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まさたい

ロジカル・プレゼンテーション

ビジネス

『ロジカル・プレゼンテーション』高田貴久

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内容

ビジネスマンが価値の高い仕事を遂行していくうえで必須となる能力、すなわち、

●論理思考力──話をつなぐスキル

●仮説検証力──疑問に答えるステップ

●会議設計力──議論をまとめるスキル

●資料作成力──紙に落とすステップ

 

提案の技術は誰にどう役立つのか

さて、実際に本書が誰に対して、どのような局面で役に立つのか、本書の特長を整理してみよう。

1  中堅ビジネスマン

企業の内外で、提案する局面に最も多く立たされると想定されるのが、この層の方々である。

この方々には、ほぼ全章が役に立つと思われるが、特に役立つのは第3章の「仮説検証力」と第4章の「会議設計力」である。

「仮説検証力」は相手のニーズを汲みとるスキルそのものであるから、客先その他外部との交渉や上司との打ち合わせ、さらにはポイントを押さえた部下への指示出しに非常に役立つ。

また、「会議設計力」のスキルは使用頻度が高く、知ると知らないではその結果に大きな差が出るだろう。

 

2  若手ビジネスマン

上司からさまざまな作業依頼を受けつつ、自ら仕事を切り盛りしなければならないこの層の方々に特に役立つのは、第2章の「論理思考力」と、第5章の「資料作成力」である。

自分の言いたいことを、理路整然と端的に周囲の人に伝えるために論理思考は欠かせないし、日々の作業をまとめてアウトプットを出すためには資料作成力も不可欠である。

「仮説検証力」や「会議設計力」はあるに越したことはないが、求められる機会はそう多くないので優先度は高くない。

 

3  管理職層、経営者層

この層の方々は、自分が学ぶというよりは、「部下に学ばせる」という意味で使用局面が多いと考えられる。

特に「何度言っても気の利いた提案をしてこない部下」に対して、いったいその提案のどこがダメなのかを体系立てて指導する際に、本書は全般的に有用である。

とりわけ、第2章の「論理思考力」、第3章の「仮説検証力」は役立つだろう。

そもそもきちんと言いたいことが説明できない部下に、どの視点が抜けているのか、どこに論理の飛躍があるのかを分からせるうえで「論理思考力」は必要だ。

また、こちらの意をうまく汲めない部下に対し、論点は何か、どういう示唆を欲しているのかを分からせるためには、「仮説検証力」が不可欠である。

 

4  就職活動学生

この層の方々は、近い将来に向けて「ビジネスそのもの」のイメージを膨らませると同時に、「正しい仕事への取り組み方」を学ぶことが大事である。

さらには就職活動のなかでは、自分という人間を正しく表現し、相手に伝えていく必要がある。

その意味では、まさに「自分自身を提案」する力を磨かねばならない。

「ストーリー」でビジネスの現場の雰囲気をつかみ、第2章の「論理思考力」で自分の考えを正しく表現できるスキルを身につけることが重要である。

 

考えるための要件

(1)目的の把握……何について話しあうべきか、まずはその目的をはっきりと理解しなければ、相手の意にそった答えは出せない。

(2)論点の精査……話をするにせよ、ただ漫然と話しただけでは議論は進まない。相手がどういうポイントに疑問を持っているかを精査する必要がある。

(3)仮説の構築……相手の疑問点に対して、仮の答えを提示することで話が効率的に進む。

(4)検証の実施……これは、相手の理解が自分と異なった場合に、客観的な証拠で、その議論に決着をつけるということだ。証拠がなければ議論は水かけ論になり、いつまでたっても終わらない。

(5)示唆の抽出……検証の結果をもとに、相手の疑問に対しての意味合いを見いだす。これがなければ、相手は何をしてよいのか分からない。

 

伝えるための要件

(1)メッセージ化………………最も伝えたいことを、まずは正確な日本語の文章で書く。

(2)チャート化…………………言いたいことが一目で分かるように、図で表す。

(3)スライド化…………………複数の図形や文章を集めて、一枚の紙にまとめる。

(4)パッケージ化………………複数のスライドを並べて、ストーリーを持たせる。

(5)マテリアル(資料)化……複数のパッケージを組み合わせて、その会議に最適な資料としてまとめあげる。

 

