USJを劇的に変えた、たった1つの考え方

ビジネス

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』森岡 毅

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内容

消費者視点

「消費者視点(Consumer Driven)」という価値観と仕組みにUSJを変えたことです。

USJが消費者視点の会社に変わったということが、V字回復の最大の原動力だと思います。

 

期待を上回るサービス

この散髪屋に髪を切りに行っているようで、本当は髪を切りに行っている訳ではないのです。

カウンセリングに通っているというのが真実(笑)。

「髪をカットする」というサービスだけならば他でもできるのですが、御主人は抜群の知性と話術で「客の心のウサや悩みまで見事にカット」してくれます。

変に客に媚びることは一切無く、その時々に必要なことを洞察してズバッと直言してくれます。

髪を切り終わった後のなんともスッキリすること!

そこまで差別化されたサービスは、なかなか代替が見つかるものではありません。

「散髪を超えたカット力」こそが、異様に高いリピート率を獲得しているその店のビジネス・ドライバーです。

 

こちらの期待を上回るサービスはやはり印象に残るもので、リピートし続ける理由になります。

言ってみれば、これは素晴らしいプロモーションですよね。

 

マーケターの仕事

マーケティングの本質とは「売れる仕組みを作ること」です。

どうやって売れるようにするのかと言うと、消費者と商品の接点を制する(コントロールする)ことで売れるようにするのです。

 

コントロールすべき消費者との接点は主に3つあります。

(1)消費者の頭の中を制する。

(2)店頭(買う場所)を制する。

(3)商品の使用体験を制する。

 

消費者の頭の中にあるブランドに対する一定のイメージを「ブランド・エクイティー(Brand Equity)」と呼びます。

マーケティングの最大の仕事は、消費者の頭の中に「選ばれる必然」を作ること、そのための活動を「ブランディング」と呼ぶ。

 

「どう戦うかの前に、どこで戦うかを正しく見極めること」。

それが会社を勝たせる軍師であるマーケターの最初にして最重要な仕事である。

 

ポジショニングとは相対的であって、自分が動かなくても相手が動くことで自分のブランド・エクイティーが動かされてしまうことが起こります。

逆に自分のポジショニングを動かすことによって、全く動かない相手を消費者の頭の中で動かしてしまうこともできるのです。

 

マーケターがやるべき王道は、商品やサービスのR&D(研究開発)に対して、消費者が喜ぶものをあらかじめちゃんと作らせておくこと。

 

戦況分析を徹底的に行うことと、消費者理解に徹底的に自分の時間を投資することです。

それができれば高確率でビジネスを成功させることができるのです。

 

方程式

「売上個数」=「消費者の数」×「認知率」×「配荷率」×「購入率」

(1人が1個だけ買う場合。複数購入の場合は平均購入個数を掛け合わせる)

 

次に、それに平均客単価を掛ければ売上金額になります。

(ここでは割愛しますが、更にリピート率や購入頻度を使って一定期間内の売上金額を計算することもできます)。

「売上金額」=「売上個数」×「平均価格」=「消費者の数」×「認知率」×「配荷率」×「購入率」×「平均価格」

 

戦略

会社という組織においては、1人だけで達成できることなんてほとんどありません。

しかし「進むべき正しい方向を見定めること」と「人を動かす」ということは、1人でもできます。

 

「戦略とは、何か達成したい目的を叶えるために、自分の持っている様々な資源を、何に集中するのかを選ぶこと」

 

戦略が必要な理由は2つあるのです。

1.達成すべき目的があるから。

2.資源は常に不足しているから。

 

経営資源とは、使う人が認識できていないと使えない。

逆に言えば、経営資源は認識することによって増やすこともできるのです。

人によって使える経営資源は大きく差が生まれます。

人によって経営資源を認識できる知力が異なるからです。

かつて軍事的天才といわれた名将たちは、とにかく使える資源を増やすことが上手でした。

天候気候や地理条件を有利に活用することはもちろん、情報収集に徹底的に投資して敵の事情を逆手にとったり、自軍に有利になるように資源(この場合は戦力)を増やすことをひたすら考えていた人たちです。

 

「戦略(Strategy)」は目的を達成するための資源配分の選択でした。

「戦術(TacticあるいはExecution)」は戦略を実行するためのより具体的なプランのことを指します。

 

戦略の方が戦術よりも大事なのです。

戦略の大きなミスは戦術ではリカバリーできないからです。

 

戦略の4Sチェック

最も典型的な戦略の良し悪しのモノサシを紹介したいと思います。

戦略(Strategy)の4Sチェックです。

以下の4点において強い戦略は、良い戦略である可能性が高いとされています。

 

Selective(セレクティブ:選択的かどうか?):

やることとやらないことを明確に区別できているかということ。

明確な選択があれば、やることの範囲が絞られて、同時にやらないことも明確になり、貴重な経営資源を集中投下することができるようになります。

その戦局において勝つ確率が上がります。

 

