『自分の味』を見つけないとラーメン屋開いても意味ないっすから」

 

オレンジジュースに醤油を一滴。

甘くておいしく感じる。

 

素性が確かで良質なとんこつを使い、血抜き、灰汁抜きを丁寧にやったあとにスープを取れば、イヤな臭みは出ないんです。

とんこつにはスープの白さを壊さないよう薄口醤油で作ったタレがちゃんと入っている。

 

食べ物の旨味はグルタミン酸とイノシン酸の相乗作用によって生まれます。

トンコツスープはイノシン酸がほとんどです。

そこで頼りになるのがグルタミン酸の豊富な醤油です。

とんこつラーメンの美味しさは、やはりグルタミン酸の多い昆布を薄口醤油で煮て作ったタレがないと成り立たないんです。

 

醤油の良し悪しは熱を加えた時にはっきり出る。

添加物だらけの醤油は熱を加えると雑味だらけになるが、本物の醤油は香ばしく味が深まる。

 

カメリアラードでネギを揚げて作ったネギ油。

クセのないカメリアラードに薬味の王様であるネギとの組み合わせなら比較的、他の素材の風味を邪魔せず、コッテリ感を演出できる。

 

 

ラーメン発見伝 2

極論すると、ラーメンはレシピがすべてです。

レシピさえあれば、素人でも美味しいラーメンは作れます。

 

塩。

ミネラル分4~7%ぐらいが最適で、10%を超えると苦味が強すぎてしまう。

塩ラーメン作りのキーポイントは臭みを抑えた美味しいスープ作りと、なんらかの香ばしさを加味する工夫、この二つ。

もちろん具は美味しくなくちゃ困る。でも、ラーメンの具としての美味しさと、単品料理としての美味しさは、質が違うってこと。

 

スープの上には脂が浮いている。

脂分が多すぎるとボンヤリした味になっちゃう。

かと言って少なすぎると甘味がなくなってギスギスした味になる。

だからお玉で表面の脂をはじいてから脂分とそれ以外の成分のバランスを計算してスープをすくっている。

 

煮豚は、まず豚肉を下茹でし、それから醤油などの調味料で煮て味付けする。

それを多くのラーメン屋では、下茹ではスープで、味付けはタレで煮て行うことでスープやタレに豚肉の旨味を与えてるんだ。

豚肉を塩漬けにして、2日ほど冷蔵庫で寝かせることで余分な水分が抜け、旨味だけが肉の中に凝縮されるんです。

この豚肉から余分な塩を落とし、スープに入れると浸透圧の関係でスープと豚肉の間に中和作用が生じます。

スープには豚肉の旨味が流れ込みますが、塩漬けて水分を失っている豚肉にはスープの旨味もしみ込むので肉自体の旨味が全部流れ出てしまうことはない。

ポー・サレ、フレンチでは常識的な技法の一つ。

 

スープに焼きアゴ(トビウオ)。

焼きアゴは煮干しに比べると臭みは薄いのに強い味のダシが取れます。

トンコツの強烈な旨味に負けない新たな旨味が加味できる。

トウガラシといりこをごま油で炒めて作った辛味ダレ。

 

 

ラーメン発見伝 3

スーパーの食材で味噌ラーメン

まずはラードをしいて、たっぷりの豚の挽き肉を、みじん切りにしたにんにくと生姜と一緒に炒めます。

人参、キャベツ、玉ねぎ、もやし、ニラなどを順次入れていって、そこそこ火が通ったらお湯を入れます。

続いてオイスターソース、豆板醤、スキムミルク、野菜ジュース、山椒、ごま油、一味唐辛子を入れて、最後はただの味噌を溶いて出来上がり。

 

味噌という調味料はうますぎる。それが味噌ラーメンの最大の魅力であり、最大の弱点。

発酵中の味噌から染み出してくる「味噌だまり」。

味は醤油に近いけど醤油よりまろみがあって、あっさりしているのが特徴。

旨味をまとめる力があって、でも醤油ほど旨味が強くないので調味料の味がでしゃばることもない。

 

