内容
課題設定
何が本質的な問題なのかをきっちりと見極める「課題設定」である。
これがうまくいくと、問題解決全体の五〇%はできたことになるとされる。
最初の課題設定が悪いと、その後、何をやってもピンボケ。
大きなスケールをとりにいく
決して品質は妥協せず、大量生産のリスクをとってコストを下げることに成功している。
短期的な利益を優先して価格を吊り上げ、小さな市場シェアで甘んじてはならない。
短期的な利益を犠牲にしてでも、価格を上げずに、大きなスケールをとりにいく覚悟が必要になるのだ。
コンサルの役割
インパクト高・実施スピード速い7番を1番のかたまりに細分化するのである。
7番というのは、まだ、「構造化」が足りていない、大きなブロックのままだ、ということ。
この手つかずの7番を1番に再構造化することこそが、コンサルの腕の見せどころ。
・全体像をしっかり押さえ、重要なイシューが漏れないようにすること、
・推進体制とスケジュールを明確にすること、
・KPI*(重要業績評価指標)をきっちり経営者、現場と握ること。
あとは現場の自主性に委ねる。
「自分事」として現場に実践してもらうことで、結果が速く、確実に出てくる。
7S
ハードSは、ストラテジー(戦略)とストラクチャー(組織構造)とシステム(仕組み)で、いわば組織の骨格や神経系にあたる部分。
ソフトSは、スタッフ(陣容)、スキル(能力)、スタイル(行動様式)、シェアードバリュー(価値観)で、文字どおり組織のソフト面だ。
お金さえあれば誰でも持てるようなものは、その組織の力ではない。
さらに言えば、外から誰でも持ってこられるようなコモディティ化したものは、内在化する必要はない。
より重要な資産は、その企業独自の価値を生むための組織力だ。
そして、それはこの七つの要素からできているのである。
シェアードバリューは、内側の信念や価値観、スタイルはそれが外に現れた行動様式。
システム(仕組み)を重視する。
じっくり漢方薬的に組織を変えるのは、システムだ。
システムが変わることによって、スタイル(行動様式)が変わる。
結果的にはスキルやスタッフ(人の能力と規模)もそれまでとは違ったところで蓄積されてくる。
それらを通じて、中核となるシェアードバリュー(価値観)が変わっていくことを期待するのである。
仮説
仮説そのものは直感でいいのだが、それを検証するためには、論理的に構造化しておく必要がある。
そのうえで、現実の中で、それを壊して、新しい仮説を組み立て直す。
人が動く動機
人が動く大きな動機は三つある。
達成感、危機感、使命感だ。
イノベーションを起こす能力
クリステンセンによると、イノベーションを起こす能力は、次の五つのスキルに集約されるという。
- 「質問力」
- 「観察力」
- 「実験力」
- 「人脈力」
- それらを「関連づける力」
指数関数的な成長
指数関数的な成長を目指すには、MTP(巨大で革命的な目的)に加えて、一〇の仕組みが必要となる。
外部向けの五つの仕組みが「SCALE」、内部向けの五つの仕組みが「IDEAS」。
合わせて「SCALE IDEAS」、すなわち「アイディアをスケールさせよ!」だ。
SCALEの
Sは「Staff on Demand」、必要に応じて、人材を外からとる。
Cは「Community & Crowd」、すなわち、外部のコミュニティや集団と広く連携していく。
Aは「Algorithms」、すなわちパートナーとWin‐Win関係を築き、非連続な成長を実現するための方法論に磨きをかける。
Lは「Leveraged Assets」、すなわち他社の資産を活用する。
Eは「Engagement」、すなわちまわりを「その気」にさせる。
この五つがあると、外部をうまく取り込んでスケールすることができるという。
一方で、内側でも外部をうまく取り込んで、イノベーションを醸成するメカニズムが必要になる。
これがIDEASだ。
Iは「Interfaces」、すなわち部門間の壁を取り除く。
Dは「Dashboards」、すなわちKPIが一目でわかる計器盤、
Eは「Experimentation」、すなわち実験、
Aは「Autonomy」、すなわち自律経営、
Sは「Social(Technologies)」、すなわちSNSのフル活用だ。
この五つの仕組みによって、リーンにスタートし、スケールアップするための組織をつくることができる。
学習
学習するためには、失敗を認める勇気、いったんは行けると思ったものを壊す勇気が必要。
学習能力のある個人や企業も、同じところに踏みとどまっていては、だんだん学習効果が頭打ちになり、学習能力そのものまで劣化してしまう。
成長し続けるためには、新しい分野で新たな学習を始動し続ける必要がある。
同じところで踏みとどまって学習するのではなく、学習の場所を「ずらし」ていく。
新しいものにつねにチャレンジしていくことが、非線形の時代のいま、もっとも求められる優位性なのだ。
面白かったポイント
コンサル初心者向けの分かりやすい読み物です。
コンサルを超える、全技法など、タイトルで期待値が高かったので、物足りない感じはある。
ポーターとマッキンゼーへのダメ出しが随所にあります。
ただ読んで損はなし。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