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まさたい

とにかく可視化

ビジネス

『とにかく可視化』菊池明光

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内容

可視化の1番のメリットは結局、『共通言語化できる』こと。

可視化されていないと組織課題みたいなことについてもどういうふうに話して良いのか、どういうパターンがあるのかがわからないのです。

 

大事なことは、一旦聞いたままを書いてみること。

自分で咀嚼して文字にする、理解できていないのに自分で編集して書いてしまうのはダメですね。

聞いた通りに相手の言った通りに可視化することで、理解が深まります。

 

会議

私たちホワイトカラーの仕事は、喋るかキーボードを打つかというアクションで構成されています。

言葉を使った情報交換(会議・商談・電話・メール・チャット・資料など)のみで成立しているのです。

基本的に、体や手を使って物理的な何かを生み出しているわけではないですよね?

極論すれば、情報を交換したり編集したりしているだけなのです。

情報交換屋、編集屋という側面をホワイトカラーの皆が持っているのです。

したがって、成長とは情報交換や編集の能力を磨くことだ、とも言えます。

 

そして、その情報交換・編集をリアルタイムに複数人で行うのが会議、ということになります。

営業で言えば商談ですね。

会議・商談が仕事や人生に占める割合はどのくらいなのでしょうか?

ちょっと可視化してみたいと思います。

人生で休日を除く労働日数を240日、睡眠を8時間と仮定すると、起きているのは年間3840時間。

1日8時間労働なら1920時間。

そのうち半分を会議に使うと960時間で、休日以外で眠っていない人生時間の25%を会議に投入していることになります。

これ実は、デスクに座っての会話や雑談などの仕事における会話類は入れていません。

会議時間シェア60%とすると、人生の30%が費やされている計算です。

また、経営層の方で労働時間のほとんどが会議、もしくは毎日8時間以上、会議をしている人としましょう。

そうしますと、人生の50%を会議に投下しているという計算になります。

土日祝日も何かしら会議や電話をしていたとすると、当然もっと多くなります。

私の顧客企業のある社長は土日祝日関係なく、遥かに多くの会議をしているようなので、人生の会議シェアは80%を超えているかと思われます。

 

ムダ会議とは?ムダで意味のない会議とは?

大きく2つの傾向があります。

【A】決めようとしていない

【B】眼前可視化していない

会議の主催者が意志・意見を持っておらず、何を議論するのか?お題は何か?会議のゴールは何か?が設定されていない、議論に必要なメンバーがアサインされず、とにかくたくさん人数を呼んでいる……こんな会議って結構ありますよね?

主催者の意志いかんで会議の品質が決まると言っていいでしょう。

会議の主催者が意見・意志なく「みんなの意見を聞こう」という無責任なやり方を採っていることで会議の意義を奪ってしまっています。

 

【A】決めようとしない会議はバカになる

決めない会議の例をざっと並べると以下の通りです。

1:いきなりアジェンダもなく、報告から入る。

2:決定権のある人が司会進行をやらない。

3:各アジェンダの進行時間が守られない。

4:必要な議論に直接行かない(感想を述べるばかり)。

5:保身のために自分の調べたこと・準備を全部伝えてしまう。

・上手く行かなかった理由を述べる。

・結局今注力していることは、成功したのか失敗したのか?その要因は?を端的に知りたいのに成功か失敗か先に言わない。

・APPENDIX(後付け、付録)偏重 =資料をきれいに作り、何を言われても答えられるような準備(あるいは準備のための準備)の方に注力してしまう。

・集団の中で恥をかきたくない、怒られたくない心理が働いてしまう。

6:いきなり根拠もなく決めに行く。

7:決めることができない無関係の人が呼ばれている。

8:会議時間枠いっぱいを使ってしまう。

9:総論OK、各論反対の人が多い→後からトイレなどでグチグチ言う、その場で言わない。

こういう会議ではやっているフリだけが際立ち、何も決まりません。

会議主催者の意志が大きく影響しているのは言うまでもありません。

 

定義

1:似たような言葉がいくつも存在することを会議参加者に認識してもらう

2:参加者間で最適と思われる言葉を選ぶ

3:その言葉が意味することを詳細に可視化し、メモとして残して共有する

 

眼前可視化

議論中のメリット

・議論内容が摑みやすくなるため=発言数アップ・発言内容の精度アップ

・話し合いたい話題を深く着実に消化

・同じ話題を繰り返さない=会議がスムーズに進行

 

