売上の地図

ビジネス

『売上の地図』池田 紀行

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内容

マーケティングのゴールを「買ってもらうこと」と単純化した場合、重要な要素は2つに集約できる。

ブランド想起のされやすさ(メンタルアベイラビリティー)と、買い求めやすさ(フィジカルアベイラビリティー)

 

トライアル購入とリピート購入

「買う前に買いたいと思わせる力」をコンセプト力、「買ったあとに買ってよかったと思わせる力」をパフォーマンス力

トライアル購入とリピート購入である。

「買う前に買いたいと思わせるコンセプト力」がトライアル購入を規定し、「買ったあとに買ってよかったと思わせるパフォーマンス力」がリピート購入を規定する。

 

コントロール可能な変数

シャンプーの場合

・人口:コントロール不可能

・認知率:広告やPRの努力によって向上可能

・購入率:チャネル開拓や販売促進によって向上可能

・購入個数:消費者の使用量や使用頻度に規定されるため、ほぼコントロール不可能

・購入頻度:同様にほぼコントロール不可能

・購入単価:メーカー希望小売価格とマーケティング努力によってある程度コントロール可能

 

コモディティー化

顧客に真正面からニーズを聞くと、どのホテルや旅館でも、だいたい同じような回答が返ってくる。

その声に一生懸命応えようと現場が涙ぐましい努力をした結果が正解のコモディティー化であり、どこに行っても同じようなサービスが提供される状況になってしまったと言う。

そして真の差別化は、顧客の声に応えることだけでなく、誰よりもその土地の素晴らしさを知るプロフェッショナルとしての自分たちが「お客様にこれを体験してほしい」と考える“こだわり”を押し売りすることであると表現している。

 

顧客ピラミッド

日和見顧客

複数回購入してくれている顧客だが、購入のたびにブランドがコロコロ変わる顧客を指す。

特売やキャンペーンなどによって容易にブランドスイッチが起こる層。

 

継続顧客

年間の購入金額は上位に入るものの、継続購入や来店の理由が、「安いから」「家や職場から近いから」という顧客を指す。

売上貢献度は高いが、いつブランドスイッチが起きてもおかしくない。

 

ロイヤル顧客

売上貢献度上位の顧客であり、継続購入理由が「好きだから」「愛着を感じるから」など感情的・情緒的理由による顧客層。

ブランドスイッチが起こりにくい強固な顧客基盤となる。

 

熱狂顧客/熱狂的推奨者

ロイヤル顧客よりもさらにブランドへの愛着度が高い層。

「夢中だ」「ゾッコンだ」「すっかりハマッている」というレベルで、一部の熱狂的推奨者は、自身が購入するのはもちろん、友人や同僚、家族などにも積極的に推奨する特徴を持つ。

 

「大規模ブランドは小規模ブランドよりも毎年多くの顧客を失うが、同時に多くの顧客を獲得している。一方、顧客の母数が大きいため、大規模ブランドの顧客獲得率や顧客離反率は、小規模ブランドよりも小さくなる」

 

ダブルジョパディの法則

ダブルジョパディの法則とは、「マーケットシェアが高いブランドは購買客数が多く、またこれらの購買客は行動的ロイヤルティーも態度的ロイヤルティーも高くなる」

 

マーケットシェアが低い企業の戦い方

1つは、接触頻度を高めることによるメンタルアベイラビリティーの向上

2つ目が徹底したクリエーティブの工夫によるマーケティング効果の向上

3つ目は業界大手企業の戦略ミスへの準備である。

 

ブランド想起

ブランドが記憶され想起集合に入り続ける上で最も重要なのがフリークエンシー(頻度)だ。

想起集合は、激しい順番争いが起こっている場所である。

想起集合という引き出しの中に入ることも大変だし、入ったとしても順位は常に入れ替わる。

3位以内に入り続け、可能な限り1位の座を確保し続けるには、高い頻度で接触し続ける必要がある。

 

消費者のブランドへの態度は「認知」と「感情」の2次元があるとされている。

・認知的態度:良いか悪いか(理性的、客観的、合理的評価)

・感情的態度:好きか嫌いか(情緒的、主観的、非合理的評価)

