内容
顧客の属性
初回現役客
「離脱期間」240日未満のお客様(初回客は「在籍期間」を0日とします)
よちよち現役客
初回購入日から90日未満の間に2回目を買い、なおかつ「離脱期間」が240日未満のお客様
流行現役客
「在籍期間」が90日以上210日未満であり、「離脱期間」が240日未満。なおかつ「売上累計」が7万円以上あるお客様
コツコツ現役客
「在籍期間」が90日以上あり、「離脱期間」が240日未満。なおかつ「売上累計」が7万円未満のお客様
優良現役客
「在籍期間」が210日以上あり、「離脱期間」が240日未満。なおかつ「売上累計」が7万円以上のお客様
「7万円」というのは、1回当たりの客単価が1万円前後であると想定した場合の金額です。
あなたの会社の客単価が5000円前後であれば、7万円を「4万円」に置き換え、8000円前後なら、7万円を「6万円」に置き換えてください。
これに当てはまらない場合は、「7~8回購入していただくと優良客になる」と想定し、1回当たりの平均購買単価の約7倍で、切りのいい金額にするのがいいと思います。
初回離脱客
初回購入日から240日以上、何も買っていないお客様
よちよち離脱客
よちよち期間(90日未満)の最終購入日から240日以上、1度も買っていないお客様(流行客にもコツコツ客にも進まなかったお客様)
流行離脱客
流行現役客の顧客層にいる期間(90日以上)の最終購入日から240日以上、1度も買っていないお客様
コツコツ離脱客
コツコツ現役客の顧客層にいる期間(90日以上210日未満)で最終購入日から240日以上、1度も買っていないお客様
優良離脱客
優良現役客の顧客層にいる期間(210日以上)で最終購入日から240日以上、1度も買っていないお客様
離脱客とは、「バケツの底の穴から流れ出てしまった水」のようにイメージできますが、出て行ってしまった水にもさまざまな特性がある。
しかし、この水は、『顧客ポートフォリオ・マネジメント理論』を使えば、バケツに戻すことが可能なのです。
「初回離脱客」「よちよち離脱客」に対しては、「商品情報を与える」ことが最大のポイントになります。
商品のことをあまりよく知らないということです。
この段階では、商品情報を伝えることによって「お客様を育てる」ことが、とても重要になってきます。
「コツコツ離脱客」「優良離脱客」へのフォローは、「会社情報を与える」ことがポイントになります。
この層のお客様は、自社から何回も商品を買い、すでに商品やサービスのことを十分理解しているお客様です。
それなのに離脱してしまったということは、その会社の考え方やスタッフの対応に何らかの不満があったということが考えられます。
伝えるべきは商品情報ではなく、会社情報です。
会社の姿勢や商品のことは理解してくれている「優良離脱客」が離脱する要因としては、次のようなことが考えられます。
- 期待を裏切られた
- 商品に飽きてしまった
- 安全性への不安が出てきた
- 永く付き合うメリットを感じなくなった
では、これらの離脱要因を取り除く情報提供とは何でしょうか。
- 自社が持っているほかの商品のよさを案内する
- 生産者や工場を訪問・取材し、生産者のご苦労や、工場での安全性をお知らせする
- 自社の対応について反省し、新しい道を歩み始めたことをお知らせする
- ほかの顧客層のお客様とは差別化したオファー情報やサービスを提供する
CPMでは、「コツコツ客」の顧客層に在籍しているこの時期を、「クロスセリング・タイミング」と呼んでおり、積極的なクロスセリングを推奨しています。
反対に、「初回客」の段階では「クロスセリング」してはいけないというのも、また、逆の黄金法則になります。
ポイントは、「初回客」の「反応率」です。
ほかの顧客層に比べて、「初回客」の反応は非常に悪いことがわかります。
現役客でも1%、離脱客になると、その5分の1の0.2%まで反応率が下がります。
「初回客」100人にアプローチしても、1人しか売上に結びつきません。
離脱客に至っては、1000人に出しても2人しか買ってくれません。
「初回離脱客」にいくらアプローチしても、自社に戻ってくれる可能性がほとんどないということです。
言い換えれば、「初回客」を離脱させてはいけないということです。
だからこそ「初回客」を「よちよち客」に育てることが非常に重要だということがわかります。
コミュニケーションの基本は、できるだけたくさん接触することです。
この繰り返しの中で、想定外の感動があれば、そのお客様は、商品のことを理解し好きになってくれます。
そして、いずれは「自社のファン」になってくれます。
CPMの3大目的
- あなたの会社に継続的な利益をもたらしてくれる顧客層を知ること
- お客様の層に応じて適切なアプローチをすること
- あなたの会社から離れてしまったお客様を再び呼び戻すこと
CPMの目的1の顧客層は、もちろん「優良客」です。
売上の80%は全顧客の20%によるものであるとする「80:20の法則」がありますが、CPMでは、この「売上の80%」をつくってくれる全顧客の20%を「優良現役客」にすることを1つの目標にしています。
つまり、20%の「優良現役客」によって80%の売上をもたらす構造が、もっとも経営が安定した状態なのです。
最優先順位として、1人でも多くの「優良離脱客」を「優良現役客」に戻し、「優良現役客」が常に20%を保つように図ることが大切になります。
2番は「コツコツ現役客」を「優良現役客」に上げること。
3番は「コツコツ離脱客」を「コツコツ現役客」に戻すことです。
CPMの目的2は、大きく次の4つが挙げられます。
