内容
視座を高めるためには、「そもそも」という言葉を使いましょう。
ロジカルシンキング
ロジカル・シンキングは、ビジネスにおけるベースとなるスキルです。
ビジネススクールでは、企業経営やマーケティング、ファイナンスなどの基礎科目よりも先に受講を勧めるところもあります。
ロジカル・シンキングとは「筋道を立てて論理的に考えること」を言います。
ビジネスにおいてロジカル・シンキングが必要なのは、立場や背景が異なる相手に、自分の意見を伝えて理解・納得してもらうためです。
ビジネスでは自分が思っている以上に、企業や部門によって価値観や考え方が異なります。
このような状況で、自分の意見を伝えて相手に理解・納得してもらうためには、筋道立てて説明することが不可欠になります。
データ分析
データ分析のスキルが高い方は「初期段階で、仮説をもとにストーリーを構想するスキルが高い」
データ分析のスキルが低い人は、最初に多くのグラフを作ってから何が言えるかを考える傾向が強いです。
ただ、グラフを作りすぎて情報の海に溺れてしまい、結論が曖昧になりがちです。
その結果、時間をかけた割に、データ分析の時間対効果が低くなります。
データ分析から因果関係を説明する際は、「言いたいこと自体の評価」「時間的整合性」「第3因子の存在」を意識することが重要です。
1つのデータだけで語るのではなく、複数の視点から因果関係を説明することがポイントです。
機械学習を使うと、人間の力では不可能な大量のデータから予測・分類などが可能になりますが、その構造や論理はブラックボックスになりやすいです。
一方、ビジネスでは「どの変数を変えると、結果がどう変わるか」といった因果関係の発見が重要です。
ワークマンの取り組みは、全社員がデータを活用して、自分の頭で考え、新しい発想を生み出していくことの重要性を認識させてくれる好事例と言えます。
データ分析は「ビジネスの確実性を高める」
問題解決
HOW思考とは「原因を深く考えずに、目先の対策に飛びついてしまうこと」
問題解決は「問題の特定(WHERE)→原因の深掘り(WHY)→打ち手の考察(HOW)」のステップで進めていきます。
KGI・KPI
KGIとは「問題解決の目的・目標が達成したかどうかを確認する指標」です。
一方、KPIは「KGI達成に向けて、対策が適切に進捗しているかを確認する指標」です。
KPIはさらに、対策の実施状況を把握する「活動KPI」と、対策が狙った効果につながっているかを把握する「結果KPI」に分かれます。
行動データ・意識データ
データには「行動データ」と「意識データ」があります。
行動データは事実ベースの把握が可能ですが、その行動の背景・理由(WHY)を理解することは難しいです。
ビジネスでは「Aが原因でBが起こる」といった因果関係がわかることが重要です。
そのため、マーケティングで有名な企業は、意識データ(アンケート、インタビューなど)を活用し、行動の背景・理由を解明し、ビジネスの意思決定に活用しています。
インタビューフローを作成する、もしくはチェックする際は「想定回答とプローブを意識する」ことが重要です。
プローブとは「言葉の真意を確認すること」を言います。
意識部分を中心に、対象者の発言に合わせて様々な角度から質問し、対象者が気付いていない部分を引き出していきます。
多変量分析
多変量解析の活用目的は、(1)変数を分類・縮約して見通しを良くする、(2)キードライバーを見つける、の 2つに分類されます。
店舗の満足度調査の例で説明します。
(1)は、満足度調査の個別項目を少数の要因に縮約して傾向を把握しやすくすることです。
代表的な分析手法には「因子分析」「主成分分析」「クラスター分析」などがあります。
一方、(2)は、総合評価に対して、どの個別項目が影響を与えているかを把握することです。
代表的な分析手法には「重回帰分析」「ロジスティック回帰分析」「決定木分析」などがあります。
有意水準
「2つの分析軸にはスコア差がない」と仮定します。
東海を固定して、関東のスコアが高くなる(分布が右に移動する)ほど、差が付く状態になります。
では、どこまで右に行くと「関東と東海に差がある」と言えるのでしょうか。
それは「東海のスコアが関東よりも高い逆転現象を100回中何回許容できるか」で決まります。
この逆転を許容する回数を「有意水準」と言います。
慣習的に100回中5回が多く、有意水準5%(信頼度95%)と言います。
グループ間(分析軸間)の比率を検定したい場合は「Z検定」、2グループの平均値は「t検定」、3グループ以上の平均値は「分散分析」を活用します。
面白かったポイント
データ分析のプロセスについて網羅的・教科書的にまとまった本。
データ分析というよりもデータ分析する時の思考プロセス寄り。
いろいろな図解は参考になる。
ビジネス初心者や体系的にデータ分析について教えたい人の参考になりそう。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆
目次
第1章 日本におけるDX、データ利活用の現状
第2章 データ利活用に必要な知識・スキル
第3章 マーケティング
第4章 ロジカル・シンキング、ロジカル・コミュニケーション
第5章 仮説思考
第6章 問題解決ステップ
第7章 データ統合基盤・データ活用規制の動き
第8章 リサーチを活用した1次データの収集
第9章 データ分析
第10章 レポーティング&プレゼン