論理的

縦に論理がつながった状態とは、「誰から見ても因果関係が理解できる」状態である。

つまり「こうだから、こう」「こうなったら、こうなる」と説明して、ほぼ万人に理解される状態ということだ。

横に論理がつながった状態とは、「誰から見ても全体がカバーされていて、漏れもダブりもない」という状態である。

つまり「これは、これとこれ」と説明して、ほぼ万人に理解される状態ということだ(これが、いわゆるMECEである。Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)。

 

フレームワークを用いる

「全体を漏れなく発想するためには、フレームワークを用いる」という解説はよく目にする。

フレームワークとは、「物事を考えるうえでの枠組み」で、たとえば「AとBとCの三つで全体」と発想した場合、この「全体 = A + B + C」という考え方を「フレームワーク」と呼ぶ。

有名なものをいくつかあげてみよう。

●マーケティングの5P……マーケティングを考えるうえでは、五つのP、すなわち「製品」「価格」「立地」「宣伝」「パッケージ」を考えれば、全体が担保される

●環境分析の3C……全社戦略や事業戦略を立案するうえでは、三つのC、すなわち「市場」「競合」「自社」を考えれば、全体が担保される

●競争戦略の5フォーシーズ……競争戦略を検討するうえでは、五つの力、すなわち「競合他社の脅威」「新規参入者の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」を考えれば、全体が担保される(マイケル・ポーター)

企業活動の全体像を表すフレームワークとしては、マッキンゼーの7S、アーサー・D・リトルのSPROやSPCOなどがあり、顧客の購買行動を表したAIDAS、管理サイクルを表したPDCAなど、枚挙に暇がない。

 

「六次元で発想すること」

我々がふつう活動しているのは、三次元の世界である。

しかし、目に見える三次元の世界のほかに、じつは見えない世界でさらに三次元ある。

時の流れで一次元、情報や電気や取引や、そのほか目に見えない物の流れで一次元、最後は人間の気持ちや習慣で一次元。

奇妙な切り口かもしれないが、経験的に、およそ世の中の「全体像」はこれですべて説明がつく。

 

仮説検証のステップ

まず、一つめは「目的」の理解である。

お互いのコミュニケーションの目的をはっきりさせたうえで、相手が最終的に何を求めているのかを知ることがすべてのスタートポイントである。

相手が何を目的として、どういうスタンスでこちらの話を聞いているのかを理解しなければ、相手が聞きたくもない話題をダラダラと話してしまうことにもなりかねない。

 

二つめは、「論点」の検討である。

会話の目的や、相手の望みが分かったとしても、話をするうえでのポイントや押さえどころをきちんと把握しておかなければ、肝心の知りたいポイントが抜けている、という状況にもなりかねない。

 

三つめは、「仮説」の検討である。

話のポイントを理解したとしても、こちらが「答えのヤマカン」を持たなければ、手当たりしだいに答えを探さなければならず、膨大な手間がかかる。

とにかく、あてずっぽうでもいいから答えをぶつけてみて、相手の反応がよければそこを深掘すればいい。

 

四つめは、「検証」である。

先ほど出した答えは「ヤマカン」にすぎないので、それが正しいかどうかを証明する客観的な証拠をそろえる必要がある。

「答えは、たぶんこうだと思います」と勝手な主張を重ねたところで、動かぬ証拠がなければ水かけ論になってしまう。

 

五つめは、「示唆」の抽出、すなわち、その動かぬ証拠をもとに相手の疑問に答えるという作業である。

答えると言っても、一〇〇%完璧に相手の疑問に答えるのは現実的には難しい。

どこまで気の利いたことを述べれば、「答えた」ことになるか。

完璧に答えられなくても、相手の役に立つことを何か話す必要がある。

 

意思判断

ビジネス上のコミュニケーションでは、自分が相手に「意思判断を求めている」ことをつねに念頭に置き、相応の論理構成で話を展開しなければならない。

 