ほとんどの店では作業効率を優先してチャーシューとネギを切り置きしてますけど、本当はラーメンに乗せる直前に切った方が、チャーシューは乾かないしネギも風味を失いません。

煮玉子の味付けで煮汁にアーモンドのスライスを少し入れておくと、煮玉子の香ばしさが膨らむ。

スープの味をまとめ、かつ、旨味を100%引き出せる醤油ダレの適正量を見極めるのは今の時代の醤油ラーメンにとって重要なポイント。

 

ポイントは塩です。

スープの重層性を引き出そうと醤油味を抑えることに気を取られるあまり、人がうまいと感じるために必要な塩分量を下回っていることに気づかない者は多い。

薄口醤油は薄味だと誤解してる者が多いが、実際は色が薄いだけで塩分濃度は約18%もある。

一般に言って、濃口醤油より2%ほど高い。

 

トンコツを割らずに弱火で煮込んでちゃ、いつまでたっても骨髄の旨味が出てこない。

トンコツと違って鶏ガラは早く旨味が出てくるので、血抜き、灰汁抜きのための下茹ででは、沸騰したお湯に入れて再沸騰したら取り出すぐらいでいいんです。

 

「煮干し丼」。

煮干のだしがらを細かく刻んで、にんにくのみじん切り、おろし生姜をごま油を敷いた中華鍋でサッと炒めて、ラーメンに使う醤油ダレで甘辛く味付けして、あとはネギの千切りと絡めて熱々のご飯に乗せてできあがり。

白菜漬けの汁を塩だれに使うことで、ほのかな甘味と酸味が入り混じった複雑で独特な味わいに。

 

 

ラーメン発見伝 4

加水率の低い麺には伸びやすいという弱点がある。

麺の中の水分が少ないってことはスープの水分がしみ込みやすい。

 

ダブルスープ方式。

トンコツと鶏ガラを使ったベースのスープとは別に魚介系食材で和風スープを作って、2つのスープをどんぶりでブレンド。

別々にとってブレンドすることで、濁りのない形で旨味の重層性を生み出せる。

 

 

ラーメン発見伝 5

フランス・ゲランド産の自然塩。

各種ミネラル分をバランスよく含んでいて、スープの旨味を素直に、そして豊かに膨らませてくれる力がある。

この塩には、林檎の木のチップでスモークをかけて香りづけしておいたんだよ。

 

白絞油は、植物油をさらに精製したもので、大豆白絞油、菜種白絞油、綿実白絞油などがあります。

茹で置きした麺に雑菌が付くのを防ぐためと、水分が飛んで伸びないよう、食用油を塗るんです。

 

醤油ダレにはグルタミン酸の固まりである昆布をフードプロセッサーでパウダーにしていれてあるんです。

チマチマと昆布だしなんか取るより、昆布をそのまんま醤油ダレに入れちゃう方が手っ取り早い。

 

トマトは野菜の中ではダントツにグルタミン酸が豊富なんです。

トマトをすり潰し、煮詰めたものを醤油ダレに入れたんだ。

 

巷に溢れるつけ麺は、厳密に言うとつゆも熱くないし、麺もさして冷たくない。

常温の醤油ダレを、ラーメンの時の半分程度の量のスープで割って作るつゆは、最初からぬるめだ。

麺の冷やしも甘い店が多い。だからこそ、つけ麺はぬるくマズい。

 

 

ラーメン発見伝 6

ネギとスープの相性。

ネギの青い部分が混じっていると、強い青臭さがこの繊細な味を壊してしまう。

ラーメンにおける薬味の役割は、スープに残った臭みを消すこと、動物系と魚介系の旨味の中に清涼感を加味することの2点。

バジルだとスープの味を乱すことなく清涼感を加味してくれる。

ほかにも春菊やセリなんかもいける。

 

