ゼロ・トゥ・ワン

ビジネス

『ゼロ・トゥ・ワン』ピーター・ティール

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内容

原則

  1. 小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい
  2. 出来の悪い計画でも、ないよりはいい
  3. 競争の激しい市場では収益が消失する
  4. 販売はプロダクトと同じくらい大切だ

 

独占企業

リーン・スタートアップでは、事前にあまり計画せずに、少しずつ改善することを重視するが、ティールはそうしたスタートアップは結局は成功しにくいと考える。

むしろ、あるべき姿は、「競合とは大きく違うどころか、競合がいないので圧倒的に独占できるような全く違うコンセプトを事前に計画し、それに全てを賭けろ」というスタンスである。

 

ティールは競争ではなく、独占の重要性を強調する。

実際、完全競争下では超過リターンは消失するというのが経済学の教えるところであり、競争を避けて利益を追求することがイノベーションの源泉である。

 

同じ道で競い合って大量の人が微妙な差で勝ったり負けたりするゲームのむなしさ、リスク/リターンの悪さ。

積極的な計画、あるべきものを提示することによって社会を動かし、自分の人生のコントロールを取り戻す試みとしての起業を、人生における正しいアプローチと位置づける。

 

「独占企業」と言う場合、それは他社とは替えがきかないほど、そのビジネスに優れた企業という意味だ。

永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化のないコモディティ・ビジネスを行ってはならない。

 

幸福な企業はみな違っている。

それぞれが独自の問題を解決することで、独占を勝ち取っている。

不幸な企業はみな同じだ。

彼らは競争から抜け出せずにいる。

 

今日のシリコンバレーで、人付き合いの極端に苦手なアスペルガー気味の人間が有利に見えるのは、ひとつにこうした模倣競争が不毛だからだろう。

空気を読めない人間は、周囲の人と同じことをしようとは思わない。

ものづくりやプログラミングの好きな人は、ひとり淡々とそれに熱中し、卓越した技能を自然に身につける。

そのスキルを使う時、普通の人と違ってあまり自分の信念を曲げることもない。

だから、わかりやすい成功につられて周囲の大勢との競争に捕らわれることもない。

 

企業価値

今日の企業価値は、その企業が将来生み出すキャッシュフローの総和だ。

 

短期成長をすべてに優先させれば、自問すべき最も重要な問いを見逃してしまう。

「このビジネスは10年後も存続しているか」というものだ。

数字はその答えを教えてくれない。

むしろ、そのビジネスの定性的な特徴を客観的に考えてみる必要がある。

 

遠い未来に大きなキャッシュフローを生み出すのは、どんな企業だろう?

独占企業はそれぞれに違っているけれど、たいてい次の特徴のいくつかを合わせ持っている。

プロプライエタリ・テクノロジー、ネットワーク効果、規模の経済、そしてブランドだ。

 

テクノロジーは奇跡を生む。

それは人間の根源的な能力を押し上げ、より少ない資源でより多くの成果を可能にしてくれる。

 

プロプライエタリ・テクノロジーは、ビジネスのいちばん根本的な優位性だ。

それがあれば、自社の商品やサービスを模倣されることはほとんどない。

 

確かな経験則から言えるのは、プロプライエタリ・テクノロジーは、本物の独占的優位性をもたらすようないくつかの重要な点で、二番手よりも少なくとも10倍は優れていなければならないということだ。

それ以下のインパクトではおそらくそこそこの改善としか見なされず、特にすでに混みあった市場での売り込みは難しい。

10倍優れたものを作るには、まったく新しい何かを発明するのがいちばんだ。

それまでまったく何もなかったところで価値あるものを作れば、価値の増加は理論的には無限大となる。

たとえば、眠らなくてもよくなる安全な薬や、禿げをなくす薬は、確実に独占ビジネスとなるだろう。

 

