会社四季報公式ガイドブック

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『会社四季報公式ガイドブック』会社四季報編集部

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内容

会社は発表している計画に対して、売上高が10%以上、営業利益・経常利益・純利益が30%以上変動するとわかったときは、速やかに業績修正を発表するルールを課せられています。

 

営業利益

『四季報』では営業利益を最も重視

営業利益を見るうえで重要なポイントが2つあります。

1つは前期からの伸び率、もう1つは売上高に対する割合です。

 

営業利益率といいます。

営業利益率が高い会社は、製品やサービスの競争力が高く、本業の収益性が高い

 

売上高から差し引く売上原価には、製品を作るための原材料費、労務費、外注費、減価償却費などが含まれます。

卸売業や小売業であれば、販売に回った分の仕入れが原価となります。

 

経常利益は、営業利益が示す本業の儲けに、財務活動などその他の事業活動から得られる儲けを加えて、その会社が経常的に稼ぐ利益を表している

 

税効果会計

税効果会計は、財務会計上の利益計算と税務会計上の所得計算のズレを調整するための処理です。

 

たとえば、次図のように経常利益200の会社が、特別損失で税務会計上は損金算入できない貸倒引当金繰入100(不良債権の償却)を行ったとします。

すると税引前利益は100ですが、税務会計上は貸倒引当金繰入100を損金算入できないため、経常利益200がそのまま課税対象になり、法人税等は200 × 30% = 60で計算されます。

税効果会計が適用されなければ純利益は、税引前当期純利益100-法人税等60 = 40となってしまいます。

 

ただ、不良債権が後になって完全に回収不能になると、税務会計上も損金と認められます。

すると、法人税等は貸倒引当金繰入100 × 30% = 30が減ることになります。

税効果会計は、この期間的なズレを調整するため、最初の段階で支払うべき法人税60はいったん計上しますが、このうち不良債権償却の先払いに当たる税額分30は、法人税等調整額として利益計上すると同時に、貸借対照表には繰延税金資産として計上する処理を行うのです。

 

設備投資

設備投資は、工場設備や営業拠点などの建物、店舗など有形固定資産への投資額と商標権や特許、ソフトウェアなど無形固定資産への投資額の合計

減価償却は、有形固定資産や無形固定資産の取得原価をその耐用年数にわたり一定の方法で配分し、費用化したもの

一般的に設備投資額が減価償却額を上回っている会社は、事業拡大意欲が旺盛

 

増資

増資の目的は、主に2種類あります。

1つは、順調に事業展開している企業のケースです。

旺盛な資金需要を金融機関からの借り入れや債券の発行でなく、新たな資本金の調達でまかなうのです。

 

2つめは財務内容の改善で、純資産の増加や負債の返済が目的となります。

増資で得られる資金は借入金のように返済義務がなく、それで財務が改善できれば、企業の信頼度や評価も高まります。

ただ極端な例として、自己資本がゼロ圏の会社や債務超過の会社が上場廃止基準抵触を回避するために行う、かなり緊急的な延命策としての増資もあります。

 

増資は、新株発行によって株式需給の悪化や1株利益の希薄化を招くためにマイナス評価となり、その後の株価が下落することが多くあります。

そこで注目されるのが、増資で得た手取り資金(調達資金から手数料を減算)の使い道です。

資金をどれだけ成長性の高い事業に投じる事ができるかがカギです。

 

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書(CF)は貸借対照表、損益計算書(PL)と合わせて財務三表と呼ばれます。

この三表はそれぞれ別個に存在するわけではなく、貸借対照表を中心にして関係を説明することができます。

貸借対照表に記載される自己資本は、配当などを除いた、その決算期の純利益分だけ増加します。

その純利益がどう生み出されたかを表すのが、損益計算書です。

同時に貸借対照表で注目すべきは、左上に記載されるおカネ(現金および預金)です。

そのおカネがどのように増減したかを説明するのが、キャッシュフロー計算書なのです。

 