認知的態度は、ブランドが持つ機能性によって形成され、一方の感情的態度はブランドに対する感情(憧れや愛着感)によって形成される。

そして、興味深いのは、認知的態度は否定的なニュースやクチコミを見ることによって悪化しやすいが、感情的態度はほとんど下がらないという事実である。

 

Instagram

Instagramが、これほどまで多くの企業で活用される理由は、広告による認知向上、下段にある発見タブ(虫眼鏡のアイコン)による興味喚起、保存機能による自分ゴト情報のストック、検索による理解促進や比較検討、ショッピング機能による集客・購入など、消費者の購買プロセスをフルファネルで対応することができるためである。

 

中でも、発見タブの威力は絶大である。

近年、「ググるからタグる、そしてタグるからタブるへ」と言われるようになった。

これは、 Googleで検索する(ググる)のではなく、 Instagramでタグ検索をする(タグる)ことが主流となり、今では、タグ検索をするよりも、発見タブを見る(タブる)ことが主流になったことを表す言葉だ。

 

多くの消費者と日常的にブランド接点を持つことができるようになった。

マス広告ほど予算をかけることなく、今すぐ自社に用のない消費者と常時接続の関係を持ち、いつか訪れるニーズが顕在化するその日まで、想起を高め続けることができる。

 

耳に残るジングル付きのメッセージ

耳に残るジングル付きのメッセージは高い想起率を得やすいとの調査結果が示された。

首位はファミリーマートの「あなたと、コンビに、ファミリーマート」。

なお、企業名想起率が50%を超えたのは360メッセージ中でファミリーマートの他、「ココロも満タンに  コスモ石油」「コーヒーギフトはAGF」「新製品が安いケーズデンキ」など数社しかなく、共通点はジングル(音声、曲)が付いていることだった。

 

費用と投資

マーケティングコミュニケーションには「今期の利益を最大にするための費用的施策」と、「今期を含め、来期以降の利益を創出するための投資的施策」の2つがある。

 

パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー

Purpose:“ WHY”

企業経営における原点や基礎となるもの。

「自社はなぜ存在するのか?」への答え

 

Mission:“ WHAT”

果たすべき使命。

「何を成すのか?」への答え

 

Vision:“ WHERE” / “WHEN”

「どこへ向かうのか?」「いつまでに成すのか?」への答え

パーパスやミッションは長期間変わらないことが多いが、ビジョンは「目標達成に向けた方向およびマイルストーン」であるため、3~5年で変わることが一般的である。

 

Value:“ WHO”

企業が大切にしている価値観や信条。

「誰と働きたいか?」への答え

 

Strategy:“ HOW”

「その目標をどのように達成するのか?」に対する答え

 

PR

マーケティングのゴールは売ることだが、PRのゴールはステークホルダーとの信頼関係の構築である。

一般の販売員は「誰かがつくったノウハウをまねするだけ」で、トップ販売員は「自分でノウハウをつくり出す努力を続けている」。

 

ヒューリスティック

ヒューリスティックとは、経験をもとに意思決定する思考法で、バイアスとも呼ばれる心理学用語だ。

筆者は「脳がつくるショートカット」と呼んでいる。

 

面白かったポイント

タイトルに惹かれて買いましたが、マーケティングを網羅した本です。

さすがに一つひとつの章の内容は概要レベルになりますが、マーケティング初心者が全体像をつかむには良い本だと思う。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆

 

目次

第1の地図   売上と商品・サービス
第2の地図   売上と売り場
第3の地図   売上と想起
第4の地図   売上と好意
第5の地図   売上とクチコミ
第6の地図   売上とソーシャルメディア
第7の地図   売上とオウンドメディア
第8の地図   売上とインフルエンサー
第9の地図   売上とブランド
第10の地図   売上とロイヤルカスタマー
第11の地図   売上とパーパス
第12の地図   売上と広告
第13の地図   売上とPR
第14の地図   売上と販売員
第15の地図   売上と店頭販促
第16の地図   売上と流行
第17の地図   売上と若年層
第18の地図   売上と外部環境要因
第19の地図   売上と価格
第20の地図   売上と効果測定

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