- フォローの仕方を「初回客」「よちよち客」と「コツコツ客」「優良客」の2つに分け、前者には商品情報を、後者には会社情報を提供する
- 「初回現役客」にはルールとして計10回のフォローを行う
- クロスセリングの対象は、「コツコツ客」以降の顧客層に限定する
- 「優良客」には、売り込みばかりでなく特別感を提供する
何より重要なのは、あなたの会社のファンになってくれるまで繰り返しコミュニケーションをとることです。
何度もアプローチすると「相手に嫌がられる」と思うのは間違いです。
お客様が望んでいる整理された情報やサービス、あるいはサプライズを届けることができれば、コミュニケーションをとればとるほど、お客様との距離は近づきます。
私たちは、毎月お客様の評価を受け、成績表をいただいているのと同じことなのです。
成績表ですから、どこがよくなって、どこが悪くなったかはすぐわかります。
わかったら、悪いところを改善し、成績を上げるように努力すればいいだけです。
そのために必要なのは、顧客データ(基本的な顧客情報)と売上データだけ。
「誰が?」「いつ?」「いくら買ってくれたか?」
これさえわかれば、すぐにCPMを実行することができるのです。
データの読み取り
- それぞれの円の大きさを見る
- 在籍期間と売上の関係を見る
- 優良現役客が全体に占める割合を見る
- 優良離脱客による損失を計算する
- 時系列で円の推移を見る
優良現役客が20%になれば、経常利益も20%になることが多い。
推移率
CPM分析では、「初回客」が「よちよち客」に進む割合を「推移率」と呼び、この「推移率」が50%以上であることを目標としています。
そのために必要な施策が、合計10回のアフターフォローです。
多くのお客様が「初回離脱」の顧客層に1度流れてしまえば、戻ってくることは難しいので、「初回客」→「よちよち客」の「推移率」を上げなければ、ビジネス自体が成り立たない可能性があるということです。
最低でも「推移率」を50%にして、さらに60~70%にもっていくのが第2ステップとなります。
推移率が50%に達しない主な理由
- 「初回客」に対して、フォローをまったく行っていない
- 「初回客」に対して、間違ったフォローを行なっている(クロスセリングしてしまった)
- 気の合わないお客様を獲得した
- リピート販売を前提として商品を販売していない
化粧品や食品のように、定期的に買い続ける商品特性がなければ、何もフォローしない企業はたくさんあります。
たとえば、リフォーム業などの経営者の中には、「うちは単価も高いし、リピート性はないから、そのやり方は合わない」という方がいるかもしれません。
しかし、もしリフォームをしてくれたお客様に、その後、アフターフォローをしながら、単価が2000~3000円の関連商品(生活まわりの商品)を1つでもご購入いただけたなら、それは、「私はいまもあなたの会社を気に入っていますよ」という投票をしてくれたようなものです。
何年にもわたって投票をしてくださったお客様なら、次のリフォームがあったときには「あなたの会社に頼みたい」と思ってくださるのは自明の理ですよね。
いつも会って話をしているAさんのほうが、めったに会わないBさんよりも親しみを感じるように、お客様が、「どうせ頼むなら、あそこにお願いしよう」と思うのは、「いつも会っている人(会社)」なのです。
アフターフォローとは人間関係づくりです。
私たちは「コツコツ客」と同じく、自らも人間関係を築くための「コツコツと行う地道な作業」を大事にしなければいけません。
リピートを基盤にするモデルを構築する観点からすれば、答えは、「初回離脱客」を出さないために、たとえ1000円でもお支払いいただき、お付き合いの期間を伸ばすことが重要なポイントです。
人は、嫌いな会社には1円も払わない。反対に1円でも払ったということは、好意を持っている証拠です。
高単価の商品を扱っている企業は、ともすると「儲けが出る・出ない」という観点からのみ考えてしまうため、「少額のサービスなんてバカバカしい」と、フォローに取り組むことをしないまま、お客様との縁も切れてしまいがちです。
どんな業態であっても、「謙虚さを持ちながら、お客様へのフォローを実践し続ける」という態度が、多くの人に好まれ、末永いお付き合いへとつながるのではないでしょうか。
リピートの重要性
集客・販促コストの低下による収益性のアップ
スタッフ数のスリム化
伸びる企業
伸びる企業に共通するのは、「現場スタッフが、会社での業務を自分のこととして認識している」という点です。
そのような会社は、社員1人1人が仕事を自己完結しています。
自分で仮説を立て、実行し、検証と分析を行い、次の行動につなげる。
さらに言えば、このPDCAを、現場のスタッフ自らが行えるようになることが、全員参加型経営につながる大切なポイントとなるでしょう。
目標
目標値は高く設定するものという風潮がある中、目標というのは、達成するから目標なんです。
達成できない目標なんて、モチベーションが下がるだけです。
プラスマイナス5%からずれたら、我々の立てた目標が悪かったということで、半期に1度目標を見直し、大入り袋が出なくなると目標値を下げます。
反対に、あまりにも目標を上回った場合は、目標値を上げます。
ですから、目標というのは、ちょっと背伸びしたら届くぐらいがちょうどいいんです。
面白かったポイント
商売の本質を学び直せる本。
新規顧客の獲得も大事だが、如何にリピート客を積み上げるかが経営を安定させるポイント。
商品の品質が高いことはもちろんだが、お客様と適切なコミュニケーションをとり続けることが大事。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