議事メモ

あえて議事録と呼ばずメモと呼び、多少粗くても即送付する

会議の後に議事録を送付することはよくあります。

議事録と言うと、きちんと内容を整理して言葉遣いなども正しいものにしておかなければと急き立てられる部分があるかもしれません。

よほど公的な意味合いがあるなら必要かもしれませんが、そうでないなら、完成度を上げることが仕事の生産性を下げることに繫がりかねません。

目的はあくまでも内容の把握であり、「言った・言わない」の回避なので、多少粗くてもなるべく早めに相手に送ることをおすすめしています。

 

メモを取引相手と共有することで得られるメリット

議事録ならぬメモは取引先との関係を築く有効な手段=付加価値を生む手段と言えます。

下記にメリットを列挙します。

・喜んでもらえる =「相違が無いようメモを共有しますね!」とこちらが伝えると、相手は「仕事の仕方がしっかりしている企業・人だな」と受け取ることでしょう。

・内容の擦り合せができる =こちら側の解釈を相手に伝えることができ、相違があった際も早い段階で解消でき、内容がずれたまま話が進むことを回避できます。

・「同じ過去」を振り返ることができる =それぞれが違った時間を振り返るのではなく、同じ目線で共通の時系列を振り返ることができます。

・結果的に大きな信頼を得られる =「言った・言わない」の諍いから解放されて、信頼をガッチリ勝ち取ることができます。

 

心の矢印が外向きだとGOODスパイラルが発生します。

①相手が興味を持っていることに関心を持つ

②何をしたら相手が喜ぶかわかる

③成果が出る

④喜ばれる =好かれる

⑤自己重要感が満たされる

⑥やる気が出る

 

決め台詞

議論をスムーズにする「枕詞」テクニックと決めゼリフは「いま御社が……」

1 受け取る =相手の言うことを鵜呑みにせずに聞き入れ、議論を進めるための確認や入口・前提の修正を行う。

こちらは「受け方」の種類によって、さらに場合分けできます。

・純受け →丁寧系 or丁寧系(なぜなぜ深掘りバージョン) or盛り上げ系

・一旦受け →トラブル防止系 or話修正系

・受け流し

 

2 進める =議論をスムーズに進行する/ブレがあれば修正、違う議論に行きたくなればそちらへ誘導する。

こちらも進め方によって、以下のように分かれます。

・進行スピードアップ

・話修正 →プチ修正系 orビッグ修正系

 

3 封じる =議論が暴れそうな展開を先に洗い出しそれを阻止する、また、トラブル回避のための釘刺しをしておく。

 

4 仕留める =相手の抵抗パワーを極力正面から受けずに議論を収束、確実に成果を獲得する。

 

マネジメント

物事を確実に実現させるためには、

・解像度の高いゴール

・詳細なタスク・スケジュール

この2点を整備して、指示が結実する組織風土を作って行きましょう。

これが成果を出し続ける組織、勝てる集団になる第一歩です。

何を実現したいのかを明確にするからこそ、そこにアプローチしたタスク・スケジュールを描くことができます。

これが詳細であればあるほど進捗管理は容易に正確になり、実現性が上がります。

報告・連絡・相談 =ホウレンソウが弱いと嘆く企業も多いですが、この2点が揃えば、ホウレンソウの論点が明確になり、これも精度が上がります。

全てがスムーズになり、マネジメント品質が上がり、マネジメント工数は下がります。

やってるフリという人件費のムダがなくなります。

 

誰に何を任せてどう評価するか

こんな状況を打破するためには、「誰に何を任せてどう評価するのか?」が書かれたミッションシートの作成が的確です。

基本的には、

A: 何を任せるのか?

B: それをどうやってほしいのか?

C: どう評価するのか?

