内容
コミュニティ
コンテンツやモノ、サービスは、コミュニティとセットで欲しくなる、つまり、コミュニティとセットになって価値が上がるのです。
コンテンツやモノ、サービスのアウトプットそのものだけではなく、出来上がるまでのプロセスであったり、誰が作っているかであったり、あとは、コミュニティ内でのコミュニケーションのためであったり、そのようなことが価値を作っているのです。
直感で動く
いくら理知的な教養人でも、四六時中ロジカルに思考し、行動しているわけではありません。
人間が行動を起こすときには、実は論理的な「システム2」ではなく、直感的な「システム1」に従っているとのことです。
人間が新しい変化を起こすときには、理屈や正論を並べていくら論理脳にアプローチしても簡単にはいきません。
ワクワクを共有し、キュンと動く感情脳にアプローチしたほうが効果的なのです。
そして感情脳にビビッと訴えるのは、ロジックではありません。
ストーリーでありナラティブ(話術)です。
利他の心
プロセスエコノミーを回すエンジンとなるものは「利他の心」です。
自分の私利私欲のためでは共感は生まれません。
誰かを喜ばせるビジョンのもとにみんなで助け合い、協力し合って進んでいくのです。
情報をフルオープンにするメリットは何なのでしょうか?
それは旗を立てることでさらなる情報が集まってくることです。
ナイキは広告で何をしているのか。
彼らは偉大なアスリートを讃え、スポーツの素晴らしさを讃えています。
それが彼らであり、彼らが存在する理由なのです。
人気店になるための3つの法則
楽天で商品がよく売れる店舗には、3つの特徴があり、これらは「Why」を解像度高く要素分解したものと考えることもできます。
人が「Why(意義)」をもって何かに向かうときにあふれ出す3つのポイントです。
- マイクロ・インタレスト(自分ならではのこだわり)
- コミットメント(やりきる責任感)
- 弱さの自己開示(ちょっとした失敗)
その店長は安くておいしいチリワインを、それこそ人生をかけて本気で仕入れているのです。
まだ誰も知らないチリワインも、その店に行けばきっと売られています。
ほかの店舗とは違った「マイクロ・インタレスト」自分ならではのこだわりを、深掘りしている。
オタクっぽい特性とこだわり、偏愛が垣間見えると、「この店のワインは面白そうだから買ってもいいかな」とお客さんが興味をもってくれるのです。
2つ目のキーワードは「コミットメント」です。
チリワインオタクの店長は、こんなに丁寧に真剣に輸入業者と交渉している。
ワインの品質が守られるように箱をこんなにまで工夫して輸送している。
その責任感がお客さんに伝われば「この店はきちんと仕事をしてくれる」というレビューがつきます。
するとただの「関心」が強い「信頼」へと変わっていくのです。
「なかなか納得いくワインが仕入れられず、会社の経営がマズいことになってます。でもメチャクチャがんばってこのワインを日本にもってきたんですよ」というエピソードが書かれていると、酒の肴についつい読みふけってしまいます。
「この人は、普通の人がこだわらないところまでこだわって仕事をしているのだな」
「この人は商売は下手だけどたしかな信念がある」
と人間性が伝わるかもしれない。
2種類の応援
辛そうにしている人を見つけたとき、その人に同情して「応援しますよ」と行動を起こす。
小さな個の応援が束になり、お祭りになるわけです。
こういうムーブメントは一時的な共感と応援を集めやすい。
一方で、長続きはしません。
次の日も「困りました」、その次の日も「困りました」と言っても、人々は特定の人ばかりを応援してはくれないでしょう。
「たとえ自分の身を焦がしてでも、この目的を実現したい」。
そういう人が歩いていると、「私も一緒に歩きます」と言ってプロセスを伴走してくれる人が現れます。
この共感は、永続的なものです。
役割
