内容
リフレクション
リフレクション(Reflection)とは、自分の内面を客観的、批判的に振り返る行為です。
「内省」という言葉がもっとも近いでしょう。
私たちは、生活をする中で様々な決定を下しますが、このときに指針となるのが過去の経験です。
自分の取った行動の結果を、そのときに味わった感情から「知恵」と「愚行」に区分して知識として脳に蓄え、次に決定を下す際の指針にします。
なぜそう感じたのか、その理由(価値観)を探求する習慣を持つと、自分が何を大事にしているのかを知ることができます。
嬉しいことよりも、悔しいことや腹が立ったことなど、ネガティブな感情を振り返るほうが、自分が大切にしている価値観を見出しやすいのです。
動機の源と仕事を結びつける習慣を持つと、会社や上司に頼らなくても自燃することができ、どんな環境でも成長を続けられるようになります。
対話
対話とは、自己を内省(リフレクション)し、評価判断を保留にして、他者と共感する聴き方と話し方です。
対話では、一人のものの見方ではなく、多様な視点を取り入れるほうが、意見がより洗練されると考えます。
多様な判断基準を可視化し、意見の質を高めることを目指します。
本に線を引いていないところから学ぶ最も簡単な方法は、多様な人たちとの対話です。
同じ本を読んでも、印象に残る箇所は人によって異なります。
他者が線を引いている箇所から学ぶことができれば、学びを加速することができます。
「私が正しくて、あなたが間違っている」という考えを持ちながら相手の話を聴いても、対話にはなりません。
自分の評価判断を保留にする聴き方ができることが大前提です。
評価判断を保留にして、相手の意見の背景を聴き取ることで初めて、自分の境界線の外にある学びを自分のものにすることが可能になります。
同時に、対話の相手にも学びの機会を提供することができます。
対話を、コミュニケーションの手段として捉えるだけでなく、学びの手段として捉え、その力を磨いていきましょう。
共感
対話では、共感を伴う傾聴がポイントと言われます。
ところが、共感を「相手の意見に賛成すること」と誤解している人が多いようです。
共感は、相手の意見に賛成することでも、自分の意見を手放すことでもありません。
認知の4点セットで傾聴するときには、相手の意見、相手の経験、相手の感情、相手の大切にしている価値観を聴き取ります。
このときに、相手の考えや感情にも、それなりの理由があるという認識に立つこと、これが共感です。相手の意見の背景にある経験や感情、価値観に共感することは、あなたが考えを変えることとイコールではありません。
対話の場で、反対意見に遭遇したら、あなたの意見に反対している訳ではなく、その人は意見の背景にある大切な価値観を守っているだけだということを思い出してください。
このことが腑に落ちると、意見の対立も怖くありません。
多様性
チームで仕事をするときには、意見の違いや対立が生まれて当然です。
個性を持つ人が集まるからこそ大きな挑戦ができますが、ただ集まったからといって、斬新なアイディアがすぐに生まれるわけではありません。
対話力は、多様性が化学反応を起こすための道具です。
多様性が化学反応を起こすためには、多様性を顕在化させることが大切です。
意見の違いを対立と捉えず、違う意見に出会うことを楽しむ心がなければ、多様性に化学反応を起こすことはできません。
最も遠い多様性が融合する価値創造は、想像を超える大きなインパクトを与えます。
取り組んでいるテーマのリフレクション
あなたが現在取り組んでいることについて、10の問いに答えてください。
テーマ あなたは、何に取り組んでいますか?
目的とビジョン あなたは、その取り組みを通して、何を実現したいですか?
動機の源とのつながり そのことは、あなたにとってどのような意味を持ちますか?
経験 そのことについて、どのような経験(知っていることも含む)をお持ちですか?(目的やビジョンが大切だと思う背景にある経験)
感情 その経験には、どのような感情が紐づいていますか?
価値観 そこから見えてくる、あなたが大切にしていることは何ですか?(何を大事にしているから、その目的やビジョンにこだわりを持っているのか。経験や感情の背景に、どのような価値観が存在するのか)
誰のニーズ 取り組みの受益者は誰ですか?(目的やビジョンが達成すると、誰のニーズが満たされるのか)
どのようなニーズ 取り組みが成功すると、受益者は何を手に入れるのでしょうか?(目的やビジョンが達成すると、どんなニーズが満たされるのか)
インパクト 取り組みが成功すると、社会にどのような変化が起きますか?(目的やビジョンが達成すると、社会はどう変わるのか。インパクトの範囲は、家族、地域、コミュニティ、チーム、組織等、テーマに合わせて置き換えてください)
成功の評価軸 目的やビジョンの成功を評価する定義は何ですか?(取り組みにおいて絶対に外せないゴールや、成功の評価に用いる評価軸は何か)
「そのビジョンが具現化することはあなたにとってどのような意味を持ちますか?」
「あなたは、なぜ、そのビジョンを実現したいのですか?」
「あなたの動機の源は、ビジョンとどのように結びついていますか?」
このような問いに誰もが答えられる環境をつくることで、ビジョン浸透が確実なものになります。
リフレクションの目的は、経験からの学びを未来に活かすことです。
リフレクションの前提には、「成功しても、失敗しても、いずれにしても、経験したからこそ知っていることがある、経験を知恵に変えることができる」という信念があります。
リフレクションを行うのは、経験を通して賢くなりつづけるためです。
良質なリフレクションを行えば、成功も失敗も、その経験を叡智に発展させることができます。
ですから、失敗をポジティブな気持ちで振り返る力が欠かせません。
新たな価値を創造しようというときに、失敗を悔やみ立ちすくむようなら、イノベーションは起こせません。
うまくできることだけやっていても、難しい問題は解決されず、成長も進化もありません。
部下を育てることが大事だとわかっているのに、自分で仕事を引き取ってしまう背景には、仕事に対する責任感や仕事の質とスピードを大事にする気持ちがあります。
ぶれない軸をつくるリフレクション
ぶれない軸をつくるリフレクション
1過去に、どのような選択をしてきたのか振り返る
2自分の使命、存在理由を明確にする
3自分が大切にしている価値観を明らかにする
4自分のビジョンを明確にする
5自分の強みを見つける
6自分が持つ、影響力の源泉を探す
7自分が抱く理想のリーダー像を考える
モチベーション
自分のモチベーションを上げるために、次の2つのリフレクションを試してみてください。
- 自分の原点に戻るリフレクション
- 自分を解放するリフレクション
自分の原点に戻るリフレクション
意見 そもそも、なぜこの仕事に取り組み始めたのでしょうか?何を実現したいと思っているのでしょうか?
