科学的な適職

ビジネス

『科学的な適職』鈴木祐

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内容

情熱

一見すれば情熱を持って仕事に取り組むほうがよさそうに思えますが、実際には「仕事は仕事」と割り切ったほうが作業の上達が速く、すぐに仕事を辞めない傾向があったわけです。

いまの仕事に対する情熱の量は、前の週に注いだ努力の量に比例していた。

過去に注いできた努力の量が多くなるほど、現時点での情熱の量も増加した。

 

年収

給料が多いか少ないかは、私たちの幸福や仕事の満足度とはほぼ関係がない。

あらゆる職種の年収とメンタルの変化を調べると、およそ年収800~900万に達した時点で幸福度の上昇は横ばいになります。

私たちの幸福度が400~500万のあたりから上昇しづらくなる可能性は高い。

 

適度なストレス

ストレスが体に悪いのは確実なものの、その一方では「楽すぎる仕事」もまた、あなたの幸福度を大きく下げてしまいます。

 

適度なストレスのメリット

  • 仕事の満足度を高める
  • 会社へのコミットメントを改善する
  • 離職率を低下させる

 

あまりに自分の能力を超えた仕事は不安につながり、あなたの健康を損ないます。

逆になんの負荷もない仕事は退屈感を生み、やはり幸福度の低下をもたらします。

 

自由

組織内のランクが高い人ほど幸福なのは、ランクが低い人よりもストレスの張りを調整しやすいからです。

実際にあなたの幸福度を左右するのは裁量権のほうです。

「作業の内容をどれくらい自分の意思で決められるか?」は、仕事の満足度を大きく左右します。

  • 作業を実行するスケジュールを好きに設定できる
  • タスクの内容を好きなように選ぶことができる
  • 収入や社内ルールに好きな意見を言える

職場の自由度が高くなるほど被験者の仕事への満足度は上がって離職率が下がり、ストレスが大きな作業をしているあいだもネガティブな感情にハマりにくい傾向があったのです。

 

  • 女性 仕事に取り組む場所とタイミングの自由が効くほど幸福度は上がる。
  • 男性 仕事の進め方と作業ペースの自由が効くほど幸福度は上がる。

 

残念ながら、性格診断によって適職が見つかる保証はどこにもありません。

ほとんどの人生の選択においては、論理的に考える人のほうが人生の満足度が高く、日常のストレスも低い。

 

達成

近年では、科学の世界でも「小さな達成」が仕事のモチベーションを大きく左右することがわかってきました。

人間のモチベーションがもっとも高まるのは、少しでも仕事が前に進んでいるとき

 

焦点

  • 攻撃型 目標を達成して得られる「利益」に焦点を当てて働くタイプ
  • 防御型 目標を「責任」の一種ととらえ、競争に負けないために働くタイプ

 

明確

  • 信賞必罰をハッキリさせること
  • タスクの明確さ

 

多様

「日常の仕事でどれぐらいの変化を感じられるか?」を示す言葉で

  • 自分が持ついろんなスキルや能力を幅広く活かすことができる
  • 業務の内容がバラエティに富んでいる

という2つの条件を満たす職場ほど、あなたの幸福度は高くなります。

 

仲間

職場に3人以上の友達がいる人は人生の満足度が96%も上がり、同時に自分への給料への満足度は2倍になる。

給料の多さや仕事の楽しさなどの要因とは関係なく、社内に良い友人がいるだけでも人生が幸福になる。

人間関係の悪化が健康に及ぼす影響は計り知れず、そのダメージのレベルは長時間労働や福利厚生の不足の悪影響を上回ります。

 

貢献

ヘルパーズハイ

ボランティア活動を行う人ほどうつ病の発症率が低い事実が確認され、また別の実験では「他人への小さな親切」を1日5回ずつ6週間ほど続けた被験者にも大きな幸福感の向上が認められました。

 

他者への親切によって人間が持つ3つの欲求が満たされます。

  • 自尊心 他人の役に立ったことにより、「自分は有能なのだ」との感覚が生まれる
  • 親密感 親切のおかげで他人と近くなった気分になり、孤独感から逃れやすくなる
  • 自律性 「他人のためになった」という感覚が、「誰から指示されたわけではなく、自分で自分の幸せを選択できた」との気持ちにつながる

 

社会に役立つ行為をした直後には、頭の中にドーパミンがあふれ出すことがわかっています。

これは「やる気ホルモン」として知られる神経伝達物質の一種

大事なのは、あくまで「自分の行為が他人の役に立った」事実を可視化しやすいかどうかであり、その点ではエンドユーザーとのふれあいが多い仕事や、クライアントと直にやり取りできる職業のほうが有利なのは間違いありません。