平ザルの利点を最大限活かすには一度に五玉も茹でてはダメなんです。

タップリの沸騰したお湯を張った釜に、麺を一玉だけ入れ、茹で上がったら即座に平ザルで麺上げして湯切りするのがベスト。

振りザルは茹で上がったら麺をまとめる手間もいらず、五玉でも六玉でも一気に引き上げられる。

両手に振りザルを持てば二つ同時に湯切りすることだってできる。

振りザルにおける茹で時間のブレの無さは、平ザルとは比べ物にならない。

麺がダマになりやすい欠点は麺を丼に移す際にほぐしてやれば問題ない。湯切りに若干甘さが出る。

 

平ザルで茹でた5杯が60点から100点まであるとしたら、振りザルで茹でた5杯はすべて85点という感じ。

平ザルの弱点である茹で加減のバラツキは振りザルを一気に引き出すことで解消。

振りザルの湯切りの甘さは、竹ザルに麺を広げて湯切りすることで解消できる。

 

豚脂をミンチにして油で揚げる。

豚脂に香ばしさと噛みごたえを生み出すことができる尾道ラーメンで使われている手法。

 

 

ラーメン発見伝 7

客の回転が良すぎて厨房の作業がオーダーに追いつけなくなった場合、客が帰った後のテーブルの食器類はあえて片付けないようにせよ。

そして、新規の客はテーブルに案内せず、厨房が立ち直るまで待ち合いスペースで待たせるようにせよ。

店の外や待ち合いスペースで待っている間は自分はまだ客ではなく、店にサービスされる立場にはないと考える。

だが、いったん客席についたからには客なのだから、なんのサービスもされず長時間放っておかれるのは、不愉快だという心理が働く。

 

夏と冬では違うラーメンの作り方をしなければいけないってことなんだ。

煮干しは冬は身が痩せるんでダシが出にくくなるんだよ。

それを防ぐには夏の間に冬用の煮干しを余分に仕入れて店で保管しておくか、問屋から夏に作られた煮干しを仕入れるしかない。

ただ、保存状態が悪くて酸化してしまっていることも多いから良し悪しはきちんと見極めないと。

 

他にも、スープの煮込み方で言えば、同じ火力では温度の低い冬の方が当然のごとく火が通りにくいから、夏より火力を強めにしないと素材の旨味をしっかり引き出すことはできない。

製麺も冬は乾燥している分、水を多めに使わないとボソボソした麺になってしまう。

 

魚介系スープと動物系スープのカクテルの仕方を変える。

醤油ラーメンを作る際は、大地魚の風味を強調するために、魚介系スープと動物系スープを7対3でブレンドしていた。

味噌の時は醤油とは逆に動物系7割に対し、魚介系3割、塩の時は半々の割合にした。

 

七種類の香味油を用意し、それぞれのスープの表面に浮かせることによって、七つの味のラーメンを演出している。

 

 

ラーメン発見伝 8

人通りの少ない住宅街にある店だと、いくらラーメンが美味しくてもきちんとした「食事」を求めるお客も捕まえないと、やっていくのはきついだろうな。

 

サイドメニューを増やすことで客単価が上がりましたし、デザートのおかげで女性中心に新規のお客も増えました。

メインのメニューを引き立てて、一種のコースを形成する。

お店のカルチャーっていうのは主人のアクションとお客のリアクションがフィードバックし合って作られるものなんです。

逆に、主人がアクションを起こさない店は、警察が職務放棄した無法地帯みたいなもので、例外なく客筋が悪くなります。

 

鶏胸肉のミンチは、灰汁を吸い取り、スープを澄ませる効果が大きい。

この作業をさらに2回繰り返し、濾してやると、一点の曇りもない美しい黄金色のスープに仕上がる。

食材の旨味を徹底的に引き出した上、臭みや濁りを徹底的に取り除いたものが、本当の清湯。

 

 

ラーメン発見伝 9

そもそもコショウという調味料は、肉料理で臭み消しの役割を果たすモノです。

昔の日本人は動物系のダシに慣れていなかっただろうというものがあります。

今では日本人も肉食に慣れ親しんでいます。

新鮮な鶏ガラやトンコツの入手も容易になり、血抜き灰汁抜きさえちゃんとすれば、臭みの一切ないスープを作れるようにもなりました。

 

