本の内容
弱気相場は大体3年に一度到来し、ひとたび弱気相場になったときの下落のスピードはそれまでの上昇のペースをはるかに上回る。
正しくタイミングをつかめば、たった3か月で前年の強気相場の1年間よりも大きな利益を得る可能性がある。
本物の株式指数の反転は、85%の確率で出来高を伴った力強い株価上昇の「フォロースルー」の日を伴う。
何事も同様だが、空売りにおいても成功するためには規律と忍耐が必要なのだ。
弱気相場で重要なことは株価と出来高の動きをフォローすることである。
対象銘柄
空売り対象に選ぶ最適の銘柄は通常、下げ相場に入る直前の上げ相場を大きくリードしていた銘柄、つまり上昇率の大きかった銘柄。
景気循環系の業種の銘柄、鉄道、ホテル、資本財、素材産業などで、過去1~2年の間に大幅な株価の上昇があった場合などが該当する。
空売りしてはいけない銘柄
- 過小資本、または出来高が少ない銘柄を空売りするのは極めて危険である。
- 株価やPERが「高すぎる」ように見える、という理由だけで絶対に空売りをしてはいけない。
- 買われ過ぎ、売られ過ぎ指標が「買われ過ぎ」を示しているという理由で空売りするのもいけない。
市場の見極め
第一の鉄則は、強気相場ではなく弱気相場になっていると考えられるときに限って、空売りを行うことである。
また、なるべき弱気トレンドの初期段階にあることが望ましい。
複数の主要指数に対して同時に注意を払うことによって、市場のピークを見極めることができる。
一番良いのは、主要な株式指数の動きで空売りの時期を決めることである。
主要な株式指数が明確な弱気のサインを示した後で初めて、空売りする個別銘柄の選択とタイミングが問題になる。
主要な株式指数の天井形成には2つの形がある。
第一は、株式指数が上昇し、平均か少ない出来高を伴って短期間の新高値を付ける場合である。
これは、この水準での株式に対する需要が少ないことを示しており、上昇はまもなく売りによって圧倒されることになる。
第二の場合も、市場のがまだ上昇トレンドにある間に天井を形成するものである。
NYSEやナスダックにおける1日の出来高が前日の水準を上回るものの、株式指数が前日比でほとんど上昇しない、あるいは場合によっては下げて引ける状態が1日、2日、3日と突然起こる。
これが2~4週間の間に3回、4回または5回と起こるようになったとき。
空売りポイント
出来高が細りながら市場が極めて少ししか反発しない場合や、1日間の急激な上昇の後で突然急落し始めた場合は、株価指数に関する限りおそらく新たな空売りポイントである。
クライマックストップの近くで株価は前週における安値から高値までの大きな値幅を再び繰り返し、少しだけ前週よりも高くその週を引ける場合がある。
これは週足チャートでは2本の平行に伸びる垂直な線に見えるため、わたしはこれを「線路」と呼んでいる。
リーダー銘柄のクライマックストップは、いくつもの大きな良いニュースの発表、または多くのウォール街のアナリストによる目標株価の引き上げを伴って起こる。
最初の異常で、大きな株価急落のあと、通常は2回か3回の反発がある。
通常これが空売りの最高のポイントであり、またこれは株価指数のタイミングに対する判断と一致していなければならない。
最適な空売りポイントのほとんどは株価が天井を付けてから5カ月から7か月後、あるいはそれ以上あとになって現れるということである。
決定的に起こったのを判断する便利な方法は50日移動平均線を見ることである。
50日移動平均線が200日移動平均線をクロスして下回ったとき、2回目の急激なブレイクは1週間から2カ月以内に起こる場合が多い。
事後分析
過去2年間にあなたが売買した銘柄のすべてに対して、各銘柄のチャート上に、いつどこで売買したかを正確に赤ペンで描く。
自分自身の決定や誤りに対する客観的な分析をすることによって、市場で行うほかのどんなことからよりも、適切な銘柄やタイミングの選択に関して多くを学ぶことができる。
賢明にならなければならない。
自分自身の力で正しかったことと間違っていたことを見出すことだ。
損切り
空売りに関して言えば、損切りはさらに早く、そして利食いもあらかじめ決めたパーセント目標に達した時点で行うほうが良い。
手仕舞い
空売りポジションを手仕舞いする最も良いポイントは、株価が以前の底値や支持線を割ったところである。
株価はしばしばそのポイントから反転上昇し、あなたはもう一度空売りできる機会を注意して待つことができるからだ。
手仕舞いして利食いする目標パーセントは少なくとも損切りの限界で使うパーセントの2倍にすべきである。
面白かったポイント
2015年の日経平均は上昇相場ですが、いつか来る下落相場に備えて勉強しました。
大儲けするのは上昇相場より下落相場だとよく言われているので、いつかは下落チャンスに乗ることができればいいなと思います。
第2部の空売りの構造は、空売りノウハウの塊がコンパクトにまとまっているので必読です。
これだけでもこの本を買う価値があります。
第3部には環境認識や空売りポイントのコメントが入ったチャート事例が大量に掲載されているので、何度も眺めて空売りポイントが発生するチャートパターンを頭に叩き込んでおきます。
タイトル通りの練習帖です。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆
目次
第1部 いつ、どうやって空売りするか(空売り
正しい相場環境での空売り
上昇すれば必ず下落する
主要な株価指数の利用方法 ほか)
第2部 空売りの構造
第3部 最高の空売りのモデル