ドラッカー365の金言

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『ドラッカー365の金言』P.F.ドラッカー

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内容

世界を変える方法は2つある。

ペンつまり理念によって、あるいは、剣つまり行動によってである。

ドラッカーはペンを執り、剣を持つ無数の人たちに影響を与えた。

 

組織

ネクストソサエティにおける企業の最大の課題は、社会的な正統性の確立、すなわち価値、使命、ビジョンの確立である。

他の機能はすべてアウトソーシングである。

 

組織の目的は人と社会に対する貢献である。

事業は、社名や定款や設立趣意書によって定義されるのではない。

顧客が満足させる欲求によって定義される。

顧客を満足させることが、企業の使命であり、目的である。

 

顧客は製品を買っているのではない。

買っているのは、欲求の充足である。彼らにとっての価値である。

 

あらゆる組織が、自らの目的とするものを明確にするほど力をもつ。

評価の基準となる明確な尺度をもつほど大きな成果をあげる。自らの存在の正統性の基盤を成果におくほど正統性を高める。

 

社会にとってよいことを企業にとってよいことにするためには、懸命な仕事、優れたマネジメント、高度の責任感、大きなビジョンが必要である。

それは完全を追求することである。

 

事業の定義は3つの部分からなる。

第一に、組織をとりまく経営環境である。社会、市場、顧客、技術である。

第二に、組織の使命である。これが組織にとっての成果を明らかにする。何を貢献するつもりなのかを明らかにする。

第三に、組織の使命を達成する上で必要な中核的能力(コアコンピタンス)である。組織がリーダーシップを維持していくためには、いかなる分野で抜きん出なければならないかを明らかにする。

 

いかなる組織といえども、多くの分野において卓越することはできない。

しかし、一つの分野において卓越することはできる。

成功するには、この一つの分野における卓越性に加えて、多くの分野において並み以上でなければならない。

 

まだ行っていなかったとして、かつ今知っていることをすべて知っていたとして、今これを始めるかを問わなければならない。

答えがノーであるならば、次の反応は、それでは何を行うかでなければならない。

 

あなたの組織は若年者、高年者、移民のいずれに焦点を合わせていますか。

若年人口の減少、高年人口の増大、移民の増加に備えてください。

 

あらゆる組織が四つの起業家的なシステムを必要とする。

第一に、資源を費やす価値のなくなった製品、サービス、プロセス、市場、流通チャネルを体系的に廃棄していくことである。

第二に、改善を体系的に継続して行っていくことである。

第三に、成功したものについて新たな展開を体系的にはかっていくことである。

第四に、体系的にイノベーションを行い、最も成功している製品さえ、自ら陳腐化させていくことである。

これら四つの起業家的なシステムは、今日を生き残るためには持たざるをえないのである。

 

組織構造にはいくつかの守るべき原則がある。

第一に、組織は透明でなければならない。誰もが自らの働く組織の構造を知り、理解できなければならない。

第二に、最終的な決定権をもつ者がいなければならない。

第三に、権限には責任がともなわなければならない。

第四に、誰にとっても上司は一人でなければならない。

組織とはそれぞれが独自の目的を持つ機関である。組織は一つの目的に集中するがゆえに成果をあげる。

多角化は組織として成果をあげる能力を破壊する。

 

組織の精神はトップから生まれるからである。

組織が偉大たりうるのは、トップが偉大だからである。組織が腐るのはトップが腐るからである。

 

トップマネジメントは何を専管とするかを考えなければならない。

それは、全体、一体性、未来にかかわる意思決定である。

全体を見ることができ、全体に責任をもつ者だけが行うことのできる意思決定である。

第一に、参入すべき技術、市場、製品、事業の決定、廃棄すべき事業の決定、組織としての価値観、信条、原則の決定である。

第二に、資金配分の決定である。資金の調達と投下はトップマネジメントの責任であって、現業の部門にまかせることはできない。

第三に、人材配置の決定である。人材は組織全体の資源であって特定の部門のものではない。人事についての方針や実際の主要な人事は、各部門、現業が関与するとしてもあくまでもトップマネジメントが決定すべきことである。

 

戦略

戦略は情報を基盤とする。

市場、顧客、ノンカスタマー、技術、国際金融市場、グローバル経済についての情報を基盤とする。

 

成果を求めて働くようにさせてくれるものが戦略である。

戦略が意図を行動に変える。いかなる資源と人材が必要かを明らかにする。

 