について記載してあればOKです。

 

営業担当などの定量目標は、目標達成率に応じて120点、100点、80点など配点を決めます。

達成率100~110%を100点とする、120%以上達成を120点とする、などですね。

定量目標を定められる職種は概ねこのパターンを使います。

これは多くの企業で実施されているかと思います。

一方で、この定量目標しか持っておらず「数字だけやっていればよい」という運営になり、そこを問題視している企業も多い。

数字目標を達成する以外に定性目標として、人材育成をしてほしい、市場をもっと理解してほしい、自身の能力開発してほしい、などと思っていても、明確に何をしてほしいと言葉にできていないのです。

 

その場合には例えば、

A → 「人材育成・能力開発」というタイトルのミッションを置きます。

B →

・後任となりうる人材の選定と能力開発(人員選定、能力開発プラン策定、実行、振り返り、レポート)

・チームメンバー全員の能力開発(能力開発プラン策定、実行、振り返り、レポート)

・数年後を見越した組織設計(組織設計プランの策定、問題の可視化、打ち手プランの策定、実行、振り返り、レポート)

C →100点は「メンバー個人別の能力開発プランや組織設計プランが期初に提出され、それを遅滞なく実行し定期的にレポートされている」、110点は「当初計画よりも1~2ヶ月前倒しで進行している」、120点を「担当範囲外の人材育成にも貢献している」という文言にします。

 

続いて、

A: 何を任せるのか? について「市場の把握及び分析と共有」というタイトルのミッションを置くとしましょう。

その場合、B: それをどうやってほしいのか? C: どう評価するのか? はどうなるでしょうか。

B →

・社内外に幅広いネットワークを構築し、業務に有効な情報を適宜必要な時に収集する。

・顧客に提案するうえで必要な情報(自社商品・サービス知識、業界知識、ナレッジ等)および担当領域のあらゆる情報について、公開されていない情報も収集する。

・収集した情報を整理し、事業全体への影響を意識しながら重要度を見極め、適切に進捗把握する。

・事業・経営に関連する幅広い知識を積極的に学ぶ。

・上記を定期的に周囲に共有する。

C → 100点は、「競合情報やニュース、展示会などから常に情報を得て、役員会などで定期的に報告し周囲にそれが納得している」、110点を「社外有識者とも交流を持ち、社外勉強会などにも行き、積極的に情報を獲得し、それを社内共有している」、120点を「市場把握/共有するだけではなく事業変革のヒントを得て、実際に変革に活用している」という文言にします。

 

営業職とは違いますが、社内システム担当の例を出すと……。

A → 「社内向けシステムのサービスインと安定運用の管理」というタイトルのミッションを置く場合、

B → メンバーに下記内容を指示出しし、遂行されているか確認→案件受注決定後~サービスインまでの段取り~サービスイン~サービスイン後~契約期間完了まで安定的な運用+トラブル発生時のシューティング(=初期対応・原因特定、解決策検討から実行、再発防止策作成・報告)。

C → 100点は、「トラブル発生率00%以内、かつサービス停止や個人情報漏洩など利用者が認識できるトラブルが少なく円滑にサービスイン~クローズまで完了している」、110点を「トラブル発生率00%以内にしている」、120点を「トラブル発生率0% = 完全な無事故での運用を全案件において実現している」という文言にします。

 

面白かったポイント

可視化が仕事を進める上で非常に重要なのは理解ですが、具体例が薄い。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆

 

目次

1 「なんでそんなに他責?」「おまえ、クビ」の衝撃
2 営業ビリからたどりついた最強ノウハウ「眼前可視化」
3 人生を無駄にする「バカ会議」から「決める会議」へ
4 人によって言葉の「定義」がズレた会議はリスク大
5 相手のトークは順番バラバラ、多忙なキーマンの「朝令朝改」に伴走
6 粗くても即送付で認識共有:眼前可視化ノウハウ①
7 タイプ術とアジェンダ設定:眼前可視化ノウハウ②
8 ファシリテーションのコツ:眼前可視化ノウハウ③
9 相手の発言は「金言」、心の矢印は常に相手に向ける
10 若手の「わかったふり」、安易な「なるほど」の危険
11 議論をスムーズにする「枕詞」テクニックと決めゼリフは「いま御社が…」
12 老舗企業が陥る「ニーズ対応専門営業」という罠
13 「経営の意図が落とし込めない」が現場を疲弊させる
14 経営層の嘆きランキング1位「マネジャー(部長・課長)クラスが頑張ってくれれば…」
15 できる上司は仕事のレベル感とメンバーの気持ちがわからない
16 失敗要因ランキング1位は「時間がなかった」問題
17 経営層の「ざっくり解像度」が最悪の事態を招く
18 可視化すべき情報①:誰が何に何時間使っているか
19 可視化すべき情報②:誰に何を任せてどう評価するか
20 可視化すべき情報③:優秀な人のノウハウを継承する
21 可視化すべき情報④:「秘伝のタレ」で「わかる→できる」に
22 弊社は「可視化」でこう変わりました

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