内容
文章の力
理想の美女を描写するのに、言葉を書き連ねる必要はありません。
「想像してみてください。あなたの目の前に、目もくらむような美女がいることを」
と書けばそれでいい。
文章の力に絡め取られた私たちは、勝手に心を動かし、目もくらむような美女を思い浮かべるのです。
こんな芸当ができるのは、映像でも写真でもなく、文章だけ。
文章は最強の営業部隊になる可能性もあるわけです。
文章は(書き手による)イメージのコントロールが容易にできます。
相手の興味を知り、心に刺さる言葉を投げかけることが大切です。
目標は、文章化されることでより明確になり、達成しやすくなることは、すでに「心理学」でも証明されています。
目標をなんとなく持ってしまうよりも、文字にすると、目標を達成することに固執するようになるのです。
文章の目的は、人を行動させること
文章のたった1つの目的、それは「今すぐ人を行動させること」
読む→言葉に反応する→想像する→行動を起こす
私たちは想像力のスイッチを「カチッ」と入れられると、あとは勝手に行動へと移してしまうのです。
状況を想像させる言葉が入っているかいないかです。
「条件」を表す言葉が入っているから心に刺さる。
ありきたりで常識的な言い回しに、過剰で具体的な条件を表す言葉を組み込むと、その文章は名言に変わる。
書き方のポイントとなるのは、「自分が何を伝えたいか」ではなく、「この文章を読んだとき、相手にどんな行動をして欲しいか」で考えること。
そして、どのように書けば読み手が「それをしてもいいかな?」「ぜひそうしたい!」と思うのか、を考えるのです。
人は、受け取った情報が足りないときは想像や予測で判断する習性があります。
文章を書くときに、あえて情報量を少なくすることで、読み手の想像力を利用することができる。
当たり障りのないきれいな文章を書いてはいけません。
こちらが感情を抑えてしまうと、それは鏡のような効果を生み、相手の心から湧き上がってくるはずの感情をも押さえつけてしまうのです。
人は「論理」ではなく、「感情」で動く。
きれいな文章では使われない言い回しだからこそ、読み手の一人ひとりの感情に伝わっていく。
そこに人の「顔」が見えることが重要なのです。
読み手を徹底的にリサーチ
これを読むのはどんな人か、どんな人たちかを十分に調べておくこと。
心を揺さぶるという意味では、誰もが「いいね」と思う文章よりも、特定の人の胸に刺さる文章のほうが優れています。
自分が書きたいことを考えている時間があれば、それを読む人たちのことを調べたほうがいい。
相手を誘導するには、相手の心に寄り添うことが最も大切なことなのです。
人は「自分の欲求と関連したことが書いてある」と気づいたら、すぐに目の前の文章を読もうとし始めるのです。
知りたい、学びたいという興味、悩みを解消したいという思い、損をしたくない、得をしたいという本音、誰かに認められたいという心。
本音と建前
その間にあるのは、理想(こうありたい)と現実(こうあるべき)の狭間で揺れる感情です。
このギャップが大きくなればなるほど、その人を動かす、強いエネルギーに変わります。
そのとき強いフックとなるのが、人の心にある「建前を認めてほしい」という欲求。
心の中に秘めている本音を見抜き、認めてあげられたら、その人は認めてくれた相手を心から信頼し、本音を話してくれるようになります。
ポイントは、相手の本音を推測し、建前を取り払って、本音を認めることです。
責任ある立場の人に対して使うなら、
「〇〇だって人間ですから」「普通の人だったら」
という言葉が、理想と現実の間にある欲求を刺激するキーワードになります。
本音では「たまには俺だって労われたい」と思っている上司に対して、「あなたは普通の人よりも上です」と嫌味なく伝えることができます。
悩み
悩みの9割はHARMの四文字に集約され、分類できる。
H(Health)・・・健康
A(Ambition)・・・夢、願望
R(Relation)・・・人間関係
M(Money)・・・お金
このHARMに「世代」をかけ合わせると、まるで占い師のように相手から「え?なんで、私がそれで悩んでいるのを知っているの!?」という反応を引き出すこともできます。
みんながしていることは正しい
「〇〇代の人たちの〇〇%が〇〇をしています」
というのはキーフレーズになります。
「みんな一緒」を使った書き方のポイントは、世代やカテゴリーなどを観察し、先回りして刺さるフレーズを提示することにあります。
「みんなと一緒」では、誰と一緒になりたいかという「憧れ」や、誰と一緒になっているかという「共通点」を観察することがポイントとなってきます。
相手を認める
文章の中に「相手を認める言い回し」を入れること。
「私はあなたのこんなところがすごいと思っています」と伝えるだけで、相手の心をぐっとつかむことができます。
