経営戦略全史

ビジネス

『経営戦略全史』三谷宏治

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内容

労働意欲

・ヒトは経済的対価より、社会的欲求の充足を重視する

・ヒトの行動は合理的でなく感情に大きく左右される

・ヒトは公式な組織よりも非公式な組織(職場内派閥や仲良しグループ)に影響されやすい

・ヒトの労働意欲はゆえに、客観的な職場環境の良し悪しより、職場での(上司や同僚との)人間関係に左右される

会社の定めた仕組みやルールを押しつけてくる厳格な上司よりも、チームや個人の状況に耳を傾け裁量権を与えてくれる上司のもとでこそ士気は上がり、生産性は上がりました。

 

経営管理

企業の経営管理プロセスを示したことです。

彼は経営活動を、5つの要素に分けました。

①計画(Planning):将来予測や経営資源を踏まえて活動計画を立てる

②組織化(Organizing):仕事に合った組織をつくり、ヒトモノカネを提供する

③指令(Commanding):従業員の状況に精通し生産性最大化を図る

④調整(Coordinating):諸活動間のバランスとタイミングをとる

⑤統制(Controlling):フィードバックによりエラーを減じ、諸活動が計画通り遂行されるようにする

 

経営戦略

経営戦略っていったって、儲けられる在り方なんて3種類しか結局ないんです(1980『競争の戦略』)。

  • 敵より安くつくれるか(コストリーダーシップ)、
  • 敵より付加価値が高いか(差異化)、
  • 敵より土俵を絞り込むか(集中)、

それだけです。この3つ以外ないんです!

 

ミンツバーグは、「戦略はパターン化できない」「状況次第で組み合わせよ」と叫んだのです。

 

戦略上の失敗要因は、突き詰めれば2つでしょう。

ひとつはすべてにおける曖昧さ、もうひとつは柔軟さの欠如です。

組織上の失敗要因は、「情実人事による仲良しチーム」で「あくまで上意下達(トップダウン)」的に戦争を遂行したということです。

必定、客観性や自己批判力を失い、(小さな)失敗からの学習能力を失いました。

 

戦略的マーケティングプロセス

①調査(Research)

②セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)

③マーケティング・ミックス(MM)

④実施(Implementation)

⑤管理(Control)

 

バリューチェーン

コンサルティング会社のブーズ・アレン・ハミルトンがはじめて「サプライチェーン・マネジメント(Supply Chain Management)(SCM)」という言葉を使います。

製造側でなく顧客側でやったのが、「顧客関係マネジメント(Customer Relationship Management)(CRM)」

 

デミング

「規模に頼らずとも、品質を上げればコストも下がり、顧客満足も上がる」

「そのためには統計を駆使して、モノだけでなくプロセスの品質を上げよ」

 

「荒削りな試作品をどんどん作る、が社風となったとき、見違えるほど多くのアイデアが具体化するようになる」

 

リーンスタートアップ

①顧客発見(聴いて発見)

②顧客実証(売って検証)

③顧客開拓(リーチを検証)

④組織構築(本格拡大)

ただし、②でダメなら「ピボット(Pivot軌道修正)」して①に戻る。

 

「スタートアップにチームは2つだけでいい。商品開発と顧客開発だ。マーケティングも営業も事業開発もまずは要らない」

創業者やCEOは、とにかくその2つに集中しろと。

多くのスタートアップが、その「ビジネスアイデア」を実現しようと商品開発に邁進して失敗します。

結局、顧客がいなかった、と。

 

それを避けるために、「顧客開発」チームをつくり、この①顧客発見、②顧客実証、②でダメなら「ピボット」して①に戻る、をしっかりやるのです。

 

市場の魅力度

土俵の上段は「市場の魅力度」を測るためのものですが、そこでは3つの基準があります。

・規模(Size):自社比

・成長性(Growth):「PLC」を使う

・収益性(Profitability):「5力分析」を使う

 

・規模:市場の大きさは自社の経営目的に沿うものか。たとえばトヨタにとって新規事業の市場規模が1兆円では小さすぎる

・成長性:多額の投資を必要とするため、必ずしも成長期がよいわけではない。自社の投資余力にあったものであるか

・収益性:自社の今の収益性ではない。5力分析はその業界が今後、どういった収益性になるのかを教えてくれる。今でなく、中長期的視野を中心に考える

 

人気テーマ

今もっとも人気を集めているテーマが圧倒的に「イノベーション」と「リーダーシップ」、そして「ラーニング」だとわかります。

 

面白かったポイント

経営戦略を一気に知ることができる読み物です。

各戦略は概要レベルの内容になるので、知っているフレームワークについては物足りなく感じます。

これまで知らなかった戦略フレームワークを見つけて、専門書で深掘りするのがこの本の使い方です。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆

 

目次

●テイラーの「科学的管理法」
●メイヨーの「人間関係論」
●フェイヨルの「経営・管理プロセス」
●アンゾフの「アンゾフ・マトリクス」
●「SWOT分析」の限界と効用
●BCGの「成長・シェアマトリクス」
●ポーターの「5力フレームワーク」「バリュー・チェーン」
●ピーターズの『エクセレント・カンパニー』
●ストークの「タイムベース競争戦略」
●ハマーの「リエンジニアリング」
●ハメルとプラハラードの「コア・コンピタンス」
●マッキンゼーの「イノベーション戦略」
●センゲと野中の「組織ラーニング」
●バーニーの「VRIOフレームワーク」
●キャプランとノートンの「バランスト・スコアカード」
●キムとモボルニュの「ブルー・オーシャン戦略」
●ゴビンダラジャンの『リバース・イノベーション』
●グーグルの「超・試行錯誤型経営」
●IDEO・ブラウンの「デザイン思考」
●リーブスの「アダブティプ戦略」

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