 

幸福な仕事選びを妨げる要素

  • 時間の乱れ
  • 職務の乱れ

 

時間の乱れは、働く時間の混乱が原因で健康リスクが増大するパターン

  • シフトワーク
  • 長時間勤務
  • 長時間労働
  • ワークライフバランスの崩壊

 

通勤時間が長くなるほど人生が不幸になる。

プライベートと仕事を切り分けずに働き続けた人は、うつ病にかかる率が166%も高く、不安障害の発症率も174%ほど上昇していました。

 

職務の乱れは、仕事や報酬の内容に一貫性がないせいで体を崩すパターン

  • 雇用が不安定
  • ソーシャルサポートがない
  • 仕事のコントロール権がない
  • 組織内に不公平が多い

 

フリーランサーは、長期的には心身の健康を崩す。

理由は簡単で、不安定な賃金や勤務スケジュール、次の仕事が見つからない不安などがストレスになり、長く続けるほどストレスがたまっていくからです。

 

ソーシャルサポート

最高のチームに必要なのは「心理的安全」

心理的安全はチームに対する信頼感のことで、ざっくり言えば「どんなにヒドい失敗や恥ずかしいミスをしても、この仲間ならバカにもされないし適切に助けてくれるだろう」と思える感覚を意味します。

私たちは周囲に仲間がいないと本能的な危機感を覚えるようになったのです。

 

バイアス

バイアスとは人間の脳に巣食うバグ

正しい意思決定を行うためには、綿密なデータ分析よりも脳のバグを取り除くプロトコルのほうが600%も重要である。

未来を思うことで判断力が上がる現象のことを、心理学では「拡張された自己」と呼びます。

 

悩みを三人称で書き記したグループは他人の視点でものごとを考えるのがうまくなり、複数の観点からベストの対策を導き出せるようになったのです。

親友の視点でトラブルを想像したことで、良い意味で問題が他人事になりました。

そもそも私たちが自分のトラブルをうまく処理できないのは、問題との距離が近いせいで、その内実を一歩引いたところから見られないからです。

 

キャリア・ドリフト

人生は予測不可能なイベントの連続であり、事前の計画通りに進むことは少ない。

そのため、自分のキャリアについては、事前に細かく決めておくよりも大きな方向性だけを定めたほうが良い。

いったん方向性を決めたら、あとは人生に起きた偶然や予期せぬ出来事に柔軟に対応しながらキャリアを積めばいい。

大きな方向性だけを決めた後は流れに身をゆだねるのが最適だ。

 

面白かったポイント

人生の大半を占める仕事。

その仕事が自分にとって最高の職業なのかを判断する基準が示されています。

内容は、そうだよねという感じですが、体系的にまとまっているので分かりやすいです。

 

判断する方法が提示されているので、一度自分の仕事についてチェックしてみることをおすすめします。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆

 

目次

STEP1 幻想から覚める Access the truth
~職業選択にありがちな7つの大罪~
〈大罪1〉好きを仕事にする
〈大罪2〉給料の多さで選ぶ
〈大罪3〉業界や職種で選ぶ
〈大罪4〉仕事の楽さで選ぶ
〈大罪5〉性格テストで選ぶ
〈大罪6〉直感で選ぶ
〈大罪7〉適性に合った仕事を求める
STEP2 未来を広げる Widen your future
~仕事の幸福度を決める7つの徳目~
〈徳目1〉自由
〈徳目2〉達成
〈徳目3〉焦点
〈徳目4〉明確
〈徳目5〉多様
〈徳目6〉仲間
〈徳目7〉貢献
STEP3 悪を取り除く Avoid evil
~最悪の職場に共通する8つの悪~
〈1位〉ワークライフバランスの崩壊
〈2位〉雇用が不安定
〈3位〉長時間労働
〈4位〉シフトワーク
〈5位〉仕事のコントロール権がない
〈6位〉ソーシャルサポートがない
〈7位〉組織内に不公平が多い
〈8位〉長時間通勤
STEP4 歪みに気づく Keep human bias out
~バイアスを取り除くための4大技法~
〔技法1〕10/10/10テスト
〔技法2〕プレモータム
〔技法3〕イリイスト転職ノート
〔技法4〕友人に頼る
STEP5 やりがいを再構築する Engage in your work
~仕事の満足度を高める7つの計画~
仕事の満足度を判断する方法
仕事を最高に変える行動計画

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