ブランド

本質よりブランドから始めるのは危険だ。

アップルに戻ったスティーブ・ジョブズは、アップルをクールな職場にしようとしたわけじゃない。

製品群を絞り込み、10倍の改善を望める少数のプロダクトに集中した。

ブランディングだけではテクノロジー企業は築けない。

 

スタートアップが狙うべき理想の市場は、少数の特定ユーザーが集中していながら、ライバルがほとんどあるいはまったくいない市場だ。

 

市場拡大

正しい順序で市場を拡大することの大切さは見過ごされがちで、徐々に規模を拡大するには自己規律が必要になる。

大成功している企業はいずれも、まず特定のニッチを支配し、次に周辺市場に拡大するという進化の過程を創業時から描いている。

 

本当に安泰なのは、人生安泰と思わない人だけだ。

 

人材

創業時がぐちゃぐちゃなスタートアップはあとで直せない。

はじめに判断を間違うと、たとえばパートナー選びに失敗したり、できない人間を雇ってしまったりすると、あとでなかなか修正できるものではない。

創業者の第一の仕事は、いちばんはじめにやるべきことを正しく行うことだ。

土台に欠陥があっては、偉大な企業を築くことはできない。

 

取締役は三人が理想的だ。

 

パートタイムの社員もうまくいかない。

遠隔地勤務も避けるべきだ。

仲間が毎日同じ場所で四六時中一緒に働いていなければ、不一致が生まれやすくなる。

君が誰かを雇うなら、フルタイムか、雇わないかの二者択一でなければならない。

バスに乗るか、乗らないかのどちらかしかない。

 

ベンチャーキャピタルが投資するアーリーステージのスタートアップは、CEOの年収は15万ドルを超えてはならない。

 

テレビ

「テレビは巨大拡声器だ」

新規顧客開拓の予算が一人当たり数十ドルしかない場合、できるだけ大きな拡声器が必要となる。

起業家は誰しも目立つ広告キャンペーンを羨むけど、スタートアップは、いちばん記憶に残るテレビスポットや練り上げられたPR戦略を打ち出して大企業と延々競い合いたいという誘惑に抵抗しなければならない。

 

価値ある企業

最も価値ある企業を創るのは、人間をお払い箱にするのではなく、人間に力を与えようとする起業家だろう。

 

どんなビジネスも答えを出すべき7つの質問

  1. エンジニアリング 段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発できるだろうか?
  2. タイミング このビジネスを始めるのに、今が適切なタイミングか?
  3. 独占 大きなシェアがとれるような小さな市場から始めているか?
  4. 人材 正しいチーム作りができているか?
  5. 販売 プロダクトを作るだけでなく、それを届ける方法があるか?
  6. 永続性 この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか?
  7. 隠れた真実 他社が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?

 

歴史

スマートフォンで生活が変わったような気になっても、実は周囲の環境は驚くほど昔と変わっていない。

前世紀の半ばから劇的に進化したのはコンピュータと通信だけだ。

 

90年代の「れんがからクリックへ」の転換は期待外れに終わり、投資家はふたたびブリック(住宅)とBRICs(グローバリゼーション)に戻っていった。

それがまた別のバブルを引き起こした。

今度は不動産だ。

 

面白かったポイント

ベンチャー必読の書です。

スタートアップの原則、独占企業が刺さりました。

孫子の兵法のように戦わずして勝つ、消耗戦はやるなということですね。

そして、プロダクトと販売両方やる、市場拡大のステップはまったくその通りだと思います。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

目次

1.僕たちは未来を創ることができるか
2.一九九九年のお祭り騒ぎ
3.幸福な企業はみなそれぞれに違う
4.イデオロギーとしての競争
5.終盤を制する―ラストムーバー・アドバンテージ
6.人生は宝クジじゃない
7.カネの流れを追え
8.隠れた真実
9.ティールの法則
10.マフィアの力学
11.それを作れば、みんなやってくる?
12.人間と機械
13.エネルギー2.0
14.創業者のパラドックス

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