その意味で、臭みの強いトンコツ系のラーメンなどの例外を除くと、ラーメン店における卓上コショウの役割は終わっていると言っていい。

トンコツ系の名店ではどこでもそのお店なりの味を維持する工夫を凝らしている。

ただ、どういう工夫にせよ、ほぼ例外なく、複数のズンドウ鍋が必要。

 

元々ダシを取るために加工されたカツオ節や煮干と違って、トンコツは、そもそもダシを取るのに時間がかかるうえ、入荷した骨によってダシの出方は不安定だし、臭みの度合いも違う。

『修行じゃなく、正しく独学してほしかったんです』

 

 

ラーメン発見伝 10

タイの麺料理では、いろんな調味料を入れて自分好みに味を調整する。

それにならって卓上調味料を用意し、自分好みのラーメンを作ってもらおうって寸法だ。

「和風ラーメン」 醤油ダレ+カツオ節粉末+煮干粉末+昆布粉末+エビ油

「激辛ラーメン」 特製ラー油+七味唐辛子+一味唐辛子+おろしにんにく+塩

「エスニックラーメン」 ナンプラー+揚げネギ+砂糖

 

 

ラーメン発見伝 11

「天然旨味塩」思いきり濃厚なかつおだしを取り、そこに塩を溶かし、そして水分が蒸発するまで煮詰めると後にはカツオ節の旨味をまとった塩が残ります。

塩なら厨房に長期保存できます。

 

新鮮なイワシを焼き魚にし、ミンチにかけて潰した後、こし器で絞り出した汁を醤油ダレにくわえているんです。

カツオ節や昆布などを使う和風ダシは硬水ではなく、軟水の方が断然いい。

なぜなら硬水に多く含まれるカルシウムはアミノ酸などと結びつきやすい性質を持ってるからなんだ。

 

牛肉を煮込んでブイヨン・スープを取る時のように、牛や豚などの獣肉を煮るのには、中硬水の方が向いている。

なぜかというと、獣肉の血などもタンパク質、つまりアミノ酸だから、カルシウムと結びつき灰汁となって排出されやすくなるんだ。

 

 

ラーメン発見伝 12

自家製麺への移行でコストダウン。

 

スープに使ったダシガラの昆布。

コリコリとした食感で、アクセントを与える具。

 

今、お客さんにとって「うまいラーメン」というのは、一杯700円前後。

選び抜かれた良質の食材をたっぷり使い、創意工夫を凝らし、うまいだけじゃなく個性的なラーメンのこと。

製麺する際、1回の圧延で5ミリから2ミリにするより、2回の圧延で5ミリ→3ミリ→2ミリとする方が、コシが出る。

3回の圧延なら、もっと強いコシが出る。

 

通常のラーメンの麺に使う準強力粉だけじゃなく、パン用の強力粉をブレンドしてみるというやり方。

麺のコシの素となるグルテンそのものである粉末グルテンを添加する手もある。

麺を冷凍庫や冷蔵庫で寝かせる氷温熟成や、低温熟成にも、水分が飛んで麺が引き締まるという効果がある。

 

「土三寒六常五杯」古くから言い伝えられているうどん打ちの塩分濃度の目安。

塩一杯を夏は水三杯、冬は水六杯、春秋は水五杯で溶いた塩分がいい。

夏、温度が高いと生地が柔らかくダレ気味になるから、塩分を高めにして生地を引き締め、冬は逆に生地が固くならないよう塩分を抑えて対処するわけ。

 

 

ラーメン発見伝 13

湯切りの目的は麺から余計な茹で湯を落とし、スープの濁りを防ぐことです。

しかし、やりすぎは百害あって一利なし。

何故なら、やりすぎると麺がダマになりやすい。

金網に何度も激しくこすられて麺が痛む。

それに湯切りに時間をかけていると麺が冷め、ひいてはその麺を入れたスープまで冷めてしまう。

 

高度情報化資本主義社会においては、モノの価値が価格を決定するだけではなく、価格がモノの価値を決定するというパラドックスが、往々にして起こりうるのだ。

女性客としては、券売機で食券を買うシステムの方が望ましい。

広い店や騒がしい店だと、大声で注文しなきゃいけない時ってあるでしょ?

