内容
口コミ
口コミもダブルジョパディ的な振る舞いを見せます。
つまりシェアの小さなブランドは口コミの数も少なく、シェアの大きなブランドになるほど口コミの数は増え、かつ内容も肯定的になる傾向があります。
SNSでのバズがそのまま売上拡大につながるかというと、そうでもないようです。
ブランドへの「いいね」やフォローの効果について、ハーバード大学の研究者たちが実施した大規模な SNSの実験では、好意を高めたり、リアルでの推奨のように友人の購入を促したりする効果は確認されませんでした。
ブランド
ブランドは、少数との深いつながりではなく、多数との薄いつながりを通して成長します。
ファンマーケティングなどでは深いつながりも必要かとは思いますが、未顧客はブランドに興味も関心もない人たちです。
生活の中でブランドのことを考えることはありませんし、ブランドとつながっていたいとも考えません。
ブランドが成長するには、浸透率を高めてブランドの利用機会を増やし、ライトユーザーを獲得する必要がある。
多くの未顧客に購買してもらうには、「ブランドが属するカテゴリーが利用される回数 = CEPの数」と「そのとき自社ブランドが選ばれる確率 = CEPとブランドの結び付きの強さ」を増やしていくしかない。
抑圧
物理的抑圧
入手が困難、商品やサービスの使い方がよく分からない、難しい、量や質が十分ではない、情報が十分ではない、種類が多過ぎる(少な過ぎる)、時間がかかるなど
心理的抑圧
嫌だ、面倒くさい、後回しにしたい、恥ずかしい、自分に合わない、自信がない、怖い、後悔しそうなど
社会的抑圧
社会性、理性、理想像、べき論(規範)、コミュニティにおける暗黙の了解やルール、道徳心、暮らしている文化の思想、生活習慣など
成功のために
成功のためには、「顧客が見ている世界を理解すること」、場合によっては「顧客が見ている(見たい)世界を描き出す」ことがとても大切です。
そして、そのためには「行動することで得られる報酬(私たちはリウォードと呼んでいます)」や、「行動の裏にある欲求(またはインサイト)」を探り当てるための“問いを磨き込んで”これらをあぶり出し、ブランドの特徴と掛け合わせる、というアプローチは有効です。
また、どんな場面やタイミングでこそ魅力的に映るか?という「訴求機会」や「訴求場面」の検討もメディアの多様化に伴ってますます重要性が高まっており、これも考え抜きます。
こうして初めて「顧客が見たい世界を描き出し」「よきタイミングで届ける」ための設計図を描くことができます。
広義のマーケティングは、数学や統計学に基づく部分と、人類学や心理学に基づく部分の両翼が必要なのではないかと考えます。
上流の戦略立案には定量的、数学的裏付けが必要ですし、下流の施策開発には定性的な顧客理解に基づいたインサイトが必要です。
つまり、マーケターには理系思考と文系思考を行ったり来たりするバランス感覚が大事なのではないかと思います。
認知的斉合性
未顧客の合理は逆向きになります。
ブランドAが好きだから買ったのではなく、「自分が買ったブランドだから、好き」なのです。
このように、自分の行動と辻つまが合うように認識を調整する性質のことを認知的斉合性と言います。
面白かったポイント
タイトル買いしましたが、特に目新しい概念はありませんでした。
満足感を五段階評価
☆☆
目次
第1章 なぜ “未顧客” 理解なのか
第2章 無関心を動かす「再解釈」の技術
第3章 未顧客へのマーケティング戦略
第4章 新しい利用機会を生み出す「未顧客理解の5原則」
第5章 ブランドの再解釈:ケーススタディ
巻末付録 未顧客理解の数学的側面