不況を勝ち抜く予算管理ガイドブック

ビジネス

『不況を勝ち抜く予算管理ガイドブック』芳野剛史

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内容

予算管理

予算管理とは、財務的な目標を管理するツールであると同時に、「経営の見える化」のツールでもある。

年初の財務的な目標値を月次などで実績値と対比をさせ、どこが順調で、どこが問題かを確認し、必要な対応をするという経営の基本的なマネジメントツールである。

 

測定できないものは管理できない。

 

経営判断の難しい環境下だからこそ、入念な計画の作成が必要ということだ。

予算の前提を細かく見ると、変化の影響が大きい部分と、そうでもない部分がある。

予測可能な部分と予測困難な部分を見極めて、できることは確実にやり遂げるという計画作りをし、リスクの高い部分は十分な対応策を準備するという切り分けが重要となる。

何がリスクなのかがわからないというのが最大のリスクである。

 

チャンピオン/チャレンジャー戦略

1. 仮説の設定

2. 戦略の試行

3. 成果のチェック

4. 最適な戦略の決定

5. 全体へ適用

 

戦略

戦略とは、企業の中長期的な目標を達成するために、競争優位性を活用した総合的な施策の集まりである。

戦略とは、極めて不確実な物であるという前提で、むしろPDCAサイクルでカバーしなければならない。

当初の戦略が間違っていたと批判するのではなく、その後の軌道修正ができていないことを反省しなければならない。

経営環境が変われば、戦略も変えなければならない。

予算管理とは、戦略のPDCAサイクルを回す基本的なマネジメント手法であり、不確実経済下を生き残るための最も重要なツールなのである。

 

予算管理の課題

  • 予算編成にかかる膨大な時間と労力の問題
  • 予算の目標設定に関わる不公平感
  • 予算がビジネスを硬直化させている

 

事業部門にとっては、年度末に向かって追い込みをかける一番忙しい時期に予算編成の作業が重なってくる。

タイミングの問題でいえば、新年度の初めの人事異動との関係だ。

これは人事異動によって、予算を作成した責任者と、実行する責任者が別になるという問題である。

 

ビジネスが常に変化しているにもかかわらず、逆に予算に縛られてしまい、適切な軌道修正が妨げられるというのがビジネスの硬直化だ。

 

予算の機能

予算の機能は、基本的に

  1. 計画
  2. 調整
  3. 伝達
  4. 動機づけ
  5. 業績評価

の5つに分かれる。

 

計画

予算は会計期間の財務的目標を具体的な財務諸表のレベルへ落とし込んだ計画である。

計画とは、誰が、何を、いつまでに達成するかを規定したもので、これによって各部門の目標と役割分担が明確になる。

 

調整

予算とは、単に個別の計画を足し合わせたものではなく、個々の計画を調整し、全体として整合させるところに最も意味があるのだ。

予算編成プロセスの大部分は、この調整作業と言っても過言ではない。

 

伝達

予算は、正式に企業全体および各部門の目標として全社員へ「伝達」される。

 

動機づけ

予算編成プロセスでは、予算の作成やさまざまな調整を通じて、責任者や従業員の「動機づけ」が形成される。

調整を通じて数々の合意形成が行われる中で、「自分たちで合意したもの」に対する一定の責任とやる気が醸成される。

また、予算によって、各部門の役割と責任、権限が明確化されるため、これによっても目標達成に向けた動機づけがされる。

 

業績評価

一般的に、予算の目標は、部門や個人の「業績評価」に連動する。

人事評価へ反映されないならば、ばかばかしくなるだろう。

一方、人事評価を強調しすぎると、社員同士が競争に明け暮れるようになる。

 

経営方針体系

  • ミッション 企業の使命、存在意義
  • ビジョン 目指すべき姿、願望、到達目標
  • 中期経営計画 3~5年の企業全体の計画
  • 予算 1年の財務的計画
  • 単年度事業計画 1年の部門別/事業別計画

 

予算において単に財務目標を設定しただけでは、具体的に誰が何を実行すればよいか明確ではないため、通常、予算の実行主体である各部門では、予算の目標を達成するための具体的な計画を策定する。

事業計画には、財務目標をはじめとして、目標を達成するための施策、実行体制、責任者、スケジュールが盛り込まれる。

 

予算体系

予算は損益予算、資金予算、資本予算に分かれ、これを統合して総合予算と呼ぶ。

また総合予算ができると、最終的なアウトプットとして損益計算書予算、貸借対照表予算、キャッシュフロー計算書予算が作成される。

 

