ビジネス書をより効率的に読み、知識を体系化したいという思いから、読書を仕事につなげるというキーワードに惹かれ読みました。
本の内容
価値あることはすべて独学を通じて学んだと思う。
私も独学派なので、この言葉に共感します。
どんなに良い学校に通っても良い授業を受けたとしても、本を通じて学び続けることができなければ、世の中に価値を出し続けることは難しい
さまざまな本から得た知識を貯蔵し、文脈に応じてそれらを組み合わせることで知的成果を生み出すことが求められます。
読書によるインプットとアウトプットの重要性が分かる表現です。
ビジネスパーソンが継続的に高い知的生産性を上げるためには、2種類の読書が必要だろうと考えています。
1.ビジネス書の名著をしっかり読む、いわばビジネスパーソンとしての基礎体力を作るための読書
2.リベラルアーツ=教養に関連する本を読む、いわばビジネスパーソンとしての個性を形成するための読書
この2つがそろうことで初めて「その人らしい知的成果物」を生み出すことができるようになる
左脳本(ビジネス書)と右脳本(教養本)ということでしょう。
ビジネス書は、基本は、名著を繰り返し読み、読書ノートはとらない。狭く、深く読むのがビジネス書。
教養書は、雑多な本を幅広く気の向くままに読み、読んだら読書ノートをとる。広く浅く読むのが教養書。
ビジネス書もノートをとるべきだと思いますが、名著を繰り返し読むというのは正しい読み方だと思います。
いまでも、ビジネス書は発行されていますが、本質的に言っていることは名著にすべて書いてあるっていうことが多いですからね。
読書という行為は自分の時間といくばくかのお金を投資することで人生における豊かさを回収するという投資行為です。カギとなるのは、投入する時間と得られる豊かさのバランスです。
読書もすべて読もうとせずに、得られるものがないと感じたら読むのをやめて、どんどん次の本を読んだ方がいいです。
自分の時間の方が価値が高いですからね。
5冊読むより「1冊を5回」読む
理由は単純で、1回読んだだけだと必ず忘れるからです。
では、こういう「読みがいのある本」を見つけるには、「たくさんの本に浅く接する」のです。
広く浅く多くの分野の本を読み、いい本を掘り下げて読む。
「T字型の読書」を通じてこそ知的なストックは厚みを増していくことになります。
広く浅く読むというのは、良書を見つけるためのリサーチですね。
浅く広く読む過程でも、知的ストックは貯まるので、非常に効率的だと思います。
本は10冊以上を同時進行で読む。
「どの本も気分じゃない」というタイミングがあるはずです。
そうなってしまうとせっかく手持ち無沙汰の時間が生まれても、その時間を読書のために使えません。
「アイドルタイム=滞留時間」を極小化のためにも、「本をできるだけたくさん同時進行で読む」ことが大事なのです。
私にとって、これが一番大きな気づきです。
たしかにこれまで1冊ずつ読むという固定観念にとらわれていた気がします。
読書をするタイミングはいろいろで、移動時間であったり、ちょっとしたスキマ時間であったり、机に座っているとき、寝る前など、気分によって読みたい本がいろいろ変わります。
その時に、「今はこれを読んでいるから」とムリに気分が乗らない本を読むのは非効率です。
気分が乗らないと読書ではなくスマホを見てしまい、そうなっては意味がないので、10冊以上の同時進行はかなりいいアイデアだと思います。
経営学を学ぶにあたっては次々に出されるビジネス書の新刊を読む必要はない。
本質はすべて古典に書かれてあるというのは、まさにその通りです。
経営戦略、マーケティング、ファイナンスの本を通じて得られる知識は「自分の人生の戦略」を描くにもとても有益です。
この3つの分野はビジネスをする上では、非常に重要だと思います。
経営者だけなく、サラリーマンやフリーランスにとっても必修科目だと思います。
経営戦略は、
「どの戦場がおいしいのか」
「どの戦場なら勝てるのか」
の2つのポイントを押さえることです。
おいしい戦場というのは、収益性が高く、成長力のある市場のことです。
そういう市場でいかに勝つか?です。
経営戦略論の基本やファイナンスを学べば、どういった産業が中長期的に衰退するのか、あるいは成長するのかについて、ある程度の嗅覚を持つことができる。
経営戦略は、まさにその通りで、企業だけでなく、フリーランスのブランディングや個人のキャリアを設計する上でも役に立ちますね。
「仕事環境の変化」が突きつける難問に対して、ビジネス書で得られる知識はほとんど役に立たない。
こういった難問については、むしろ教養書の読書を通じて得られる「人間の性」や「組織や社会の特質」についての示唆が大きなヒントになるはずです。
