内容
模倣から自己表現の時代
大人数の集団から少人数の集団へ、さらに一人のソリストへ。今こそ自己表現する時代だ。
ビジネスの世界では、模倣を推進する言い回しさえも存在する。
「ベンチマーキング」と「ベストプラクティス」だ。
問題なのは、あまりにも多くの人が自分自身であることを放棄して、同じ人の模倣をしていることだ。
革新者は模倣をしない。
新しいエリート集団
情報の氾濫は、情報の意味を理解する者が財源を持っている者と協力して、新しいエリート集団を作ることを可能にする。
トップクラスの能力を持つことで、政治家、雇用主、そして資本家との関係が強まる。
個人にとって、成功する見込みのある唯一の戦略は、「希少な資源」になることだ。
今や、カネは投資家から知的資本を持つ者のポケットに直接入る仕組みだ。
権力は、かつて情報をコントロールしてきた者から、知識をコントロールする者に移ったのである。
誰も持っていない才能は、その持ち主に世界のどこへでも行ける特権を与える。
何か特別な仕事でなければ、どんなに一生懸命仕事をしても、上層部はそんな人に気づいたりはしない。
そしてこのことは、給料が大幅には増えないという状況をますます顕在化させる。
出世競争で問題なのは、ネズミみたいに頑張って勝ったとしても、勝者はやはりネズミだということね。
グローバル・ゲームに参加する資源のない人は、一箇所に留まっている。
そして、ますます多くの政府が、イデオロギーというよりは必要に迫られて、一箇所にしがみついている人から税金を徴収する誘惑に駆られるようになっている。
人が労働に幸福を見出すためには、三つのことが必要だ。
「労働は自分に合ったものでなければならない、無理をしてはならない、そして達成感を持たなくてはならない」イギリスの社会改革者のジョン・ラスキン
新しい人間関係
離婚や男女間の破局が大幅に増えたことで、こうした人々が人間関係を再構築する際には、カネはあまり持っていないが、それまで以上に自分を魅力的に見せたがるという複雑な状況が生まれた。
ある地域における社会関係資本の弱さと、それに伴う革新レベルの高さは、多様性に対する寛大さと文化活動として現れる。
一つの地域が成功するには、異端児を減らすのではなく、増やすことが必要である。
変化を迎え入れる心構えと対応能力は、非常に重要である。
どこに所属するのかと、誰とつながるのかは、今や一致しないのだ。
地域、文化、そして宗教は、もう自動的に重なり合わないのだ。
新しい集団の多くは、同じ地域に住む人々ではなく、同じ種類の価値観をもつ人々から構成されている。
三つの力
資本の不均等な配分に加え、我々の世界はその他の三つの力によって引き裂かれている。
その三つとは才能、訓練、そして仲間同士の絆だ。
成功を手中にできるか否かは、適当なスキル、適当な学校からの卒業、そして正しいポジションに置かれた戦略的な友人にかかっている。
企業は二つの集団と戦うことになる。
企業は有能な個人に人質に捕られつつ、次から次へと要求を出し続ける顧客に、包囲されるようになるだろう。
市場資本主義という機械がより効率的になると、我々はより低い利益を覚悟しなければならない。
社員に経営者と同じ価値観を持たせる最も簡単な方法は、すでに同じ価値観を持っている者を雇うことだ。
このため、ますます多くの企業が、組織にとって好ましい姿勢を持つ者を雇い、それからスキルが身につくように訓練するようになると考えられる。
今日、新しい商品やサービスは、地理的な距離を越え、組織内の部署を越え、技術分野を越え、そして恐らく企業間の境界線を越えた知識を、光の速さで組み合わせ、さらに組み合わせ直す結果得られるものが多い。
ビジネスモデルは、主に三つの理由で失敗するのを我々は経験上知っている。
その三つとは、「独占性」、「実行性」、そして「融通性」の欠如である。
ムードが市場を左右する世界では、感情を理解することがビジネスの中心課題になっている。
デザインは、こうした企業が競争に勝つための新しい武器である。
ビジネスでは、我々は利益を得るためにリスクを負うことより、損失を避けるためにリスクを負うことを好む。
したがって、ムード戦略も、ネガティブな感覚を減らすことに集中すればよい。
過剰経済の中では、注目は非常に希少な資源である。
企業によっては、注目を浴びるためにカネを払わなければならないところもある。
今日、最も不足している資源は、カネではなく想像力だ。
「私が成功したのは、私の頭がいいからではなく、長い間一つの問題に取り組んだからだ」アインシュタイン
「度が過ぎること以上に成功に結びつくものはない」オスカー・ワイルド
面白かったポイント
大前さん推薦なので購入。
一気に読める面白くて分かりやすい本でした。
個人にとっては希少な人材になることの重要性が説かれ、企業にとっては才能ある人材の獲得競争になるという人材が主なテーマです。
企業は才能ある人材と要求水準が高くなった顧客に挟まれ、効率を追求するだけの組織は低い利益を覚悟しなければならないと言っています。
しかし、これからは感情を理解しムードを作ることが重要な課題になり、デザインというのは利益を得るための武器になるということです。
商品やサービスを「7つの大罪」の物語で包み込むアプローチは非常に面白い。
10年以上前の本なので、事例が古い部分もありますが、訴えたいエッセンスは今でも色あせずいろんなインスピレーションを得ることができました。
大前さんも言う通り、メモを取りながら読むことをお奨めします。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆
目次
終わりのないソロ
技術革新による解放
ルールが覆る
グローバルな消費者
アブノーマルのための時代
才能による支配
支配権を握る顧客
資本家は泣いている
知恵の網
イノベーションを起こす企業
ビジネスの秘宝
知的なモデル
ムードの重要性
ムーディなモデルを管理する
カラオケ・ボックスからの解放