総合予算

損益予算は、全社の利益計画であり、全社の売上と利益の目標を明確化する最も重要な計画である。

 

資金予算とは、手持ちの必要な資金を維持するための計画である。

資金予算は、現金収支予算、信用予算、運転資本予算に分かれる。

 

資本予算とは、設備投資や研究開発費などの資本支出についての計画である。

資本予算の策定で最も重要な検討事項は、どの投資案件に予算を配分するかを決定することである。

 

予算管理プロセス

予算管理プロセスは、予算編成プロセスと予算統制プロセスに大別される。

予算編成プロセスとは、予算を作成する前年期末までの計画プロセスであり、予算編成方針の作成から実際の予算確定までを指す。

予算統制プロセスとは、予算に基づいた期中の実績管理である。

一般的には月次で実績を収集し、予実差異を分析し、改善策を作成および実行する一連の月次サイクルを指す。

 

調整作業は多大な時間を要するため、時間の無駄と指摘する声も多いが、実際には単に調整作業をしているだけではなく、どうすれば目標達成が可能になるかという施策を検討しているプロセスでもあり、計画作りという意味では必要なプロセスである。

また調整作業における議論は、実行責任者がコミットメントを形成するうえでも重要なプロセスである。

 

予実管理

当月度の実績に続いて、当月度までの「累積」を見ている。

予算は最終的に累計で達成が決まるため、累積の達成状況を見なければ全体として順調かどうかがわからない。

 

累積の次には、翌月度あるいは年度末の「見込」を見ている。

実績とは過去の情報であり、次に心配なのは将来である。

将来の着地見通しがある程度見えていなければ経営陣は安心できない。

この見込という項目は、経営陣としては最も重要な情報となる。

今から何かアクションが打てるのは将来だけだからだ。

 

予実管理の資料では、数字以外の情報として、定性的な情報を文章で説明することも多い。

よくある例としては、当月度の主な成果、当月度の課題と対応策、重点施策の進捗状況、前月度までの対応策の状況などがある。

予実差異の大きい部分については、原因分析をし、対応策を明示することは特に重要である。

 

予算統制プロセスは、経営のPDCAを回すエンジンである。

この予算統制のプロセスによるチェック&アクションが仕組みとして実施されれば、経営の品質は自律的に改善されると言っても過言ではない。

 

販売予算

販売予算は、売上高予算、販売費予算に分類され、一般的に販売部門が作成するものである。

 

売上高予算は、予算編成全体の起点となる最も重要な予算である。

売上高の予算に基づいて製造予算や購買予算が設定され、設備投資や研究開発などの予算も決まってくるため、売上高の予測精度が予算全体の精度に大きく影響する。

したがって売上高予算のメインテーマは、いかに精度の高い売上高を予測できるかになってくる。

 

販売予測

売上高予算は販売予測に基づいて作成するが、販売予測の手法としては、一般的に積上げ法と見積り法に分けられる。

積上げ法とは、各営業担当や各営業部門が、担当する売上高を算出し、それらを積み上げて合算する方法である。

見積り法とは、マクロ的な見地から全体あるいはセグメントの売上高を見積る方法であり、これにはいくつかの見積り手法が存在する。

企業によっては積上げ法と見積り法の両方を用い、まず経営陣がマクロ的な数値を提示し、ミクロ的な積上げの数値と整合するように調整を繰り返すアプローチをとっている。

 

重要なことは、その事業の売上高を決定する要因が何かを徹底的に考えることである。

時代とともに取扱商品も変わってきているだろうし、また市場や顧客の様相も変化していることもあるため、もう一度ゼロベースで最適な予測方法を考えてみることも必要かもしれない。

 

販売予測は、需要サイドから考えるのが基本である。

市場の需要から考えて、どの程度の販売が見込るかを検討するが、一方で供給サイドのキャパシティも考慮する必要がある。

事業の性質によっては、むしろキャパシティのほうが売上高を決定する要因という場合もある。

たとえば、会計事務所の場合、売上高は所属する従業員の人数でほぼ決定する。

1人の従業員が稼ぐ金額はほぼ決まっているため、あとはその人数に比例して売上高が決まる。

 

業績目標

業績目標の設定という観点では、現実的に十分達成できる水準よりも、少し高めの目標のほうがいいという考え方がある。

少しストレッチした目標のほうが、営業担当のやる気と潜在能力を引き出す効果があるからだ。

 

販売費予算

  • アクティビティコスト
  • マネジドコスト
  • コミッテッドコスト

 

