内容
オリジナリティある記事
デジタルの世界では、媒体まるごと読むという習慣が薄れ、読者は各媒体をつまみ食いしながら、ニュースを消化するようになります。
そこで、ニュースを選ぶ基準となるのは、「どの媒体か」よりも「誰が書いたか」「どんなテーマか」です。
オリジナリティのある読み物が媒体力のコアになっていきます。
そこでカギを握るのが、分析力であり、ストーリーテリングの力であり、人の本音を引き出す力であり、斬新な切り口を考える力です。
新世界でメディア企業に求められるのは、データ分析のプロ(データサイエンティスト)と、マーケティングのプロウェブメディアにおいてもっとも大事なのは、文章力よりも経験や知見の面白さです。
筆者のバックグラウンド、経歴、そして政治的なスタンスまで披露した上で、その人間が「私はこう思う」と述べるのは一向に構いませんし、議論を活性化させます。
建前より本音、客観より主観、集団より個人。
人気が高いのは、テクノロジー、投資、ヘルスケアの話題を扱ったコラム。
求められる人材
新世界においては、「編集とビジネスの双方の知見のある人材」の需要が劇的に増します。
ウェブの編集者として一流になるには、キャッチコピーのセンスは欠かせません。
とくに「週刊文春」「アエラ」「ブルータス」のタイトルセンスは傑出しています。
ウェブ原稿の腕を磨くのであれば、むしろ話し言葉、弁論術から学ぶほうが近道です。
ウェブ媒体の編集長は、ウェブ全体を俺色に染めるよりも、大まかなコンセプトや世界観は保ちながらも、多様な人や考えが共存する空間づくりに専念したほうがいいのです。
若手のメディアの人には、編集に興味があるなら、記者より編集者のキャリアを選ぶことをおすすめします。
情報発信
自社と直接関係のないテーマも含めて、コンテンツという形で情報発信を行う企業は増えてくるでしょう。
ジャーナリストと異なり、一般のビジネスパーソンや企業は中立的な立場ではありませんので、自分が何者かを読者にはっきり示した上で、コンテンツを読者に届けなければなりません。
有料化の条件のひとつは、媒体が経済系かエリート(高所得者)系かデータ系のいずれかである。
一般紙では、地域の情報を一手に握る地方紙のほうが有望でしょう。
さらに遠くない未来には、メディア産業自体もアジアを中心とした世界市場を視野に入れる時代がやってきます。
面白かったポイント
メディアのトレンドについてよくまとめられているので、メディア業界ではない私にとって非常にためになる記事です。
満足感を五段階評価
☆☆☆
目次
序章 メディア新世界で起きる7つの大変化
●大変化1 紙が主役 → デジタルが主役
●大変化2 文系人材の独壇場 → 理系人材も参入
●大変化3 コンテンツが王様 → コンテンツとデータが王様
●大変化4 個人より会社 → 会社より個人
●大変化5 平等主義+年功序列 → 競争主義+待遇はバラバラ
●大変化6 書き手はジャーナリストのみ → 読者も企業もみなが筆者
●大変化7 編集とビジネスの分離 → 編集とビジネスの融合
第1章 ウェブメディアをやってみて痛感したこと
第2章 米国製メディアは本当にすごいのか?
第3章 ウェブメディアでどう稼ぐか?
第4章 5年後に食えるメディア人、食えないメディア人