お勘定の時も。女の子一人だとけっこう恥ずかしいもの。

 

女性客。

店内の様子が見えないのはダメ、威勢のいい接客は女性向けではない、不潔なのは論外、どんぶりの手渡しは困る、レンゲは欲しい、紙エプロンがあるとうれしい、今どきティッシュくらいは置いておいてほしい、においがきついと衣服に付いちゃう、男性が思ってるより意外に女性って大食い。

 

 

ラーメン発見伝 14

ビジネスにおいて赤の他人との信頼関係は、契約とシステムによってしか、築けないものだと思いますよ。

売上がごまかされないシステムは、食券の券売機を導入するのが一番手っ取り早いでしょうね。

 

 

ラーメン発見伝 15

視覚情報が味覚に与える影響というのは、思いのほか大きいもの。

どんぶりの形にも気をつけたほうがいい。

口径が狭く、底が深いどんぶりだとスープは冷めにくいけど、麺はダマになりやすかったりします。

逆に、口径が広く底が浅いどんぶりだとスープは冷めやすい反面、香りはよく立つという感じで、一長一短あります。

 

中華料理店はどんな店でもラー油は自家製。

ラー油って、基本的には、トウガラシを低温に熱した胡麻油で揚げて、辛味を抽出したら完成と、簡単に作れます。しかも、安上がり。

ほとんどの激辛ラーメンは「ラー油ラーメン」だと言っても差し支えない。

大豆白絞油と胡麻油を3対1にブレンドした油を低温に熱し、そこでトウガラシ、ブラックペッパー、シナモン、カルダモン、クローブ、クミン、コリアンダー、ナツメグ、ローリエなどを揚げて特製ラー油を作りました。

 

ラーメンにキムチごはんが付くんです。

スープだけになったらこれを入れて食べる。

キムチごはんには煮干粉もまぶしてあって、トンコツスープと一緒にするとチゲ雑炊風の味わいが生まれるようになる。

 

 

ラーメン発見伝 16

若い女性が好きな食べ物とは、コッテリ・しょっぱい・辛い・ボリュームたっぷりだ。

若い男どもと基本的には一緒。

しかし、コッテリラーメンとしてストレートに出したりしてはいけない。

あくまで外見は、お洒落でヘルシー風なラーメンとして提示することで、初めて女の子たちは安心して食べられるというものなんだ。

 

 

ラーメン発見伝 17

「昼夜二毛作系」同じ店なのに昼と夜で店名もラーメンの味も変えて営業

 

 

ラーメン発見伝 18

Wテイスト。

ラーメンの中になんらかの仕掛けを潜ませておいて、味を最初とは別のニュアンスに変化させていく手法

あらかじめどんぶりの底に味噌だれをすりつけ、バーナーで焼き付けておいたんです。

それが時間が経つとスープに溶けだし、味噌ラーメン風に味を変えていくというわけです。

 

 

ラーメン発見伝 19

食材の良い悪いの区別がつかない、区別をつけようともしない取引先に対して、部位が劣るモノとか明日には売れなくなる鮮度の落ちたものを回すというのは、商売としてよくあること。

 

ラーメン店でおススメを聞く場合、例えば寿司屋など旬の食材を扱う店でそれを聞く時と違い、本当の意味でおススメを知りたがっているわけじゃない。

お客の問いかけの真意はなんなのかというと、何を頼んでいいのか迷っているので、選択するための情報を提供してくれって言いたいんですよね。

その意味で、「なんでも美味しい」というのは何も答えていないに等しい。

お客の問いかけを適当にあしらうだけの極めて失礼な返答だ。

 

トンコツスープは常温で一晩も置いたら、脂が酸化して臭みが出るなど、スープが劣化して食えたもんじゃなくなりますよ。

長時間置く場合は、氷水などに浸けてスープを冷やした後、冷蔵庫で保管しておかないと。

客席数を増やし、行列をなくしたことが、客入りが落ちた最大の原因。

 

 

