内容
不確実性に対処
確率的に記述できる不確実性には確率的に対処する。
「蓋然的思考」とはまさに、モノゴトを断定的に捉えず、確率的に対処していくという考え方だ。
何か意思決定をする場合に、ただひとつの断定的な予測に基づいて意思決定するのではなく、客観的な複数の予測に基づいて判断をしていく。
100%確実なことなどない。
将来におけるすべてのことは確率的に捉える必要がある。
そして、一回一回の結果ではなく、長い目で見たトータルの結果でその成否が判断されなければならない。
これが、不確実性に対処する一大原則なのである。
うまくいかないときに再起が不能になるほどの致命的な損失を被って、次にうまくいくかもしれない機会を永遠に失うことがないようにする。
制御できるのは確率だけなので。
人はランダムなデキゴトに遭遇しても、それをランダムなものとは感じないようにできているということだ。
だから、確率的に対処するという考え方そのものは理解できても、そのやり方を当てはめるべき対象を正しく見極めることができない。
超優良企業(ビジョナリー・カンパニー)におけるこうした戦略や考え方は、まさに不確実性に柔軟に対処するやり方そのものといえる。
特定の予測や特定の計画にこだわるのではなく、環境の変化に柔軟に対処する。
でもリスクは恐れずに、数多くの小さな失敗とともに、いくつかの大きな成功を手にする。
不確実性と上手に付き合い、それをうまく活用する企業が長期的な発展を遂げる超優良企業となっていくのである。
「創業は易く守成は難し」
フィードバック
ある結果が原因となって、次々と結果が再生産されていき、やがて平均から離れた極端な結果へと行き着く。
カオス
フィードバックのせめぎ合いから生まれる予測不可能なふるまいは、物理の世界ではカオスとして知られている。
カオスとは、一般的には「混沌」というような意味だが、物理の世界では、「一定のメカニズムに従っているのにもかかわらず、予測不可能なふるまいをする」という意味で用いられている。
カオスは、一定のメカニズムに従っているので、原因があって結果を生むという因果関係を持っている。
だが、その原因のとるに足りないわずかな違いがフィードバック・ループによって大きく増幅され、結果をまるっきり違ったものにしてしまう。
その結果、原因と結果の対応関係が不規則なものとなり、原因から結果を知ることが事実上不可能となる。
人間の非合理
人が常に合理的にふるまうなどと考えてはいけない。
計画にこだわって傷口を広げてしまう背景には、自己正当化も大きな役割を果たしている。
計画の変更や中止は、多くの人に計画の失敗とみなされる。
計画の立案者や承認者、推進者にとって、自分たちの計画の失敗を認めることにつながるような決断は、とても難しいものなのだ。
だから、変更や中止もできない。
人はなぜ同じ過ちを毎回繰り返してしまうのだろう。
予測はいつも外れているのに、なぜ次の予測は当てられるはずだと思うのか。
不確実性を前提とするとき、総得失点差と勝率は、実は直接的に結びつかない。
むしろ、勝率を引き上げることで、長期的な総得失点差が犠牲になってしまうこともある。
面白かったポイント
不確実性に対処する考え方として、初心者向けにとても分かりやすい内容です。
トレーディングを勉強している方にとっては、基礎的なレベルになっています。
投資もビジネスも不確実性に対処するという意味では共通点があります。
投資やトレーディングの勉強がビジネスの判断に役立つことが多いにあると思う。
むしろ必須だと言えるでしょう。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