戦略がうまくいかないときの鉄則は、もう一度行う、それでもだめなら別ことを行うである。

もちろん一度ではうまくいかないことが多い。

そのときには、わかったことは何かを考える。そうして改善する。もう一度力を入れる。

それでもだめならば、あまりすすめたくはないが、さらにもう一度試みる。

それでもだめなら、成果の出る他の戦略に移る。時間と資源は限られ、行うべきことは多い。

 

プランニングにおいて重要なことは、明日何を行うかを考えることではない。

明日のために今日何を行うかを考えることである。

重要なことは、未来において何が起こるかではない。

いかなる未来を今日の思考と行動に折り込むか、どこまで先を見るか、それらのことをいかに今日の意思決定に反映させるかである。

 

マネジメント

マネジメントとは、伝統的な意味における一般教養である。

知識、自己認識、知恵、リーダーシップという人格にかかわるものであるがゆえに教養であり、同時に実践と応用にかかわるものであるがゆえに教養である。

 

したがってマネジメントに携わる者は、心理学、哲学、倫理学、経済学、歴史、物理学など、人文科学、社会科学、自然科学の広い分野にわたる知識と洞察を身につけなければならない。

それらの知識によって成果をあげなければならない。

成果を生むために既存の知識をいかに適用するかを知るための知識がマネジメントである。

 

マネジメントの役割は、人が共同して成果をあげることを可能にし、強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。

これが組織の目的である。したがって組織にとって、マネジメントは決定要因である。

 

マネジメントとは、個の責任とコミュニケーションを基盤とするものである。

組織の成員すべてが、自らの目標を考え、他者がそれを理解していることを確かめなければならない。

 

同時に、自らが他者の恩恵を被っていることを考え、他者がそれを理解していることを確かめなければならない。

さらに、他者に期待していることを考え、他者がそれを理解していることを確かめなければならない。

マネジメントは、ニーズと機会の変化に応じ、組織とそこに働く者を成長させなければならない。

 

マネジメントには基本的な仕事が5つある。

第一に、目標を設定する。目標領域を決め、それぞれについて到達地点を決める。そのために行うべきことをで決める。

第二に、組織する。活動、決定、関係を分析し、仕事を分類する。分類した仕事を活動に分割し、作業に分割する。それらの活動と作業を組織構造にまとめる。マネジメントする者を選ぶ。

第三に、チームをつくる。そのために動機づけを行い、コミュニケーションをはかる。

第四に、評価する。そのための尺度を定める。

第五に、自らを含めて人材を育成する。

 

マネジメントは方向付けを行う。使命を決める。目標を定める。資源を動員する。

それは起業家であり、ビジョンと資源を成果と貢献に向けて動員する存在である。

 

マネジメントは目標の設定から始まる。

目標は、事業の存続と繁栄に直接かつ重大な影響を与えるすべての領域において必要である。

目標を設定すべき領域は八つある。マーケティング、イノベーション、生産性、物的資金的資源、マネジメント能力、人的資源、社会的責任、利益である。

鍵となる領域は企業や成長段階によって異なる。

 

事業の将来は、四つの分野のおける今日のマネジメントの仕事ぶりによって左右される。

第一に投資である。投資収益率を期待に照らして評価しなければならない。

第二に人事である。人事の成果はかなり容易に評価できる。

第三にイノベーションである。

第四に戦略である。期待したことは起こったか、目標は正しかったか、目標は達成されたかである。

 

企業に対し、顧客にとってのニーズ、現実、価値からスタートせよと要求する。

企業の目的は欲求の満足であると定義せよと要求する。

社員の評価基準を顧客への貢献におけと要求する。

 

実のところ、販売とマーケティングは正反対である。

同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。

何らかの販売は必要である。だが、マーケティングの理想は販売を不要にすることである。

マネジメントが旨とすべきは販売よりもマーケティングであるべきことを教えている。

 

マネジメントに携わる者は、危険、機会、変化に備えるには何をなすべきかを考えなければならない。

第一に、俊敏に動けるよう、組織のぜい肉を落とさなければならない。重要なものに力を注げるよう、適切ならざる事業や活動を廃棄しなければならない。

第二に、時間を最も高価な資源として管理しなければならない。高給な人たちとの時間と取り組まなければならない。

第三に、成長の種類を選別し、管理しなければならない。生産性の向上があって、はじめて健全な成長といえる。

第四に、最も重要なこととして、人材の育成につとめなければならない。

 

人材マネジメント

あらゆる生産手段のうち、人的資源ほど効率の悪いものはない。

この人的資源の活用に成功したわずかな企業が、生産性と産出量の飛躍的な向上を実現する。

人的資源こそ生産性向上の主たる機会である。人材のマネジメントこそが最大の関心事でなければならない。

 

