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『クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?』エリヤフ ゴールドラット

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内容

プロジェクト

プロジェクトでは、特にこの目的のことをスコープ(範囲)という言葉を使っている。

ヒトやカネといった「資源(リソース)」に制約があり、いつでもよいというわけにはいかない有期性(「納期」)がある。

 

期限を設ければ、学生症候群が起こる。

したがって、期限設定はせずに、期間のみを提示する。

作業が回ってきたらすぐに着手し、終わればすぐに申告する、というやり方にする。

個人の時間見積もりは余裕を持たないぎりぎりの時間、つまり「厳しそうだが、やればできる」時間にする。

削った余裕はプロジェクト全体の余裕、「プロジェクト・バッファー」として集中する。

 

人が倍になれば、調整努力は四倍必要になる。

いまでも作業調整のために無駄な会議が多すぎるとクレームが出ているんだ。

 

不確実性こそがプロジェクトの本質です。

それがプロジェクトというものです。

 

射撃の名手が標的を完全に外す確率は非常に少ない。

しかし、その標的のど真ん中を撃ち抜く確率はと言えば、これも一〇〇パーセントではない。

だけど、標的のどこか他の特定の部分に当たる確率よりは高い。

 

セーフティー

セーフティーは、プロジェクト全体に対して加えられるセーフティーのことだと思う。

私が言っているセーフティーはそうじゃない。

プロジェクトの各ステップ、各段階ごとに足されるセーフティーだ。

 

二週間かかると言えば、実際には二週間ちょっとかかる。

そこでセーフティータイムを足して三週間に伸ばす。

しかし三週間かかると言えば、三週間ちょっとかかる。

 

セーフティーが必要だと大騒ぎする。

そして、セーフティーをもらう。

時間的に余裕ができる。

でも時間的に余裕ができたからといって、すぐに作業を始めない。

じゃ、いつになったら作業に取りかかるのか。

結局、ぎりぎり最後になるまで始めないんです。

それが人間というものです。人間だからしょうがないんです。

「だけど実際に作業を始めるまで、問題があるかどうかはわからない」

「もし、作業を開始して何か問題があることに気づくと、今度は慌てて働くことになる。しかし、とってあったはずのセーフティーはとうに使い果たしているから、結局、作業は遅れてしまう。」

 

プロジェクトの各ステップの見積もり時間にセーフティーが組み込まれるのには三つ異なるケースがあるということだ。

まずは、いままで自分が経験した体験にもとづいてセーフティーを組み込む場合だ。確率分布グラフの右端のほうになる。

二つ目。マネジメントが関わっている場合、その関わっている段階が多ければ多いほど、見積もりは長くなる。各段階ごとにセーフティーが追加されるからだ。

三つ目は、見積もりした時間がカットされるのを最初から予想して、その分を水増しする場合だ。

 

プロジェクトを期限より早く終わらせようなどというインセンティブは、通常ではほとんど起こらない。

逆に期限まで終わらすことのできない場合の言い訳はいくらでもある。

 

ステップがつながっている場合、それぞれのステップで作業が早く終わったり、逆に遅く終わっても、これが平均化されることはない。

つまり、作業が遅れた場合は時間が溜まっていくが、早く終わってもその分時間が減ることはない。

 

予定より早く作業を終わらせても、最初のステップはそれを報告しないからです。

現状の仕組みでは、作業を早く終わらせても何もご褒美はもらえないんです。

いやそれどころか、ペナルティーが課されます。

「もし作業を早く終えたら、上はできるものだと思って、次からは時間を短縮しろとプレッシャーをかけてきます。」

 

進捗状況レポートが手元に届いて、問題が発生していることに気づいた時には、たいていもう遅すぎるということです。

 

マネジメント

うまくマネジメントするために、マネジャーはコストをしっかり管理しなければいけません。

もう一つ、マネジャーはうまくマネジメントするためにスループットを守らなければいけません。

つまり、必要な製品を必要なクライアントに対価を払ってもらえるような形で届けなければいけません。

 