営業CFは、本業の営業活動を通じて獲得したおカネの増減

投資CFは、おカネを投資にどのように使ったか、あるいは逆に投資からどのようにおカネを回収したか

営業活動や投資活動の結果、おカネの余剰や不足が生じます。それを調整するのが財務CF

 

持続的成長性

持続的成長性は、収益力と信用力の2つで測れます。

 

収益力は、『四季報』の【指標等】にあるROE(自己資本利益率)、ROA(Return on Assets:総資産利益率)といった効率性指標をチェックしてください。

採算性を表す売上高営業利益率を計算してみてもよいでしょう。

 

一方の信用力は、貸借対照表(BS)の重要な数値を掲載した【財務】欄の自己資本比率や、【キャッシュフロー】欄にある営業キャッシュフロー(CF)の増減や正負からわかります。

これらは安全性の指標とも言い換えられます。

「リスクとリターンは表裏一体」といわれるように、事業にせよ運用にせよ、大きなリスクを覚悟しないと高いリターンは得にくく、リスクを小さく抑えると低いリターンしか得にくいものです。

 

利益剰余金

利益剰余金は自己資本の内数で、会社が稼いできた純利益を蓄積したおカネです。

純利益から支払い配当金や自己株消却分を差し引いた内部留保の額が毎期上積みされ、その詳細は株主資本等変動計算書に記載されています。

 

大量保有報告書

大量保有報告書とは、ある銘柄の株式を5%以上保有していて、その保有割合が1%以上増減した場合、新規に5%以上保有した場合などに、5営業日以内に金融庁に売買報告することを義務づけたものです。

 

経営効率

ROE(自己資本利益率)があります。

当期純利益を自己資本で割って求めますが、会社が株主から集めた資金(自己資本)を使って、どれだけ効率よく利益を出せているかを表す指標です。

 

ROA(総資産利益率)も重要な指標です。

ROAは純利益を総資産で割って求めます。

自己資本だけでなく、負債も含めて会社に投下された総資産(総資本)、つまりすべての経営資源を活用し、どれだけ効率的に稼いでいるかを表しています。

ROEよりも広い視点で会社の稼ぐ力を測る指標といえるでしょう。

 

業種別業績展望から増益率の高い、業績好転の度合いが大きい業種をチェックして、そこから有望銘柄をピックアップ

 

収益構造

利益の源泉、つまり儲け頭です。

企業活動の目的は利益の最大化であり、会社はたとえ祖業であっても不採算事業は切り捨て、逆に新規領域へM& A(合併・買収)を駆使して進出していきます。

なじみのある銘柄ほど思い込みに支配されやすく、投資判断を誤らせる傾向があります。

 

人員拡大戦略が成功したかどうかを確認するためには、従業員1人当たりの売上高や営業利益が減っていないかを見れば検証できます。

 

銘柄選び

最高純益をチェックすると、手っ取り早く確認できます。

最高純益欄にはその会社の自己ベストと、それを記録した決算期が記されています。

 

銘柄を選ぶときに大切なのは成長性と安全性

損益計算書(PL)はあくまで会計上の数字であって、本当に現金を伴った儲けかはキャッシュフローを見ないとわかりません。

 

ある著名な会社の社長に「何か目標とする数字はありますか」とたずねたとき、「時価総額が売上高を超えることだ」

東証1部や2部銘柄で売上高が100億円超の会社はPSRが1倍以上、つまり時価総額が売上高を上回る銘柄のほうが投資妙味は高い

 

面白かったポイント

四季報を読み込む前の解説書としてベスト本だと思う。

財務指標などはある程度の理解はありましたが、まとめて読むと復習と新たな気づきが得られたのでよかった。

定期的に読むのもアリだと思う。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

目次

第1章:『四季報』はまずここを見よ!
第2章:会社の「基本」を知ろう
第3章:儲かっている会社は、こんな会社
第4章:将来性のある会社の見つけ方
第5章:安全な会社はどう探す?
第6章:株価を動かす要因はこれだ!
第7章:売買チャンスはこうつかむ!
第8章:お宝株発掘の実践テクニック

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