組織の生存は知識労働者の仕事ぶりによって左右される。

最高の知識労働者を惹きつけ留める力こそ、最も基礎的な生存の条件である。

 

人事は究極にしておそらくは唯一の管理手段である。

組織の成果を左右するのは人である。組織は自らの人材を超えて仕事をすることはできない。

人的資源から引き出せるものによって組織の成果が決定する。

それは、誰を採用し、誰を解雇し、誰を異動させ、誰を昇進させるかという人事によって決まる。

 

決定を具体化するのはあのポストだ。

時間がかかることなど何でもない。正しい人事のために4時間をかけなければ、あとで400時間とられる。

そんな時間はない。本当に重要な決定は人事だ。

機会を利用するために有能な人材の手を空けてください。

 

知識労働者のマネジメントは、マーケティング的な仕事である。

マーケティングの基本はこちらが何を望むかではない。相手が何を望むか、相手にとっての価値は何か、目標は何か、成果は何かである。

 

知識労働者の動機付けは、ボランティアの動機付けと同じである。

ボランティアは報酬を手にしない。それゆえに仕事そのものから満足を得なければならない。

何にもまして挑戦の機会をもたなければならない。

 

問題の検討に投じていたのと同じだけの時間を新しい機会の検討に割く。

チェンジリーダーとなるためには、機会に人材を割り当てることが必要である。

そのための確実な方法の一つが、一方で機会を列挙し、一方で有能な人材を列挙することである。

機会の重要な順にそれらの有能な人材を割り当てていく。

 

人事考課のための四つの問いを投げかける。

第一によくやった仕事は何か

第二によくできそうな仕事は何か

第三に強みを十二分に発揮させるには何を身につけさせなければならないか

第四にその下でわが子を働かせたいか

 

人は優れているほど多くの間違いをおかす。優れているほど新しいことを行うからである。

間違いや失敗をしたことがない者だけは信用してはならない。

そのような者は、無難なこと、安全なこと、つまらないことにしか手をつけない。

ある組織で士気の低下を調べたところ、「仕事が大事なことは承知している。気に入ってもいる。担当して10年になる。誇りにもしている。だが、その仕事は眠っていてもできる。わくわくしない。飽きた。出勤も楽しくない」

 

大きな強みをもつ者は、ほとんど常に大きな弱みをもつ。

山あるところに谷がある。申し分のない人間などありえない。

 

真摯さそれ自体だけでは何ものももたらさない。

しかし、それがなければ他のあらゆるものが台無しとなる。

真摯さの欠如だけはあってはならない絶対の基準である。

 

今こそミドルの減量を開始するときである。

一つの方法は不補充である。退職、死去、定年によってポストが空いても自動的に埋めてはならない。

6カ月から8カ月空いたままにしておき、静観する。強い要求がなければそのままポストを廃止する。

 

成果をあげる者

仕事ができる者は、多くのことで成果をあげなければならないことを知っている。

だからこそ集中する。集中するための原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。

 

仕事に取り組むからには、自ら計画を立て、自ら行動しなければならない。

知識労働者たる者は、自らの行動計画を組織に提示しなければならない。

何に重点をおくか、いかなる成果を期待できるか、それはいつまでに可能か。

知識労働者には自律性と責任がともなう。

 

自らをマネジメントするうえで最も重要な手法がフィードバック分析である。

何かをすることに決めたならば、何を期待するかを書きとめておく。

9か月後、1年後にその期待と実際の結果を照合する。

 

重要なことを行うときには期待する成果を書きとめておくことになっていた。

そして9か月後、実際の成果と比べなければならなかった。そのおかげで自分は何がよくできるか、何が強みかを知った。

あるいは、何を学ばなければならないか、どのような癖を直さなければならないかを知った。

そして、どのような才能に欠けるか、何ができないかを知った。継続学習の鍵である。

 

知識労働者たる者は、仕事のなかに継続学習のプロセスを組み込んでおかなければならない。

知識組織は学ぶ組織であるとともに、教える組織でなければならない。

今日、組織はいかなる分野においても急速に変化している。

そのため、知識労働者は自らの仕事に継続学習を組み込んでおかないかぎり、急速に時代遅れとなっていく。

 

働く者としての責任とは、成果をあげることに責任を負うだけでなく、成果をあげるうえで必要なことのすべてを行い、それらの成果に全力を傾けることである。

 

自らの成長のために最も優先すべきは、卓越性の追求である。

能力は仕事の質を変えるだけでなく人間そのものを変えるがゆえに、重大な意味を持つ。

しかも、仕事が心を躍らせるのは仕事を通じて自己刷新がはかられるときである。

大切なのは責任である。仕事に相応しく成長したいといえるところまで真剣に仕事に取り組むことである。

 