ラーメン発見伝 20

「車庫前系」ならではの秘訣。

トンコツを醤油で煮込んでいる。

冷蔵庫のない時代、日持ちさせようと考え付いた工夫で、臭み消しの効果もある。

 

濃厚トンコツスープを7に対し、煮干し、カツオ節、昆布でとった魚介ダシを3の割合で、調理時にドンブリの中で合わせたWスープ方式。

加えて、より魚介風味を立たせるべく、カツオ節の魚粉も浮かせてみた。

 

エソ、グチ、タラといった魚の白身をすり身にし、塩、みりん、酒、生姜などで味付けし、食べやすい大きさに形を整え、昆布ダシを張った鍋にどんどん入れていきます。

そうして、しばらく煮込むと、生魚を使った時ならではの鮮烈な風味の魚介ダシと、美味しいつみれの出来上がりです。

 

 

ラーメン発見伝 21

つけめんの味は、動物系、魚介系をバランスよくミックスさせたオーソドックスタイプだ。

そこにカレーの隠し味やつけあわせに使われるマンゴーチャツネ。

チャツネとは、マンゴーなどの果実を酢、砂糖、香辛料などとともに煮て作るジャム上の調味料。

その濃密で深みのある甘味と酸味が、このつけめんのうまさの決め手だ。

 

 

ラーメン発見伝 22

札幌ラーメンのポイントは、「火入れラードの扱い」。

ラードの脂のコッテリ感と甘味で、ぐっと札幌ラーメンらしくなる。

寒い札幌ではスープが冷めやすいので、アツアツのラードでフタをするという意味があったようだ。

そして、ラードに火入れすることで、ラードが軽く焦げて、うまそうな香ばしさが出てくることは確か。

 

ラーメンとニンニクは切っても切れない関係だ。

薬味として卓上に常備されていることも多い。

だが、それらはあくまでスープの匂い消しといういわば脇役としての使い方。

 

ニンニクが主役とも思えるラーメンの代表格が熊本ラーメン。

油で揚げてニンニクチップにしたり、その揚げてニンニクの香りが移った香味油を浮かべるなど、加熱したニンニクを、味と風味の主軸に据えているのである。

 

 

ラーメン発見伝 23

ほとんどの生食用のトマトは、完熟前に収穫し、輸送中に熟し、店頭に並んだ時に真っ赤になるわけです。

でも、太陽の下で完熟させた方が、旨味も栄養も豊富なトマトになります。

で、ジュースやピューレなどに使うからには、より強い味であることが求められるんで、加工用には完熟トマトのほうが向いているんですよ。

 

「辛さ」っていうのは、味覚じゃなく痛覚で感じるもの。

醤油、味噌、塩、トウガラシに続く、ラーメン界の第五の調味料として花椒が、第五の味わいとして麻辣味が来るんじゃないか。

 

 

ラーメン発見伝 24

白濁したトンコツスープというのは、水分と脂分が乳化して一体となった状態。

普通は長時間煮込んでいる間に、沸騰したスープの対流で徐々に乳化していくわけだけど、ミキサーで強力にかくはんすることによって、一気に乳化を促進しようとする狙い。

ミキサーでトンコツを砕くことで、骨髄の旨味も早くスープに溶け出す。

 

鍋焼きRA-DON。

麺は本場香川県から直送した讃岐うどんが200g、スープはトンコツ、鶏ガラ、カツオ節、煮干しなどの食材をたっぷり使って取った濃厚ダシと信州味噌と八丁味噌をブレンドした味噌ダレを合わせたもの。

それら麺とスープを鉄鍋でアツアツに煮込んだ後、トウガラシとカツオ魚粉を振りかけ、具を載せた後に背脂を振りかけて完成。

 

 

面白かったポイント

ラーメン好きは必読のマンガです。

ラーメンをテーマにここまで面白いストーリーを展開できる作者は素晴らしい。

 

創作ラーメンのバリエーションも豊富で、ラーメンを作るポイントも細かく、ラーメンの奥深さを勉強することができます。

ラーメン屋をやりたくなりました。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

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