論点

ここで先ほどの「目的」の話との関連が出てくる。

まずは「相手の要望」の理解が必要だ。

相手が聞きたくない、知りたくないことをいくら話しても、話のポイントになるはずがない。

次に「相手に意思判断を求める」というスタンスで望むことが大事だ。

つまり、「検討することによって、よりよい意思判断ができる項目」が「論点」、すなわち「議論のポイント」であり「重要なこと」なのだ。

では、さらに具体的にその項目を知るためには、何を考えればいいのだろうか。

 

大事なのは「相手がどういう考え方で意思判断をするのか」という、判断項目の全体像を知ることである。

相手が何を基準に物事を判断しているのかも知らずに適当に話をしても、相手の核心をつく可能性が低いのは当然である。

また、判断項目を知ったあとには、「相手がまだ確固たる答えを持っていない部分」を探し出すことが重要だ。

相手がすでに知っていることを言っても、それが相手になんの影響力も持たないのは言うまでもない。

 

「論点」とはつまり、「相手が意思判断を行う際に検討する項目のなかで、まだ確固たる答えを持っていないがために、検討を行えば意思判断の結果にちがいを生じる可能性のある項目」であり、要約すると「相手の意思判断に影響をおよぼす判断項目」なのである。

 

1  論点とは、相手の意思判断に影響をおよぼす判断項目である。

2  論点を外してしまう場合には四つのパターンしかない。

(1)議論のスタンスがちがう場合

(2)相手の要望が理解できていない場合

(3)具体的な判断項目が出せない場合

(4)相手がすでに答えを持っているところに意見してしまう場合

3  論点を外さないための対策は次の通り。

(1)(2)………目的をきちんと理解する(第3章/その1を参照)

(3)………………横の論理構築力を磨く(第2章/その2を参照)

(4)………………相手の知識・経験レベルを把握する

4  論点がうまくかみあわないときは、原因がどこかをよく考えてから手を打つこと。

 

仮説構築

1  論点をしっかり頭に入れる

2  つねに「答えは何か」を意識する

3  とにかく多くの情報を眺める

 

強いファクト

1  「定量情報」対「定性情報」

定量情報とは、数字に代表される「測定できる情報」のことである。

測定結果はふつう数字で記載することが多いので、定量データといえば数字を指す場合がほとんどだが、たとえば複数の製品を比較撮影した写真などで「見た目は明らかにこちらが大きい」というようなものも定量情報に入る。

一方、定性情報とは、他人の話や新聞雑誌の記事など文章で表現された「感性的な情報」のことである。

この両者を比較した場合、定量情報のほうが強い。

なぜなら、定量情報は「見る人の主観」にかかわらず解釈がつねに一つに定まるから説得力があるのだ。

文章などの場合は、読む人によってぜんぜんちがう解釈をしたりすることもあるので、説得力が出にくい。

 

2  一次情報、二次情報

一次情報とは、「世の中に今まで存在しないところを、直接手足で稼いだ情報」で、営業担当者の集めた顧客情報、分解調査した製品情報などがこれにあたる。

二次情報とは、誰かが手足で稼いだ情報をまとめなおした情報のことで、新聞記事、調査レポート、書籍、社内にあるまとめられた数字などがこれにあたる。

どちらが強力かといえば、一次情報だということはいうまでもない。

 

3  第三者情報、当事者情報

第三者情報とは、当事者ではない第三者の言葉であり、会社の場合は「社外からの情報」である。

それに対して当事者情報とは、その名の通り「当事者の口から聞く情報」であり「社内の情報」である。

この場合も、第三者の意見のほうが客観的であり、信憑性があると解釈される。

 

最も強い情報とは、最も客観的で恣意性が入りにくい情報であり、すなわち「定量 ×一次 ×第三者」の情報である。

具体的なイメージとしては、「信用ある外部機関の顧客調査」「業界団体が作成した市場予測」などである。

これらの情報を根拠として提示した場合、その正しさについて文句を言われる気がほとんどしないのではないだろうか。

 

逆に最も弱い情報とは、最も主観的で恣意性が入りやすい情報、すなわち「定性 ×二次 ×当事者」情報だ。

具体的なイメージとは、「誰かの感覚的な話を又聞きした話」などである。

こちらは、いかに論理がきっちりしていても、誰しも胡散臭い感じを受けると思われる。

 