経験 どのような経験から、そう思うのでしょうか?
感情 その体験には、どのような感情が紐づいていますか?
価値観 そこから見えてくる、あなたが大切にしている価値観は何ですか?
このリフレクションを行うと、原点に立ち返ることで「何のために取り組んでいるのか」を自覚でき、取り組み始めた頃と同じようなモチベーションで自分が実現したいことに向かうエネルギーが体の内側から湧き出てきます。
自分を解放するリフレクション
意見 すべてから解放された世界は、どのような世界でしょうか?
経験 そこで、あなたは何をしていますか?そこには、誰がいますか?
感情 その世界にいるとき、あなたはどのような気持ちですか?
価値観 そこから見えてくる、あなたが大切にしている価値観は何ですか?
このリフレクションは、モチベーションがゼロまたはマイナスの状態にあるときにおすすめです。
おそらく、現状に留まることが、難しい状態です。
そんなときには、思い切って、「やめた!」と(心の中で)叫び、現実から離れてみましょう。
空想するのは自由です。
思い切って、責任も役割も、すべて手放してみてください。
そして、その世界にはどのような人生があるのかを想像してみましょう。
レジリエンス
レジリエンスとは、回復力、弾性のことで、レジリエンス研究の第一人者であるペンシルベニア大学のカレン・ライビッチ博士は、「人間が、逆境から素早く立ち直り、成長する能力」と定義しています。
幸福の因子
幸福学の研究を通して、「幸福の因子は4つあること」を明らかにしています。
幸せになりたければ「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのまま」の4つを実践すればよいという、とてもシンプルでパワフルな理論です。
感情
人間は、ポジティブな感情だけをオンにして、ネガティブな感情をオフにするということはできません。
我々の脳は、ネガティブな感情に蓋をしてしまうと、ポジティブな感情も、オフ状態になるように設計されています。
心理的安全性
学びの環境には、心理的安全性が不可欠であると言われます。
心理的安全性とは、失敗しても、馬鹿にされたり、だめな人間と評価されたりする恐れのない環境のことです。
自分の強み
自分の強みを活かして活躍することができると、やりがいと貢献実感が得られることは、誰もが経験していることでしょう。
ところが、自分の強みを知ることは、想像以上に難しいことです。
なぜなら、得意なことは、自分にとっては楽なことなので、できて当たり前と考えてしまい、それが特別なことであることに気づけないからです。
評価
ポジティブな評価3に対してネガティブな評価1が理想と言われています。
一般的に私たちは、人柄を褒められることが一番うれしいと言われています。
先ほど挙げた中では、「誠実さ」や「思いやり」がそれに当たります。
改善を求めることを途中であきらめて手放すことは、部下に、「改善しなくてよい」という許可を与えていることと同じです。
パーパス:組織の存在理由
ビジョン:組織の目指す北極星、目標となるゴールの姿
バリュー:パーパスとビジョンを実現する上で大切にしたい価値観
機能しているチームの条件(レンシオーニの理論を参考に作成)
信頼関係の確立 お互いに信頼する関係性ができている。
自然な対立 メンバーが、遠慮することなく、異なる意見を出し合える。
コミットする姿勢 メンバーは、決定事項や行動計画に対してコミットしている。
実行に対する責任感 一人ひとりが計画の実行に対して責任を持っている。
結果の達成 チーム全体の結果の達成に注意が払われている。
価値観(理念)を軸とした5つの一貫性
◎一貫性のある事例
理念 心理的安全性が高いチームにしたい
行動 成功も失敗も、オープンに振り返る
態度 お互いの学びと成長を尊重する
思考 リフレクションから多くの学びが得られる問いを考える
感情 学び合うことに喜びを感じる
成果を上げる先生
成果を上げる先生は、6つのことを実践していると言います。
- 大きな目標を立てる
- 生徒と家族を本気にさせる
- 目的を持って計画する
- 効果的に行動する
- 効果を追求し続ける
- 弛まぬ努力をする
面白かったポイント
とても勉強になった。
自分の内面を振り返る作業は定期的に行いたい。
これからは多様なチームで付加価値を創造することが重要になってくるが、そのための武器が対話力です。
これは知識だけでなく、実践しながら習得していくもの。
海外の人と触れ合うことで最も成長するが、日本人だとしても一人ひとりは個性があるものなので、普段合わないような個性の強い人と交流することも必要かも。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