いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン

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『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』大塚雄介

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内容

現金

現金を所有することはできますが、ある特定の「一万円札」の持ち主が自分だと名乗ることはできません。

お札に所有者の名前が書いてあるわけではなく、この一万円札もあの一万円札も誰のものでもないからです。

 

1万円が1万円として通用するのは、みんなが「1万円の価値がある」と信じているからです。

そうした「信用」を支えているのは、国に対する信頼です。

 

かつて金(ゴールド)本位制だったときは、紙幣というのはあくまで金(ゴールド)といつでも交換できるものという位置づけでした。

金(ゴールド)をいつも持ち歩くのは大変だし、盗まれたりする危険も大きいので、国庫(国の金庫)に預けておいて、国民はいつでも金(ゴールド)と交換できる「預かり証(金兌換券と呼びます)」を使っていたのです。

しかし、そうなると、国庫(国の金庫)に入っている以上の紙幣は発行できません。

国の経済力は保有する金(ゴールド)の量に比例することになり、金(ゴールド)の争奪戦が起きます。

 

ビットコイン

ビットコインは「サトシ・ナカモト」が単独で開発したものではなく、どこか特定の組織に属する開発チームでつくられたものでもありません。

開発者のオープンなコミュニティの中で、「サトシ・ナカモト」が提唱したブロックチェーンの技術に興味を持った人たちが分担してコードを書き、徐々に現在の形に近づいてきました。

いわゆるギークな人たちが、仲間内で「ビットコインを掘り当てた」「ビットコインを送ってみた」と楽しんでいたのが、2009年前後のことです。

 

最初に現実世界で通用する「通貨」としての価値を持ったのは、2010年5月22日のことでした。

フロリダ在住のプログラマーが「ビットコインでピザが買いたい」とビットコイン開発者のフォーラムに投稿し、それに応じたピザ屋がいて、「ピザ2枚=1万BTC」で取引が成立します。

それまでただのデータにすぎなかったビットコインが、はじめて現実のモノと交換でき、リアルに価値を持った瞬間です。

ちなみに、ピザ屋が手にした1万BTCを現在のレート(1BTC=500~600万円)に換算すると5~6億円。

 

こうした履歴が全部「ブロックチェーン」と呼ばれる「台帳」に記録されているのです。

枝分かれのないたった一本のチェーンに、過去のすべてのビットコインの取引の記録が残されているのです。

ブロックがチェーン状につながっているから「ブロックチェーン」というわけです。

ブロックチェーンは、どこかのサーバーで一元管理されているのではなく、世界中に散らばった複数のコンピューターにまったく同じものが保存されています。

 

ビットコインは参加メンバーがお互いに承認し合うことによって運営されていますが、この承認作業を「マイニング」と呼んでいます。

 

ビットコインの価値は、国ではなく、それを支えるアルゴリズムに対する信用で成り立っています。

「全員が過去の取引記録を相互に承認する仕組み」があって、「誰もそれを偽造したり、過去にさかのぼって改変したりすることはできない」と信じているからこそ、そこに信用が生まれるわけです。

 

2つめは、「特定の国や企業の思惑に左右されない」という信用です。

世間に出回るお金の量(マネーサプライ=通貨供給量)を意図的に増やして景気を刺激したり、意図的に絞って過熱気味の景気を抑えたりする金融政策は、各国で日常的に行われていますが、ビットコインの場合は中央銀行がないので、流通量をコントロールするという発想がありません。

そのため、どこか特定の国の思惑に左右されることなく、安定的に流通量が増えていきます。

 

そして、3つめはビットコインの総量があらかじめ決められている、つまり「有限であること」です。

仮想通貨はデジタルデータなだけに、その気になれば、無尽蔵に増やすことができそうですが、ビットコインは、あらかじめ上限が決まっていて、2100万枚発行された時点で打ち止めになります。

計算上は、2141年に、すべてのビットコインが掘り尽くされる予定です。

 

ウォレット

この「ウォレット」は、「財布」というよりも、イメージとしては「銀行預金口座」に近いものです。

口座にある残高の範囲内で送金でき、誰かから送金してもらうこともできます。

しかし、現金そのものが入っている本物の「財布」と違って、ウォレットにはビットコインそのものが入っているわけではないので、ウォレットアプリの入ったスマホを紛失しても、ビットコインは失われません。

 

ビットコインの場合は、原則1人1個のウォレットを持つところまでは同じですが、送金先であるビットコインアドレスは無数に発行できるため、毎回違う番号(ビットコインアドレス)を発行して送金してもらうのが一般的です。

つまり、1つのウォレットの中に無数のアドレスがある状態です。

 

トランザクション

ビットコインの1つひとつの取引は「トランザクション」と呼ばれ、すべてのトランザクションは「AさんからBさんへ◯BTC移動する」という形で記録されます。

 

入力データをわずかでも変えるとまったく異なるハッシュ値が出てくるのが、ハッシュ関数の特徴です。

そして、入力データからハッシュ値を生成するのは簡単ですが、ハッシュ値から元のデータを割り出すことはできません。

つまり、不可逆的で、後から勝手に変更できないのです。

それによって、取引が改ざんされることを防いでいるのです。

 

半減期

「半減期」と呼ばれるビットコインの発行にまつわるルールです。

ざっくりいうと、4年に1回、オリンピックイヤーに、マイニングレースの勝者に与えられる報酬(ビットコイン)が半分になると決められているのです。

 

暗号化

公開鍵暗号では、まずデータを受け取る人が「暗号化に使う鍵」と「復号に使う鍵」を用意して、「暗号化に使う鍵」だけを公開します(誰でも見られるため「公開鍵」といいます)。

データを送る人はその「公開鍵」を使ってデータを暗号化して送ります。

データを受け取る人は暗号を受け取ったら、自分だけが持っている「復号に使う鍵」で復号します。

 

一方、「電子署名」は公開鍵暗号とはまったく逆の流れになります。

つまり、データを送る人が「暗号化に使う秘密鍵」と「復号に使う公開鍵」を用意して、「秘密鍵」で暗号化したうえで、「暗号化されたデータ」と「公開鍵」をデータを受け取る人に送ります。

「暗号化されたデータ」と「復号に使う公開鍵」が同時に送られるので、その気になれば、誰でも復号することができます。

つまり、中身はバレバレです。

しかし、中身が誰でも読めるからこそ、わかることが1つだけあります。

それは、このデータを送ってきた人は、鍵を作成した本人に間違いないということです。

秘密鍵はデータの送り手しか知らないので、セットで生成した公開鍵で復号できたということは、このデータを送ったのは、まさに本人だということがわかるわけです。

だからこそ、「署名」というのです。

 

面白かったポイント

ビットコインの基礎知識を学ぶのに最適な本です。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆

 

目次

プロローグ いますぐ始めるビットコイン入門
PART1 ビットコインって何なの?
PART2 ビットコインの仕組みはどうなっているの?
PART3 仮想通貨はどこまで安全なの?
PART4 ブロックチェーンの進化と広がり
PART5 イーサリアムが切り開く未来
エピローグ 新たな「デジタル経済圏」を創造する

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