メッセージの書き方

次の四つの「要素」を念頭に置きながら書き、判断すればよい。

1  合目的性……議論の目的に合っていて、相手の論点に答えている

2  斬新性………相手にとって驚きや発見がある

3  明確性………具体的内容が明快に表現されている

4  方向性………具体的に何をしたらよいか(アクション)が提示されている

 

ここで注意したいのは、先ほど述べた「説明」「ファクト」「示唆」ごとに、これら四つの要件がどこまで満たされているかである。

「説明」は、「合目的性」「斬新性」の二つを満たしていれば事足りる。

「ファクト」は、客観的な事実を述べているだけなので「方向性」はなくてもよく、「合目的性」「斬新性」「明確性」の三つを満たしていれば合格である。

最も深いメッセージである「示唆」は、四つの要件をすべて満たしていることが必要だ。

 

ポイント  第5章   1  メッセージは端的に

1  メッセージとは、スライド上部に三行程度で書かれる「最も言いたいこと」。

2  メッセージには「説明」「ファクト」「示唆」の三つがある。

3  配置する場所は、「トピックセンテンス」「ボトムセンテンス」の二カ所。

4  意味のあるメッセージには次の四つの要件が必要。

(1)合目的性……目的や論点に適っているか?

(2)斬新性………相手にとって新しい発見があるか?

(3)明確性………具体的な意味がはっきりと分かるか?

(4)方向性………相手のアクションにつながるか?

5  メッセージを記述する際には次の三つのポイントに注意する。

(1)簡潔に書く

(2)言葉を統一する

(3)印象に配慮する

6  簡潔に書く、すなわちメッセージをクリスタライズするための技法は次の四つ。

(1)アンサーファースト化……結論を最初に、理由をあとで

(2)不要語句の削除……………なくても意味の通じる言葉は削る

(3)共通項の括りだし…………同じ言葉が繰り返される場合はまとめる

(4)熟語化………………………平易な日本語でダラダラと書かず熟語で表現する

 

ポイント  第5章   2  チャートで表現する

1  見た瞬間に真意が伝わるよう、わかりやすくチャートで表現することが大事。

2  チャートは「オブジェクト」と「レイアウト」に分けて考える。

(1)オブジェクト……イラスト、グラフ、テキストの三種類

(2)レイアウト………連関図、フロー図、樹形図、テーブル図の四種類

3  次の三点に留意し、チャートに「味つけ」する。

(1)極力、図形にする

(2)タイトルをきっちりつける

(3)強調すべき場所を明示する

4  主張したいメッセージをもとに、ファクトにあう「オブジェクト」と論理にあう「レイアウト」を組み合わせてチャートにする。

 

ポイント  第5章   4  パッケージを完成させる

1  パッケージのなかには、必ず示唆を含める。

2  相手の論理や使用局面にあわせて論理構成をする。

①トップダウン全体観型……理解度の高い相手に、短時間で結論説明

②トップダウン芋蔓型………必要な部分だけを、短時間で指示

③ボトムアップ全体観型……時間をかけて、納得感を醸成

④ボトムアップ芋蔓型………理解の疑わしい相手に懇切丁寧に解説

3  三つの切り口を使い分ける。

①作業ベース…………………作業の進捗を明確にできる

②項目ベース…………………検討の全体観が出せる

③論点ベース…………………メッセージをはっきりと伝えられる

 

ポイント  第5章   5  マテリアルとしてまとめる

1  会議の目的を達成するために必要となるパッケージをすべて織りこんだのがマテリアル。

2  マテリアルは8つのパッケージで構成する。

①サマリー…………凝縮した提案内容

②前提………………その会議にいたる背景・目的

③全体像……………論点や検証タスクの全体

④内容………………会議の直接の議題に対する説明・ファクト・示唆

⑤論点ペーパー……特に強調すべき議論のポイント

⑥フォーマット……議論をガイドするための記入用紙

⑦スケジュール……日程表と次回までのアクション項目

⑧参考データ………ストーリーには乗らないが、入れておく必要のあるスライド

 

面白かったポイント

全ビジネスマンが身に付けておくべきビジネス基礎スキルがまとまっている。

論点、強いファクト、資料作成力は整理されていて勉強になった。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

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