アクティビティコストは、売上高や販売量によって変動する費用

配送費、梱包費、印紙税

 

マネジドコストは、マネジメントの経営方針によって決定する固定費

販売促進費、広告宣伝費

広告宣伝費を決める視点

1. 過去の売上高に対する割合
2. 業界や製品の特性
3. 競合他社の動向
4. 自社の投入可能額

 

コミッテッドコストは、すでに過去に意思決定が下され、費用の発生が決定している固定費

減価償却費、オフィスの維持管理費、販売部門の人件費

マネジドコストは1年単位で支出を変更することが可能な固定費であるが、コミッテッドコストは基本的に長期的な固定費

 

在庫管理

適正在庫の決定には、販売部門からの情報が重要となる。

販売予測の精度やばらつき、顧客への影響などは販売部門でしかわからないため、販売部門と製造部門の十分なコミュニケーションが必要だ。

 

1つの方法としては、まず販売部門が製品別の適正在庫表を作成し、製品ごとの販売予測、ばらつき、製品特性、適正在庫量、在庫の留意点について販売部門の見地から提示する。

製造部門は、この情報に生産効率の観点を加えて販売部門と協議をし、最終的な在庫量を決定する。

 

調達コスト削減アプローチ

  • サプライマネジメント
  • デマンドマネジメント

 

サプライマネジメント

サプライヤー(仕入先)の管理によって調達コストを削減するアプローチ

典型的な方法は、取引する仕入先の数を絞り込み、ボリュームディスカウントを効かせるやり方だ。

取引先を1社にまでしてしまうと、その取引先に何か問題があった場合に調達上のリスクが発生するため、1つの調達品目に対して2~3社に絞り込むのが理想的とされている。

 

デマンドマネジメント

設計や生産の要求条件によって、調達コストは大きな影響を受ける。

たとえば設計段階における部品のモジュール化やユニット化は、調達する部品点数を減らし、調達ボリュームを上げることができる。

また生産計画においても調達タイミングや調達ボリュームを調整することによって、調達コストの削減は可能となってくる。

  • 調達要件の標準化
  • 数量、頻度の変更
  • 代替案の奨励

 

一般管理費

一般管理費予算とは、製造原価と販売費以外の費用に関する予算で、経理部門や人事部門などの本社機能を担う各部門が作成する。

主な費用科目は、役員報酬、本社の人件費、賃貸料、旅費、交際費、減価償却費、事務用消耗品費、水道光熱費などがある。

 

一般管理費の多くは役員報酬と本社の人件費となるため、一般管理費予算は人員計画からスタートする。

全社として役員体制の決定、各部門の職位別人員計画の作成を行い、それぞれの人員にかかる費用を算出し、人件費計画へと落とし込む。

人員にかかる主な費用は、給与、賞与、通勤費、法定福利費、退職給付引当金である。

 

資金予算

資金は少なすぎると資金の不払いが発生し、銀行取引が停止され、黒字倒産にもなりかねない。

しかし、資金が多すぎても余計な金利負担などにより非経済的である。

したがって、多すぎず、少なすぎない適正な資金レベルを維持することが求められ、これを資金流動性の維持と呼ぶ。

 

資金予算の主な機能

  • 資金の収入と支出、必要な調達額、長期的な資金収支を総合的に把握し、適正な資金を維持する。
  • 資金調達計画を作成し、最も有利な調達手段をとり、企業全体としての財務費用を最小化する。
  • 余裕資金の発生を予測し、必要に応じて短期的な投資で利益を得る。

 

資金予算は、大きく現金収支予算、信用予算、運転資本予算に分類される。

現金収支予算とは、現金の収支と支出を総合的に管理し、年間を通じて必要な現金の水準を維持するための予算である。

信用予算とは、売掛金、受取手形、貸付金などの債権、および買掛金、支払手形、借入金などの債務といった信用取引に関する予算であり、現金収支予算の一部を構成する。

運転資本予算とは、一般的に流動資産から流動負債を差し引いた運転資本の予算である。

 

現金収支予算が短期的な現金の確保を対象にしているのに対し、運転資本予算では買掛金や売掛金といった流動資産、流動負債まで含めた少し広い財務流動性の維持を対象としている。

 

現金収支の管理のポイントは、売掛金の回収時期と回収金額の予定精度を上げることである。

この精度が低い場合、予定していた回収金額と実際の回収金額が異なり、資金ショートを起こすリスクが生じる。

この予定と実際のブレが大きいほど、資金を多めに準備しておかなければならないため、効率的な資金流動性を確保するためには売掛金回収予定の精度向上が重要となってくる。

 