合理性を求める人たちの中でも特に活躍している人は、共通してリベラルアーツの本を読んでいます。
たしかに、ビジネス書は知識やノウハウがまとめられています。
しかし、新しいことに挑戦するときやこれまでなかったケースに遭遇する場合は、そのまま使える知識はほとんどありません。
むしろ、どのような心構えや心理で対処するべきなのか、というような考え方を学ぶには教養書ということになりますね。
教養書7つのカテゴリー
1.哲学(近・現代思想)
2.歴史(世界史・日本史)
3.心理学(認知・社会・教育)
4.医学・生理学・脳科学
5.工学(含むコンピューターサイエンス)
6.生物学
7.文化人類学
どれも大切な分野です。バランスよく読書していきたいですね。
個人的には、工学がベースにあり、脳科学・心理学が使えて、過去の歴史から物事を考えられる、というところを目指したいと思います。
役に立つかどうかよりも面白いかの方がずっと大事な評価軸です。
本が面白いと思えるかどうかは、自分が置かれている文脈、精神的な状態、抱えている問題、保有しているスキルや知識によって変わってきます。
他人は知らないけれど自分が夢中になれる本をどれだけ読めるかが差別化になります。
教養書に関しては、これを読むと計画的に決めるのではなく、面白いと感じた本をどんどん読んでいって、いろんな出会いを増やすことが大切です。
リベラルアーツに関する書籍からどのような学びを抽出していくのかというテーマを決めるにあたって意識してみたいのが「自分をプロデュースする」という視点です。
プロデュースするというのは「掛け算をつくる」ということです。
要素のつなぎ目にチャンスがある。
マーケティングと物流、製造と財務といったように異なった領域をつなげる人に今後価値が出てくるのではないかと思います。
これは、藤原和博さんも提唱されている「自分の価値を掛け算してレアな人材になれ」に通じるものがありますね。
さまざまな分野の本を読んでいるとだんだんと自分という人間の興味の方向が見えてきます。
あるジャンルを読んでいて楽しい、あるジャンルの本はどうしても面白いと思えない。
これをずっと繰り返していると、自分がどのようなことに興味、関心を持っているのかがはっきりとしてきます。要するに自分という人間が分かってくるわけです。
さきほどの掛け算の話で、何を掛け算するのかといったときに、自分の「好き」なテーマにするのがベストだと思います。
しかし、意外と自分の「好き」が分からない人も周りには多いのです。
しかし、いろんな分野の読書し、面白かった面白くなかったというのを繰り返すと、だんだんと自分はこのテーマが好きなんだということが分かってきます。
自分探しには、いいアプローチ方法です。
全方位に中途半端な教養をもつくらいであれば、一部に特化していて偏った教養をもつほうが「自分ブランディング」という観点からは望ましい。
イケスをつくってそこで情報という魚を放し飼い(転記)にするアプローチ。
単に転記するだけではなく、必ずビジネスや実生活における示唆を書き出す。
イケスにテーマをつけると自分の情報感度が高まります。
読書のエッセンスのまとめメモをテーマごとに用意するアプローチです。
これは、本を有効活用するためには必須の作業です。
面白かったポイント
これだけ読めばいい「ビジネス書マンダラ」という言葉に惹かれて購入しました。
本好き、特にビジネス書好きにとっては、読書術の本には新たな本との出会いを期待していたので、何冊が読みたい本を発見できたのは満足です。
「情報のイケス」という表現はかなりしっくりきます。
著者はEvernoteにテーマを作ってその中に本から得た示唆をどんどん貯めていますが、私はやっぱりブログにまとめて発信する方が効果がさらに高まると思いますね。
読書術もいろいろ発見がありました。
ただ著者は紙の本に書き込むスタイルですが、私は完全にデジタル、Kindle派なので実践できない点も多々ありました。
しかし、考え方はどれも参考になる点ばかりです。
勉強というのは本があれば独学でできるという点は本当に共感します。
もっともっと本を読んで知的好奇心を満足させたいと思えるようになる本です。
満足感を5段階評価
☆☆☆☆
目次
第1章 「仕事につなげる読書」6つの大原則
第2章 【ビジネス書×何を読むか】ビジネス書は「これだけ」読めばいい
第3章 【ビジネス書×どう読むか】古典には読む「順番」がある
第4章 【教養書×何を読むか】好きな本を読んで「ライバルと差別化」する
第5章 【教養書×どう読むか】情報の「イケス」をつくれ
第6章 「書店を散歩する」技術
第7章 「本棚」で読書を仕事につなげる
特別付録 これだけ読めばいい! 「ビジネス書マンダラ」