「認められたい」欲を刺激するキラーフレーズ
「こんなの初めて!」「(あなたのおかげで)変わりました!」
若手の「初めてでした」「変わりました」には、いくつもの「あなたのことを認めます」要素が込められています。
「あなただけにご用意しました」というフレーズに加えて、そこに希少性が加わると、これはもう最強です。
文章テクニック
何度も繰り返す
同じ意味と感情を、文章の中で言葉を変えて繰り返していきます。
文章の説得力が大いに上がります。
ただし、同じ言葉を3回以上使ってはいけません。
大事なのは表現を変えて10回繰り返すこと。
言い換えや類語によって10回繰り返せるだけのバリエーションを持つことが大切です。
会話文
人は文章より会話のほうが内容を覚えやすい。
ポイントは、自分がこう言ったら、相手はこう反応するだろうなと想像すること。
読み手の疑問や反応を取り込んで書くこと。
「話しかけるように書く」コツとなります。
デメリットも書く
物事の良い面、悪い面を均等に伝えることで、物事を疑ってかかる慎重な人や、その商品に対する知識を持っている人の信頼を得ます。
デメリットを知ることで、相手はこちらを信頼してくれ、さらに「こういう部分は良くないんだな」と納得してくれます。
その上で決断させれば、その人は自分の決定に満足し、気持ちよく購入に動いてくれるのです。
両面提示を行う上で重要なのは、ネガティブな情報を先に提示したあとで、ポジティブな情報を伝えるという順序です。
最後にネガティブな話を持ってくると、どうしても相手の心に後ろ向きな印象が強く残ってしまいます。
「こういうところが短所ですが、こういう長所もあります」が、基本です。
途中で一度、谷間を作るのです。
ネガティブな情報や不安になるような言葉を使うことで、明るい出足だった文章を一転させます。
そして、締めくくりに向けて、そのネガティブな情報や不安になる言葉をひっくり返す内容を書き、再び高い調子で書き終えます。
伝えづらい内容を、ポジティブな書き出し、可能な打開策で挟んでしまいましょう。
書く順番は追伸→本文→件名
あらゆる文章の中で人が最も読み、心に残るのは追伸部分だということがわかっています。
「人間は、達成した課題よりも、達成されなかったことや中断されていることをよく覚えている」
きちんとつくられた予告にはワクワクさせる期待感があり、ときには本編よりも印象に強く残ることもあります。
追伸の前の部分で一度、きちんと話を終了させておくこと。
追伸の短文の中にクライマックス(あなたの願望や相手に行動させたいこと)をつくること。
まず、相手に何をしてもらいたいのか、どんな行動をとってもらいたいのかを考え、それを「追伸」にまとめてから書き始める。
その文面を書いてから全体を考えていく。
これが正しい書き方の手順となります。
本文を書くポイントは、最初の3行。
ここに必要な情報を網羅すること。
この3行と追伸を読めば、すべてが伝わるように仕立てられれば理想的。
なぜなら、長い文章は敬遠されるからです。
3行に込めるのは、書き出し、ポジティブな挨拶文と具体的な用件の2点です。
初対面の印象は7秒で決まり、半年間持続すると言われています。
文章の書き出しも同じです。
いわば書き出しは、文章の初対面ですね。
件名の役割は、次の本文を読ませることにあります。
もし、不特定多数の人に向けて情報を発信するなら、強い言葉を使うといいでしょう。
少し怪しさを感じさせるくらいの言葉のほうが、強く人の目を惹きつけます。
面白かったポイント
セールスライティングを書く人は必読の本です。
文章を書く時は、読者に向けてと頭で分かっていても、ついつい自分が書きたいこと書きがちです。
徹底した読み手のリサーチの重要性と人を動かすポイントが非常に完結にまとめられています。
読書としてこの本を読めば、そりゃそうでしょうとなりますが、いざ書き手になると忘れがちになります。
自分の中にセールスライティングの型ができるまで、この本を何度も復習してポイントを正しく盛り込めているのか確認することが大切です。
特に、HARM×年代のフレームワークは非常に強力です。
人の悩みはいろいろありますが、このHARMと年代のフレームワークに当てはめると、大体は当てはまります。
人々の悩みをこのフレームワークに従って蓄積してくと、セールスライターとしては大きな武器となるでしょう。
セールスライティングに限らず、商品企画にも応用できるので、自分なりに整理していきたいと思います。
満足感を五段階評価
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目次
第1章 文章が持つ力は∞(無限大)
第2章 「書かない」3原則で人を操る
第3章 人を動かす7つのトリガーで、何を書けばいいかもう悩まない
第4章 あとは、5つのテクニックに従って書くだけ