Sufficient(サフィシエント:十分かどうか?):

戦略によって投入されることが決まった経営資源がその戦局での勝利に十分であるかどうかということ。

実はSufficientかどうかはSelectiveかどうかと双子の関係にあります。

Selectiveであれば、重要な局面ではSufficientになるのです。

逆にSufficientでないならば、もっとSelectiveになって、選ぶことで経営資源を足りるようにせねばなりません。

 

Sustainable(サステイナブル:継続可能かどうか?):

立てた戦略が、短期ではなく中長期で維持継続できるかという視点です。

中長期で維持しやすい戦略であればあるほど、より長く競争優位を維持できるので良い戦略ということになります。

Sustainableの観点で問題となる例は、競合がすぐに真似をして追随可能となる戦略や、自社の経営資源がすぐに枯渇して継続不能になることがわかっている戦略などです。

 

Synchronized(シンクロナイズド:自社の特徴との整合性は?):

自社の特徴(強みと弱み、あるいは経営資源の特徴)を有利に活用できているかということです。

自社の技術力が強みであるならばそれを活かした戦略の方が成功する確率は高く、自社の弱みに依存した戦略はその逆の結果を招く確率が高い。

特に競合企業の特徴と照らし合わせて、こちらの特徴上の強みが向こうの特徴上の弱みにハマるような戦略は最も美しく、勝つ確率が非常に高くなります。

 

5C分析

Company(自社の理解)

自社の全体戦略を理解すること

自社の使いうる経営資源をできる限りたくさん把握すること。

自社の能力や性格としての特徴(強み・弱み)を把握すること。

 

Consumer(消費者の理解)

消費者理解では、消費者を量的に理解すること(数値データを用いて広く全体像を理解するのに役立つ)と、消費者を質的に理解すること(質的調査などを通して消費者の深層心理に迫ること)の両方が重要です。

 

Customer(流通など中間顧客の理解)

Competitor(競合する他社の理解)

Community(ビジネスをとりまく地域社会の理解)

 

ターゲット

戦略ターゲット、コアターゲット

 

戦略ターゲット

ブランドがマーケティング予算を必ず投下する最も大きなくくり

戦略ターゲットは、メディアを集中してブランド・エクイティーを構築する対象ですから、短期でコロコロと変更すべきではなく、中長期的な視点で定義しなくてはいけません。

最も注意すべきは、この戦略ターゲットのくくりが目的達成に照らして小さすぎないようにすることです。

 

コアターゲット

戦略ターゲットの中で、更にマーケティング予算を集中投資するターゲット消費者のくくりをコアターゲットと言います。

消費者の購入確率や購買力に大きく偏りがある時、ブランドを購入する必然性の高い消費者グループをコアターゲットとして設定します。

最も注意すべき点は、このコアターゲットも、目的達成に照らして小さすぎないようにすることです。

 

既存ブランドが成長したい時に有効なコアターゲットを発見する6つの切り口

①ペネトレーション:

カテゴリーの中で自ブランドの世帯浸透率を増やせるグループはいないか?

全世帯の中で自ブランドを使用している世帯の割合を世帯浸透率ペネトレーション(Penetration)と言います。

 

②ロイヤルティ:

既存の使用者の中で「SOR(Share of Requirements)」を伸ばせるグループはないか?

SORとは、1年の間に消費するそのカテゴリー全体の消費量に対する自ブランドの消費量の割合、カテゴリー消費量に占める自ブランドのシェアです。

 

③コンサンプション:

既存の使用者の中で1回あたりの「消費量」を増やせるグループはいないか?

 

④システム:

既存の使用者の中で使用商品の種類(SKU数)を増やせるグループはいないか?

消費者が同一ブランド内で複数商品を使うことをシステム使用と言います。

これも多品種を出しているブランド(化粧品など)では非常に有力な手段となります。

 

⑤パーチェス・サイクル:

既存の使用者の中で購入頻度を上げる(購入サイクルを短くする)理由を作れるグループはいないか?

 

⑥ブランド・スイッチ:

競合ブランド使用者の中にブランド変更の可能性の高いグループはないか?

文字通りの競合ブランドユーザーから奪ってくるためのコアターゲットの設定です。

 

日本の女性

日本の女性は(例えば米国の女性に比べて)、ずっとストレスが溜まりやすい社会環境に置かれているのに、安心してストレスを発散できる手段に恵まれていないという事情の発見です。

そこから導き出された消費者インサイトは「本当は素の自分をさらけ出して弾けたいけど、なかなかできない」というものです。

 

面白かったポイント

マーケター必読の書です。

実績十分な森岡さんが書くマーケティング入門、非常に分かりやすい。

 

経験を踏まえたマーケターがやるべき仕事のコアが分かる。

とにかく消費者を徹底的にリサーチ、分析すること、そして、戦うべき場所を見極めることに尽きる。

マーケターになるにはとにかく場数。

 

戦略チェックリストも有益。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

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