成長するには相応しい組織で相応しい仕事につかなければならない。

基本は得るべきところはどこかである。

自らがベストを尽くせるのはどのような環境かを知らなければならない。

大きな組織か、小さな組織か。人と一緒か、一人か。締め切りは必要か、必要でないか。

 

今働いているところではないということであるならば、それはなぜかである。

組織の価値観に馴染めないからか。組織に緊張感がないからか。そのようなとき、人は確実にだめになる。

あるいは上司が利己的なことがある。上司としての役目、部下として育て、引き上げる役目を果たさないことがある。

あるいは成果が認められないときは、組織を辞めるのが正しい道である。

 

知識労働者にとって重要なことは、

第一に、組織が何をしようとしており、どこへ行こうとしているかである。

第二に、責任を与えられ、かつ自己実現することである。そのためには適した仕事に配置されることである。

第三に、継続学習と継続訓練の機会を持つことである。

第四に、敬意を払われることである。とくに、自らの専門分野が敬意を払われることである。

第五に、その専門分野では自らが決定を行うことである。

 

仕事ができる人は、仕事を楽しむ。

すべてが面白いわけではない。決まりきったこともしなければならない。

決まりきったことは山ほどある。ピアノの巨匠は毎日三時間以上弾く。面白くはなくとも弾かなくてはならない。

面白くはなくとも40年経ってもさらに進歩していることを実感する。

あるピアニストは「指に命が宿るまで」といった。決まりきったことでも楽しむことはできる。

 

成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。

次に時間を管理すべく、自らの時間に対する非生産的な要求を退ける。そうして得られた自由になる時間を大きくまとめる。

したがって、時間を記録する、整理する、まとめるの三段階にわたるプロセスが成果をあげるための時間管理の基本となる。

 

イノベーション

再設計や修正なしに、長期にわたって成果をあげる活動はありえない。あらゆる活動が陳腐化する。

 

イノベーションとは創造的破壊である。

それは、機能の設備と投資を陳腐化させる。したがって、経済が発展するほど資本形成が必要になってくる。

 

イノベーションに優れた組織は、イノベーションがアイデアから生まれることを知っている。

アイデアは赤ん坊に似ている。小さく未熟で形も定まらない。有望ではあるが実績はない。

したがって、イノベーションに優れた組織では、これは馬鹿げたアイデアだなどとは言わない。

この生まれたての、未熟な、たわいのないアイデアを意味あるものにするには何が必要かと問う。

 

企業家として成功した人を大勢知っているが、リスク志向の人はいなかった。

イノベーションを成功させる人たちは、リスクを求めて飛び出すよりも、時間をかけてキャッシュフローを調べる。

リスク志向ではない。機会志向である。

 

イノベーションのためには、7種類の機会を調べなければならない。

最初の四つは、組織の内部あるいは産業の内部の機会である。

 

第一が予期せぬこと、すなわち予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事である。

第二が現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップである。

第三がニーズである。

第四が産業と市場の構造変化である。

残り三つは、組織や産業の外部の機会である。

第五が人口の変化である。

第六が認識の変化、すなわちものの見方、感じ方、意味の変化である。

第七が発明発見による新知識である。

 

平凡で退屈な組織にさえ、優れたイノベーションの種は消化しきれないほどある。

問題は、せっかく仕上げた製品やサービスの死亡率があまりにも高いことである。

 

死亡率の高さは、戦略を知らないからである。

戦略さえ適切であれば、成功率は格段に上がる。

起業家戦略は四つある。総力戦略、二番手戦略、価格戦略、ニッチ戦略である。

これらの二つあるいは三つの戦略を組み合わせて一つの戦略にすることもできる。

 

あらゆるニッチ戦略に共通する弱点が永続性の欠如である。

第一が技術上の変化に足をすくわれることである。

第二が専門市場が大衆市場に変わることである。

 

リーダー

組織のリーダーを選ぶには何を見なければならないか。

第一に、何をしてきたか、何が強みかを見る。成果をあげるのは強みによってである。

第二に、組織がおかれている状況を見て、行うべき重要なことは何かを考える。そして、そのニーズに強みを組み合わせる。

第三に、真摯さをみる。リーダー、とくに強力なリーダーとは模範となるべき者である。組織内の人たち、とくに若い人たちが真似をする。

 

重要なことは、わが子をその人の下で働かせたいと思うかである。

その人が成功すれば、若い人が見習う。だから私はわが子がその人のようになってほしいかを考える。

これが人事についての究極の判断基準である。

 