資本予算

資本予算とは、資本支出、つまり投資に関する予算であり、主に設備投資や投融資がある。

投資とは、将来的に資本を増加させるために、現在の資本を投じる活動のことで、企業では設備投資のように初期に大きな支出を行い、将来数年間にわたって投資分を回収する性格のものである。

 

投資分類

  • 既存案件
  • 制度案件(法対応)
  • 戦略案件(トップマネジメントの戦略的な意思、天の声)
  • 通常案件(基本的に投資対効果で優先順位付け)

 

予算統制の意義

衆知を集める

経営会議は部門長が経営トップに報告するだけの場ではなく、そこに集まる多くの優秀な上級管理者が各部門の問題解決をサポートする場でもある。

予実差異に対して、別の角度から分析的な示唆を与え、よりよい解決策を見出すために衆知を結集して事にあたる意味合いがある。

 

会社全体のトレンドの把握

自部門だけを見ていたらわからないマクロな動きを把握し、全体の視点から自部門の責任をまっとうすることができる。

他の部門の動きや会社全体の状況によって、自部門の戦略や計画を修正する必要も出てくる。

 

協力、調整の場

経営会議は、他部門からの協力、あるいは他部門と調整をオフィシャルに行う貴重な場である。

問題解決の種類によっては部門間が協力しなければ実施できないこともあるであろうし、当事者同士ではなかなか調整がつかない問題も、トップを含めた経営会議の場では迅速な意思決定がされることが期待できる。

 

信賞必罰

経営会議で実績を報告するということは、高い成果を出した者にとっては英雄になる場であり、低い成果の者にとっては人前で恥ずかしい思いをする場である。

 

一体感の醸成

トップマネジメントが一堂に会し、1つの目標に向かって議論することは、企業が一体感を醸成する貴重な機会となる。

各部門長が社長の考え方や思いを理解、確認する場であり、また社長や各部門長同士がお互いの思いや状況を共有する場でもある。

 

予算統制とは、単に予実差異を確認、対応するという機械的なプロセスではなく、人が動機づけされ、目標達成意欲を高めるという極めて人間的なプロセスなのである。

 

予算差異分析

  1. 差異の把握
  2. 発生箇所の特定
  3. 原因分析・責任分析

 

発生箇所の特定方法は、基本的に差異の部分をブレークダウンしていく方法をとる。

一般的には数量差異と価格差異に分ける、あるいは顧客別や組織別といった構成要素に分解して、発生箇所を絞り込む。

責任分析は決して悪者探しではない。

責任をもって問題に対応する人を選任することが目的であるため、冷静に分析することが重要となる。

 

分析とは、もともと「分けて折る」ことを意味しており、分けることが分析の本質だ。

基本的には、2つの要素へ分解することから始める。

 

売上・利益情報

当月、累積、年間見込で分けて確認

我々が何か対処できるのは、過去ではなく、将来の見通しに対してだけ

分析のポイントとしては、まず全体的に大きな差異がある部分に着目することが基本となる。

 

変化適応型プロセス6原則

  1. 相対的改善を狙ったストレッチな目標設定
  2. 相対的な高さに基づいて事後的に評価する
  3. アクションプランの策定を継続的かつ包括的なプロセスにする
  4. 必要となる経営資源を利用可能にする
  5. 顧客ニーズに対応する社内横断的行動の調整
  6. 効果的なガバナンスと相対的な評価指標によって管理する

 

内部の交渉によって目標設定するのではなく、競合他社との比較によって目標設定をする。

従来の目標設定では、いかに低い目標設定を交渉できるかが重視され、ストレッチな目標設定を阻んでいた。

 

バランス・スコアカードの予算への統合ステップ

  1. 戦略をバランス・スコアカードへ落とし込み、戦略目標とKPIを明らかにする
  2. KPIへ中期的な目標値を設定し、現在と将来のギャップを確認する
  3. ギャップを埋めて目標を達成するために、必要となる戦略的実施項目を策定する。また、実施に必要となる財務的資源と人的資源を見積る
  4. これらの財務的資源と人的資源を承認する。そして、必要な資源を単年度予算へ組み込む

 

予算では戦略予算と業務予算の2つの構成とする。

戦略予算とは、戦略的な施策を管理するものである。

業務予算とは、部門、機能、費目の能率を管理するものである。

 

ローリングフォーキャスト

ローリングフォーキャストとは、年度単位で作成した予算や業績予測を1年間固定するのではなく、経営環境の変化に合わせて半期あるいは四半期などの短いタイミングで更新(ローリング)していく手法である。