人を巻き込むにはまずコミュニティのメンバーに「いてもいいんだ」と感じてもらうことが大事だと言っています。
そのときにできる一番簡単な方法は、役割を与えることです。
夢中の3条件
人間が夢中になるには3条件あると言います。
まず「得意」であること。
そして「その得意がやっているだけで楽しい」こと。
最後に「それが誰の役に立つ」ものであるということです。
つまり得意なことを楽しむということ自体が目的になっていく。
それがいつの間にか利他的価値につながると人間はどんどん夢中になっていくそうです。
目標に向かって直線的に効率良く進むのではなく、内面から湧き出る「何か」に突き動かされ、人生を楽しみながら境界線の区別なく楽しげに歩き回る。
こんな「うろうろアリ」の働き方は、まさに最先端の働き方ともいえるでしょう。
面白かったポイント
事例を並べて、薄い解説。
すべてのビジネスでプロセスエコノミーが有効であるとは限らない。
満足感を五段階評価
☆☆☆
目次
第1章 なぜプロセスに価値が出るのか
乾けない世代の誕生
乾けない世代が重要視する「幸せの3要素」
「役に立つ」より「意味がある」
グローバル・ハイクオリティかローカル・ロークオリティか
所属欲求を満たすための消費活動
不安な時代のアイデンティティとしてのブランド
「信者ビジネス」の正体
世界の若者の「日本のオタク化」
フィリップ・コトラーの「マーケティング4・0」
6Dですべてのアウトプットが無料に近づく
2050年に電気代はタダになる?
物体そのものがなくなる未来
シンギュラリティ大学の「エクスポネンシャル思考」
第2章 人がプロセスに共感するメカニズム
オバマ大統領を誕生させた「Self Us Now」理論
ノーベル経済学賞学者の「システム1」「システム2」理論
デービッド・アーカーの「シグネチャーストーリー」
「人のために」という欲望
ハイネケンの最高すぎるCM
第3章 プロセスエコノミーをいかに実装するか
「正解主義」から「修正主義」へ
「幸せの青い鳥」はどこにいる?
「オーケストラ型」から「ジャズ型」へ
情報をフルオープンにして旗を立てる
クリエイターを応援してくれるセカンドクリエイター
アウトサイド・インかインサイド・アウトか
第4章 プロセスエコノミーの実践方法
1億総発信者時代の「Why」の価値
伝統文化の「心技体」
スティーブ・ジョブズ亡きあとのAppleの課題
最強のブランド「宗教」に学ぶ
サイモン・シネックのTEDプレゼンテーション
楽天で人気店になるための3つの法則
「しくじり」が共感を呼ぶ
「シンパシー」「コンパッション」という2種類の応援
ジャングルクルーズ型かバーベキュー型か
第5章 プロセスエコノミー実例集
BTSが世界市場で突き抜けた理由
ジャニーズ事務所の緻密なファン戦略
中国シャオミの「みんなで作り上げるスマホ」
メルカリでは野菜を売れ
「北欧、暮らしの道具店」が成功した理由
ゲーム配信と Clubhouseがヒットした理由
予測不能なプロセスこそ一番の果実
創業9年で10億ドル企業になった「Zappos」
広告宣伝費がゼロになる時代
Y Combinatorのオフィスアワーが生んだAirbnbとStripe
第6章 プロセスエコノミーの弊害
自分を大事にして常に「Why」に立ち返る
プロセスエコノミーは調整のレバーを間違えてはいけない
大切なのは他人ではなく自分のモノサシ
フィルター・バブルの危うさ
SNSがもたらすプロセスの肥大化
「主体」を「観客」にするな
「現実を視よ」
「Will」「Can」「Must」の順番を間違えない
第7章 プロセスエコノミーは私たちをどう変えるか
世界的ベストセラーを生んだプロセスエコノミー的な生き方
人生をEX化する
夢中の3条件
Googleの20%とマインドフルネス
2割の働きアリはなぜ砂糖を見つけられるのか
うろうろアリが生み出した Netflix
「ジグソーパズル型」から「レゴ型」へのパラダイムシフト