優れたコスト・パフォーマンスを実現するには、組織内の一つひとつの部門、部署においてローカル・パフォーマンスを向上させなければいけないと考えるからです。

優れたコスト・パフォーマンスを実現するには、優れたローカル・パフォーマンスを図るしかない。

これが間違っていたんです。

 

80:20ルール

80:20ルールは独立変数で構成されるシステムにしか適用されません。

つまり、それぞれの輪が個別にマネジメントされているコスト・ワールドにしか適用されないのです。

スループット・ワールドの場合はどうでしょうか。

普通、企業には、輪が五つよりもっとたくさんあります。

そうなると、二〇パーセント改善しても、その努力の多くは組織全体のパフォーマンス向上にはつながらないのは明白です。

スループット・ワールドでは、輪と輪のつながりが重要です。

変数は従属関係にあります。

つまり、パレートの法則は適用することができないのです。

 

ボトルネック

ボトルネックを強化するには方法が二つあるということです。

ひとつは、人をもっと雇ったり機械を増やしたりして、単純にキャパシティを追加する方法です。

もうひとつは、既存のキャパシティからアウトプットを最大限引き出す方法です。

 

ボトルネックということはあなたがいちばん重要で、会社全体のスループットがあなたにかかっているということです。

責任重大です。

 

先頭の兵隊とボトルネックをロープで結ぶと、先頭の兵隊は、ボトルネックのスピードでしか前に進むことができない。

隊列が前後に広がるのはこれで防げる。

他の兵隊は、みんなボトルネックより歩くのが速いので、先頭の兵隊かあるいはボトルネックの後ろでつかえることになる。

ということは、隊列の長さはロープの長さとだいたい同じくらいになる。

 

選択と集中

これが選択と集中のプロセスなんです。

スループット・ワールドにおける集中プロセスなんです。

これは、継続的な改善プロセスでもあるんです。

スループット・ワールドにおいては、集中プロセスと継続的改善プロセスは同じことなのです。

 

クリティカルパス

クリティカルパスとは、従属ステップがいちばん長く続くパス、いちばん時間の長くかかるパスだ。

いちばん長いパスは、この二種類の従属関係、パスに起因している部分と共通のリソースに起因している二つの部分によって構成されている。

 

マルチタスク

リードタイムは、倍になります。

作業の掛け持ちが好ましくないのはわかっていましたが、こんなにとは思ってもいませんでした。

それに段取り時間も無駄になります。

 

リソースの競合

リソースの競合とは、同一のリソースが異なる二つのステップを同時にしなければいけないような状況を指します。

優先順位は主にオーダーの納期に従って決めますが、私たちの場合はプロジェクトの目標完成期日によって決めました。

 

ペイバック

ペイバックとは投資回収期間。

つまり、投資してからこれを回収するまでの期間だ。

 

ぺイバックは、時間を基準にした方法です。

二年、三年といった時間です。

正味現在価値はお金を基準にしています。

しかし実は、時間とお金を一緒に考慮して初めて意味のある答えになるのです。

 

回収期間

回収期間は「時間」を基準にしたやり方、正味現在価値は「お金」を基準にしたやり方であり、お金と時間を一緒に考慮して初めて意味があるという。

それは「フラッシュ(洗い流す)」という尺度として説明される。

フラッシュの単位は、ダラー・デイズ(Dollar Days)である。

 

ちゃんと答えを知っていると言ったはずだ。

頭をすっきりさせて考えるだけでいい。

それだけだ。

 

企業の犯す過ちの多くは、実のところ非常に基本的なことなんです。

 

  • 何が会社の制約条件になっているのか
  • 会社が利益を出せるようになるまでどのくらい時間がかかるのか
  • どのくらいの投資が必要と思うか

 

面白かったポイント

クリティカルチェーンを再読。

これもめちゃくちゃ面白い。

 

プロジェクト計画を立てる時の方針はとても参考になる。

クリティカルパスとクリティカルチェーンをいかに管理するのかがキモ。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

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