ミレニアム・ファルコンを作った男

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『ミレニアム・ファルコンを作った男』成田 昌隆

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内容

ここでCGアニメーション制作の流れ

1.モデリング(人や物の外形をモデルとして制作)

2.テクスチャリング(モデルに色を塗る)

3.シェーダリング(ルックデベロプメントともいう。表面の反射率や透過度、凸凹度などを設定して質感を設定する)

4.リギング(モデルを動かすために、ボーンと呼ばれる骨組を組み込む)

5.アニメーション(ボーンを動かして動作をつける)

6.ライティング(情景に合わせてライトをセットアップする)

7.エフェクト(雲、炎、煙、水などの視覚効果を入れる)

8.レンダリング(1秒当り24コマのイメージをコンピュータに出力させる。色、影、反射など、コンポーネントごとに描画を行う)

9.コンポジット(レンダリングされた各種コンポーネント画像を合成し、色調などを整えて最終的な映像に仕上げる)

 

モデリング

まずは、ライトウェーブ3Dのパッケージに同梱されていたマニュアルの完全読破と完全理解だ。

700ページほどある分厚い市販の解説書をさらに2冊ほど読破した。

単に読んだだけでなく、掲載されているチュートリアルも手を動かしてすべて試してみた。

 

モデリングには、大きく分けてオーガニック系、ハードサーフェス系の2種類がある。

オーガニック系は人間も含めた生物、ハードサーフェス系は自動車をはじめとした工業製品のモデリングである。

 

短期間でZBrushの複雑な機能を使いこなせるようになった私は、ソフトウェアを使うこと自体が楽しくなってしまっていた。

だが、モデラ―にとって一番重要なのは、ソフトウェアを使いこなせるかどうかではない。

対象物を注意深く観察する「良い眼」を持つことなのだ。

 

CGのキモは、ディテールや質感表現だと思う。

本物をよく知っている、模型を極めたマサナリタにはそれがある。

 

私はこのあたりの感覚をプラモデル作りで鍛えたが、手を動かして作っていないとなかなか会得できないものなのかもしれない。

 

感銘を与える作品でなければ、逆効果なのである。

使えそうなものは、とりあえず放り込んでおこうなどというのは、プロのやることではない。

 

有無を言わせないスキルを常に磨いていれば、年齢や性別、国籍を問わず、その人に見合ったポジションを得るチャンスがある。

 

たくさんの人との出会いが、複雑に交差して、今の自分をつくっているのだと。

さまざまな場所に飛び込み、行動する。

それが未来につながるのだと実感した瞬間だった。

 

ILM

ILMで働き始めてまず驚かされたのが、ほとんど誰も修正を嫌がらないということだった。

最高のものを仕上げるために、修正を繰り返すのは必須だと知っている。

“Don’t worry. No problem.”が彼らの口癖である。

このDon’t worry.という言葉にどれほど救われたことか。

 

何か疑問があった時、社内のメーリングリストに投稿すると、すぐに答えが返ってくる。

自分のノウハウを隠し持っておくことはせず、どんどん知識やノウハウをシェアして、皆でいいものを作ろうとするのだ。

 

十分に試行錯誤できるだけの余裕を持ったスケジュール、そしてそれに見合った予算の仕事を取ってこられることが、ILMをILMたらしめている。

ILMでは、各工程を担当するアーティストは自分の仕事だけをこなし、雑用はいっさい行わない。

プロデューサーやスープがプロジェクトの進捗状況や出来を把握していて、工程間の雑務や調整はコーディネーターという専門職が担当するようになっている。

 

新たな視覚効果を実現したりするための技術に投資を惜しまない。

特にR&Dチームへの投資が重要で、スタッフはとても優秀だ。

彼らはVFXスタジオの生命線であるパイプラインを開発している。

例えば、先にILMのアーティストは工程をまたがる修正を厭わないと述べたが、それは工程管理のための仕組み、パイプラインが優れているからという面もある。

マヤやZBrushといったCGソフトウェアも、この工程管理ツールと連携する。

どのモデルがどう修正されたのかということも、別工程のスタッフが把握しやすくなっているのだ。

 

R&Dチームはそれ以外にも、プラグインや作業効率を上げるスクリプトの開発を日常的に行っている。

アーティストがやりたいことを最優先にして、社内のチームが一丸になって解決していく。

それこそが、魔法を現実にする秘訣なのだろう。

 

面白かったポイント

45歳で証券会社を辞めて、独学でCGを学び、ILMのモデラ―は凄すぎる。

昔はCG作るのに憧れていたので、うらやましい。

 

数十年前と違って、ソフトウェアが格段に進化したので簡単なCGはサクッと作れる時代。

クリエイターにとっては、とても楽しい時代になったと思う。

 

無我夢中になってスキルを磨き、あきらめないで応募やアピールを続ければ、夢を掴むことができるんだという希望を持たせてくれる。

もちろん、スキルは世界一のレベルで磨かなければならないし、仕事がなくても応募しつづけないといけない。

最後はメンタルですね。

 

勉強になりました。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

目次

第1章 サラリーマン生活の終わり
第2章 自分とは何者か
第3章 CGとの出会いと挫折
第4章 プラモデル全米チャンピオン
第5章 45歳からの就職活動
第6章 駆け出しCGモデラー
第7章 ミレニアム・ファルコンに乗る

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