内容
とびきり優秀なエンジニアだけをそろえた小さなチームの方が、仕事熱心なエンジニアの大きなチームよりもよい仕事をしていたことでした。
大規模な人員整理で中間管理職をごっそり解雇して以来、いちいち意見を聞いたり承認を得ずにすんでいるせいで、全員が前よりずっと速く行動していました。
ネットフリックス
(会社には)従業員に能力を超えた仕事や才能に合わない仕事を引き受けるチャンスを与える義務はない。
長年の貢献に報いるために別のポストを用意する義務もない。
彼らに遠慮して、会社の成功に必要な人事変更を控える義務も、もちろんない。
会社は従業員の能力開発に特別な投資を行い、キャリアパスを提示し、高い定着率を維持するために努力する。
でもそんな考え方は時代にそぐわないし、従業員にとってもベストでない。
そういうやり方では、従業員は意に添わない職務や、自分の思っているほど──または上司に求められるほど──うまくできない職務に縛られて、社外によりよい機会を求められない。
ネットフリックスの人事戦略
1優れた人材の採用と従業員の解雇は、主にマネージャーの責任である
2すべての職務にまずまずの人材ではなく、最適な人材を採用する
3どんなに優れた人材でも、会社が必要とする職務にスキルが合っていないと判断すれば、進んで解雇する
プロスポーツにおいては、チーム戦術にフィットしない選手を「飼い殺し」にするのではなく、積極的に他チームに移籍させることが推奨されます。
まったく活躍できなかった選手が、他チームで才能を開花させた例はいくらでもあります。
マネジャーが受け入れがたい真実を繕い、従業員の解雇を最後の瞬間まで引き延ばし、部下を望まない職務や会社に本当は必要でない職務に縛りつけても、誰のためにもならない。
こうしたことの結果、本人だけでなくチームまでが無力化し、やる気をそがれ、心がむしばまれる。
従業員は自分の将来性について本当のことを、リアルタイムで知る権利がある。
彼らの、そしてチームの成功を確かなものにするには、ありのままを率直に伝え、新しい機会を手助けするのが一番だ。
グーグル
グーグル式採用術のもっとも重要な原則は、「自分より優秀なひとだけを雇う」ことです。
最高の人材を求めている以上、候補者の能力が自分より劣っているようでは意味がないのです。
グローバルの格差
①世界のもっとも貧しいひとたちは、あいかわらず貧しい
②新興国(発展途上国)の経済発展によって分厚い中間層が形成された
③その反動で、グローバル化に適応できない先進国の中間層が崩壊した
④先進国を中心に(超)富裕層の富が大きく増えた
人新世
いまや「人新世(アントロポセン)」とも呼ぶべき新しい時代が到来し、ミドルクラスの雇用は急速に失われています。
人新世にも雇用はありますが、そこでは「3つのR──読み(リーディング)、書き(ライティング)、算数(アリスメティック)」だけでなく、「4つのC──創造性(クリエイティビティ)、共同作業(コラボレーション)、共同体(コミュニティ)、プログラミング(コーディング)」のスキルが必須になるとフリードマンはいいます。
このとてつもない変化に遅れないようついていくには、すべての労働者が「生涯教育」によってスキルを高めていかなくてはなりません。
そのためにはAI(人工知能)を人間の競争相手にするのではなく、知的支援(インテリジェント・アシスタンス)のような「IA」に変えて、職務に必要なスキルを低コストで身につけられる教育機会がすべてのひとに与えられるようにしなければならないのです──。
日本企業
年功序列・終身雇用の日本企業では、プロジェクトの責任者を外部から招聘したり、中途入社のスタッフだけでチームをつくるようなことができないからです。
そのため社内の乏しい人材プールから適任者を探そうとするのですが、そんな都合のいい話があるわけがなく、「不適材不適所」で混乱する現場を長時間労働のマンパワーでなんとか切り抜けようとし、パワハラとセクハラが蔓延することになるのです。
ギブ
これからの時代を生き延びるのに不可欠なものとしてとくに強調するのが「ギブ」です。
しかし、手元にあるお金をすべてギブしてしまえば無一文になってしまうし、食べ物をギブすれば餓死してしまいます。
このことから、「有限のものを無制限にギブすることはできない」という第一の原則が導き出せます。
どれほどギブしても減らないものなどあるのでしょうか?
じつは、そんな特別なものがこの世に2つだけあります。
それが「知識」と「人脈」です。
「ギバー」は、自分が持っている知識や人脈を惜しげもなくいろんなひとたちと共有するのです。
重要な原則は「ギブできるのは自分が持っているものだけ」ということです。
面白かったポイント
面白い読み物でした。
働き方の話は、いつまでたっても人々の興味を引きます。
日本のテーマは解雇規制とプロフェッショナルとしての自立の間での悩みが尽きないからでしょう。
大企業を辞めて独立すると、日銭を稼ぐためにスケールの小さい仕事をすることになるので物足りなさを感じる。
かといって、大企業にいても周りはプロフェッショナルな知識を持っていないので進め方や成果の物足りなさにストレスを感じる。
理想的にはプロフェッショナルとして相応の報酬をもらいながら大企業のようなスケールの大きな仕事をすることですね。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