SaaS企業のビジネスモデルは、基本的にサブスクリプションになります。
つまり、毎月チャリンチャリン入ってくるお金をいかに上げるのかというゲームになります。
目標売上を決める
最初に決めるべき目標数値は、
- 月額売上を
- いつまでに
を達成するのかということです。
月額売上は、MRR(Monthly Recurring Revenue)です。
SaaSの主要KPI
目標を決めるにあたって、主要なKPIを把握しておきます。
ARR(Annual Recurring Revenue)
MRR×12で算出される年換算の売上
MRR(Monthly Recurring Revenue)
月額の継続売上
解約率(チャーンレート)
有料顧客のうち解約した顧客の数
解約数÷前月の累計顧客数
LTV
顧客が中長期で利用した場合の金額
MRR÷解約率
SaaSのグロースシナリオ
単年度の事業計画を立てる前に中長期のロードマップを描くことが大切です。
PMF(プロジェクト・マーケット・フィット)
顧客課題に対して、適切なソリューションを提供できている状態。
顧客獲得、解約防止プロセスが確立されている。
LTV最大化
プロダクト特性によりThe Model型、PLG型の販売プロセスを構築。
グロースドライバーに経営資源を集中。
新規事業
さらなる売上拡大に向けて新規プロダクトを開発。
プロダクトのシナジーが発揮される隣接ドメイン。
M&A
M&Aを通じて事業拡大。
プロダクト群を揃えていく。
顧客単価と顧客数に分解する
MRRを分解すると、顧客単価×顧客数になります。
顧客単価は、プランが複数ある場合、平均顧客単価で計算してもいいですし、プラン別に分解してもいいでしょう。
MRRを顧客単価で割ると、必要顧客数が算出できます。
顧客単価を決める
顧客単価、つまりプランの月額料金を決めます。
一般的に、松竹梅のプランを用意して、竹プランが一番売れるように設計しましょう。
基本的に月額料金は、競合や違う領域のSaaS企業の料金表を見て決めることになるでしょう。
必要顧客数を決める
顧客数とは課金単位になります。
企業数もしくはログインID数です。
顧客数計画を立てる
顧客数は、
- 新規獲得数
- 継続数
に分解します。
毎月、新規獲得する顧客数を算出します。
同時に、継続する顧客数も算出します。
解約数=前月の累計顧客数×解約率(チャーン・レート)で算出します。
新規獲得数の計画を組み立てるには、新規獲得プロセスを設計します。
SaaS企業でよく使われるモデルが「The Model」です。
The Modelは、
- BtoBマーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
の部門に分かれ、顧客獲得・維持プロセスを定義しています。
新規獲得数の計画を立てる
顧客獲得プロセスは、
- BtoBマーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
が担います。
マーケティングは、来訪者数×獲得率=見込客数
インサイドセールスは、見込客数×案件化率=案件数
フィールドセールスは、案件数×受注率=受注数
に分解できます。
必要な受注数から逆算して、案件数、見込客数を算出します。
更新率の計画を立てる
顧客維持プロセスは、
- カスタマーサクセス
が担います。
カスタマーサクセスは、受注数×更新率=継続数
になります。
部門別計画の策定
ここまでは、経営サイドが決める数値になりますが、ここからは各部門の部長が数字を落とし込む形になります。
経営は数(量)を決めますが、各部門は率(質)を決めることになります。
BtoBマーケティングの計画
マーケティングは、見込客数を上げることがミッションとなります。
見込客数=来訪者数×獲得率
マーケティング施策で、来訪者数を上げることが基点となります。
マーケティング施策は、広告やメディア、SEO、SNSなどがあります。
また、失注企業の掘り起こしのために、MA(マーケティング・オートメーション)も行います。
各流入経路ごとに見込客数を算出します。
- 広告経由=広告予算×CPA(顧客獲得単価)
- SEO経由=オーガニック獲得件数
- SNS経由=オーガニック経由+広告経由
- MA経由=失注企業数×掘り起こし率
コスト計画
- 人件費
- 広告費、運用代行費
- サイト制作費
- コンテンツ制作費
- MAツール
インサイドセールスの計画
インサイドセールスは、案件数を上げることがミッションとなります。
案件数=見込客数×案件化率
インサイドセールスは、マーケティングからの見込客数に加えて、テレアポによる見込客の獲得も行います。
インバウンドとアウトバウンドに分けて、見込客数と案件化率を算出します。
案件数=アウトバウンドコール数×案件化率
案件数=インバウンドコール数×案件化率
人員計画
コール数を1人当たりのコール数で割ることで、必要なインサイドセールス人数が算出できます。
必要インサイドセールス人数=必要コール数÷1人当たりのコール数
インサイドセールスの採用から実践配備までのリードタイムを考慮して人員計画を立てる必要があります。
コスト計画
- 人件費
- コールツール
フィールドセールスの計画
フィールドセールスは、受注数を上げることがミッションとなります。
インサイドセールスからのパスを決めるだけです。
新規獲得数の目標から必要な案件数を算出します。
受注数=案件数×受注率
人員計画
案件数を1人当たりの商談数で割ることで、必要な営業人数が分かります。
必要営業人数=必要案件数÷1人当たりの商談数
営業担当者の採用から実践配備までのリードタイムを考慮して人員計画を立てる必要があります。
コスト計画
- 人件費
- 商談ツール
- SFAツール
カスタマーサクセスの計画
カスタマーサクセスは、継続数を上げることがミッションとなります。
継続数=前月末継続数×更新率
カスタマーサクセスは、解約率をいかに下げるのかがポイントになります。
解約率は、プロダクトの質、サポートレベルで決まるので、顧客の声を活かすことがカギになります。
人員計画
継続数を1人当たりの担当顧客数で割ることで、必要なカスタマーサクセス人数が算出できます。
必要カスタマーサクセス人数=継続数÷1人当たりの担当顧客数
カスタマーサクセス担当者の採用から実践配備までのリードタイムを考慮して人員計画を立てる必要があります。
コスト計画
- 人件費
- CRMツール
SaaS企業の売上原価
- サーバー費用
- ソフトウェアコスト
- エンジニアコスト
- カスタマーサクセスコスト
新規顧客の獲得コスト
=既存顧客の維持コスト×5-25倍
S&M
- 営業
- マーケティング
- 人件費、広告費
R&D
- エンジニア
- プロダクト
- デザイナー
G&A
- 法務
- 財務
- 人事