重要なのはカリスマ性ではない。

リーダーシップとは人を惹きつけることではない。惹きつけるだけでは扇動者にすぎない。

友達をつくり、影響を与えることでもない。それでは人気取りにすぎない。

 

リーダーシップとは、人のビジョンを高め、成果の水準を高め、人格を高めることである。

そのようなリーダーシップの基盤として、行動と責任についての厳格な原則、成果についての高度な基準、人と仕事に対する敬意を日常の実践によって確認していく組織の精神に勝るものはない。

 

リーダーと普通の人たちとの差は一定である。

リーダーの仕事ぶりが高ければ、他の人の仕事ぶりも高くなる。

集団全体の仕事ぶりをあげるよりも、リーダー一人の仕事ぶりをあげるほうがやさしい。

その人がもつ最大の強みに焦点を合わせ、その強みの発揮の妨げとならないかぎり、弱みは関係ないものとして無視しなければならない。

 

重要なことは、人を変えることではない。

人のもつあらゆる強み、活力、意欲を動員し、そうすることによって全体の能力を増大させることである。

 

成果をあげるリーダーは、リーダーシップについて四つの簡単なことを知っている。

第一に、リーダーには従うものがいる。

第二に、リーダーシップにとって大事なことは人気ではなく成果である。

第三に、リーダーは目立つ存在であって、他の人たちの模範となるべきものである。

第四に、リーダーシップとは地位、特権、称号、富の類ではなく責任である。

 

幸か不幸かいかなる組織も危機に襲われる。必ず襲われる。

そのときがリーダーに頼るときである。

リーダーにとって最も重要な仕事は危機の到来を予期することである。回避するためでなく備えるためである。

 

リーダーとしての能力の第一は、人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢である。

聞くことはスキルではなく姿勢である。しなければならないことは、自分の口を閉ざすことである。

第二は、コミュニケーションの意欲、つまり自らの考えを理解してもらう意欲である。そのためには大変な忍耐を要する。

第三は、言い訳をしないことである。思ったほどうまくいっていないからやり直そうといえなければならない。

第四は、仕事の重要性に比べれば、自分など取るに足らないことを認識することである。リーダーたる者は、自らを仕事の下におかなければならない。

 

意思決定において、問題の明確化ほど誰も気にしないが重要なことはない。

正しい問題提起への間違った答えは修正がきく。

しかし、間違った問題提起への正しい答えほど修正の難しいものはない。問題がどこにあるのかもわからない。

 

問題はあらゆる角度から見なければならない。必ず事実と照らし合わせなければならない。

すべてを包含しなければ、正しい問題提起とはいえない。

だが、ひとたび正しい問題提起を得るならば、解決は容易である。

 

重要な決定を行ったならば、いつまでにどのような成果を期待するかを書いておく。

 

ベンチャー

第一に、今日必要な現金がない。

第二に、事業拡大に必要な資本がない。

第三に、支出、在庫、債権を管理できない。

おまけにこれ三つの病は同時に起こる。

たとえ一つであったとしても健康を損なう病である。

財政上の危機はひとたび起こるならば、立て直しに非常な苦労と苦痛をともなう。

 

成長には栄養が必要である。

成長するということは、キャッシュの余剰ではなくキャッシュの不足を意味する。

ベンチャーの成長が健全であって早いほど、より多くの財政上の栄養を必要とする。

 

客観的な指標によって、3年から5年後に倍の規模に成長することが明らかになったならば、やがて必要となるトップマネジメントチームの構築が急務である。

 

次に創業者をはじめとする主な関係者の一人一人が自らが得意とするもの、他の人たちが得意とするものが何かを考えなければならない。

それぞれの強みに応じて、いずれの活動を担当すべきか、いずれの活動に適しているかを考えなければならない。

こうして、ようやくトップマネジメントチームを構成できるようになる。

重要な仕事は、すべて実力のある者が担当するようにしなければならない。

 

面白かったポイント

ドラッカーの金言集なのでどのページの言葉も刺さります。

1日1ページの分量で非常に読みやすいので1日1個ではなく一気に読んだ方がいいですね。

 

組織、戦略、マネジメント、人材、成果をあげる、イノベーション、リーダーシップの内容は企業だけでなく個人にも当てはまるし、トップだけでなくすべての階層の人でも意識すべき内容です。

 

特に組織においても個人においても「成果をあげるには強みを生かして集中する」ということが繰り返し出てきます。

重要性については頭で分かっていても自分の活動を振り返るとなかなか実践できていないことを反省しました。

時間の使い方を記録し、成果のあがらない活動をやめるということが行動を変える第一歩です。

 

満足感を五段階評価

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