ローリングフォーキャストでは、従来の固定的な計画ではなく、より現実的な計画と予測に基づいて事業を展開することを狙いとしている。

 

通常の予算では、年度末が近づくにつれて計画の対象期間が短くなっていき、年末近くになると1~2か月先までの計画しかない中で事業を行うことになる。

このローリングフォーキャストでは常に同じ長さの将来期間を対象としているため、一定の中期的な観点をもって事業を運営することができる。

これは継続的な計画作りを習慣づける意味合いもある。

 

業務の付加価値を決める戦略的な観点

  • 自社の経営方針、戦略との関係性
  • 自社の競争力の源泉
  • コア/ノンコアビジネス、コアスキル/ノンコアスキル
  • 他社でやっていないこと、他社とは違うこと(差別化)

 

予算管理プロセスを改善する観点

  • 簡略化
  • 共通化
  • 平準化
  • 移管
  • システム化

 

簡略化

作業を重要な部分に絞る

  • 金額が大きいところ
  • 改善度合いが大きいところ
  • 戦略的重要性が高いところ

 

移管

移管とは、より専門性の高い人へ業務を集中させたり、人件費の安い人へ業務を移すことでコスト削減することを指す。

 

リスクに強い企業

リスクに強い企業とは、外部環境変化に対して影響を受けにくい、あるいは外部環境変化に対して柔軟に対応できる会社のことである。

 

どこまでリスクに対応すべきであろうか。

対応レベルは2つある。

企業にとってリスクによる最悪の事態とは倒産してしまうことであるため、まず最低限のレベルとは、不測の事態に対して最悪でも倒産はしないだけの準備をすることである。

もう少し高いレベルは、不測の事態で売上は下がったとしても、一定の利益は確保できる用意をすることである。

この場合は利益がゼロ以上になるレベルまで、予防策を講じる、あるいは対応策を準備することになる。

 

リスクマネジメント

  1. Key Risk Indicator
  2. リスクの回避策/対応策の作成
  3. モニタリング

 

リスクの回避策

ポートフォリオ効果によるリスク分散

  • 輸出事業と輸入事業
  • 内需産業と外需産業
  • 高価格帯商品と低価格帯商品
  • 労働集約型と資本集約型

予算管理は、企業の資源配分を決定することであり、リスクを考慮して資源配分を行い、リスクに強い企業に変えていくことも予算管理の重要な役割である。

 

事業ポートフォリオ

企業が複数事業を持つ理由は大きく2つある。

1つは事業拡大。

単一事業では成長性が見込めない場合に、周辺事業や新規事業へと進出するためである。

もう1つはリスク分散で、複数の事業があれば1つの事業のみの場合よりも全体への影響が軽微となるからである。

 

KPIの設定のチェックポイント

  • アクション可能性
  • 測定可能性
  • 信頼性
  • 容易性

 

事業計画が達成できない2つの主要因

第一に、事業計画のモニタリングが不十分であること。

結果を生み出す「プロセス」の状況を可視化し、将来の結果に対してコントロールすることが必要となってくる。

もう1つの要因は、そもそも事業計画自体の実現性が低いという問題である。

当たり前であるが、実現性の低い計画を、いくら完璧にモニタリングしたとしても結果が出るわけがない。

 

結果管理とは、売上や利益といった経営努力の結果を確認し、評価するマネジメントを指す。

一方、プロセス管理とは、結果を生み出すプロセスを確認・評価する手法で、施策の進捗状況や成果の途中経過を管理する。

結果管理とは結果さえ出せば事業の中身には口を出さないというやり方で、プロセス管理とは事業の中身にまで口をはさむということだ。

 

実現性評価のステップ

  1. 各事業部門が事業計画を作成する
  2. 評価チームは、実現性評価を実施。評価を行うにあたり、各事業部門から事業計画のヒアリングを行うとともに、前提となるデータも提出してもらう
  3. 評価終了後、事業部門へ評価結果を提示し、必要に応じて事業計画の再提出を指示する
  4. 何度か協議を行い、最終化する。トップマネジメントの承認を行う

 

面白かったポイント

かなり面白かった。

メーカーの経営管理、ITベンチャーの経営企画、経営者として予算策定をやってきましたが、策定プロセスの考え方をかなり言語化されているので共感するところが多かった。

予算策定、予算管理は現場からすると余計な仕事が増えたという印象を与えますが、経営層からするとPDCAを回すための必須ツールです。

これは今後予算管理に関わる全ての人に読んでほしいと思います。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

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